奴隷
「奴隷」とは、人としての権利や自由が剥奪され、自身の意思を無視され、他者に支配される人のことである。人が人を所有するという考え方に基づく身分である。奴隷は、他者の所有物として労働を強いられたり、商品として売買されたり、虐げられたり、そもそも人間扱いされなかったりした。
奴隷は古来、普遍的といえるほど時代や地域を問わずに社会制度として存在した。20世紀半ばに、社会制度としての奴隷制度は国際条約によって明確に禁止された。しかしながら、労働を強制されたり、商品として売買されたり、虐げられたり、実質的に奴隷状態である者は現代でも少なからずいる。
古代ギリシアでは奴隷の存在が半ば社会制度の前提であった。奴隷は道具であり個人の財産とされた。市民は労働を卑しんで政治や哲学に感心を注いだ。
古代ローマでも奴隷は個人の財産として扱われた。闘技場で戦ったグラディエーター(剣闘士)は「剣奴」ともいい、市民の娯楽のため生死を賭けさせられた奴隷であった。
日本では律令時代に「奴婢(ぬひ)」と呼ばれる身分があった。賤民として他者の支配下に置かれたという点において、西欧の奴隷に相当する身分といえる。
18世紀に独立を宣言したアメリカ合衆国では、ヨーロッパ人がアフリカから輸出した黒人奴隷が個人の私有財産として労働に従事させられた。19世紀半ばに「奴隷解放宣言」が出され、社会制度としての奴隷制は廃止された。20世紀を通じて「黒人と白人」という対立は融和に向かってはいるが、21世紀に入ってもBLM(Black Lives Matter)が起こっているように、かつての奴隷制は社会の禍根として根強く残っている。
「奴隷」の語源・由来
「奴隷」の「奴」には、「召使い」や「身分の低い者」という意味がある。そして、「隷」は、「付き従う者」「下僕」などの意味を持つ。「現代の奴隷制度」とは
「現代の奴隷制度」とは、奴隷が国際的に禁止されているはずの現代社会において、実質的に奴隷制度であるような社会問題を扱う際に用いられることのある表現である。「現代の奴隷制度」といって念頭に置かれる内容は、強制労働、人身売買、性的搾取のいずれかである。児童婚も児童を奴隷視する制度として問題視されている。
「奴隷解放宣言」とは
「奴隷解放宣言」とは、1862年に、当時のアメリカ大統領リンカーンが出した宣言である。南北戦争において対立した南部連合の支配下にある奴隷を解放せよという主旨の宣言だった。「奴隷解放宣言」は、アメリカのいわゆる奴隷解放運動の端緒と位置づけられ、リンカーンは「奴隷解放の父」とも称される。
「奴隷貿易」とは
「奴隷貿易」とは、奴隷を商品として売買する貿易のことである。主に、大航海時代以降のヨーロッパ諸国が、労働力確保を目的として、アフリカ大陸に住む人々を商品として扱った貿易を指す。「事業として奴隷を輸出入する」こと自体は、有史以来世界中で行われている。その「奴隷の売買」全般を「奴隷貿易」と呼ぶ場合もある。
「奴隷船」とは
「奴隷船」とは、奴隷貿易で使用された船のことである。基本的には、アフリカ大陸からアメリカ大陸に奴隷を輸送した船を指す。典型的な奴隷船は、奴隷の効率的な輸送に特化した船であり、奴隷の居心地の良さは全く顧慮されていない。ほとんどの奴隷船において、奴隷は横になった状態で繋がれ、動くことが許されなかった。奴隷用の水や食料もろくに積載されなかったという。船内で栄養失調などによって命を落とす奴隷も少なくなかったらしい。
「奴隷」を含むその他の用語の解説
奴隷区とは
「奴隷区」は、岡田伸一による小説のタイトルおよびシリーズ名である。「奴隷区 僕と23人の奴隷」およびその派生作品の総称。「勝負に勝てば他人を奴隷にできる機会」巡り、主人公たちが生死をかけた戦いを繰り広げる。奴隷労働とは
「奴隷労働」は、生産奴隷が強制的に就かされた労働のことである。また、現代においては、奴隷のような扱いを受けながら働くことを指す場合もある。奴隷転生とは
「奴隷転生」は、カラユミによる小説および同作を原作とするコミカライズ作品のタイトルである。いわゆる「転生モノ」。若くして命を落とした「最強の魔法使い」が、その能力を保持したまま、肉体派の奴隷の一族の子として生まれ変わり、とある小国の王女の護衛となり、そして無双する、という話である。奴隷剣士から成り上がりとは
「奴隷剣士から成り上がり」は、日本の漫画作品である。奴隷剣士として育った主人公が、成り上がって王になることを目指す内容となっている。ど‐れい【奴隷】
ぬ‐れい【▽奴隷】
奴隷
奴隷
奴隷
奴隷
奴隷
奴隷 (Slave)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/16 16:26 UTC 版)
「ストロングホールド」の記事における「奴隷 (Slave)」の解説
たいまつを持った歩兵。軽装備で梯子兵と同じく貧弱(上半身は裸)であるが、安価で大量雇用しやすい。手に持ったたいまつで敵の建物に放火する能力を持っている。放火された建物は一定時間の間周りの人や建物を焼き尽くす。そのため、放火の後はすばやく退避させなければ自身も焼死する。このユニットのみ堀の掘削と埋め立てができる。
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奴隷
出典:『Wiktionary』 (2020/09/18 02:32 UTC 版)
名詞
類義語
熟語
関連語
翻訳
- アラビア語: عَبْد (ar) 男性
- アルメニア語: ստրուկ (struk)
- イタリア語: schiavo (it) 男性, schiava (it) 女性
- インドネシア語: hamba (id)
- 英語: slave (en)
- エスペラント: sklavo (eo)
- オランダ語: slaaf (nl)
- カザフ語: құл (kk) (qúl)
- ギリシア語:
- スウェーデン語: slav (sv) 通性
- スペイン語: esclavo (es) 男性
- スロヴェニア語: suženj 男性, sužnja 女性
- スワヒリ語: falahi (sw)
- チェコ語: otrok (cs) 男性
- デンマーク語: slave (da) 通性, træl (da) 通性
- ノルウェー語: slave (no), trell (no)
- ハンガリー語: rabszolga (hu)
- フィンランド語: orja (fi)
- フランス語: esclave (fr) 男性, serf (fr) 男性
- ポーランド語: niewolnik (pl) 男性, niewolnica (pl) 女性
- ポルトガル語: escravo (pt) 男性, escrava (pt) 女性
- マケドニア語: роб (mk) (rob) 男性, робинка (mk) (róbinka) 女性
- ラトヴィア語: vergs (lv) 男性
- ロシア語: раб (rab) 男性, рабыня (rabýnja) 女性
「 奴隷」の例文・使い方・用例・文例
- 人間は運命の奴隷である
- …を奴隷のように扱う
- 奴隷となる
- 奴隷制度の廃止に努力する
- この反奴隷制度団体の会員はみな、世界中のいかなる形の人種差別の廃絶を願っております。
- 奴隷制度反対運動と女性の権利運動の関係に関する研究
- 彼は色欲の奴隷になった。
- 彼の声には奴隷根性が感じられた。
- 彼らは奴隷状態から逃れようとした。
- その時代、奴隷所有は当たり前のことだった。
- 彼らは奴隷所有社会について議論した。
- その奴隷所有者は彼の奴隷を手荒に扱った。
- 捕らえられた人々は奴隷売買者によってアメリカに送られた。
- 奴隷船にあっというまに300人近くの男たちが詰め込まれた。
- 彼らは奴隷たちを繰り返し激しくむち打った。
- 彼は私を奴隷を扱うように扱った。
- 彼ら単なる習慣の奴隷だ。
- 彼らは奴隷のように労働した。
- 彼らは奴隷が人間であることを否定した。
- 彼は奴隷を自由にしてやると約束した。
奴隷と同じ種類の言葉
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