古代史関連の活動
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在学中から古代史に関心があり、やがて歴史の基礎資料ともなる古代及び中世の氏族の系図・系譜に目を向けるようになる。官僚として各地で勤務するかたわら、地道な研究を長年続け、古代氏族にかかわる系譜を探るなかで、幕末〜明治期の国学者である鈴木眞年の系図研究の重要性を見出し、全国各地の資料館、寺社などを歩き、鈴木眞年のかかわった系図史料をくまなく渉猟している。 大阪国税局の調査部長であった1986年、それまでの系図研究の成果を『古代氏族系譜集成』として発表、系図研究の世界に少なからぬ衝撃を与えた。歴史研究者はもとより、系譜学の泰斗、太田亮もほとんど認識せず、系図研究者たちからもほぼ忘れられていた鈴木眞年の研究業績を掘り起こし、その収集した多数の系図を総合的に活用することで、従来、不明とされていたいくつかの系譜について理解の糸口が明らかにされたからだ。宝賀は、鈴木眞年の同学の士で盟友の中田憲信についても、その業績を発掘し再評価をしている。 『古代氏族系譜集成』の刊行後、鈴木眞年、中田憲信に対する関心は高まった。雄松堂書店から、二人にかかわる系図史料などを収めたマイクロフィルム『諸家系図史料集』(「諸系譜」「百家系図」ほか)が発売され、絶版となっていた鈴木眞年の伝記『鈴木眞年伝』も復刻されたが(大空社、1991年)、同書では宝賀が解説を記している。『古代氏族系譜集成』の発刊から3年後に出た『系図研究の基礎知識』(近藤安太郎)は、鈴木眞年の系図学を詳細に紹介し、現在に続く再評価の流れを決定づけた。 その後も、「姓氏と家系」「家系研究」など系図関連の研究誌では中世武家の系図に関する論考を、「古代史の海」誌などにおいては古代史と海人族に関する論考を精力的に発表し、古代史や古代・中世の氏族の系譜を題材とする研究を相次いで出している。2012年、古代氏族についての研究の集大成となる「古代氏族の研究」シリーズの刊行が始まり、既に数冊の刊行もなされている。国宝指定されている「海部氏系図」については、疑義があるとの説をとっている。 2009年、日本家系図学会の会長に就任、2011年からは家系研究協議会の会長も兼任して、系図研究の活動を幅広く続けている。日本家系図学会、家系研究協議会はいずれも全国各地に会員を持つ系図についての研究者団体。
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