ユークリッド原論
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数学書『原論』(げんろん、古希: Στοιχεῖα, ストイケイア、英: Elements)は、紀元前3世紀ごろに古代エジプトのアレクサンドリアの数学者エウクレイデス(その英語読みがユークリッド)によって編纂されたと言われる数学書。『幾何学原論』、ユークリッド『原論』、ユークリッド『原本』とも。プラトンの学園アカデメイアで知られていた数学の成果を集めて体系化した本と考えられており、論証的学問としての数学の地位を確立した古代ギリシア数学の集大成である。
- 1 ユークリッド原論とは
- 2 ユークリッド原論の概要
原論
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詳細は「ユークリッド原論」を参照 『原論』に書かれていることの多くはもっと以前の数学者の成果に由来するが、エウクレイデスの功績はそれらを1つにまとめて提示し、一貫した論理的枠組みを構築して厳密な数学的証明を行っている点にある。 現存する初期の『原論』の写本にはエウクレイデスへの言及がなく、多くの写本には「テオンの版より」あるいは「テオンの講義集」とある。また、バチカンが保管している第一級の写本には、作者についての言及が全くない。エウクレイデスが『原論』を書いたとする際の唯一の根拠は、プロクルスの注釈本である。 『原論』には幾何学だけでなく、数論についての記述もある。完全数とメルセンヌ数の関係、素数が無限に存在すること、因数分解についてのユークリッドの補題(ここから素因数分解の一意性についての算術の基本定理が導かれる)、2つの数の最大公約数を捜すユークリッドの互除法などが含まれる。 『原論』にある幾何学体系は長い間単に「幾何学」と呼ばれ、唯一の幾何学だとみなされており、論証に穴はないと思われていた。しかし、19世紀の「非ユークリッド幾何学」の発見をきっかけに、数学の基礎がより整備されると、幾何学には様々な体系が可能であること、ユークリッドの公理系には不足している公理があることが判明した。公理的な体系の作り方も見直され、「公理」「公準」はともに公理とされ、例えば「点」の定義のように、証明の中で用いられない定義は姿を消した。『原論』の議論には、現代的な視点からは無用な遠回りも散見される。こういった違いは、必ずしも全て不備によるものではなく、当時の幾何学についての考え方が現在と異なっていたことが指摘される。 今では、ユークリッドが対象とした幾何学を、現代的に見直したものを「ユークリッド幾何学」と呼ぶ。
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