密造酒の例とは? わかりやすく解説

密造酒の例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 14:52 UTC 版)

密造酒」の記事における「密造酒の例」の解説

ウイスキー 詰前のウイスキーは、穀物発酵させて作る僅かに麦芽乾燥用いた燃料香りがするだけの蒸留酒スピリッツ呼ばれる)だが、古くはこのスピリッツ直接飲用していた。しかし密造酒ともなると、大っぴらに販売するはおろか、それと判る状態で街道使って運搬するだけでも摘発され危険性があったため、しばしば酒税の安い酒精強化ワインであるシェリー酒の入れて運搬された。また摘発逃れるため、何年各地点在し洞窟隠される事も多く幸か不幸かシェリー樽詰められスピリッツ熟成され、現在のスコッチ・ウイスキー完成された。 なお、ウイスキー密造本格化した1710年代頃から、税率大幅に引き下げられる1820年代までの間に、スコットランド消費されウイスキー半分以上密造酒であったという説もある。 禁酒法 アメリカ合衆国では、1851年から段階をおって全米各地施行され禁酒法アメリカ合衆国における禁酒法)により、酒類製造運搬販売禁止されたが、逆に酒類密輸密売加え粗悪な密造酒横行し1920年代にはアル・カポネ始めとするギャング集団大々的密造酒の製造密売巨額の富を手中にするといった、芳しくない社会現象発生した。この時、製造密売されていたのは通称バスタブ・ジンと呼ばれる蒸留酒で、風呂桶張って手製蒸留器沈め、これを使って蒸留された。このジンと名ばかり蒸留酒は、味の面でも散々であったため、味を調える意味で様々な混ぜ物試された。カクテル1つオレンジ・ブロッサム誕生もこのことが関係していると言われている。禁酒法下での密造酒の製造過程お世辞にも衛生的とは言えず、また消毒薬ヘアリキッドなどアルコール含んでいるものなら何でも蒸留抽出材料とされた結果医薬用メチルアルコール混入した物まで出回るようになり、健康被害を受ける人や1,500人を超える死者出て問題となった禁酒法自体その実としてざる法で、密造業者らは捕まってもすぐに釈放されていたという。 隣国カナダでは地理的条件によって越境しての飲酒小規模な密輸が容易であったため、密造酒よりも品質良い正規カナディアン・ウイスキー需要増加しカナダ業者大きな利益を得ることができた。 1920年代アメリカ合衆国ではヨーロッパはじめとする海外旅行者が増大したが、これは第1次世界大戦後アメリカ・ドル価値上昇のほか、外国では飲酒ができる(アメリカ国籍以外の旅客船乗ってアメリカ領海離れれば船上レストランバーで早速酒を飲めた)ことも大きな動機になっていたと伝えられるどぶろく どぶろく濁酒)は清酒発生以前の、米を使った素朴な酒類で、一般家庭でも米を炊いた飯とと麹があれば、誰にでも簡単に作る事ができる。日本では明治時代政府が、税収の3割にのぼる酒税徴収を行うため、酒税法によって清酒生産厳しく管理した。しかし農村部(特に秋田県北部などの東北地方)では日常的にこれらどぶろく作られ家庭内消費されていた。この摘発難し家庭内どぶろく作り昭和中庸まで続き現代至っては「どうせ取り締まれないんだし、酒税徴収税収のほんの一部過ぎず、しかも洗練された清酒比べたら、だいぶ味わいの劣る家庭生産どぶろくが、今更酒造業界に打撃与えるとも考えられず、これらに関して解禁すべきではないか?」とする議論興っている。欧州では自家生産ビールワインが、広く農村部などで自由に愛飲されている事例もあり、同種の商業主義寄らない家庭消費される酒類扱い議論の的となっている。 サマゴン ソビエト連邦の食事情参照 近代以後ロシア革命ソ連後期社会主義経済配給制崩壊現在のロシア共和国時代に到っても幾度となく経済混迷見舞われてきたロシアでは、個々人ダーチャ菜園付きセカンドハウス)等で食糧必需品自弁することが半ば常識化している。酒も例に漏れず、サマゴンと呼ばれる自家製蒸留酒製造広く行われている。製法ロシア人馴染みウォッカ簡易版といったところで、デンプン質糖化過程省き砂糖イースト等で発酵させたもろみを、連続式蒸留器ウォッカ同じくらいのアルコール度数40度ほどに抽出するのが基本である。これにジャムハーブ等で味付けしてリキュールにすることも多い。蒸留器具は手製されることもあるが、ごく普通に市販もされている。21世紀以後ロシアアルコール消費減少続けているとされるが、ウォッカの最低価格を2倍に引き上げる等の締めつけ結果流通するウォッカ半分密造占めるとさえいわれる現状では数字信頼性疑わしくロシア人どれほどの酒を消費し、また密造しているのかは把握不可能な状況となっている。密造以外にも、アルコール飢えた民衆ヘアトニック等も手当たり次第飲んだというソ連時代アネクドート描かれ状況も相変わらずで、2016年にも入浴剤飲んで死者70人以上を出す事案が発生しており、こうした代用酒による年間犠牲者1万4千人超えるともいわれる北朝鮮 21世紀現在では稀に見る強硬な社会主義的統制政策強いている北朝鮮では、法的に私企業存在そのもの犯罪となる。そのため密造酒国営企業製品ボトルラベル模した偽造品として流通している。密造酒の常として有害成分混入した粗悪品による中毒事故起こっており、さらに密造犠牲者両方国家要人師弟関係者含まれていたとの話も出ている。

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