三苦とは? わかりやすく解説

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さん‐く【三苦】

読み方:さんく

仏語心身悩ます3種の苦。寒熱飢渇病気などそれ自体が苦の苦苦(くく)、楽事が破れて苦に変わる壊苦(えく)、世の無常から受ける行苦(ぎょうく)。


苦 (仏教)

(三苦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/07 02:52 UTC 版)

仏教用語
パーリ語 dukkha
(Dev: दुक्ख)
サンスクリット語 duḥkha
(Dev: दुःख)
日本語
英語 suffering, pain, unsatisfactoriness, etc.
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仏教における(く、: dukkha: दुःख, duḥkha: sdug pa)とは、苦しみや悩み[1]、精神や肉体を悩ませる状態を指す[2]。対義語は

仏教は無常、苦、無我の3つで三相を形成する[3]四諦の4つすべては苦に関する真理である[4]。仏教は、この苦の滅尽をめざす学問体系である。

語源

「ドゥッカ」の「ドゥッ」(duḥ = dus)は、「悪い」という意味、「カ」(kha) は「空間」、「」の意味である。ウィンスロップ・サージェント(Winthrop Sargeant)によれば、「ドゥッカ」という言葉は車軸が真ん中を通っておらず、乗り心地の悪い様に由来するという。サージェントによれば、ドゥッカとは、もともと「悪い車軸の穴」というような意味をもち、転じて「不快」を意味した[5]

四苦八苦

四諦のひとつ、苦諦で説かれたもの[6]

  • 生苦
  • 老苦
  • 病苦
  • 死苦
  • 愛別離苦
  • 怨憎会苦
  • 求不得苦
  • 五蘊取蘊

二苦

三苦

苦の持つ様相・状態(dukkhatā)を三苦といい、苦苦、壊苦(えく)、行苦の三つである。

Tisso imā āvuso dukkhatā, dukkhadukkhatā saṅkhāradukkhatā vipariṇāmadukkhatā. Imā kho āvuso tisso dukkhatāti.

友よ、苦には三相がある。苦苦相、行苦相、壊苦相。友よ、これが三苦相である。

様々な解釈

「dukkha」と「苦しみ」は異なり、「苦しみ」は、dukkhaの一部にすぎないとする立場もある[7]アルボムッレ・スマナサーラによると、釈迦の説くdukkhaは、現代語の「苦」とは別物である。現代語の苦は具体的には、肉体的な苦痛と精神的な苦痛とがあるが、スマナサーラによれば仏教で説くdukkhaには、「苦しみ」、「虚しい事」、「不完全である事」、「無常である事」の4つの意味が含まれるという[8]

英訳について

仏教経典の現代的な翻訳者は、さまざまな英単語を使用して duḥkha の側面を伝えている。初期の西洋の経典翻訳者(1970年代以前)は、一般的にパーリ語の dukkha をsufferingと翻訳していた。後の翻訳者は、sufferingでは duḥkha という用語の翻訳が限定的すぎることを強調し、duḥkha と未翻訳のままにするか、anxiety、stress、frustration、unease、unsatisfactorinessなどの用語でその翻訳を明確にすることを好んだ[9][10]。多くの現代の師、学者、翻訳者は、unsatisfactorinessという用語を使用してdukkhaの微妙な側面を強調している[11][12][13][14][15]

  • Suffering (Harvey, Williams, Keown, Anderson, Gombrich, Thich Nhat Hanh, Ajahn Succito, Chogyam Trungpa, Rupert Gethin, Dalai Lama, et al.)
  • Pain (Harvey, Williams, Keown, Anderson, Huxter, Gombrich, et al)
  • Unsatisfactoriness (Dalai Lama, Bhikkhu Bodhi, Rupert Gethin, et al.)
  • Stress (Thanissaro Bhikkhu[16][17])
  • Sorrow
  • Anguish
  • Affliction (Brazier)
  • Dissatisfaction (Pema Chodron, Chogyam Trunpa)
  • Distress (Walpola Rahula)
  • Frustration (Dalai Lama, Four Noble Truths, p. 38)
  • Misery
  • Anxiety (Chogyam Trungpa, The Truth of Suffering, pp. 8–10)
  • Uneasiness (Chogyam Trungpa)
  • Unease (Rupert Gethin)
  • Unhappiness

脚注

  1. ^ 三枝充悳「苦」 - 日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館。
  2. ^ 「苦」 - 大辞林 第三版、三省堂
  3. ^ アルボムッレ・スマナサーラ 2015, Kindle版、位置No.全2025中 3 / 0%.
  4. ^ アルボムッレ・スマナサーラ 2015, Kindle版、位置No.全2025中 134 / 7%.
  5. ^ Sargeant, Winthrop , The Bhagavad Gita, SUNY Press, 2009. p.303
  6. ^ 南伝大蔵経, 律蔵大犍度
  7. ^ アルボムッレ・スマナサーラ『無我の見方』サンガ、2012年、Kindle版、位置No.全1930中 134 / 7%。ISBN 978-4905425069 
  8. ^ アルボムッレ・スマナサーラ 2015, Kindle版、位置No.全2025中 1078 / 53%.
  9. ^ Prebish 1993, [要文献特定詳細情報].
  10. ^ Keown 2003, [要文献特定詳細情報].
  11. ^ Dalai Lama 1998, p. 38.
  12. ^ Gethin 1998, p. 61.
  13. ^ Smith & Novak 2009, Kindle location 2769[要文献特定詳細情報].
  14. ^ Keown 2000, Kindle Locations 932-934[要文献特定詳細情報].
  15. ^ Bhikkhu Bodhi 2011, p. 6.
  16. ^ https://www.accesstoinsight.org/tipitaka/sn/sn56/sn56.011.than.html
  17. ^ https://www.accesstoinsight.org/tipitaka/sn/sn22/sn22.086.than.html bottom

参考文献

関連項目


三苦

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 00:14 UTC 版)

名詞

(さんく)

  1. 仏教で、苦苦壊苦えく行苦三つの苦のこと。苦の三分類。→漢字意義)3。

発音(?)

サ↘ンク

関連語




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