ゲーム脳
ゲーム脳
ゲーム脳とは、ゲームのやり過ぎによって脳や考え方に独特の傾向がみられる状態のことである。当初は脳の活動の傾向を示す用語として提案された。場合によっては、ゲームの影響を顕著に受けた(好ましくない)性向といった意味で用いられることがある。
ゲーム脳という用語は、2002年にNHK出版より刊行された森昭雄の著書「ゲーム脳の恐怖」において提唱された。同書は脳波の測定を通じて、ゲームをやりすぎると特定の脳波(ベータ波)が激減することを発見、そしてこの脳波の傾向は痴呆症の患者と同じ状態であると指摘する。
書籍「ゲーム脳の恐怖」において語られたゲーム脳は、刊行後おおいに世間の話題を呼んだが、脳科学的見地から否定・批判する専門家も少なくない。今日ではゲーム脳は仮説の一つに留まっているといえる。
参照リンク
ゲーム脳の恐怖 - (生活人新書 著者インタビュー)
ゲーム脳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 13:04 UTC 版)
ゲーム脳(ゲームのう)は、日本大学文理学部体育学科教授で脳科学者である森昭雄が2002年7月に出版した著書『ゲーム脳の恐怖(NHK出版)』において提示した前頭前野のβ波が低下した状態を表す造語である。マスメディアや教育者に支持され話題となったが、その後、様々な研究者などから批判され、疑似科学(ニセ科学)ともいわれた。ここでいう「ゲーム」とは狭い意味でコンピュータゲームに限定した用語であり、将棋や囲碁などのボードゲームは含まない。
注釈
出典
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- ^ 音読と計算で子どもの脳は育つ(川島隆太著・二見書房・2003年)
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- ^ a b ゲーム脳の影響はここまで来た!? 女たちはなぜパンツを見せるのか(Web現代)
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- ^ 著書『バカはなおせる』
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- ^ kikulog(菊池誠のブログ。ゲーム脳をニセ科学として言及しているエントリは[1][2][3][4])
- ^ 著書『議論のウソ』
- ^ 著書『ネット王子とケータイ姫』
- ^ 自身のブログにて詳細。世田谷ゲーム講演について、ブログ内のリンクをまとめます(リヴァイアさん、日々のわざ : 作家の川端裕人のブログ)
- ^ 朝日新聞の書評欄
- ^ 医学・医療用機器や関連技術に関する教育研修を手がける
- ^ 自社のウェブサイトの「脳波のなぜ? Q&A」と題したコーナー。脳波のなぜ? 1(株式会社メディカルシステム研修所)
- ^ 連載記事「理系白書 '07」理系白書 '07 第1部 科学と非科学 / 5 加熱する脳ブーム(毎日新聞)
- ^ 朝日放送『NEWSゆう』2005年4月1日放送分の特集コーナー「時流」
- ^ 「時流」 TVゲームと少年犯罪の関係(朝日放送 NEWSゆう)
- ^ Helen Phillips(2002) Video game "brain damage" claim criticised. New Scientist 11 July 2002
- ^ Long-term US study finds no links between violent video games and youth violence THE Independent 2014.
- ^ Does Media Violence Predict Societal Violence? It Depends on What You Look at and When Christopher J. Ferguson Journal of Communication 2014年11月
- ^ WIRED.jp「『テトリス』で脳が成長:皮質の厚みも増す」
- ^ GIGAZINE「ゲームで頭が良くなる?大脳皮質を厚くするテトリスの効果が明らかに」
- ^ 例えば前項に挙げられた、CESA「テレビゲームのちょっといいおはなし・3」など
- ^ 選評
- ^ (選評)
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- ^ 漫画 脳を刺激、今や「学問」(朝日新聞・2008年10月1日)
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- ^ “「正しく恐れる」のは難しい 個々人の合理とリスク判断”. 朝日新聞 (2021年1月29日). 2023年8月25日閲覧。
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