奥州国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/18 21:21 UTC 版)
野上 高明 59歳、青森県知事で東北六県の知事会長でもある。中央政界にあった頃は次期首相と目される人物であったが引退し、帰郷して知事となった。東北の他県の知事からの信頼も篤い。恩師の指示で訪ねてきた刑部から飛蝗禍の説明を受けると直ちに対応策を立て始め、盛岡市の岩手県合同庁舎内の知事執務室を改装した〈東北六県知事会議室〉において、〈タスク・フォース本部〉による被害予測を参考に他県知事らと協議を重ねる。いっぽうで刑部を見込んで東北地方守備隊の総隊長に任命し、さらに自分の娘・香江と結ばせる。奥州国の独立宣言をし、暫定政府の首相に就く。総白髪で鋭い双眸をもつ威厳のある容貌と描写される。東北地方の人々を救うため「私が憲法、法律である」とまで言い切る強靱な意志をもつ。 刑部 保行(ぎょうぶ やすゆき) 35歳、青森県出身。弘前大学理学部生物学科の講師で昆虫を専攻。恩師に指示され野上知事と会い、彼に飛蝗対策委員会の責任者に任じられる。野上との面会を重ねるうちに彼のために命を賭ける覚悟を固める。彼の娘香江に引き合わされ、さらに東北地方守備隊の総隊長に任ぜられる。奥州国独立後の戦争を戦い続け、岩手県の山伏トンネルから湯田町への移動中に追跡部隊のAH-1 コブラの攻撃で死亡。なお、漫画版では山伏トンネルで攻撃されたのは囮部隊であり、刑部は最後まで生存している。 野上 香江(のがみ かえ) 野上の娘。尊敬する父の勧めに従い刑部と結ばれる。東北地方守備隊の一員となり指揮にあたる。青森市内での市街戦のさなかに死亡。 長田 俊一 青森県警察本部長。野上に指示され、6県各警察と東北地方守備隊とともに取り締まりを行うことに。しかし警察庁からの命令により県警機動隊を備蓄米搬出のため差し向け、搬出を拒む野上の説得にもあたった。今後守備隊と敵対することを心配し辞職を考える。 永臣 義介 青森県公安委員長。国家公安委員長の指示を受け、警視庁の要請を受けて備蓄米搬出のため関東の県警に応援を依頼する。県民を裏切ったという意識に苦しみ野上に辞意を伝える。 矢神 鋭介 野上の援助で大学を卒業し、警察庁に勤務していたが、野上に請われて辞職。警視庁公安特科隊員の平賀忠宏と陸幕二部別室所属の諜報員・甲斐竜二と原田捨吉、警察庁の公安課員1人、公安調査庁職員1人を引き抜いて野上の元へ。彼らは諜報活動を専門にし、東北地方守備隊に政府の派遣した潜入捜査員がいることも掴む。矢神は野上と最後まで行動し、彼の遺体を運び去る。 尾形 哲造 九州出身。自衛隊では陸将で第一空挺団の団長であったが、部下の植田直之、島田惟道とともに辞職し、野上のボディガードとなる。東北地方に縁はないが、空将補の頃訓練中に隊員を死なせ野上に助けられた借りがあって野上の招きを受け、戦争屋として独立戦争を戦い抜く。野上と最後まで行動し、追っ手を倒すが自身も銃弾を受けてしまう。 後藤 哲三 秋田県出身。自衛隊を辞めて仲間と共に守備隊に参加し、本隊より機動性の高い混成団を結成して隊長となる。彼らが青森県を中心に婦女暴行や略奪を繰り返したことで守備隊本体への信頼が失墜。彼はさらに強盗団も暗躍させていた。軍需産業のM社の別荘に潜んでいたところを仲間もろとも尾形らに爆殺される。 矢代 悦男 秋田県東成瀬村の分村檜山村の出身。秋田市内の農業機械製造工場で働いていたが飛蝗禍で倒産し、東北地方守備隊に入って分隊長を務める。一度は隊を辞めて家族と共に東京へ向かうが、独立宣言を聞いて戻り、最後まで野上を守り続ける。川島に野上を刺殺され、泣きながら川島を刺し殺した。漫画版では未登場。 川島 安弘 政治学者で野上のブレーン。東北地方守備隊が奥州国成立後に〈奥州国警備隊〉に改称されたがその参謀も務める。盛岡市が爆撃され奥州国議会(旧岩手県庁舎)などが破壊された後、わずかな人数で鶯宿に逃れた野上らと行動を共にしていたが、東京在住の彼の妻を人質に日本国側のスパイから脅迫を受けていたため、隙を見て野上を刺殺。直後に矢代に殺される。漫画版では、刑部によって射殺されている。 北村 義重 奥州国警備隊青森隊の隊長。第七師団第二三連隊が青森港に強行接岸した際、警備隊と集まった市民らとで阻止にあたり、背後から制圧に来た第九師団第五連隊とも乱闘になる。その最中市民側が武器を奪って反撃し、自衛隊員200名が死亡する事態に。この後東北内の各師団からの武器を持ち出しての脱走が相次ぐ。武力衝突を避けようと各県警備隊の隊長を説得していた刑部は当初、自衛隊との戦闘のため緊急動員をかけた北村に反発した。 原田 秋田県岩城町出身。第九師団所属の自衛隊員だったが「奥州国生まれ」の仲間と共に脱走。青森市の市街戦を生き残り、刑部と共に十和田市そして湯田町まで転戦。 東北各県知事 加藤 兵吉(岩手県知事)、納谷 十次郎(宮城県知事)、板坂 治助(秋田県知事)、兼松 鉄造(山形県知事)、能見 博哉(福島県知事) 野上を深く信頼し、国務大臣に就任し共に奥州国の運営にあたる。奥州国の首都となった盛岡市が爆撃され、政府が闇に潜んだ後、知事たちは日本国の法廷で独立の正当性を訴えるべく自ら日本国側に逮捕された。 東北から選出の国会議員たち 与党所属の47人の衆議院・参議院の議員たち。幹事長・曲垣に要求して地方行政委員会と衆院予算委員会を開かせる。その1人、明野数重が非常時大権付与の動議を出したが、野上が取り消させる。彼らは野上の独立宣言の直後に政府に辞任を告げ日本国を去り、奥州国において国務大臣となる。盛岡の政府が崩壊した後は闇に潜んで移動政府となり、独立戦争を続けるはずだった。 斎藤 吉則 十和田市長。青森市を壊滅させた第九師団の進軍を止めるべく、市民に呼びかけ1万人を蜂起させ、自らも最前線に座り込む。しかし十和田市は六一式戦車による砲撃を受け炎上する。 秋野 平造 青森県出身。理学部教授。刑部の東京大学農学部時代の恩師であり、同郷であることから刑部は在京時から秋野をしばしば訪ねていた。日本では数少ない飛蝗の研究者。 篠村 良吉 関西出身。情報工学者。秋野に請われて岩手県合同庁舎内の〈タスク・フォース本部〉に参加し、東北大学と福島大学の大型コンピュータ4台をオンライン接続して飛蝗被害のシミュレーションを作成する。野上に惹かれ、独立宣言後も奥州国に留まる。
※この「奥州国」の解説は、「蒼茫の大地、滅ぶ」の解説の一部です。
「奥州国」を含む「蒼茫の大地、滅ぶ」の記事については、「蒼茫の大地、滅ぶ」の概要を参照ください。
- 奥州国のページへのリンク