黒き炎編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 18:29 UTC 版)
「青の騎士ベルゼルガ物語」の記事における「黒き炎編」の解説
クリス・カーツ 「シャドウ・フレア」のリングネームを持つバトリング選手。しかしその正体は融機人(ゆうきじん)と呼ばれる、自らを改造した異能者達によって結成された異能結社「ラスト・バタリオン」の総帥である。融機人によるアストラギウス銀河の支配を目論んでおり、バトリングに関わっているのも実戦データの収集が目的である。 長い黒髪と、額の中央にある黒子が外見的な特徴。あらゆるコンピュータへの干渉を行って支配下に置き、さらにはそのコンピュータが制御する機械に影響を与えて動作を抑制する能力を持つ。この能力は支配対象とした機械を操る、マシンとの適合力が高い人間──すなわち異能者やそれに類する者の肉体にも影響が及ぶため、旧劣等種としての本能が目覚める以前のケインは愛機ベルゼルガを通して肉体を変調させられ、一時はパイルバンカーを操る左腕が自分の意志で動かせないばかりか生体として機能しない、壊死同然の状態にまで陥った。 元々は戦闘技術習得のため、本当の記憶は封印された上でメルキアへ送り込まれた融機人グループの下級構成員に過ぎなかった。メルキア軍人だった時期、古くからアストラギウス銀河を支配してきたワイズマンへの攻撃部隊として設立された「屍隊」の隊員として、シャ・バックと共にワイズマンの宇宙船強襲作戦に参加する。しかし作戦は事前にワイズマンに察知されていて、情報操作によって自らを送り出した融機人グループの母船を攻撃するよう仕向けられてしまう。ここでの同胞を虐殺した壮絶な体験は、クリスの封印されていた融機人としての記憶を呼び起こさせると同時に、屍隊の隊員に施されていたワイズマンに対する憎悪の意識も大きく増幅させ、更には内在していた異能者の資質を開花させた。これらの要因が彼に強烈なカリスマ性を持つに至らせ、アストラギウス支配の野望へと走らせることとなる。額の黒子も、この時の心的外傷ともいえる精神的な苦痛が肉体に与えた影響から生じたもの。 その後メルキアへ舞い戻ったクリスは軍首脳を皆殺しにしてメルキアを傀儡政府という状況に陥らせ、更には新鋭宇宙戦艦ギ・グロリーを奪取して、屍隊の攻撃により母船を失い脱出船で宇宙を漂っていた融機人グループへと帰還する。帰還後、改造手術を受けて融機人となった事で異能者としての能力を飛躍的に増大させたクリスは、その比類なき力とカリスマ性で瞬く間に組織の中枢へと上り詰めた。そしてグループの主導権を握ると、武器商人という体裁を取った戦闘集団である異能結社とその作戦部隊であるラスト・バタリオンを組織し、総帥へと収まったのである。 「クリス」という名は、ケイン同様『レンズマン』のヒロイン「クリス・マクドガル」から採られたもの。 シャ・バック クエント人。ケインの愛機ベルゼルガの最初のオーナー。シャドウ・フレアに挑まれたリアルバトルで死亡し、ケインをしてシャドウ・フレアへの復讐に走らせるきっかけとなる。 百年戦争時には傭兵としてギルガメス軍に従軍していた。ケインとは、ワイズマン襲撃が失敗して再編された屍隊で共に戦った戦友という間柄である。傭兵契約が終了すればクエント星へ帰還するクエント人の習わしに従わず、終戦後はバトリング選手として活躍。その中でケインと再会して彼にバトリングを始めるように勧め、一流のバトリング選手に育て上げてゆく。その一方で終戦を目前にした時期に異能者に関する秘密を知った事とその後自身も異能者として覚醒した事を打ち明けた上でケインも異能者であると語り、将来的に自分のベルゼルガに乗って戦い、異能結社に接触しろと不可解な示唆をしていた。 実は再編以前の屍隊に属していた際、クリスと共に参加したワイズマン(実際は融機人グループの母船)襲撃作戦で異能者や融機人の存在を知り、異能者の意識集合体であるワイズマンの一部となってアストラギウス銀河の支配者となる事を望むようになっていた。その後、一旦クエントへ帰還した際には異能者の秘密を探っている。その後経緯は不明だが異能結社の技術を入手して、自らに融機人となる改造を施していた。この処置でマシンとの適合性など異能者としての能力を完璧なものとしたが、ワイズマンは異能者としての能力の衰えを身体に機械を埋め込む事で補っている融機人を認めてはいなかった。望みを果たせなくなったシャ・バックは、ワイズマンを激しく憎悪するようになる。さらには時間をかけて肉体と機械を融合させる融機人本来の施術を行っていないため、埋め込んだ機械の不適合で拒絶反応が生じて身体は死にかけという状態となっていた。そんな時に再会したケインを助け、事ある度に厚意を示すと共に同じ異能者という仲間意識を表したのは、彼が屍隊時代に惑星Ziで起こした虐殺事件の際に見せたATの操り様に異能者としての資質を見出していたが故だった。つまり恩義を感じさせるよう行動すれば、自身の死後にケインは先述の示唆通り異能結社と接触し、ワイズマンへの復讐を行うと踏んでのものだったのである。 しかしシャ・バック自身は融機人となる改造技術の入手経緯の問題からか異能結社への恭順を拒んでいたため、融機人の存在と技術が知られてしまう事を懸念したクリスによって、最終的にはバトリングを利用して処刑されることとなる。これは以後の事態がシャ・バックの思惑から大きく外れるきっかけとなった。ケインが仇と狙う相手はシャ・バックが望んだワイズマンではなくクリスとなり、また真実を知ったケインは最終的に復讐ではなく自分自身のためにクリス打倒に邁進するようになる。そしてケインは異能者どころか、その異能者を駆逐した古代クエント人の末裔である旧劣等種だった。加えてワイズマンはケインの行動やクリスの暗躍とは全く関係のないところで、自身の失策によってクエント星ごと消滅したため、結局シャ・バックの目論見は何一つとして実現せずに終わる結果となった。 ネイル・コバーン アグの街のマッチメーカー。ロニーにお人好しと呼ばれるくらい人がよく、何かとケインをはじめバトリング選手たちに世話を焼く。自身もかつてはバトリング選手をしており、自分のガレージに現役時代の愛機クレバーキャメルを所持している。 ダート・クラクトン ダラの街の強欲なマッチメーカーで、自身の利益のためには手段を選ばない。自身の選手を破ったケインを強引に契約させようとするが、あっさり断られ、力ずくで引き寄せようとするものの失敗する。 ケヴェック・ヴォクトン アグの街の第3階層でケインが出会ったATパイロット。ミーマの部下で、その正体はミーマの弟、イーマ・センクァターである。シャドウ・フレアの秘密とそのAT技術を探るためアグに潜入していたがシャドウ・フレアの手下となったアグの軍警に捉えられており、ミーマはその行方を捜していた。新型ATライジングトータスとシャドウ・フレアに関するデータディスクをケインに託すが、自身はその直後に行われたリアルバトルで死亡する。 ケインと出会う前には並の人間なら2~3日で発狂し、訓練を積んだ者でも4日が限度といわれる感覚剥奪室(宇宙空間での孤独に耐えるための訓練に使われる施設)に5日間閉じ込められながらも耐え抜いていて、ケインはその精神の強靭さに驚いていた。 オウラ・ニガッダ シャドウ・フレアの手先で、「ダークオックス」のリングネームを持つバトリング選手。機体の各所にさまざまな隠し武器を仕込んだ黒いストロングバックスを駆る。反則技が得意だがAT乗りとしても一流で、シャドウ・フレアがタッグでのバトリングを行うときのパートナーを務めている。ケイン&シャ・バック組とのリアルバトルでシャ・バックの死の一因を作った人物で、シャドウ・フレア共々ケインに仇として付け狙われる。 ラドルフ・ディスコーマ シャドウ・フレアの手先として行動する元レッドショルダー隊員。実力者を選んで対戦し、その対戦した相手は後日シャドウ・フレアとの対戦を申し込まれて必ず死亡するために、「デス・メッセンジャー(死の伝令)」と呼ばれている。ケインと対戦した際、ロニーの乱入でバトリングが無効試合になったことを根に持ち、ケインとの決着にこだわるようになる。そのため、ケインの命を狙うクリスに反逆し、ケインと手を組むが、最後はクリスの手で殺されてしまう。バトリングではレッドショルダー仕様のスコープドッグに搭乗する。 フィル・コム コボトの街の女マッチメーカー。ケインとシャ・バックのかつてのマネージャーで、シャ・バックの恋人でもあった。融機人であり、異能結社からシャ・バック殺害の命令を受けていたが、それを知りながらも自分を受け入れてくれたシャ・バックとは肉体的な交わりこそないものの愛し合っていた。ボウの街でケインと再会し、シャ・バックの死にまつわる真実や融機人、異能結社の実態を語る。これによりケインは自分の復讐行が仕組まれたものであったと知り、一時は強い失望から自棄になってしまった。その後、異能結社との戦いに巻き込まれたロニーを守って死亡する。 ムディ・ロッコル ボウの街のクエント人のバトリング選手。シャドウ・フレアとの戦いの中でパイルバンカーを失ったケインがそれを賭けて挑んだ相手。クエント人傭兵の中でも歴戦の強者であった。愛機はグレーベルゼルガ。終戦後はクエント人の仇敵ともいえる異能者抹殺を自らの使命としてメルキアに残っていた。ケインを異能者と目し、抹殺の為に挑戦を受けるが、ケインの中にある旧劣等種の因子の存在を見抜いた。 ガニアル ボウの街のバトリング強豪選手で、弟のボーグルと共に悪役タッグチームで名を馳せているレスラー兄弟の兄。愛機はダイビングビートル改造のアイアンマン1。ボウに来たケインとロニーにちょっかいを出したことで2人を相手に戦うことになるが、そこへムディ・ロッコルの妨害に遭ってしまう。 ボーグル クエント人以上の体躯を誇るレスラー兄弟の弟。愛機はスタンディングトータス改造のアイアンマン2。ケイン&ロニーにタッグマッチでの対決をふっかける。しかし、ムディ・ロッコルの乱入により、ガニアルもろともあっさり倒されてしまう。 モデルになったレスラータッグはザ・ロードウォーリアーズ[要出典]。 ビギー・バルボリン ムックの外伝小説「FEEDBACK 誰かが霧の向こうで……」に登場。ミーマの部下で、カラミティドッグ・グリーンバージョンのテストパイロット。放射能に体を冒され余命幾ばくも無いビギーは、生体実験の材料として基地に送られてきたコナー・アルレイを哀れに想い、彼女と共にグリーンバージョンを奪い、軍を脱走する。その後ビギーは逃走資金を手に入れるため、町一番の興業師ディックにグリーンバージョンを売りつけようとするが、ディックはビギーを殺して機体を手に入れようと企む。シャドウ・フレアの情報を手に入れるためディックの部下となっていたケインは、ビギーのグリーンバージョンをシャドウ・フレアと勘違いし、彼を殺す刺客として隠れ家に自ら乗り込むが、機体がシャドウ・フレアでないことが分かり、コナーを助けたいというビギーに、今は亡き友を失ってから出会ったことのない、人間的なモノを感じ取ると、2人の脱出を手助けしようとする。しかし、2人ともディックの部下に捕まりシャ・バックと同様の方法で惨殺されてしまう。 コナー・アルレイ ムックの外伝小説に登場。旧劣等種の生体資料としてビギーのいる基地に送られてきた女。毎日実験動物以下の扱いを受け続けている。
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