大外刈りとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 表現 > > 大外刈りの意味・解説 

おお‐そとがり〔おほ‐〕【大外刈(り)】

読み方:おおそとがり

柔道の技の一。相手後ろ崩し相手重心かかっている足を外側か刈って倒す技。


大外刈

(大外刈り から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/29 09:02 UTC 版)

大外刈

大外刈(おおそとがり)は、柔道投技足技21本の一つで刈り技の一種である。講道館国際柔道連盟 (IJF) での正式名。IJF略号OSG背負投内股巴投と並び、柔道でよく用いられる技である[1]

概要

相手の脚を刈って投げる刈り技(刈る技)の代表的なものである[1]。自分の脚の外側で相手の脚の外側を刈って投げる技。この時、自分の振り上げた脚を振り子の様にして刈る。刈る時に相手の懐に飛び込み、シーソープロペラを回転させる様に、梃子の原理を利用すると、投げやすい。

刈り技の名前(技名)の大小の文字は、自分の脚の外側と内側を示しており、外内の文字は、相手の脚の外側と内側を示している。従って、自分の脚の外側で相手の脚の内側を刈ると、大内刈となる。この様に、刈り技の名前は、お互いの脚の外側と内側の組み合わせ(お互いの脚が内側か外側か、すなわち、お互いの脚の触れる側の組み合わせ。)で決まる。

以下、右組の場合で説明する(左組の場合は左右が逆になる)。自分の左脚を左前方に踏み込みながら、引き手(袖を持っている左手)を高く引き、釣り手(襟を持っている右手)で相手を引き寄せ胸を合わせるようにし、相手を真後ろまたは右後ろに崩す。その後、右脚を振り上げ、脹脛アキレス腱の辺りで、相手右脚を刈り、相手の真後ろまたは右後ろに投げる。

この技は、技の性格上、後頭部から落ちる可能性が高く、指導の際には注意が必要である。掛けられる相手は脳震盪を防ぐため受身を十分に習熟しておく必要がある。実際、練習中に後頭部を打ち死亡する事故も発生している[2][3]

一般には体の大きい選手が多く用いる技である[1]が、木村政彦大野将平らのように中量級ながら大外刈を得意としている選手もいる。

講道館機関誌『柔道』1948年5月号で、玉嶺生は、大外刈は払腰足車大車大外車大外落大外巻込と並び、相撲では二丁投げと呼ばれている、と述べている[4]

変化

大外腰

大外腰(おおそとごし)は後ろ腰で刈り倒す大外刈。右組で言えば、右脚を深く相手の右後ろ腰にあて相手の体を釣り込み、右後ろ腰で刈り倒す。1960年の全日本柔道選手権大会で活躍した小田雄三の得意技。1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定に際しては講道館では新名称の候補に挙がったが、採用されなかった[5]。講道館技研究部において1955年頃、「大外腰」の仮称を与えていた[6]

大外掛

大外掛(おおそとがけ)は相手を右後隅に崩し相手の体重ののった右脚に後ろから自身の右脚を掛け、相手を後ろに仰向けに掛け倒す大外刈[7]。1982年の「講道館柔道の投技の名称」制定に際しては講道館では新名称の候補に挙がったが、採用されなかった[5]

首刈倒

首刈倒(くびかりたおし)は釣手の右手で相手の左前襟を取り、右前腕を相手の喉にあてての大外刈[8]

類似の技

大外車とは脚を掛ける相手の脚の数、大外落とは脚の使い方で、それぞれ異なる。両脚を刈って、脚を伸ばして支点にして、回転させて投げると、大外車となり、小外掛の様に、縦に踏み込んで引っ掛ける様に倒して投げると、大外落になる。また、相手に体重をかける様に、巻き込んで浴びせ倒すと大外巻込となる。また、大外巻込から、釣り手を持ち替えて、相手の腕を上から腋に挟む様にし、前に投げる様に変化した場合、外巻込とされる場合も多い。

返し技

大外刈系の技への特有の返し技としては大外返がある。また、大外刈をかわして浮落で投げると浮落の変化技大外すかしとなる[9]。相手の大外刈をかわして、逆に大外刈をやり返した場合は、大外刈となる。払腰で返す場合もある。他にはゲオルグリー・ザンタラヤが、大外刈をかわし、後転し、寝技に持ち込む返し技を開発した。ただし、ザンタラヤは相当の運動神経を持ち合わせており、運動神経の有無を問わず、タイミングを計ったり、体をうまく使う技術が必要になる。柔道では禁止技だが右脚に大外刈をかけられたときに相手の軸脚である左脚に背後に大内刈を仕掛ける要領での楔刈もある[10]

脚注

  1. ^ a b c 古賀稔彦『柔道』旺文社〈Jスポーツシリーズ5〉、2001年4月、66-67頁。ISBN 4-01-071825-0 
  2. ^ "柔道技で中1女子死亡=部活中、調査委設置へ―福岡市". Yahoo!ニュース. 時事通信. 2015年5月28日. 2015年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月28日閲覧
  3. ^ 平川昌範 (2019年1月24日). "「小中学生は大外刈り禁止を」 中一の娘亡くした父がネットで発信 全柔連相手に賠償提訴も". 毎日新聞. 2020年10月31日閲覧
  4. ^ 玉嶺生「柔道五教の技と角力四十八手」『柔道』第19巻第5号、講道館、1948年4月、22-23国立国会図書館書誌ID:000000010910-d6073178 
  5. ^ a b 「柔道の投技の名称について」『柔道』第54巻第2号、講道館、1983年2月1日、22頁、国立国会図書館書誌ID:000000010910-d6073590 
  6. ^ 嘉納 et al. 1999, p. 68, 「大外腰」.
  7. ^ 嘉納 et al. 1999, p. 67, 「大外掛」.
  8. ^ 大塚信義『速成柔術講義録 : 附・秘伝死活法』武勇館、名古屋、1916年3月19日、29頁。国立国会図書館書誌ID:000000528951 
  9. ^ 嘉納 et al. 1999, pp. 68–69, 「大外透」.
  10. ^ 嘉納 et al. 1999, p. 128, 「楔刈」.

参考文献

関連項目

  • 鈴鹿サーキット - 自動車競技において鈴鹿サーキットの第1コーナーをアウト側から先行車両を追い抜くテクニックが「大外刈り」と呼ばれる[要出典]中嶋悟が国内レース時代からの得意技とし、それ以降、レース雑誌やレース系のニュース、実況でも鈴鹿サーキットのアウト側からの追い越しを「大外刈り」と呼んでいる。また、転じてコーナーで先行車両をアウト側から抜くこと全般に用いられることもある。

外部リンク


大外刈り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 07:53 UTC 版)

チェリー (プロレスラー)」の記事における「大外刈り」の解説

どっこいしょ!」という掛け声付き放つ続いて「よっこいしょ!」「どっこいせ!」と3連発することもある。

※この「大外刈り」の解説は、「チェリー (プロレスラー)」の解説の一部です。
「大外刈り」を含む「チェリー (プロレスラー)」の記事については、「チェリー (プロレスラー)」の概要を参照ください。


大外刈り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 03:23 UTC 版)

ブレイズ・フィールディング」の記事における「大外刈り」の解説

敵を掴んで地面叩きつけ、後方飛び退く

※この「大外刈り」の解説は、「ブレイズ・フィールディング」の解説の一部です。
「大外刈り」を含む「ブレイズ・フィールディング」の記事については、「ブレイズ・フィールディング」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「大外刈り」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「大外刈り」の例文・使い方・用例・文例

  • 大外刈りという柔道の技
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



大外刈りと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大外刈り」の関連用語

大外刈りのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大外刈りのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大外刈 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのチェリー (プロレスラー) (改訂履歴)、ブレイズ・フィールディング (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS