ブラック部活
ブラック部活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/18 02:55 UTC 版)
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ブラック部活(ブラックぶかつ)もしくはブラック部活動(ブラックぶかつどう)[1]とは、日本の教育(学校教育、主に小・中学校および高校)において、いわゆる「帰宅部」を一切認めず、生徒や保護者の同意を得ないまま部活動への入部を強制し、または生徒の人格を否定する暴言や、体調を崩すほどの長時間拘束をする部活動のことを指す俗語で、いわゆるブラック校則の一つに含まれる。
1960〜1980年代の「軍隊ばり」の管理教育を時代が違う平成時代以降でも行っていて、それゆえにブラック部活と呼ばれる[2]。
鍛冶舎巧は「引き出しの少ない指導者は生徒を型にはめたがる。個性を尊重し奔放にやらせると自分が対応できなくなるから」と述べ、競技経験のない部活の顧問を任される教員が多く、結果的に事故・事件に発展しているケースもある。
例としては、高校球児の頭髪が挙げられ、周囲の固定観念が根強い。九州地方のチームが甲子園に立った時、監督が選手の頭髪を自由化すると、丸刈りを経験したOB(男子卒業生)やファンから「球児らしくない」「自分も丸刈りにしたのに、後の世代が丸刈りでないのは不公平だ」といった苦情が殺到したという。しかし、丸刈りの強制は明確な体罰(教育指導上の暴力)と定義されている[3]。
スタンフォード大学(米国)アメリカンフットボール部コーチの河田剛は「日本人はケガをおしてやり続けることが素晴らしいと思っている」と言及している[4]。
問題点と発生する理由
- 入部の強制
文部科学省が告示する学習指導要領では本来「部活動は学校教育活動の一環として、スポーツや文化、学問等に興味と関心をもつ同好の生徒が教職員の指導の下に、主に放課後などにおいて自発的・自主的に活動するもの」[5]と定義されているが、ほとんどの中学・高校がこの指針に従わず、生徒(主に1・2年生)と保護者の同意を得ないまま入部を強制しており、いわゆる「帰宅部」を一切認めていない(受験を控える3年生では、1学期末で入部を免除される場合がある)。校則で「部活は任意とする」旨が明文化されても「文化系・運動系を問わず、いずれかの部に属しなければならない」気運が醸成されており、実質的に強制となっている場合もある。中には防衛大学校のように運動系の部活動への入部と強制を明文化している学校もある。
それにより、「部活動以外の民間のスポーツクラブや習い事に所属したい」と考えている生徒がスケジュールの都合上、諦めなければならないケースが増大する。これは民業圧迫(人権侵害)と解釈できる。
- 過酷な練習
NHKのテレビ番組『クローズアップ現代+』で、練習中に理不尽なパワーハラスメント行為を行う部活動の問題が取り上げられた。
「生徒の人格を否定する暴言や、体調を崩すほどの長時間拘束」といった内容で、こうした部活動を「ブラック部活」と呼び、吹奏楽部の指導者が生徒を罵倒したり椅子を蹴ったりする音声が流され、その実態が放送された[6]。
ブラック部活が発生する理由[7]
①学校や教育委員会が予算を確保したいから、部活を強制し、過酷な練習をさせて、部活に関する「実績」を作り、教育分野ならではの「商売」を達成しようとする。
②内申書の「空欄」(通知表の中で、特記事項や備考欄などと呼ばれる欄)を埋めて、入試で高い点を取れるようにするために、部活を強制する。そして、学校の「進学実績」を上げる。
③部活の部費という「名目」(部費が必ずしも本音とは限らない)で金銭を学校に納めさせる。そして、その中の一部を学校の「予算」に組み込む。
④子供を放課後や休日に学校の中に閉じ込めて、「管理」する。(子供に不祥事を起こされると、学校に行政的な処分が下るが故に、「管理」しないと不安になるから。)
⑤部活大好き教師(BDK)や昭和時代の体育会系出身の教師や教育委員会の職員が、「部活に参加しないのはけしからん。気合や根性といった軍隊流の方法で子供を鍛え上げないと、大人になってから、社会の理不尽さや辛さには、とてもじゃないが耐えられないだろう。」と思っている。
関連項目
- ブラック校則
- ブラック企業
- ブラックバイト
- いじめ
- 体育会系
- 根性論
- 体罰
- 指導死
- 部活動における事件・事故一覧
- 全国柔道事故被害者の会 - 柔道事故被害者のサポートを目的とした団体。
参考文献
- 岸本肇「部活動改革の立脚点」『研究論叢』第24号、神戸大学教育学会、2018年、39-47頁、doi:10.24546/81010516、ISSN 0919-7664、NAID 120006522688。
- 戸川点「教職科目における部活動と体罰の扱いについて」『拓殖大学教職課程年報』第1号、拓殖大学教職課程運営委員会、2018年10月、77-87頁、ISSN 2434-4249、NAID 120006603865。
脚注
- ^ 内田良. ブラック部活動: 子どもと先生の苦しみに向き合う. Tōyōkan Shuppansha, 2017. ISBN 978-4491033334
- ^ “内田 良 ブラック部活動を語る。”. 学びの場.com. 2024年5月19日閲覧。
- ^ 2018年6月7日付「中日新聞朝刊」27面
- ^ 2018年6月9日付「中日新聞朝刊」29面
- ^ 高等学校学習指導要領解説 特別活動編,46 (PDF) 文部科学省 2008年7月
- ^ 「死ね!バカ!」これが指導? ~広がる“ブラック部活”~ NHKクローズアップ現代+ 2016年8月1日放送分
- ^ 内田良. ブラック部活動: 子どもと先生の苦しみに向き合う. Tōyōkan Shuppansha, 2017. ISBN 978-4491033334
ブラック部活
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 06:04 UTC 版)
詳細は「ブラック部活」を参照 日本の学校において、クラブ活動は生徒・学生の自己実現や成長に重要な役割を担う半面、一部の活動が教師を含めて過度な心身・時間の負担になっているとの指摘がある。こうした、いわゆる「ブラック部活」問題の対策を含めて、部活動について学術的に研究し、提言を行う「日本部活動学会」が2017年12月発足した。 こうした問題点が認識されるようになった背景の一つとして、2016年8月にNHKの番組『クローズアップ現代+』で、練習中に理不尽なハラスメント行為を行う部活動の問題が取り上げられた。「生徒の人格を否定するような暴言や、体調を崩すほどの長時間拘束」といった内容で、こうした部活動をブラック部活と呼び、吹奏楽部の指導者が生徒を罵倒したり椅子を蹴ったりする音声が流され、その実態が放送された。 「ブラック部活」まで行かなくとも、記録や勝利を目指して長時間の厳しい練習を行う部活動が、運動が苦手だったり、他の部活動と掛け持ちを希望したりする生徒に過度な負担となっている面がある。このため参加しやすい「軽運動部」を設けるなどする学校もあるほか、スポーツ庁が運動部活動のガイドラインを策定している。 岐阜商高硬式野球部監督の鍛治舎巧は、「引き出しの少ない指導者は生徒を型に嵌めたがる。個性を尊重し奔放にやらせると自分が対応できなくなるから」と話しており、競技経験のない部活の顧問を任される教員が多いことを指摘している。 高校球児の頭髪に限れば、周囲の固定観念が根強い。九州地方のチームが甲子園に立った時、監督は選手の頭髪を自由化すると、OBやファンから「球児らしくない」と苦情が殺到した。頭を丸めることを強制することは明確な体罰(暴力)と定義されている。河田剛スタンフォード大学(米国)アメリカンフットボール部コーチは「日本人はケガをおしてやり続けることが素晴らしいと思っている。」と言及している。 2020年代頃にはブラック部活の報道が増えたこともあり、気軽に参加できるレクリエーション志向の種目が人気となり、ブラック部活や厳しい練習で学業との両立が難しいイメージがある種目は人気が落ちていることから、現場ではオリンピックの金メダルなどに頼らず間口を広げる動きもある。
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