紀元前10~1世紀
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紀元前1000年頃 — 分数が古代エジプト人により利用される。しかし、単位分数のみ使用され(分子が1の分数)、補間数表が他の分数の値を近似するために用いられた。 紀元前10~5世紀頃 — インドの哲学者ヤージュニャヴァルキヤが自身の著書「Shatapatha Brahmana」の中で太陽と月の運行について記述し、太陽と月の運行が一致する現象が95年周期であると記述する。 紀元前8世紀頃 — ヒンドゥー教の4つのヴェーダの一つであるヤジュル・ヴェーダに無限に関する初期の概念が現れる。この書籍では「もし無限から一部を取り除いたり加えたとしても、変化後もまた無限である」と述べられている。 紀元前800年 — バウダーヤナ(英語版)がバウダーヤナ・シュルバ・スートラ(ヴェーダ語の幾何学文書)を記す。この書籍には2次方程式が記述されており、2の平方根を計算し、10進数5桁まで正しい値を求めている。 紀元前6世紀前半 — タレスが自身の名のついた様々な定理を発見する。 紀元前600年頃 — ヴェーダのシュルバ・スートラ(サンスクリットにおける祭壇の作り方を述べた書物)でピタゴラスの三角形を使用する。この書籍には複数の幾何学的な証明が含まれている他、円周率Πを3.16と概算している。 紀元前5~1世紀頃 — 通常の3次の魔方陣を扱った河図洛書が中国で作成される。 紀元前530年 — ピタゴラスが幾何学の命題と竪琴の琴線の振動を研究する。ピタゴラスとその弟子達は2の平方根から無理数も発見した。 紀元前500年頃 — インドの文法学者パーニニがアシュターディヤーイーを書きあげる。この書籍では演算の計算順序、変換、漸化式の使用法が述べられている。この書籍はサンスクリットの文法をシステム化することを目的としていた。 紀元前5世紀 — ヒポクラテスが円積問題に取り組む中で三日月形の図形を利用する。 紀元前5世紀 — ヴェーダ・サンスクリット幾何学の書籍「アーパスタンバ・シュルバ・スートラ」の著者であるアーパスタンバ(英語版)が円積問題に取り組んで2の平方根を計算、10進数5桁まで正しい値を求める。 紀元前400年頃 — インドのジャイナ教の数学者が「Surya Prajinapti」を著す。この書籍ではあらゆる数を可算、非可算、無限の3つに分類している。また、無限を5つの異なる種類に分類している。1~2方向の無限、面積の無限、あらゆる場所での無限、永久無限である。 紀元前4世紀 — インドの数学書で0の概念を意味するサンスクリット語の単語「Shunya」が使用される。 紀元前370年 — エウドクソスが面積を決定する方法として取り尽くし法について述べる。 紀元前350年 — アリストテレスがオルガノンにおいて論理的な理由について議論する。 紀元前330年 — 中国幾何学の初期の書籍であるMo Jingが編纂される。 紀元前300年 — インドのジャイナ教数学者が「バーガバティ・スートラ」を著す。この書籍には組合せに関する初期の情報が含まれている。 紀元前300年 — エウクレイデス(ユークリッド)が原論の中で幾何学を公理系として研究、素数が無限に存在することを証明しユークリッドの互除法を発見する。ユークリッドは「反射光」における反射の様子を述べ、算術の基本定理(素因数分解の一意性)を証明した。 紀元前300年頃 — ブラーフミー数字(現代一般的に使用されている10進法の基礎となる記数法)がインドで普及する。 紀元前300年 — メソポタミア文明において、バビロニア人が初期の計算機であるアバカス(中東地域のそろばん)を発明する。 紀元前300年頃 — インドの数学者ピンガラが「Chhandah-shastra」を著し、人類で初めて0を数記法に取り入れる(当時は0を点で表していた)。また、二進法の記述を行い、フィボナッチ数やパスカルの三角形も人類で初めて使用する。 紀元前202年~紀元前186年 — 中国の漢の時代に算術書籍である算数書が編纂される。 紀元前260年 — アルキメデスが円周率Πの値が3 + 1/7(約3.1429)と3 + 10/71(約3.1408)の間にあることを証明する。円の半径の2乗に円周率Πを乗じた値が円の面積に等しいこと、放物線と直線で囲まれる面積がその交点2点と直線と平行な接線が接触する1点を頂点とする三角形の面積の4/3倍になることを証明した。アルキメデスは3の平方根に対しても非常に正確な値を与えている。 紀元前250年頃 — 後期オルメカ文明が新世界において、プトレマイオスに先立つこと数世紀前に0の概念(shell glyph)の使用を始めていた。0を参照のこと。 紀元前240年 — エラトステネスがエラトステネスの篩を発見する。 紀元前225年 — ペルガのアポロニウスが「円錐曲線」を著し、楕円、放物線、双曲線に名称をつける。 紀元前206年~紀元後8年 — 算木が中国で発明される。 紀元前150年 — インドのジャイナ教の数学者が「シュタナンガ・スートラ」を著す。この書籍では数論の定理、数学の解法、幾何学、分数、一次方程式、二次方程式、三次方程式の解法と、置換の組み合わせについて扱っていた。 紀元前150年 — ガウスの消去法が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。 紀元前150年 — ホーナー法が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。 紀元前150年 — 負の数が中国の書籍九章算術に世界で初めて現れる。 紀元前140年 — ヒッパルコスが三角法の基礎を作る。 紀元前50年 — ブラーフミー数字の後継記数法としてのインド数字(10進法で初めて位取り記数法を使用した記数法)がインドで発展を始める。 紀元前1世紀 — インドの天文学者ラガダが「Vedanga Jyotisha」を著す。この書籍は天文学について取り扱っており、太陽と月の運行に関するルールについて記述している他、天文学の記述に際し幾何学と三角法を使用している。
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