デメリットや課題等
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:02 UTC 版)
人間関係が固定化しやすい(PTAの人間関係も同様)。 行事活動等で小学生(特に5、6年生)のリーダーシップ性を育てる機会が減少する。 9年間の途中で学習に挫折をする可能性(カリキュラムを早期化する場合)。 教職員の教育免許は小学校の教員免許状および中学校の教員免許状を有する者でなければならないが、両者の養成課程は独立している場合も多く、両方の免許を取得していない教員も少なくない。 小学校段階から教科担任制を導入すると、学級担任制のメリット がなくなる。 職員の会議が多くなり、職員の負担が増加する。 単元や授業の区切りごとに行ってきた小学校段階の試験が、定期考査での評価に移行することで生じる児童へのストレスや負担の増加。 中高一貫教育(中等教育学校制度等)との整合性がない。一つの自治体の中に小学校、中学校、中等教育学校、義務教育学校が併存することになる。義務教育学校前期課程から中学校または中等教育学校への進学は原則として妨げはないものの、一貫教育の途中で転校や進学をすることは、9年間の小中一貫教育を目的として教育方針を打ち出している本来の小中一貫校の教育趣旨とは異なる。また、中高一貫校への進学率が高い地域などでは、一貫教育の途中で他校への進学や転校を無条件に認めていると小学部と中学部の間に質や数の差が生じ、小中一貫の本来の教育趣旨を自ら否定することにもなりかねず、現在主流の6-3-3制や6-6制の教育制度の中において9年制の小中一貫校の存在意義も曖昧になりかねない。地域に応じて様々な学校の形態を文部科学省が認めているというのが実態である。 公立の場合、一貫校であるにもかかわらず一貫教育としての高等学校には接続されておらず、高校受験や進学手続き等は現行の公立中学校の制度と変わらない。なお、私立では12年一貫教育が行われているものの6-3-3制の学年区分に合わせた小・中・高の各組織に校長を置き、それぞれ入学者選抜(選考)、入学、卒業を行っている場合がほとんどである。 義務教育学校では一人の校長が9つの学年の校務を一人把握しなければならない。 マンモス校化しやすい(先行の小中一貫校の中には全校児童生徒1500人の学校もある)。都市部の学校では顕著になる。施設一体型の小中一貫校がマンモス校化した場合でも、統廃合前の用地が処分されている場合、再び元の小学校、中学校に戻すことは困難になる。 施設一体型では学校統廃合が伴う。それに伴い学区が広域化することで通学距離が長くなる場合もある。18校の小学校、中学校が統廃合されて6校の小中一貫校になった地域の例もある(実質12校の廃校)。 体育館等の施設利用の調整が困難になる(活動の異なる9学年で調整しなければならない。全校一斉に行う行事等の大規模化など)、中学生のクラブ活動(部活動)により小学生が放課後に体育館を使えない施設もある。 小学生が中学生の影響を受けることによる非行の低年齢化、性の低年齢化。 小中学生が接触することにより感染症(インフルエンザ等)が小学生から受験期の中学生に感染しやすくなる。また、指定感染症などによる休校の場合、影響が9学年(小1~中3)に及ぶ。 制服のある小中一貫校では小学生と中学生で統一した制服や持ち物(バッグ等)をそろえなければならず、現行の小学校・中学校で用いられているような標準服等に比較してコストがかかる。小学生段階から中学生に合わせた制服や持ち物に統一している小中一貫校も少なくない。中学生と同様に校則の書かれた児童手帳の携帯義務、小学低学年段階の児童にスカート丈を指定、斬新なデザインの制服、校章の入った指定品を着用する等の詳細な校則を適用している公立の小中一貫校もある。 世間一般に「義務教育学校」という名称に馴染みがない。また、正式名称として「学園」のみ(「学校」という文言を含めない)の名称を用いると、一般に認識されている他の政策的施設(福祉施設、刑事施設等)と判別がしにくくなる。 私学の一貫校と競合している地域では、民業(私学)を圧迫する。 小学部から部活動がある場合の問題地域のスポーツ少年団活動や習い事との調整が必要になる。 部活動選択の時期が早いと適性を見極める機会も早期化せざるを得ない。早期に始めたとしても、入学者選抜(スポーツ推薦等)も無く体力格差も大きい一般住民の児童が集まる公立の義務教育の学校では、圧倒的多数を占める平凡的な能力の児童への対応がメインとならざるを得ない。 小学生と中学生の実力の差は大きく、統一した活動は難しい。 小学高学年段階から入部する場合、最上級生になるのに4年かかり下積み期間が長くなる。適性と合わない部活動であっても辞めることが困難な場合、長期間我慢しなければならない。その一方で、最上級生は年齢も能力も異なる4学年分の下級生を含む部をまとめなければならず、受験期も重なって負担が大きくなる。 中学生の影響が大きいと、従来の中学生の悪しき部活動文化が小学生へ移行する(いわゆる「ブラック部活」の問題)。 小学生の部員に実力があったとしても中学生と一緒に大会に参加できない(参加資格がない、年齢制限)。 など
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