機動新世紀ガンダムX 機動新世紀ガンダムXの概要

機動新世紀ガンダムX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/03 04:59 UTC 版)

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機動新世紀ガンダムX
ジャンル ロボットアニメアドベンチャー
アニメ
原作 矢立肇富野由悠季
(『機動戦士ガンダム』より)
監督 高松信司
シリーズ構成 川崎ヒロユキ
キャラクターデザイン 西村誠芳
メカニックデザイン 大河原邦男石垣純哉
音楽 樋口康雄
アニメーション制作 サンライズ
製作 テレビ朝日、サンライズ
放送局 テレビ朝日他
発表期間 1996年4月5日 - 12月28日
1999年8月1日 - 2000年5月7日
話数 全39話
関連作品
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

制作

新機動戦記ガンダムW』の後の時間帯に放映された作品であり、放送局への納品がテレビアニメのガンダムシリーズで初めてD2マスターで行われた作品、またそれに伴ってステレオ放送が初めてされた作品でもある[注 1]

『ガンダムW』は監督の池田成が中途で辞め、急遽きゅうきょ黄金勇者ゴルドラン』を担当していた高松信司がかわりに起用されていた。ただし高松は最後までクレジットされていない。同作の作業にもだいたい目処のついた頃に、次に製作するガンダムの監督のオファーを受けた。高松はビデオソフトに封入されたインタビュー記事やDVD-BOX封入冊子インタビューで、「1995年11月に突然『ガンダムをやれ!』とサンライズから言われた」という趣旨の発言をしている。また、サンライズプロデューサーの富岡秀行も同じDVD-BOX封入冊子インタビューで、当時「高松を推薦した」と述べている。

「好きなようにやっていい」と言われた高松はさまざまなアイディアを検討した末、自分の脳裏から離れなかった「荒野にただ1機、後姿で佇むガンダム」のイメージからインスピレーションを得て、この作品の制作に取りかかった。

制作までの時間がなかったことから、シリーズ構成を担当した川崎ヒロユキが最終的に全話の脚本を手がけた。

前作『ガンダムW』の成功を踏まえ、本作でも5人(主役側3+敵側2)の美少(青)年をセールスポイントとして打ち出している[1]が、前作のようなキャラクターを前面に出した作風とは趣が異なる。またエンディングと次回予告の映像を同時進行させたこと、その最後に登場する登場人物の言葉をサブタイトルに採っているのも特徴となっている。第1話のサブタイトル「月は出ているか?」は同作品を紹介したさまざまな媒体で引用されている。

作風

この作品の大きな特徴は、高松が「ガンダムを考えるガンダム」と述べているとおり、「少年と少女が出会い、彼らと彼らを取り巻く人々がやがては世界を変えていく冒険譚」という物語上に、ガンダムという作品にまつわる事象がメタフィクション的に多々取り入れられている点である。

メタフィクションの多用は高松の手がけた『勇者特急マイトガイン』などでも見られたが、高松やシリーズ構成・脚本の川崎ヒロユキは、カリスのエピソードを描く中でそういった方向性が固まり、当初は意図しなかったものまで最終的にメタフィクションの方向に落ち着かせるのが自然な流れになるなど、偶然の符合があったことも明らかにしている。川崎と高松の対談において、それらの裏話や後述するD.O.M.Eの声優決定エピソードなどが語られている[2]。制作当初や早い時期から意図していたものとして、次のものが挙げられる。

  • 機動新世紀 = 1981年、『機動戦士ガンダム』劇場版の公開直前に、新宿駅前で行われたイベント「2.22 アニメ新世紀宣言」を踏まえている。劇中の舞台が「A.W.(アフターウォー)15年」なのも、アニメ新世紀宣言から15年経っているということ。
  • 第7次宇宙戦争後 = 当作品はテレビシリーズ7作目。また、この戦争とは「ガンダムという現象」の象徴(メタファー)となった。
  • 当作品のニュータイプ = 元々「主人公が出会って恋に落ちる少女」というプロットを高松が川崎に与えた際、川崎がその少女・ティファをニュータイプと設定したことで登場したが、結果的に「ガンダムという作品の象徴」となった。ニュータイプという言葉には「ガンダムという作品」そのものが投影されてもいる。この点で富野作品に登場するニュータイプとは意味的に異なる。

また川崎は、劇中のニュータイプに対する答えは、「ファーストガンダムという作品のテーマ性を卒業しよう」ということを考えながら導き出したものであると語っている[3]

放送期間短縮、時間変更および枠廃止

1993年にスタートしたテレビ朝日製作のガンダムシリーズ枠はその当初から視聴率において低迷が続き、スポンサー離れが進行していた。そのため本作では視聴率の改善が最優先課題に挙げられたが、前作『ガンダムW』で急遽代役監督として登板した高松が継続して担当することになった事情から本作の企画開始は余裕のない状況で行われた。そのため、高松と川崎の2人によってストーリープロットが決められていき、またキャラクターデザインもその仕事の速さを高松が頼って西村誠芳が起用された[4]

こうして厳しい船出を強いられた本作は、初回こそ6.2%を記録したものの、その後視聴率改善の兆しもなく、プラモデルの売上も前作『ガンダムW』に対して2割減となり、10月改編に際して放送期間の1クール短縮と放送時間の変更が決定された。10月よりテレビ朝日のみ土曜日朝6時に移動し[5]、地方ネット局は元の時間帯のまま裏送りでの先行放送となった。また、もともとローカル番組『新・部長刑事 アーバンポリス24』との兼ね合いで金曜16時30分からの先行時差ネットだった大阪のABCも同様の対応のまま最終回を迎えた。関東をカバーするテレビ朝日が早朝に移動したことで、平均視聴率がそれまでの3.5%から1.2%に下がった[6]

ただし放送期間短縮を受けて唐突に物語が打ち切られたわけではない。当初の脚本が4週で一つのストーリーを完結させるという形を取っていたため、そのディテールを省くことで、半年で展開する予定だった物語を駆け足ではあるが3か月分にまとめて完結させている。例えば、エアマスターレオパルドのバージョンアップはそれまでの物語描写に比べてあっさり行われ、Gファルコンの特殊機能について提示されただけに留まり、最終回ではD.O.M.E.というデウス・エクス・マキナを登場させている。高松はDVD-BOXのインタビューで「ガンダムDXが出たあたりでは短縮は決まっていたが、後半も構想から省略した要素は1つもない」とコメントしている。

SDガンダム』を除くとTVシリーズで唯一小説化されていない作品でもある。また、高価値付加系のプラモデルやフィギュアでも本作の登場機体はあまり商品化されておらず、2007年1月にGUNDAM FIX FIGURATIONでガンダムXが発売されたに留まっており、TVシリーズ作品では唯一マスターグレードでのキット化がされていなかったが、2010年4月になってHGAW(ハイグレード・アフターウォー)というカテゴリーで ガンダムXが、初の宇宙世紀以外のMSとして発売され、さらに同年12月にはパーツ及び成形色替えとしてHGAWガンダムXディバイダーが発売、2013年には7月にROBOT魂で、10月にはHGAWでガンダムダブルエックスが発売されたりと、徐々に商品化がされ始め、2013年10月に幕張メッセにて行われた第53回全日本模型ホビーショーにて、ガンダムXがマスターグレードで発売されることが発表され、2014年1月に発売された。

本作の漫画版が連載されていた『コミックボンボン』のアンケートでは上位に入っていた[要出典]

DVD化は2005年1月、DVD-BOXおよび単品が発売された。またDVD-BOX化に伴うタイアップ企画として、本編終了後の9年後のアフターストーリー外伝作品『機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜』が『ガンダムエース』誌上で連載された。

2016年6月22日、「サンライズフェスティバル2016満天」の7月31日上映タイトル、レイトショー枠としてテアトル新宿で1話、2話、38話、39話が上映予定と告知[7]、上映された[8]。ゲストには当初予定していた高松信司の他、キャラクターデザインの西村誠芳も参加した[8]

キャスティング

主役のガロード・ランには高木渉が起用された[9]

高木は当初フロスト兄弟のどちらかの役のオーディションを受けていたが、監督である高松信司が高木の声を聴いて主役のガロードの声にふさわしいと考え、改めてオーディションが実施され、最終的には高木の起用へとつながった[9]

高木は2018年のインタビューの中で、「今までニュータイプだったり、ちょっと影のある主人公像が多かったところに、破天荒で無鉄砲な少年を放り込む。そんな未完成な少年には、良い声じゃない、がらっぱちな僕の声の方が良いと感じてくれたんでしょうか」と自分が起用された理由について振り返っている[9]

演技をするにあたり、高木は真正面からぶつかるように、台本を読んで感じたことをそのまま演じることを意識した[9]

収録時、高木は一生懸命な自分の姿を見て周りがついてくるのはないかと考えていたが、収録後には自分一人ではなく、周りのキャストがわきを固めることによって初めて良い作品ができるということを改め感じさせられたとインタビューの中で振り返っており、『ガンダムX』の後も自分が引っ張っていくという気持ちで現場入りしていると述べている[9]

ヒロインであるティファ・アディール役のかないみかをはじめとする本作の出演者の多くは高木と同年代であり、サラ・タイレル役のかかずゆみとウィッツ・スー役の中井和哉は当時新人だった[9]。その一方、ジャミル・ニート役は高木から見て先輩にあたる堀内賢雄が起用された。高木は堀内との関係をガロードとジャミルの関係に例えており、いつも励まされていたとのちに振り返っている[9]

ナレーションは当時青年座に所属していた光岡湧太郎が務めた[10]

舞台俳優として活動していた光岡は、CM等の短いナレーションの経験はあったものの、テレビアニメのレギュラーや長編作品のナレーションは本作が初めてだったため、当初はアフレコ収録の段取りが理解できず、以前から知り合いだったかないに合図してもらったりさまざまなことを教えてもらった[10]

高松や浦上から光岡に対する具体的な要望はなかった一方、光岡は青年座の先輩たちの作品をナレーションの参考にした[10]。また、メインターゲットが子どもだったことから、光岡は情緒的というよりは元気なイメージで、自分なりのカラーを出すという方針を立てた[10]

光岡はナレーションのほかにも、本作に登場するファーストニュータイプこと「D.O.M.E.」の声優も務めた[10]

「D.O.M.E.」役には、当初『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイ役を演じた古谷徹の起用案もあったが、高松の「古谷さんにお願いすると、自分の意図する『ニュータイプ』の意味が変わってしまう」という意見で没になり、最終的に自分達の最も言いたいことを表現するのには、物語の語り手に「私」としてしゃべってもらうことが効果的だと考えて、番組制作中盤に光岡に依頼した。これにより、本作品が三人称ではなく一人称で語られた作品であることが判明する作りになっているが、高松らは「演出的にもつじつまが合っていたし、うまい落としどころだったと思う」と、当初からそういう意図で考えていたわけではなかったこともコメントしている。

浦上は、「D.O.M.E.」の具体的なキャラクター像を出す代わりに、自分で考えたうえで演技するよう指示した[10]

光岡は考えた末に、「この作品は最初のニュータイプであるD.O.M.Eの目線で語られていて、その神様みたいな存在が最後に登場してガロードたちと会話をする」という展開であると理解したうえで、「D.O.M.E.」は普遍的な存在であると考え、メッセージを受け取る側の印象に残るようにするため自然体で語るという方針を立てた[10]

光岡は「D.O.M.E.」の役について重要かつ大変な役であったとしつつも、光る球体だったため、口の動きを合わせる必要がなくて助かったと振り返っている[10]

製作エピソード

大河原邦男は自著において、本作のメカニックデザインは自身の参加した際には既に形がほぼ決定していたと語っている[11]




注釈

  1. ^ 機動戦士Vガンダム』から前作『ガンダムW』の本放送は放送局への納品がフィルムであったためモノラル放送だったが、ビデオ発売時はステレオ音声で制作されている。
  2. ^ 第14話まで。
  3. ^ 第15話から。
  4. ^ 画面上でこの台詞を発したのは、ルチルの意識が憑依したティファである。
  5. ^ 第26話で流れた予告では、該当するシーンに台詞の音声は入っていない。

出典

  1. ^ 『マーチャンダイジングライツレポート』1996年4月号、エムディーアール[要ページ番号]
  2. ^ LD版の付属冊子より。
  3. ^ 『電撃ホビーマガジン』2010年6月号のインタビューより[要ページ番号]
  4. ^ DVD-BOX小冊子での高松のコメント
  5. ^ 井の上心臓 (2018年2月6日). “「ガンダムX」ガロード役・高木渉インタビュー“ガンダムの主人公という重責、何も考えずに突っ走った現場”(3ページ目)”. アニメ!アニメ!. イード. 2018年2月13日閲覧。
  6. ^ 機動新世紀ガンダムX - ウェイバックマシン(2008年2月10日アーカイブ分)
  7. ^ サンライズフェスティバル2016満天「ガンダムX」&「Gガンダム」の上映話数決定!” (2016年6月22日). 2016年10月23日閲覧。
  8. ^ a b 『機動新世紀ガンダムX』上映会! ゲストに高松信司監督、サプライズゲストにキャラクターデザインの西村誠芳さんが登壇!” (2016年8月2日). 2016年10月23日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g 井の上心臓 (2018年2月6日). “「ガンダムX」ガロード役・高木渉インタビュー“ガンダムの主人公という重責、何も考えずに突っ走った現場”(2ページ目)”. アニメ!アニメ!. イード. 2018年2月13日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h 新たな“ニュータイプ”の物語を描いた意欲作が初Blu-ray化!『機動新世紀ガンダムX Blu-rayメモリアルボックス』光岡湧太郎インタビュー”. VStorage. バンダイビジュアル (2018年2月6日). 2018年2月16日閲覧。
  11. ^ 大河原邦男『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』光文社光文社新書〉、2015年、172頁。ISBN 978-4-334-03874-8
  12. ^ a b ビジュアルブック 1996, pp. 66-67.
  13. ^ 『ガンダムエース』2018年3月号掲載の対談記事より[要ページ番号]。なお、正確な経過年数は明らかにされていない。
  14. ^ ササキバラ・ゴウ「第3部 Vガンダムという戦い 富野由悠季インタビュー」『それがVガンダムだ 機動戦士Vガンダム徹底ガイドブック』銀河出版、2004年2月7日、185頁。ISBN 4-87777-054-2
  15. ^ スーパーロボットマガジン』Vol.8、双葉社、2002年10月[要ページ番号]


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