古代史小説とは? わかりやすく解説

古代史小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 03:00 UTC 版)

黒岩重吾」の記事における「古代史小説」の解説

1970年代後半から、以前より関心のあった古代史舞台にした歴史小説執筆始める。少年時代百舌鳥古墳群古市古墳群など古代史舞台となった場所で遊んで育ち宇陀中学では当時「わが校は日本発祥の地にある」と強調されており、また飛鳥中心にして古墳利用するなどの軍事練習をしていたこと、1972年高松塚古墳壁画発見契機とした古代史ブーム触発されたのがあったのが執筆の動機だった。 1976年に『歴史人物編集長勧められて、壬申の乱での大海人皇子天武天皇)と大友皇子弘文天皇)の争い題材にした『天の川の太陽』を連載する続いて推古天皇即位するまで蘇我馬子物部守屋闘争の時代を描く『紅蓮女王』を『黒岩重吾長編小説全集月報連載し、こちらが先に完結して刊行された。その後大化の改新前夜時代舞台蘇我入鹿主人公にし『落日皇子』を執筆。『日と影の王子』では聖徳太子生涯、『天翔る白日』は天武朝期における大津皇子悲劇的な生涯描いている。これらは、『日本書紀』『古事記』独自に読解し、また舞台となった土地にも取材し時に通説異なる独自の歴史解釈想像盛り込んでいる。 『天の川の太陽』については「激動期生きた人間物語」「大海人皇子仕えた舎人達も主人公といって良い」と自身語っている。『弓削道鏡』では、『続日本紀』などをもとに道鏡栄達への道のり孝謙天皇との関係を描き、「ひとりの無位青年が、ふつうなら手のとどきようもない女性愛恋におちる。その過程結末を描く純愛物語です」と語った。 これらの執筆方法について「私なりに勉強してきた二十数年知識土台に、時にイマジネーション駆使して推理し分析するということです。そうでなければ作家である私が古代史の謎に取り組む意味がない」、及び「やはり人物対す人間的な共感ですね。それが湧いてなかったら、いくら歴史的に見て面白題材でも、事件人物に関するイメージはっきりしてこない」「滅びるのがわかってて、大きな流れの中で自分なりに必死に抵抗している姿というか生きざまの方を僕は書きたいですね」と述べている。『日と影の王子』終章では、作者独自の見解として厩戸王子十七条憲法作ったかどうか大王地位就いた蘇我入鹿圧力政治から身を引いたではないかといった自説述べたのに続いて歴史に関するエッセイ様々な説述べ1991年見瀬丸山古墳内部撮影された際には、「私の推古女帝観がが根底から揺らぐような事実判明した。」と、自説見直しもしている。また古代史ブームについては、高度成長期過ぎた日本での「時代流れの中で生まれた日本人の血と日本民族特有の知的欲求産物」とも述べている。これら古代史小説は、古代の中国朝鮮半島情勢影響考慮した独特の歴史解釈と、現代小説とも共通する人間分析特徴となっている。 1980年に『天の川の太陽』で吉川英治文学賞受賞1992年には一連の古代歴史ロマンにより菊池寛賞を、「古代に材をとり巷説伝承越えて雄大な構想艶やかな情感で、時代光芒放つ新し人間像創出し一連の歴史ロマンに対して」として受賞している。他の代表的な作品に『白鳥の王子ヤマトタケル』などがある。1984年から直木賞選考委員奈良文学賞選考委員務めた自伝的小説として、宇陀中学時代振り返る「春の傷」(1993年)、流行作家時代趣味クルーザー釣りしながら様々な想念耽るボート物語」(1992年)、長年交流があるノンフィクションライター長編小説廃虚の唇』『詐欺師の旅』の題材得たともいうS氏についての「跫音」(1993年)、「の顔」(1993年)、86歳で亡くなった母の死振り返る「或る戦士」(1991年)、「脳死残映」(1994年)なども執筆した2003年肝不全により死去死後書斎から、入院中に完成させた『闇の左大臣 石上朝臣麻呂』の連載最終回原稿発見され陳舜臣田辺聖子津本陽北方謙三追悼文とともに掲載された。 人物評として、水上勉文壇のどの徒党にも属さない一匹狼」、瀬戸内晴美きゃしゃ繊細で、どこか痛々しい感じのする外貌をもつが、実はタフでねばり強く、けんかに強く女にも強いスーパーマンである。しかし神経だけは外貌のごとく繊細である」がある。大阪生まれ育ったが、東京出身の母の影響大阪弁よりは標準語に近い喋りと言われた。またヘビースモーカーだったが、1970年頃に入院した際に禁煙し10年後から量を減らして喫煙再開した弟子難波利三がおり、難波が『てんのじ村』で第91回直木賞候補となった際、連城三紀彦単独受賞もおかしくなかったところを黒岩猛烈に後押しして難波同時受賞実現した

※この「古代史小説」の解説は、「黒岩重吾」の解説の一部です。
「古代史小説」を含む「黒岩重吾」の記事については、「黒岩重吾」の概要を参照ください。

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