少年の情報漏洩騒動とは? わかりやすく解説

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少年の情報漏洩騒動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 04:07 UTC 版)

神戸連続児童殺傷事件」の記事における「少年の情報漏洩騒動」の解説

少年法61条では、「家庭裁判所の審判付され少年犯の氏名年齢住所容貌などが明らかとなる記事写真を、新聞および出版物掲載してならない」と規定されている。だが「審判付される前」を狙って新潮社がAの顔写真掲載した週刊誌出版した写真週刊誌FOCUS』(編集長田島一昌)は、1997年7月9日号(同年7月2日発売)で「『14歳酒鬼薔薇聖斗』の学校と殺動機」と題した巻頭の4ページ特集組んだが、同記事中でAの正面からの顔写真掲載したその事実が判明すると、直ち大半大手業者販売自粛決定したが、新潮社回収せず販売強行一部書店販売された(即刻完売)。さらに、翌7月3日発売された『週刊新潮』(1997年7月10日号)にも、目隠し入りのAの顔写真掲載された。7月4日法務省東京法務局)は新潮社対し、『FOCUS』および『週刊新潮』の回収勧告した。これは、メディアによる人権侵犯関連して発行媒体回収にまで踏み込んだ指導をした史上初の事例だったが、新潮社側は拒否。『FOCUS発売直後ウェブサイト犯人顔写真数多く流布された。 また、審判終了後、『文藝春秋』(1998年3月号)に、検事供述調書掲載される事が判明一部販売自粛各地公立図書館閲覧停止措置となる。後の法務省調査で、供述調書革マル派神戸市病院侵入してコピーしてフロッピーディスク保存していたことが判明し塩田明男逮捕された(神戸事件をめぐる革マル派事件)。 立花隆は、これを雑誌掲載するか否かについて当時編集長平尾隆弘から緊急に相談を受け、2時間で7に及ぶ調書精読、「どんなことがあっても掲載すべき」との判断下す少年法61条に抵触するか否かについては、この法令報道することを禁じているのは、あくまで、本人アイデンティティ推知できるような要素であってそれ以上ではない-従って、この調書載せること自体少年法61条に抵触することは全くない判断掲載推薦し文藝春秋』(1998年3月特別号)に掲載された。立花隆自身バッシングが起こることは確実と予想してのことであった立花は『FOCUS』にAの顔写真掲載されたことについては、別の理由から反対している。 その後も『FOCUS』には、Aの犯行記録ノート神戸市教育委員会指導要録など、本来なら外部流出するはずのない資料次々と掲載された。 なお、ワイドショーでAの家を映した際、表札見えたという証言がある。 図書館不買による制裁1997年7月3日札幌市教育委員会図書館全館会議は、神戸事件少年個人情報記載したFOCUS』『週刊新潮』の2誌を当分の間録せず札幌市中央図書館長の保管とし、利用者対す閲覧禁止貸出し禁止決定同年10月20日札幌市議会第一部決算特別委員会で、中央図書館長が「(反社会的な行為行った出版社対する)資料購入停止などの制裁は非常に困難」との認識述べたことについて、市議小田信孝(公明党)は、以下のように図書館不買による制裁の必要を述べた憲法に保障されているように,言論の自由というものを守らなければならないと,これは私は鉄則としてわかっております。しかし,そこで,何度も何度も人権無視をするような,人権じゅうりん繰り返すような週刊誌に対して,これは何もしないで,そのまま放っておいてもいいのかということから見ると,私はこれは黙っておられないなと。何らかの規制なり,何らかのペナルティー今後必要かなと,そういうふうにも考えものですから,この問題取り上げたわけでございます。私は,週刊新潮及び新潮社敗訴した裁判調べました昭和54年2月26日から始まりまして,平成8年12月まで,実に10敗訴しおります。私も,これは本当にしょうがないなというふうに感じるのですけれども,判決の内容見ますと,非常に慰謝料が安いのですよ。要するに,10万円の慰謝料とか,100万円の慰謝料とか,200万円慰謝料こういう判決になってますから出版社にとっては,これぐらい経費最初から見込んでいるのかもしれませんね。しかし,平成入ってからもう6件も敗訴しているのです。これは,確信犯じゃないですか。書きたいように書く,やりたいように宣伝する売れればいい,こういう姿勢書いているのです。ですから,これは,やっぱり市民側からも,こういう週刊誌許せないなという気持ち出てくるのではないでしょうか。私もそういう気持ちなります。そこで,今,こういう事例申し上げましたけれども,図書館こういう週刊誌を買うということは商業主義味方していることになりませんか。私は,不買運動をしてしかるべきだと思うのですよ。 — 小田信孝、1997年10月20日 札幌市議会第一部決算特別委員会 書店側などの対応・反応 問題となったFOCUSに関しては、JRグループ各社駅構内展開するキヨスク運営会社や、地下鉄互助会営団地下鉄駅構内売店経営)、小田急商事や、航空各社日本航空全日本空輸日本エアシステム)の全空港売店セブン-イレブン・ジャパンローソン紀伊國屋書店青山ブックセンターなどが、「少年人権侵害」「反社会的な行為」などを理由に、販売中止したまた、7月2日から3日にかけ、地元神戸市や同市の教育委員会神戸弁護士会などは新潮社対し、2誌の発売中止申し入れ日本新聞労働組合連合抗議声明出したまた、田原総一朗ジャーナリスト)、久田恵ノンフィクション作家)らは『FOCUS』の報道批判灰谷健次郎作家)は7月9日号の発売直後から新潮社抗議し次号には同誌を批判した寄稿文「『フォーカス』が犯した罪について」が掲載された。灰谷その後も、同誌担当重役出版担当重役らと話し合ったが、歩み寄りには至らず、同誌の報道抗議し16日にはそれまで同社から出版していた『太陽の子』『兎の眼』など約30作品文庫本および単行本)の版権をすべて引き揚げることを発表した一方一部書店で『FOCUS』や『週刊新潮』のコピー店長判断により、有料販売され本店から中止命令下された店もあることも報じられた。また、新潟県三条市中心とした地域発行される地方紙三條新聞』(三条新聞社)1997年7月15日付の紙面には、燕市内の一部地域で、問題の『FOCUS』の見開き2ページコピーが、回覧板挟まれ回されていたことを伝え記事とともに回覧されていた顔写真入りコピーそのまま掲載された。三条新聞社側は翌16日付の紙面一面で、「編集部制作部間の連絡ミスよるもの」「コピーそのまま掲載し社会多大なご迷惑をかけた」とする「おわびとお知らせ」を山崎社長名で掲載したが、新潟地方法務局18日付で同社対し人権著しく侵害したとして再発防止を「説示」した。

※この「少年の情報漏洩騒動」の解説は、「神戸連続児童殺傷事件」の解説の一部です。
「少年の情報漏洩騒動」を含む「神戸連続児童殺傷事件」の記事については、「神戸連続児童殺傷事件」の概要を参照ください。

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Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの神戸連続児童殺傷事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

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