元勲とその家族
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大隈重信(おおくま しげのぶ) 演:大倉孝二 佐賀藩出身。大蔵大輔。 「減らず口」と評されるほどの能弁家で、新政府への出仕を拒否する栄一を口説き落とす。佐賀弁で話し、「あるんである」が口癖。栄一の上司として「改正掛」の設置に協力するほか、築地の自邸で官吏たちと日夜交流を重ねる。栄一ら旧幕臣を多く登用して改革に当たらせるも、これにより大久保と対立し、大蔵大輔を罷免される。 栄一と井上の退官後、大蔵卿に就任。「政府に素直に動く商人」として三菱商会の岩崎弥太郎に肩入れし、その事業を支援する。大久保の死後、政府の最高実力者の一人となるが、北海道事業や国会開設を巡って伊藤・井上と関係が悪化し、明治十四年の政変で失脚する。下野後は政党を結成し、三菱の後方支援を受けて政府に対抗する。 大正に入り、元勲が多く世を去る中で内閣総理大臣に就任し、日本の第一次世界大戦への参戦を決める。大正8年には体調を崩しており、見舞いに来た栄一からワシントン軍縮会議に合わせて渡米することを告げられると、「アメリカと戦争の道に進んではならない」との思いを託す。栄一が渡米中の大正11年(1922年)に死去。 井上馨(いのうえ かおる) (井上聞多 → 井上馨) 演:福士誠治 長州藩出身。通称は聞多(もんた)。 伊藤とともに下関戦争の講和にあたる。 維新後は新政府に入り、大隈の後任の大蔵大輔に就任し、栄一の新たな上役となる。廃藩置県の断行を決意すると、改正掛に対策を命じる。明治6年(1873年)、予算配分を巡って大隈と衝突し、栄一と連名で政府の財政を批判する建議書を新聞に掲載し辞職。一時期は実業界に身を置くが、その後、政府に復帰する。明治十四年の政変後は権力を握った伊藤を補佐。政府に対抗する大隈を抑えるため、彼の資金源である三菱の海運独占を打破するよう栄一たちに依頼し、共同運輸会社の設立を援助する。 大正4年(1915年)、体調を崩している中、日本の第一次世界大戦参戦に快哉を叫んで倒れ、死去。 伊藤博文(いとう ひろぶみ) (伊藤俊輔 → 伊藤博文) 演:山崎育三郎 長州藩出身。通称は俊輔(しゅんすけ)。 イギリス公使館焼き討ちなどに参加する過激な攘夷志士だったが、渡英を機に開国派に転じ、井上とともに下関戦争の講和にあたった。 維新後は大蔵少輔に就任。部下の栄一が改正掛の設置を提案すると、これに賛同する。やがて専横を強めていく大隈の存在を危惧し、明治十四年の政変で大隈を政府から追放、政治の主導権を握る。三菱の岩崎弥太郎を卑怯だと非難する栄一に対し、自分の正しさを主張するために敵の悪口を言うのもまた卑怯だとたしなめる。その際、日本独自の憲法と議会を作る構想を語り、「一番大きな目で日本を見ているのはあなたなんじゃないでしょうね」と栄一を驚かせた。明治18年(1885年)、内閣制度が発足すると初代内閣総理大臣に就任する。 明治42年(1909年)、渡米する栄一に「アメリカを任せた」と伝え、自身は満州・朝鮮問題の解決のため日本をあとにするが、ハルビン駅で韓国の運動家の安重根に暗殺される。 岩倉具視(いわくら ともみ) 演:山内圭哉 公家。官名は中将。 幕府が和宮の降嫁を求めてくると、これを機に幕府を意のままに動かすべく、降嫁の許容を孝明天皇に求める。だが、それにより尊攘派から恨まれ、蟄居に追い込まれる。 その後は討幕派となり、密かに大久保と討幕の密勅を引き出すべく運動する。 明治維新後は大納言、右大臣に就任する。天皇による親政を望んでおり、建武の新政の二の舞になりたくないと考え、西郷を鹿児島から連れてきたり、欧米に外遊したりなど、政府を強くすべく奔走。 栄一とはたびたび衝突するが、その手腕を見て時代の変化を痛感する。明治16年(1883年)、病床で天皇の幻を見て恍惚の表情を浮かべながら死去。 三条実美(さんじょう さねとみ) 演:金井勇太 公家。 攘夷派で、上洛した慶喜・春嶽に対し攘夷の期日を決めるよう要求する。 長らく追放されていたが、明治維新に伴い政界に復帰し、太政大臣に就任する。栄一が大久保と対立し、辞職しようとした際には引き止めに回っている。その後、インフルエンザにより死去したことが栄一によって語られる。 大久保利通(おおくぼ としみち) (大久保一蔵 → 大久保利通) 演:石丸幹二 薩摩藩出身。通称は一蔵(いちぞう)。 久光の側近として、公武合体を実現するために上洛し、裏工作に奔走する。その後、慶喜に罵倒されて幕府を倒すと言い出した久光に対し、今は兵を整え、将来の戦に備えるべきだと助言する。慶喜が禁裏御守衛総督に就任すると、上京した西郷にあとを任せ、自身は久光とともに薩摩へ帰り、討幕の機会をうかがう。 その後再び上洛し、岩倉と協力して討幕の密勅を引き出すことに成功するも、慶喜に先手を打って大政奉還されてしまう。巻き返しを図って王政復古の大号令を実行する。 明治維新が成ると参議に就任する。旧幕臣の起用に慎重で、急進的な改革を進めていく改正掛に反感を強める。軍事費の予算編成を巡って栄一の反発に遭うと、改正掛を解散させる。一方で栄一の能力は認めており、蚕卵紙の価格が暴落する問題が起こると、退官した栄一を説得して解決を依頼する。 大蔵卿、次いで内務卿に就任し、政府の指導者となるも、紀尾井坂の変で暗殺される。 西郷隆盛(さいごう たかもり) (西郷吉之助 → 西郷隆盛) 演:博多華丸 薩摩藩出身。通称は吉之助(きちのすけ)。 久光が目指す公武合体の実現のため、大久保のあとを追って上京する。折田要蔵の弟子入りと称して薩摩藩の動きを探っていた篤太夫と出会い、彼と豚鍋をつつきながら日本の前途を語り合う。橋本左内とはともに慶喜を将軍にすべく奔走した仲であり、橋本が賢すぎたがゆえに井伊によって処刑されてしまったことを挙げ、円四郎も気を付けるよう忠告する。その後、慶喜に大政奉還をされ、小御所会議でも山内容堂や松平春嶽らに論破されてしまった大久保に対し、「戦がしたくなければ、やりたいようにするだけじゃ」と言い放ち、江戸市中で騒動を起こさせ、無理矢理徳川方に兵を挙げさせる。 戊辰戦争後は身を引き、薩摩で隠退する。だが、明治政府が一向に腰が据わらぬことに不安を感じた岩倉・大久保に説得されて、政治改革のため上京し、参議に就任する。しかし、その後一向に一つにまとまらぬ政府に次第に呆れるようになり、「慶喜公に申し訳が立たん」と栄一にこぼす。政府内での自分の立場に居心地の悪さを感じる栄一に「まだいろんな道が開いちょる」と助言し、背中を押す。 岩倉使節団の帰国後、政府内での対立により下野。西南戦争で戦死する。 江藤新平(えとう しんぺい) 演:増田修一朗 司法卿。佐賀藩出身。 留守政府で予算案を巡って井上と対立する。下野後、佐賀の乱を起こす。 大隈綾子(おおくま あやこ) 演:朝倉あき 大隈重信の妻。小栗忠順の縁戚。 気が強く、表だっての助言もはばからずに夫を支える賢夫人。 井上武子(いのうえ たけこ) 演:愛希れいか 井上馨の妻。 夫とともに渡欧した経験があり、西洋式の社交術を身につける。 井上末子(いのうえ すえこ) 演:駒井蓮 井上馨の養女。
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