少年の更生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 04:07 UTC 版)
「神戸連続児童殺傷事件」の記事における「少年の更生」の解説
法務省は従来の矯正教育計画を見直し、収容期間を2年以上に延長した新課程「G3」を新設し、関東医療少年院は、精神科医や法務省教官など専門家で作るプロジェクトチームを編成した。 精神鑑定で家庭における親密体験の乏しさを指摘されたのに対し、関東医療少年院は男性の主治医を父親役、女性の副主治医を母親役に配するなど「疑似家族」を作り上げるという前例のない治療体制が組まれた。更生は一定の効果を見せたように思えたが、Aが入院して1年ほど経った頃、少年院の工作の実科(授業)で、新聞広告のチラシを切り抜いて画用紙に貼り付け、コラージュを制作した時に、Aは乳児の写真を目や耳、手足など部位別に一つ一つハサミで細かく切り刻んで、それを画用紙にわざとバラバラに貼った作品を作って、「精神と肉体の融合」の題を付けて発表した。また、Aが「理想の母親のような」人と慕う女性精神科医について、院生の一人が「色っぽい白ブタ」と発言し、その途端、Aは物凄い形相で激昂して、近くにあったボールペンを逆手に持って、院生の目を突き刺そうとした。少年院関係者は「この言葉によって、少年の殺意の引き金がひかれてしまい、それまでやっと積んできた矯正教育の成果がパーになってしまったわけだ」と語っている。また、A自身が少年院仲間に「いくら遺族の手記を読んでも、薬を飲んでも、治らないんだよ。僕は性格が異常なんだから……」「闘争と破壊こそ真の世界の姿だが、少年院ではいい子にしていなければ出られないから気をつけなくちゃ……」と発言している。 2001年11月、東北少年院に移送された後に、院生からいじめを受け、さらに院生の一人がたまたま教官の持っていた書類を盗み見たところ、Aが偽名であることが発覚。「お前、まさかあの酒鬼薔薇なのか」と問いかけると、少年がニヤッと笑って頷いたという噂がひろまり、Aの正体が一部の収容者にばれたという。その後、いじめが過激になり、2002年初夏に突然、半裸状態で意味不明の奇声を発し、ボールペンを振り回し、周りを威嚇し始めたという。教官らが駆けつけ、ほかの院生を連れ出し、少年を取り囲んで説得を始めたが、カッターナイフで自分の性器を切り付けたという。Aは直ちに個室に軟禁されて、事情聴取を受けたが、なかなか興奮が冷めず危険なうえ、動揺が激しく、何を言っているのか分からなかったため、最終的に「奇行」と断定された。 この騒動の後、神戸家裁が「少年の犯罪的傾向はまだ矯正されているとは言えない」と判断を下し、2004年末まで少年院収容継続を決定した。しかし、関東医療少年院は2003年3月にAの仮退院を申請している。被害者からは「神戸家裁の判断から半年余という短い期間で突然、少年が変身したとでも言うのか」という批判や疑問の声が上がった。
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