現状の扱い
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「ドラえもん (1973年のテレビアニメ)」の記事における「現状の扱い」の解説
藤子プロおよび小学館が監修発刊したムック『ドラえ本3』(小学館、2000年)には写真入りで本作がわずかに解説されており、「原作のイメージと違っていて半年で終了した幻の番組」と紹介されている。 こうした公式サイドによる否定的見解の慣例化や、雑な偽物のセル画が出回るうえ、事実無根のデマや誤った情報の流布、資料の焼却、フィルムの散逸などから情報、露出の非常に乏しい作品となっていた。少なくとも2000年代初頭までは、誤った情報が公式に伝わっており、2003年頃に真佐美が自身のウェブサイト上で正確な情報を公開するまでは、チーフディレクターが上梨満雄でなく大貫信夫とされていた。なおスタッフの情報が間違って伝わっていた理由として日本テレビ動画が解散して当時のスタッフや状況の調査が困難になった末、1978年に杉山卓(元・虫プロダクション)が執筆した『テレビアニメ全集2』(秋元文庫)において日本テレビ動画の前作品『モンシェリCoCo』のスタッフ情報を引用し、以降の資料は全てこの本を元に作成されたため、このような誤解が生まれたのであろうと真佐美は述べている。 2004年末、日本テレビで放送されていた教養番組『特命リサーチ200X』において真佐美の所蔵している映像を放送する企画があったが、明確な理由が示されずにオンエアには至らなかった。 2006年には、藤子不二雄FCネオ・ユートピア会報誌43号(2006年12月発行、2009年8月改訂版発行)にて本作の特集が行われ、チーフディレクターの上梨満雄、制作主任の真佐美ジュン、作曲家の越部信義、のび太初代声優の太田淑子のインタビュー、真佐美が提供したオープニング絵コンテ、第1回スケジュール表、サブタイトルリスト、スタッフ・キャストデータ、作画設定資料、フィルムストーリー、中間報告書、1973年4月1日放送の第1話「出た!ドラえもんの巻」の原作「クルパーでんぱのまき」の再録など多数の資料が掲載された。なお本特集では「今まで歴史の隅に隠されてきたアニメ『ドラえもん』の原点にスポットを当てる必要があるし、またそうすることによって、これまで思い込みで『失敗作』と決めつけられた日本テレビ動画のスタッフ達の業績に対して、正しい評価が下されることであろう」「日テレ版『ドラ』は、これまで残された情報があまりにも少なく『失敗作』というレッテルを貼られてきたが、そのレッテルを一旦剥がして、もう一度新たなる評価を下す必要があるのではないだろうか」と結ばれている。 2007年、CS衛星放送「日テレプラス」が旧作を再放送するために権利者とフィルムの行方を捜索したが、またしてもオンエアには至らなかった。 真佐美は自身の所持するフィルムを元に無償での上映会を行っていたが、2011年に藤子プロから上映会を中止するよう要求された。真佐美側は「非営利」「無償」「無報酬」の上映会であれば、著作権者の許可を得ずに開催可能(著作権法第38条1項)であること、現在の作品自体の権利状況において上映に問題が無いことを訴えたが、結果的に両者の交渉は決裂してしまった。 なお、真佐美はこの件について「昭和40年代、私たちアニメ制作に携わった者たちは、過酷な労働条件と最低の賃金、ほとんどサービス残業で“アニメが好き”ということで命を懸けてきた。そんな自分たちが携わってきた愛すべき作品に興味を持って頂けるなら、多くの方に知っていただきたい、と思うのが人として当たり前だと理解していただきたい。しかし、著作権法という剣を振りかざして、それらの作品を封じ込めようとする営利目的企業などが存在することも事実である。(中略)私は営利を目的とせず、ただ、こういう作品を作ったという証を多くの方に知っていただきたく思うので、年金暮らしの苦しい中でも相変わらず、夢を追いかけることを喜びにした。これからの短い人生を楽しみたいのである。映画作り時の“初心わするべからず”である」とブログに記している。 2013年2月6日、日本テレビ『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』のインタビューで野沢雅子が「ぼくドラえもん。」とドラえもんの声を演じている。また、野沢はNHK総合テレビ『あさイチ』(2015年7月9日放送)でも、「モノクロだったんです」「出すの早すぎたんでしょうね、そんなに長く続かなかった」などと僅かではあるがこの作品について証言している。そして番組の最後には「今日もごきげんよう」とドラえもんの声を演じている。
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