外国人戦闘員
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シリア人など現地の人々だけで組織が構成されているわけではなく、外国人の傭兵も随時募集しており、兵士約31,000人のうち、ほぼ半数の16,000人が外国人である。外国人戦闘員は、アラブ世界やヨーロッパ・中国(特にウイグル自治区)・日本などから参加している。プロパガンダ動画には空撮やスローモーションなどの演出が盛り込まれている。 アメリカやフランスの研究機関によると、(2014年11月時点の分析で)チュニジアからは3,000人、サウジアラビアからは2,500人が戦闘員としてISILに参加した。 ヨーロッパ諸国では、ISILをはじめとするイスラーム過激派に加わった戦闘員が、帰国後に自国でテロを起こす可能性を危惧している。イギリスの首相デーヴィッド・キャメロンは、2014年8月29日、イギリス国籍のISIL戦闘員は少なくとも500人にのぼると語り、国外でテロ行為に関わった疑いのあるイギリス国民の出入国を抑制する方針を発表した。ただし、移動の自由を侵害しかねない懸念もあり、イギリスの自民党は国際法違反と指摘している。2014年8月、ドイツ首相アンゲラ・メルケルによれば、ISIL要員は約2万人で、うち欧州出身者が約2,000人を占めると語った。ドイツからは、400人超の若者がISILの戦闘員となり、このうち100人はドイツに帰国しているとされる。ドイツ内相トーマス・デメジエールは、ISILを支援するあらゆる活動を禁止する方針を発表した。アメリカ国防総省は、10人ほどのアメリカ人がISILに参加しているらしいと発表した。 非イスラム教国の中では、ロシアから最も多くの戦闘員が出ており、ロシア出身の戦闘員数は800人という説がある。 『週刊新潮』2015年2月5日号特集記事『「イスラム国」大全』によると、「こうしたプロパガンダや過激なイスラム思想に共鳴し、志願したものの現実に嫌気がさしている兵士も多くいる。あるフランス人兵士は、イスラムの教えに則った生活ができると参加したが、食事は1日1-2回で薄いパンとチーズ、羊肉だけで給料も出なくなった。正義のために闘ってきたが、殺戮の繰り返しに単なるテロリストに過ぎないと気付き始めた。2015年1月12日には禁止されているサッカー観戦をした少年13名が銃殺されたが、これをきっかけにそういった考えを持つ外国人兵士が多くなっている。しかし、自国でテロリストとして逮捕されるため帰国できない者も多くいる。部隊での昇進の基準は「たくさん人を殺すこと」であり、対象は民間人でも女性でも子供でもよく、ISILの理念に賛同しない者、と制度化している。下級兵士が昇進するためには「10人を殺害する」ことが条件になる。9人は殺害できたが、10人目が達成できないある兵士は「妻を殺害して目的を達成した」のだという。 日本人 田母神俊雄はイスラエル訪問時に「9人の日本人がISILに参加している」という情報を得たとブログで発表したが、中山泰秀外務副大臣がイスラエルに確認した所、そのような情報はないという回答であった。 2014年10月6日、警視庁は北海道大学の学生がISILに加わろうとしたとして、私戦予備および陰謀の疑いで事情聴取をした。学生はISIL司令官と太いパイプを持っているイスラム法学者中田考の紹介によって、ISIL幹部と接触しようとした。中田は幹部に学生を紹介し、ルートや通訳の手配をしたことについて警視庁公安部の事情聴取と家宅捜索を受けた。 2019年5月20日、バングラデシュ系日本人モハメド・サイフラ・オザキがシリアからイラク北部の都市スレイマニヤにある刑務所に移送されたとメディアが報じた。オザキは立命館アジア太平洋大学を卒業し、立命館大学で准教授にまで昇進した経済学者である。元々はヒンドゥー教徒の家庭に生まれたが、留学先の日本でイスラム教に改修し、日本でイスラーム過激派の思想に染まったことから、日本初のホームグロウン型イスラム国テロリストといえる。オザキは日本にいながらにしてイスラム国バングラデシュ支部の指導者に任命され、Facebookを通じてバングラデシュ人テロリストのリクルート活動を行い、2016年7月1日、首都ダッカにおけるレストラン襲撃人質テロ事件を主導したとみられる。2015年にブルガリアを経由してイスラム国に入り、シリアのバーグーズで2019年3月15日に拘束された。日本人の妻と子供のうち2人は空爆で死亡したが、残る3人の子供はオザキ逮捕時に保護され、2019年5月18日に日本に入国した。 戦闘員の募集手段、戦闘員の出身階層 かつて、ヨーロッパやその他先進国の国民でイスラム過激派に加わる者は、不遇な生活環境や家庭的に恵まれない若者が多かったとされるが、現在は中流・富裕層も多くいるとされる。フランス24によれば、ISILは、アルカイダと比較して、領土的地盤があり、資金が豊富で、巧みな広報戦略などの点で、参加者にとって魅力的に映っているとされる。FBIの調査によると、アメリカからのISIL参加者の人種・民族・職業・年齢に特有の特徴は見られないという。マレーシアからの参加者には一般公務員、軍人、研究職なども多く含まれており、特に公務員への浸透が問題となっている。またISILの元戦闘員の証言によると、ヨーロッパ出身者など、中東以外から来た戦闘員が、主に残虐な犯罪を犯すという。 ヨーロッパの家庭で子が戦闘員になった場合の状況 ヨーロッパに残された家族は、家族を失ったことの悲しみの他、社会からは「親の教育のせいでISILになった」という批判を受けるという二重の苦しみを味わっている。ベルギーでは、子供が過激派に参加している家族の会が、若者の過激派入りを予防する運動を行っていたが、ベルギー社会からは「過激派の仲間」として扱われ、リンチじみた中傷を受けて、家族の会は解散に追い込まれた。 シリア、イラク以外のISIL戦闘員の出身国(500人以上)出身国人数 チュニジア 3,000 サウジアラビア 2,500 ロシア 1,700 ヨルダン 1,500 モロッコ 1,500 フランス 1,200 トルコ 1,000 レバノン 900 ドイツ 650 リビア 600 イギリス 600 ウズベキスタン 500 パキスタン 500 細胞組織 中東と北アフリカの全域でISILの細胞組織の増加を示す証拠が増えてきており、リビアにはすでに3,000人の戦闘員がいるとされる。 以下、細胞組織があるとされる国家の一覧。 中東 アフガニスタン エジプト パレスチナ レバノン トルコ イラン ヨルダン イエメン サウジアラビア 北アフリカ アルジェリア リビア チュニジア 西アフリカ ナイジェリア ニジェール チャド カメルーン ベナン 東南アジア インドネシア フィリピン ヨーロッパ 欧州連合 少年兵 ISILは、13歳の少年兵も動員しているとされ、国連は懸念を示している。
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外国人戦闘員
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「ジョージア軍団 (ウクライナ)」の記事における「外国人戦闘員」の解説
ジョージア軍団は、約500人のジョージア人と同数のさまざまな民族で構成されている。ジョージア軍団のメンバーに国民がいると報告されている国は以下の通り。 アルバニア アルメニア オーストラリア オーストリア アゼルバイジャン チリ クロアチア フランス ジョージア ドイツ ギリシャ インド イスラエル 日本 メキシコ モルドバ セルビア アメリカ合衆国 イギリス
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