柔道事故とは? わかりやすく解説

柔道事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 09:34 UTC 版)

柔道」の記事における「柔道事故」の解説

まず、柔道投技基本は受の背中大きく畳に着くように投げることだが、取は受を頭から落さないよう投げ多く投技では受の体が畳に着く寸前引き手引いて受の体をわずかに引かなければならず、受は正し受身(腕で畳を打って緩衝し、同時に帯やへそをみることにより顎を引いて固定し後頭部打たないように護る)を必ず身に付けなければならない。 しかし、取と受の双方若しくはいずれか一方未熟な場合極端な体格であった場合に受が頭部を畳にぶつけることがある例え大外刈りは、受が後ろ倒しになるという技の性格上、初心者過度に疲弊して正しく受身取れない状態の者にかけると後頭部強打する危険性が高い。また、頭から落下による事故原因の他に加速損傷回転加速度損傷)が原因思われる可能性示唆されており、これは頭部外力極端な遠心力加速度)が加わることで頭蓋骨回転加速度がつき頭蓋骨内の脳が全体的に回転一方向への偏り)することで脳と硬膜を繋ぐ静脈破断急性硬膜下血腫に至るという機序である。他に間(日にち)を置かず頭部への強打によって起こる脳震盪セカンドインパクト症候群)が原因となり脳が物理的ダメージを負う事で、障害死亡などのリスクが高まる報告がある。 全柔連長時間練習疲労による負傷防止に「1日活動時間は2時間上限」など小学生活動指針立てている。 学校等での柔道事故事例 2002年7月31日埼玉県高校柔道部合宿中に1年生男子部員が同部教諭立ち技乱取り行い、同教諭から体落としにより投げられ背中から落ちたさい意識障害及び強直性の痙攣起こし運搬病院外傷性急性硬膜下血腫診断後遺障害として遷延性意識障害植物状態推移被害家族指導上の注意義務違反あったとして埼玉県損害賠償請求。後、東京高裁にて指導教諭保護義務違反認め被告県に対し国家賠償請求認め判決2003年須賀川市第一中学柔道部暴行傷害事件 2004年横浜市奈良中学柔道部暴行事件 2007年7月大阪府高槻市金光大阪高校柔道部1年生男子生徒練習中に脳震盪倒れた3日後に昇段審査などの講習会参加模範演技後に頭痛訴えるも取下げられ、会場駆けつけ母親119番通報病院搬送急性硬膜下血腫発症し遷延性意識障害による意識不明寝たきり状態になり、後、本人を含む家族が、学校法人全日本柔道連盟大阪府柔道連盟相手計約4億円の損害賠償求める。全柔連への請求除き大阪地裁佐藤達裁判長) にて約1億円の和解金支払うことで合意2008年横浜商科大学高等学校柔道部員後遺障害事件 2009年広島県私立尾道高等学校1年生男子生徒柔道部練習中に畳で頭を強打し急性硬膜下血腫発症高次脳機能障害を負う。後、被害者本人両親同校運営する尾道学園に計約1億4400万円損害賠償求めた2015年8月広島地裁尾道支部次田和明裁判官) は「事故を防ぐための適切な措置講じる義務違反した」として同学園に計約8150万円支払い命じた2009年7月29日滋賀県愛荘町立秦荘中学校柔道部練習中、部員当時12歳)が上級生との乱取り稽古後「声が出てない」との理由から柔道部顧問当時27歳)の直接指導を受け。二度投げ一度締め合わせ技を蒙った直後失神顧問平手殴打する搬送先の病院急性硬膜下出血意識戻らないまま1か月後に死亡。後、愛荘町中学校柔道部事故検証安全対策検討委員会設置。 「愛荘町中学校柔道部事故検証安全対策検討委員会報告書」(※PDF愛荘町中学校柔道部事故検証安全対策検討委員会 平成22年7月14日 2010年5月1日大分県立竹田高等学校柔道部合同合宿練習中に男子生徒部員当時17歳)が大外刈受けて頭部強打し緊急搬送同日深夜搬送病院にて死亡した司法解剖結果死因急性硬膜下出血判明2011年6月15日名古屋市立向陽高等学校武道場において1年生男子部員乱取り稽古中に大外刈投げられ頭部強打休憩中に体調不良訴え流延を発症し緊急搬送要請搬送病院にて急性硬膜下血腫の緊急開頭手術を行うが同年7月23日死亡名古屋市立向陽高等学校柔道事故調査報告書(※PDF 外部リンク名古屋市柔道安全指導検討委員会 平成24年5月11日 2014年10月福岡市内の道場稽古受けていた中学校2年生男子部員指導者から「絞め落とし」を掛けられ一時意識不明となった。元部員被害男性福岡地方裁判所2015年2月にこの指導者相手取り提訴一・二審は男性訴え認めて44,000円の支払い命じ2018年6月19日付で最高裁判所は、指導者の上告を受理しない決定をし、賠償確定した2015年5月21日大分県立中津北高等学校1年生男子柔道部員乱取り稽古中に頭部強打し急性硬膜下血腫緊急手術を行う、被害生徒遷延性意識障害発症し医療機関にてリハビリ。後、事故調査委員会設置報告大分県立中津北高等学校柔道事故調査報告書について(概要) 大分県教育委員会 2015年5月22日夕、福岡市立席田中学校柔道部約束稽古中、大外刈かけられ女子部員当時13歳)が頭部強打意識不明に陥り、翌日搬送病院死亡。後、市は事故調査委員会設置福岡市中学校柔道事故調査報告書(※PDF 外部リンク福岡市柔道安全指導検討委員会 平成27年12月福岡市 2016年4月25日仙台市内私立高校柔道部所属する3年生男子部員当時17歳)が部活動試合中頸椎脊髄損傷緊急搬送されて手術を行うも、同年5月13日死亡2016年5月31日夕、群馬県館林市市立中学校にて柔道部約束稽古中に3年生男子部員14歳)が同級生投げられて頭を打ち失神以降急性硬膜下血腫意識不明重体館林市中学校柔道事故調査報告書及び提言書(※PDF館林市柔道安全指導検討委員会 平成29年1月 その他事例 学校管理下柔道死亡事故事例(※PDF全国柔道事故被害者の会 判例 昭和49(ネ)2185 損害賠償請求事件 平成6(オ)1237 損害賠償 平成9(ワ)1282 損害賠償請求 平成16(ワ)484 国家賠償請求事件 平成18(ワ)283 損害賠償請求事件 平成22年(ワ)第3461号 損害賠償請求事件 平成22(ワ)8232 損害賠償請求事件 平成23年(ワ)第251損害賠償請求事件 大津地方裁判所 平成26(ワ)3880 損害賠償請求事件 関連出版物隠蔽 須賀川一中柔道部少女重体裁判テレビ朝日スーパーモーニング取材クルー (著), 被害者の母 (著) 幻冬舎 2009年6月25日 ISBN 4344016882 「柔道事故」内田良(著)河出書房新社 2013年6月21日 ISBN 4309246230 「それでもボク柔道好きだから ―柔道事故と黒帯品格テレビ信州編集)・テレビ信濃= (編集龍鳳書房 2015年10月 ISBN 4947697520

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