キマエラとは? わかりやすく解説

キマイラ

(キマエラ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/20 06:37 UTC 版)

キマイラ

キマイラ古希: Χίμαιρα, Chimaira) は、ギリシア神話に登場する怪物である。

概要

ラテン語ではキマエラ(Chimæra, Chimaera)、ヨーロッパのいくつかの言語ではキメラ(Chimera)といい、英語ではキメラ、キメイラ、またはカイメラ(Chimera)、フランス語ではシメール(Chimère)という。名前の意味は「牝山羊」である[1]

テューポーンエキドナの娘。ライオンの頭と山羊の胴体、(または竜[2])の尻尾を持ち、口からは火炎を吐く[3]。山羊の頭を持つ女性の姿で表されることもあり、『イーリアス』では前半身がライオンで中程が山羊、後部が大蛇となっている[4]。また、後代の絵画や彫刻では蛇の尾を持ち、胴から山羊の頭が飛び出したライオンの姿で表された[4]リュキアに住み、カーリアアミソーダロスに育てられたが、ペーガソスに乗る英雄ベレロポーンにより背中に矢を射られて退治された(の塊を口に放り込まれ、火炎の熱で溶けた鉛で殺されたとする説も)。

父親のテューポーンが嵐の精であった様にキマイラも嵐の雲の化身と考えられた[2]

この怪物は生物学におけるキメラの語源となった。

ギュスターヴ・モローの絵画『キマイラ』。1867年。フォッグ美術館所蔵。

中世のキリスト教寓意譚では、主に「淫欲」や「悪魔」といった意味付けを持って描かれた。12世紀の詩人マルボート英語版によれば、様々な生物の要素を併せ持つ事から女性を表すとされている。この他、ライオンの部分を「恋愛における相手への強い衝動」、山羊の部分を「速やかな恋の成就」、蛇の部分を「失望や悔恨」をそれぞれ表すとされたり、その奇妙な姿から「理解できない夢」の象徴とされた。一般には、怪物の総称や妄想、空想を表わす普通名詞ともなっている[5]

また、フランスの画家ギュスターヴ・モローはしばしばこの名をタイトルとしながらも、翼を持ったケンタウロスの美青年など、独自の設定を課した怪物を描く作品を手がけている。

広義のキマイラ(キメラ)

上述のように、怪物キマイラは生物学の「キメラ」の語源となっている。ここでは、「異質なものの合成」という意味から「キメラ細胞」「キメラ生物」などの用語がつくられた。フランケンシュタインをして「キメラ合成生物」などと表現することもある。

出典

  1. ^ ホメーロス著、呉茂一訳『イーリアス 下』平凡社2003年、541頁。
  2. ^ a b フェリックス・ギラン『ギリシア神話』青土社1991年、新装版、182頁。
  3. ^ 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店1960年、106頁。
  4. ^ a b 呉茂一『ギリシア神話』新潮社、1994年、415頁。
  5. ^ 研究社『新英和中辞典』第4版

関連項目


キマエラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 14:50 UTC 版)

獣王星」の記事における「キマエラ」の解説

本作主要舞台である死刑惑星。別名獣王星原作では「キマエラ」とルビ振られていることが多い)。バルカン星系では死刑認められていないためバルカン星系の中でその存在知っているものはごく僅かで、ほかの住人はこの星の存在知らされていない1年が181日あり、181日灼熱の昼が続きその後181日極寒の夜が続く。それぞれ昼と夜の間にはストーム吹き荒れる。そのため2年1日たつ。植物生態系トップ動物はあまり居ない人間には非常に厳しい環境で、キマエラの植物意思持った動物のように動き人間を襲う。バルカン星系では貴重な鉱物がたくさ採れるがキマエラ内部ではたいした利用価値はない。30歳になるか獣王になればヘカテ移住できる。

※この「キマエラ」の解説は、「獣王星」の解説の一部です。
「キマエラ」を含む「獣王星」の記事については、「獣王星」の概要を参照ください。

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