引き渡し、就航
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2007年10月15日、初飛行以来30か月間のテストを経て、最初の納入先、シンガポール航空に機体が引き渡された。同年10月16日にパイロットや技術者などのシンガポール航空関係者が乗り込みエアバス本社(トゥールーズ)からシンガポールに向けて飛び立った。そして同年10月25日よりSQ380便としてシンガポール - シドニー間に就航した。この初号便の座席はeBayによるインターネットオークションで販売され、売り上げは慈善団体に寄付される。また「現在運航している世界最大の旅客機」がボーイング747からA380に代わった。 結果として、最初の納入は当初予定から1年半遅れた。2007年11月末での受注数は193機であるが、一説によれば遅れに伴う補償費用や生産設備の稼働率低下、人海戦術に伴う人件費増大等によってエアバスは60億ユーロ(約1兆円)のプロジェクト経費増大を来たしており、さらに米ドルに対するユーロ高傾向もあってA380の採算ラインは、当初の270機から、420機程度にまで悪化していると言われる。 2007年11月12日、エアバス社はサウジアラビア王子のアル・ワリードがA380をプライベート機として購入するため売買契約を結んだと発表した。2つのダイニングやゲームルーム、主寝室などを備え、機体に3億ドル、改装費に1億ドル。ミサイル防衛システムも含まれている。エアバス社では"The Flying Palace"(空飛ぶ宮殿)と呼んでいる。この機体は元々エティハド航空に納入予定であった飛行試験2号機であった。 シンガポール航空による定期就航が始まったことにより、A380 の順調なスタートにこぎ着けたと思われたが、エアバスは2008年5月13日、量産計画を再調整し、ウェーブ1(量産化前段階)からウェーブ2(量産移行後)においての引き渡し計画を修正する発表を行った。その結果、2006年に計画された急激な量産化は達成不可能となったことが確認されウェーブ2への移行に若干の遅れが生じた。これは、ウェーブ1における作業が予想以上に時間を要したことが原因としている。 今後の展望として、同日、エアバス社は次の通り発表した。 予定のA380の引き渡し機数2008年:13機→12機(1機減) 2009年:25機→21機(4機減) これ以降の引き渡し機数については、今後顧客との話し合いによって決まるとしている。その後2008年9月のカンタス航空向け初号機、製造通算14号機の引き渡しに先立ち、エアバス社は2008年と2009年の引き渡し数は12機と21機を堅持、2010年については30機から40機の間になると公表した。2008年12月30日に2008年の12機目となるエミレーツ航空向け4号機が引き渡された。なお、2008年後半に顕在化した世界金融危機のため、エアライン各社は引き渡しペースの鈍化をエアバス社に要望し、それに応える形で2009年5月には2009年中の引き渡し数を14機に削減するむね再度発表されている。 2008年7月28日、エアバス社のハンブルク施設に新設されたユルゲン・トーマス・デリバリーセンターでエミレーツ航空に対してA380-861が引き渡された。A380の航空会社への引渡しはこれが6機目で、これまでの5機はいずれもシンガポール航空に引き渡されていたことから、エミレーツ航空はA380を受領した二番目の航空会社である。 今回の引渡し機は同年8月1日にドバイ - ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)線で初就航した。そのほかに長距離路線の就航先として、ロンドン、シドニー、オークランドがあるが、今後の機数増加によって就航都市は増える予定である。2009年3月、エミレーツ航空は、採算悪化を受けドバイ - ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)線からA380撤退を決定、ボーイング777-300ERに変更した。 同機は商業運航の合間にクルーと整備員の訓練研修を兼ねて飛行していたが、同年9月に入り原因不明の電子機器トラブルが発生し飛行作業を中断した。商業運航が再開されたのは同年9月12日であった。 2008年9月19日、豪カンタス航空に同社向けA380-842(製造通算14号機)が引き渡され、同年9月21日にシドニーに到着した。同航空では約一か月間慣熟訓練を行ない、同年10月20日にメルボルン - ロサンゼルス線で商業運航を開始した。 2013年3月14日、通算100号機のA380がマレーシア航空へ引き渡された。マレーシア航空にとっては6機目の機体。しかしながら2015年5月、同社は業績不振の影響もあって近い将来にA380の放出を示唆した。2016年2月、同社CEOは、売却を延期し、少なくとも2018年まで同型機保有総数は現在の6機のまま据え置く、と述べた。同年11月30日、A380型機を新たな航空会社に移管し、イスラム教のメッカ巡礼のためのフライト計画を発表した。 2017年11月3日、エミレーツ航空に同社100機目のA380(機体番号:A6-EUV)が引き渡された。2018年に(UAE)の初代ザイード大統領の生誕100年を迎えることから、「100th A380」のロゴに加え、同氏を描いた特別塗装機となっている。 主な就航路線(2020年6月現在)(注)都市名が同じ場合、空港は同じとする。 シンガポール航空 - 出発地:シンガポール就航地:ロンドン・シドニー・パリ・香港・メルボルン・チューリッヒ ルフトハンザドイツ航空 - 出発地:フランクフルト就航地:北京・香港・ヨハネスブルグ・ニューヨーク・サンフランシスコ エミレーツ航空 - 出発地:ドバイ就航地:ロンドン・マンチェスター・パリ・チューリッヒ・フランクフルト・デュッセルドルフ・ミュンヘン・マドリード・バルセロナ・アムステルダム・ローマ・ミラノ・シドニー・ブリスベン・メルボルン・パース・北京・上海・香港・大阪/関西・成田・トロント・サンフランシスコ・ロサンゼルス・ニューヨーク・ダラス・ヒューストン・バンコク・クアラルンプール・シンガポール・ソウル・ジェッダ・クウェート・ムンバイ・モーリシャス 以遠就航地:シドニー - オークランド・バンコク - 香港・ブリスベン - オークランド・メルボルン - オークランド カンタス航空 - 出発地:シドニー・メルボルン就航地:(シドニー・メルボルン)- ロンドン・ロサンゼルス・ダラス 以遠就航地:(シドニー・メルボルン)- ドバイ - ロンドン 大韓航空 - 出発地:ソウル就航地:ロサンゼルス・ニューヨーク・アトランタ・パリ・香港 中国南方航空 - 出発地:北京・広州就航地:広州・上海、ロサンゼルス マレーシア航空 - 出発地:クアラルンプール就航地:ロンドン・シドニー タイ国際航空 - 出発地:バンコク就航地:シンガポール・成田・大阪/関西 ブリティッシュ エアウェイズ - 出発地:ロンドン就航地:ロサンゼルス・香港・ヨハネスブルグ・ワシントン・シンガポール アシアナ航空 - 出発地:ソウル就航地:ロサンゼルス・ニューヨーク・香港・バンコク・成田 カタール航空 - 出発地:ドーハ就航地:ロンドン・パリ・バンコク エティハド航空 - 出発地:アブダビ就航地:ロンドン ANA - 出発地:成田就航地:ホノルル
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引き渡し、就航
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2011年10月26日、全日本空輸が成田 - 香港間で、787として世界初の商業運航を行った。11月1日、羽田 - 岡山・広島線で国内線定期便運航を開始した。全日本空輸では1・2号機については特別塗装を施し、3号機以降は通常塗装とするが、787であることをよりわかりやすくするため、機体前方に巨大ロゴ「787」をペイントすることになった。 ただし、2014年2月以降に受領する機体は「787」のロゴはペイントされていない。また、「787」のロゴをペイントされた機体も現在ではANAの通常塗装に戻された。 2012年1月14日、全日本空輸は、羽田 - 北京線で国際線定期便運航を開始した。使用されたのは前述の3号機(JA805A;長距離国際線用)である。同社は2012年夏期より国内線専用機の導入を開始している。国内線専用機の導入が進むと同時に、羽田 - 福岡・鹿児島線、羽田 - 熊本線にも順次投入され、2012年秋から羽田 - 札幌線にも就航した。 2012年4月22日、日本航空は新規開設となる成田 - ボストン線に787-8(JA822J)を就航させた。これは日本航空にとって787の初就航路線となった。成田とボストン間の直行便は史上初のことであった。日本航空は当分の間は787の特性を最大限に生かせる、国際線のみに就航させる予定であると発表していたが、国内線にも787-8型機を順次投入し2019年10月27日より羽田 - 伊丹線に就航している。 2012年5月1日、日本航空は成田 - ニューデリー線での運航を開始し、同月7日にモスクワ線と羽田 - 北京線での運航も開始した。 2013年1月4日、ユナイテッド航空はロサンゼルス - 成田線に日本国外の航空会社としては初めて日本への路線に787を就航させた。 2013年1月16日、LOTポーランド航空はワルシャワ - シカゴ線で787の運航を開始したが、この日に全世界的に787の運航停止が決定したため、同路線は就航日に往路のみの運航となり、復路は欠航となった。 2013年5月以降、ボーイングによるバッテリーユニット改修の目処がつき、製作し滞留していた納入待ちであった多数の機体を納入して引き渡している。 2013年5月23日に中国民用航空局(CAAC)は長く先送りしていた787の中国国内における運航を許可し、製造済みで納入が遅れていた中国仕向け機が納入開始される見込みとなった。認可についてCAACは、運航許可の先送りと後述のバッテリートラブルの関係を含めて詳細を発表していない。 2013年5月30日、トムソン航空はバッテリートラブルによる運航停止、再開後、遅れていた同社およびイギリスの航空会社に対する初号機を受領、翌5月31日に2号機を受領し、同年7月8日に就航予定となっている。 2013年5月31日、中国南方航空はトムソン航空に続き同社および中華人民共和国に対する初号機を受領、6月2日に広州 - 北京線で就航させた。 2013年6月27日、ブリティッシュ・エアウェイズがロールス・ロイス社製トレント1000を装備した初号機を受領した。 2016年4月27日、通算400号機目にあたる機体番号9V-OFEの787-8をスクートに引き渡したことを発表した。 2017年2月22日、大韓航空が初号機である787-9の機体番号:HL8081を受領し、2月24日に韓国へ到着する。ファーストクラス6席、プレステージ(ビジネス)クラス18席、エコノミークラス245席の計269席で構成された機体で、3月7日から韓国国内で運航を開始し、6月ごろからトロント、マドリード、ロサンゼルスなどの長距離路線で運航する予定としている。当年中に更に4機、2019年までに更に5機の合計10機を導入する計画である。 2018年2月22日、シンガポール航空が、シンガポール~パース線に787-10を投入すると発表したが、2018年に同社が日本へ就航してから50周年の節目を迎えるため、シンガポール - 大阪(関西)線のうち1往復(SQ618/SQ619)への導入に正式決定となった。同路線の運行開始は2018年5月3日からで、その後パース線の他に東京・セントレア・福岡線の一部へ2018年内の導入を行なった。 2018年12月、通算787号機目の787-9(機体番号:B-1168)を中国南方航空へ引き渡したことを発表。同機には中国語と英語で「787th BOEING 787」・「第787架 波音787」の記念ロゴが掲出された。
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