注釈本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 03:49 UTC 版)
以下は戦後昭和から平成期に刊行された書目(各・全巻に校註) 他に抜粋版で校註・訳を行った書目は『鑑賞日本古典文学21』(角川書店 1976年)、『鑑賞日本の古典13』(尚学図書 1980年)など数種ある。本文が膨大なため、複数の系統の異なる本文を厳密に比較校合した、いわゆる「校本」と呼べるものは、現在まで未公刊である。 後藤丹治・釜田喜三郎・岡見正雄校注 『太平記』全3巻(岩波書店〈日本古典文学大系〉。新装版「史文学シリーズ」)。第一・二分冊は後藤・釜田、第三分冊は後藤・岡見の校註。 山下宏明校注 『太平記』全5巻(新潮社:新潮日本古典集成、新装版2016年) 以上の「古典大系」本、「古典集成」本はいずれも底本は慶長8年(1603年)刊の古活字本。この本文が寛永以降の製版本=流布本本文の直接の原型になったとされる。ただし、「古典大系」版の「(1)解説」によれば、古写本と慶長8年古活字本の間に、慶長7年刊と推測される無刊記古活字本があり、これは流布本の本文に一部古態の本文を含んだ特異なものであるとされるが、現在まで詳細は未紹介。 長谷川端校注・訳 『太平記』全4巻 (小学館:新編 日本古典文学全集54-57) 上記2者とは違い、底本は増補系とされる天正本(彰考館蔵)であるが、頭注ほかで流布本系本文との校異を記す。第二分冊以降の巻頭「凡例」によれば、他に長坂成行・小秋元段が校註者として参加している。校註の施された全巻にわたる現代語訳は現在これのみである。各分冊の「解説」にはほぼ20世紀末までの『太平記』研究史の要約と課題がまとめられている。 なお「古典集成」版、「新編古典文学全集」版は、各分冊の末に詳細な年表を付し『太平記』本文記事と史実との比較確認に便利である。 兵藤裕己校註 『太平記』岩波文庫(全6巻)。2014年4月から2016年10月にかけ刊行。文庫判は他に、岡見正雄の校註による角川文庫(二分冊・巻14まで、現在は絶版)が刊行されたが校註者死去のため未完となった。最も詳細かつ徹底した注釈を施し、特に補注の分量は本文をはるかに上回る膨大なものだった。
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