個別の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/15 16:56 UTC 版)
半環の原型的な例は、自然数全体の成す集合 N(ここでは 0 を含む)に通常の加法と乗法を考えたもの(自然数半環)である。非負有理数の全体や非負実数の全体も同じくして半環を成す。以上の例は全て可換半環である。 各成分が非負な n-次正方行列の全体は、通常の行列の加法と乗法に関して非可換半環を成す。同様の仕方でより一般に、任意に与えられた半環 S に成分を持つ正方行列の全体は半環を成し、S 自身はたとえ可換であったとしても、この行列半環は一般に非可換となる。 可換モノイド A に対し、自己準同型 f: A → A の全体 End(A) は、点ごとの和を加法とし、写像の合成を乗法として、半環となる。加法および乗法の単位元はそれぞれ、零準同型(零値写像)と恒等写像で与えられる。A が自然数全体の成す加法モノイド(自然数モノイド)であるとき、自然数半環は End(A) として得られる。あるいは半環 S に対して A = Sn であるとき、(自己準同型を行列と同一視すれば)End(A) は S-係数の n-次行列半環になる。 環を成さない半環の最も簡単な例は、二元ブール代数(英語版) B で、これは可換半環を成す。 自然数係数多項式の全体 N[x] は可換半環を成す。実はこれが単項生成な自由可換半環を与える。 個別の環、例えば整数全体 Z や実数全体 R の成す環は、それ自身が半環の個別の例を与える。 熱帯半環 R ∪ {−∞} は、max(a, b) を半環の加法(単位元は −∞)、通常の加法を半環の乗法(単位元は 0)として、可換冪等半環を成す。加法演算として max の代わりに min を考えて R ∪ {∞} を熱帯半環として定式化することもできる。 任意に与えられた無限基数に対して、その基数よりも小さな基数(濃度)全体の成す集合は、基数の加法と乗法に関して半環を成す。あるいは、内部モデル(英語版)での基数全体の成す集合は(内部モデルでの)基数の加法と乗法に関して半環を成す。
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