個別の11人の関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 05:25 UTC 版)
「攻殻機動隊 S.A.C.シリーズの登場人物」の記事における「個別の11人の関係者」の解説
合田一人(ごうだ かずんど) 声 - 西田健 内閣情報庁(内庁)戦略影響調査会議代表補佐官。多国籍企業ポセイドン・インダストリアル(旧大日本技研)の元社員で、第三次核大戦で被曝した日本の復興を支えた放射能粉塵除去技術(日本の奇跡)を「プロデュース」する。その後防衛局に就職し、優秀な理系のエリートながら落ちこぼれ組として扱われていたが、その後ヘッドハンティングされて内庁入りし、頭角を現して代表補佐官に就任した。 かつては英雄に憧れてカリスマを得たいと本気で考えており、「日本の奇跡」のプロデュースによって社会的地位と名声・権力を得ることを期待していたが、あくまでも「口だけが達者なプロデューサー」に過ぎなかったため、社会は彼が望む評価を下すことはなかった。このことから「社会が自分を評価してくれなかったのは、自分に英雄に必要なカリスマ性がないから」と考えるようになり、その後は自らが「英雄」になるのではなく、動機なき者達(国民)が切望し、しかし、声を大にして言えない事を代弁し実行してくれる行動者(英雄)を作り出すことを目的として「個別の11人」をプロデュースしている。合田自身は日本を「第三者を消費する事でのみ成立する桃源郷(冷戦構造下の日本)」に変える(再現する)ことを目論んでいた。 国内外の情報収集・分析・自衛軍の活動等において数々の非合法な情報操作を指揮し、米帝CIAとは内庁の高官という立場を利用して難民問題を米帝に有利なように取り計らったり、日米安保改定において米帝主導の安保を継続させるよう働きかける見返りに、米帝への亡命後の高い地位を約束されていた。このように一見すると米帝側の人間のようだが、彼なりに日本の現状を憂いて行動しており、実は米帝と中国による冷戦構造の中で日本が中国の側についてもかまわないとも考えており、親中派の茅葺首相が中国に助けを求めるシナリオまで描いていた。 元々はのっぺりとした印象が残らない顔に背広を着込むという目立たない外見だったが、ある時死線を彷徨う事故に遭遇し、顔の右半分が抉れるほどの大きな傷跡が残った。しかし、この顔は敢えて義体化せずにそのままにしている。合田自身はこのインパクトが強い顔を、自分の名前とセットで相手の記憶に残ることから気に入っていた。 フルネームの表記が出てきたのは第4話「天敵 / NATURAL ENEMY」の1シーンのみで、エンドロールの声優紹介欄では「ゴーダ」と表記されている。 彼は童貞であるが、そのことは個別の11人にも多少関連している。童貞であることを、英雄の資質の一つと考えている。 監督の神山健治によれば、キャラクターのイメージは『アマデウス』のサリエリを下敷きにしている。一人という名前はスタンドアローンであることと、野球監督の鶴岡一人から。 38歳。身長177.5cm。体重68kg。血液型AB型。義体化率16%。(第8話参照) クゼ・ヒデオ 声 - 小山力也 元陸上自衛軍の軍人。世界有数の造顔作家が手がけた美しい造形の義顔(表情を持たない割には整っているという意味であり、突出した美形という訳ではない)と、耐用年数切れながらPKF仕様の高度な完全義体を有する。 2024年、朝鮮半島新義州にPKFの一員として渡った時に遭遇した出来事によって人生に達観し、好みの情報を摂取して踊らされた結果として国が滅びたにも関わらず、その事態に無責任な難民達がクゼを落胆させる。しかし、幼少期から全身義体であったために心身の不一致に悩んでいたクゼに多大な生きる希望を与えたのも、出島に招慰される前の難民達であった。そこでクゼは、難民に対する復讐と救済として、「難民の記憶とゴーストをネット上に運び去り、ネットと融合させて新たな生命体として進化しようという思想」を構想し、それを革命という形で実行していく。 その後、難民問題を悪化させるために合田が放ったウイルス“個別の11人”に感染し、義体化以前童貞(義体化後は不明)だったため発症するが、革命の目的達成のために難民のリーダーとして行動することが最善の手段であると考えていたクゼは、“個別の11人”による難民解放という目的達成のための難民攻撃という思想が思想誘導であることに気付き、ウイルスの分離に成功する。健康体となったクゼはハブ電脳を介しておよそ300万人の難民の指導者となり、難民の支持を得るべく、出島難民居住区を日本政府に独立国として認めさせるために核武装するという壮大な構想を提起し、実行していく。 難民の記憶とゴーストをネットに運び去り強制的な進化を得るという革命は成功すれば救済となるが、失敗すれば大量殺戮となる。その場合は、かつて人生を達観した時に最も自分自身を失望させた、無責任に孤人の複合体としてネットというインフラを食い潰してきた者達への復讐としての革命となるのだと理論付けている。タチコマからは、記憶をネットに保存したところでゴーストは宿らないのではと指摘されていたが、『S.S.S.』では、タチコマ達は、クゼが難民たちの記憶を転送するはずだった可処分領域に自分たちの共有記憶を残しており、可処分領域を漂流している記憶の残滓を素子によって再構築され、タチコマ達は〝ゴースト〟を取り戻している。 劇中では片仮名表記だが漢字名表記では「九世 英雄」とされる。 13話時点で、身長178cm、血液型B型であるが、他の項目は全て「Unknown(不明)」となっていた。PKFに参加して手に入れた義体は耐用年数を大幅に超えているため性能は著しく低下しているが、その状態でもバトーと白兵戦をして勝利している。 表情に拘って作ったフェイスパーツであり、顔面には神経ネットワークを定着させるためのマイクロマシンを敢えて注入しなかったため、表情筋を動かすことがほとんどできない。口はリンゴを囓る程度なら動くようである。クゼが口を動かす描写は2箇所のみであり、自決直前の移動中の会話で「頼む。誰か『個別の11人』を…」と発言した際、最終話にマイクロマシンを射たれ倒れこんだシーンである。 『東のエデン』において2011年2月14日に、羽田沖で「11発目のミサイル」が旅客機に直撃し、6歳児の男女2名を除く乗客乗員236名が死亡する大惨事が起きているが、この時に奇跡的に救出された男女2名の6歳児は、幼少時の素子とクゼである事が示唆されており、搬送先の病院で死んだと幼少時のクゼが勘違いした女の子(素子)のために、左手しか動かない体で鶴を折り続けたエピソードに沿って、最期は鶴を折っている。 パトリック・シルベストル 革命評論家。前作のJ.D.サリンジャーとは異なり、架空の人物である。 五月革命に遭遇したことで革命指導者への憧れを掻き立てられ、歴史的な革命の流れについての考察9編と自身の遭遇した五月革命についての評論1編の計10編を『初期革命評論集』として出版している。これは発表当初は大きな話題とはならなかったが、その後熱狂的な個別主義者達の聖典となっていった。 彼の思想は「ただ一度の人生を革命指導者として生きるなら、それは至高のものとして昇華する。英雄の誕生はその死を持って完結し、永遠を得る。」というものである。 事実、彼はルーマニア革命に身を投じその生涯を終えている。 パトリック・シルベストルのモデルは三島由紀夫であり、『初期革命評論集』も三島由紀夫の『近代能楽集』がモデルになっている。
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