個別のケース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 15:27 UTC 版)
「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」の記事における「個別のケース」の解説
2009年10月には福岡県柳川市で、アメリカと日本の二重国籍の男性が、子供を母親から略取し、アメリカの領事館に逃げ込もうとしたところを、未成年者略取の容疑で警察に逮捕される事件が発生した。報道によると、男性は妻の父親の援助で九州大学の医学博士を取得した後に結婚、日本に帰化、日本で東京証券取引所マザーズに上場している製薬関係のベンチャー企業の社長になるなどしていたが、アメリカの大学時代のガールフレンドと不倫の挙句、日本に家族を残し渡米。妻と子供たちがその後を追ってアメリカの空港に到着した翌日に離婚を申請。訴訟において、財産の半分と私養育費も支払う代わりに母と子はテネシー州内に滞在し、子が年に4か月間父と暮らすこと、父母のどちらかが子と州外に引っ越す場合は事前に相手に連絡し同意を得ることなどが裁判所の調停で定められた。男性は離婚の裁定が出た1か月後に同じように離婚した愛人と結婚している。その後母親が裁判所における取り決めに反して無断で子どもを日本に連れ帰ったため、テネシー当局は母親の逮捕状を発行している。 逮捕された父親は罪を認め反省を示したため、起訴されなかった。 このケースにおいて、もし日本が条約を批准していたとしても、子のアメリカ滞在が短いため、常居所地がアメリカと認定されるとは限らず、子がアメリカに強制的に送還されて問題が解決するとは限らない。さらに、条約を批准していない現状においても、父親から子の引渡しを求める法的手段は存在するため。 その後、父親が元妻に損害賠償を求めた民事訴訟で、米テネシー州の裁判所は、慰謝料など610万ドル(約4億9000万円)の支払いを元妻に命ずる判決を下した。 これらの事案とは逆に、外国国籍を有する親によって子供が日本から外国へと連れ去られる事件も発生している。
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