現状の科学的理解とは? わかりやすく解説

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現状の科学的理解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 15:51 UTC 版)

地球温暖化」の記事における「現状の科学的理解」の解説

地球表面大気海洋平均温度は「地球平均気温」または「地上平均気温」と呼ばれ地球全体気候変化を表す指標として用いられており、19世紀から始まった科学的な気温観測をもとに統計取られている。地球平均気温1906年から2005年100年間で0.74誤差は±0.18°C)上昇しており、長期的に上昇傾向にある事は「疑う余地が無い」と評価されている。上昇ペース20世紀後半以降加速する傾向観測されている。これに起因すると見られる海水面海面水位の上昇や気象変化観測され生態系人類の活動への悪影響懸念されている。 この地球温暖化は自然由来要因人為的な要因分けられる20世紀後半温暖化に関しては、人間産業活動等伴って排出され人為的な温室効果ガス主因とみられ、2007年2月国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行した第4次評価報告書AR4)によって膨大な量の学術的科学的知見集約され結果人為的な温室効果ガス温暖化原因である確率は9割を超える評価されている。このAR4主要な結論変わっておらず、より多くデータ加えた第5次評価報告書作成進められている。 AR4によれば2100年には平均気温最良推定値1.8–4°C(最大推計6.4°C)上昇する予測される地球温暖化の影響要因としては、「人為的な温室効果ガス放出なかでも二酸化炭素メタン影響大きい」とされる。その一方で太陽放射等の自然要因による変化寄与量は人為的な要因の数%程度でしかなく、自然要因だけでは現在の気温の上昇は説明できないこと指摘されている。一度環境中増えた二酸化炭素などの長寿命温室効果ガスは、能動的に固定しない限り、約100年間(5年200年)にわたって地球全体気候海水影響及ぼし続けるため、今後2030年以内対策温暖化による悪影響大小大きく左右することになる。 理解度比較的低い要因専門家の間でも意見分かれる部分もあり、こうした不確実性批判する意見一部存在する。ただし、AR4においてはそのような不確実性考慮した上で結論出しており、信頼性に関する情報として意見一致度等も記載されている。 地球温暖化は、気温水温変化させ、海面上昇降水量(あるいは降雪量)の変化やそのパターン変化引き起こす考えられている。洪水旱魃酷暑ハリケーンなどの激し異常気象増加増強させる可能性や、生物種大規模な絶滅引き起こす可能性指摘されている。大局的に地球全体気候生態系大きく影響する予測されている。ただし、個々特定の現象温暖化直接結びつけるのは現在のところ非常に難しい。 こうした自然環境の変化人間社会にも大きな影響を及ぼす考えられている。真水資源の枯渇農業・漁業などへの影響生物相の変化による影響など懸念されている。2–3°Cを超える平均気温の上昇が起きると、全ての地域利益減少またはコスト増大する可能性がかなり高いと予測されている。温暖化放置した場合今世紀末に5–6°Cの温暖化発生し、「世界GDPの約20%相当する損失を被るリスクがある」とされるスターン報告)。 既に温暖化の影響と見られる変化が、世界各地観測され始めている。 このように地球温暖化リスク巨大であることが示される一方、その抑制緩和)に必要な技術費用予測行われている。スターン報告AR4 WG IIIIEA等の報告によれば人類有効な緩和策有しており、温室効果ガスの排出量現状よりも大幅に削減することは経済的に可能であり、経済学的にみても強固な緩和策実施することが妥当であるとされる同時に今後1030年程度の間の緩和努力決定的に大きな影響力を持つと予測されており、緊急かつ現状よりも大規模な対策必要性指摘されている。 このような予測に基づき地球温暖化対策として様々な対策緩和策)が進められているが、現在のところ、その効果温暖化抑制するには全く足りず、現在も温室効果ガスの排出量増え続けている。これらの対策要するコスト等から、このような緩和策後ろ向きの国や勢力少なくない対策としては京都議定書現時点で最も大規模な削減義務伴った枠組みとなっている。現行の議定書は、議定書目標達成成功した国々もある一方離脱失敗した国々もあるなど、削減義務達成状況は国により大きく異なり議定書の内容に関する議論も多い。しかし温暖化が危険であり、対策が必要であることは、既におおむね国際的な合意コンセンサスとなっている。対策費増加含めた今後被害抑制するため、現状よりもさらに強固な緩和策が必要であると指摘されている。

※この「現状の科学的理解」の解説は、「地球温暖化」の解説の一部です。
「現状の科学的理解」を含む「地球温暖化」の記事については、「地球温暖化」の概要を参照ください。

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