2010年代―2ちゃんねるの管理権限紛争と4chan管理人への就任
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「西村博之」の記事における「2010年代―2ちゃんねるの管理権限紛争と4chan管理人への就任」の解説
2012年12月20日、2ちゃんねる(2ch.net)上の違法な情報を放置したとして、麻薬特例法違反(あおり、唆し)幇助の疑いで警視庁によって書類送検された。また、警視庁はパケット社をペーパーカンパニーと認識していると報じられた。 2013年1月、西村博之名義で「2ちゃんねる」の商標を出願した。2月18日、一身上の都合によりニワンゴの取締役を辞任。 3月19日、東京地方検察庁はひろゆきを不起訴処分としたが、不起訴理由を開示していない。理由について日本経済新聞は、容疑事実をひろゆきが把握していたと示す証拠がないこと、2011年11月の家宅捜索後に違法な書き込みを削除したこと、朝日新聞は違法な書き込みを放置していた容疑はあるが教唆する書き込みは少なく悪質性が小さいことを、それぞれ挙げている。 5月26日、ひろゆきが取締役を務めるティーケーテクノロジーが、2ちゃんねるビューアのサポート受付業務を取得。8月24日、東京国税局の税務調査でひろゆきがパケット社より受け取った収入のうち約1億円の申告漏れを指摘され、追徴税額として約3,000万円を納付したと報じられた。 2014年4月20日、前日に婚姻届を提出したと発表。婚姻相手は飲み会で知り合い、約10年間同棲したWebディレクターの植木由佳(東京都北区田端出身。植木が2ちゃんねる削除人の「削ジェンヌ」であると言われることがあるが、本人は否定している。結婚後は「西村ゆか」名義で活動している)。ひろゆきは結婚理由について「結婚したほうがフランスのビザを取りやすくなる」と説明している。なお、植木原作のエッセイ4コマ漫画『だんな様はひろゆき』では、妻の視点から見たひろゆきの知られざる私生活が赤裸々に描かれている。植木との間に子供がいるかどうかは植木から公言しないように言われているため、いるともいないとも明確にしていないが、2021年9月には『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)という子育てに関する持論を綴った著書を発表している。ひろゆきは飲み会で出会ったと主張しているが、植木はネット(SNS)で知り合った後にオフ会(異業種交流)で会ったと主張しており、ひろゆきは出会い系のような形で知り合ったと思われるのが嫌であるとのこと。 2015年9月28日から平沢真一とともに『ヴァラエティ・ジャパン』のEditor in Chief(編集長)に就任した。 ワトキンス親子(5ちゃんねる・8kun運営/Qアノン主宰者)との管理権限紛争 「2ちゃんねるの歴史#管理権限紛争」も参照 2013年、2ch.netのドメインがフィリピンのマニラ首都圏に所在する「Race Queen Inc.」(代表:ジム・ワトキンス)に移転した。ジムはドメイン移転の理由について「パケット社のドメインを管理する団体から、その法人に運営実態がないとクレームが入ったから」と証言している。 2014年2月19日、2013年8月の2ちゃんねる個人情報流出事件を受けて、2ちゃんねるビューアが販売停止となっていた状況下で大規模なサーバーダウンが発生し、この過程で2ちゃんねる(2ch.net)の実質的管理権限が何らかの理由によりジム・ワトキンスに移転する。ジムは、サーバー料金の未払いを理由に、ひろゆきら旧運営陣を全員解任したと説明し、ジム本人と息子のロン(通称:Code Monkey★)が2ちゃんねるの実質的管理者となる。 3月27日、西村博之名義で「2ch」の商標を出願。4月1日、ひろゆきは「2ch.netがN.T.Technologyに乗っ取られた状態にあり、2ch.netの諸権利は西村博之ないしパケット社に帰属する」とコメントした。なお、これに対して「2ch.net」のドメインを所有するRacequeen Inc.は「2ch.netの諸権利はRacequeen Inc.が有する」と反論している。 4月11日、匿名掲示板「2ちゃんねる」(2ch.sc)を開設し管理人に就任。なお、2ch.scは2ch.netのデータをコピーしたサイトと評されている。また、これに対抗する形でジムは「4ch.sc」というドメインを独自に取得した。 2016年5月、ひろゆきが「2ちゃんねる」および「2ch」の日本国内における商標権を取得。同時期に、世界知的所有権機関(WIPO)の調停・仲裁センターに「2ch.net」が不法占拠されているとしてドメインの移転を求める申立てを行う。 2016年7月、WIPOはひろゆきによる上記のドメイン移転申し立てを棄却した。 2016年12月9日、8chan(現・8kun)管理人のロンが「5ちゃんねる」および「5ch」の日本国内における商標権を取得する。 2017年10月1日、ジムにより「2ちゃんねる」(2ch.net)が「5ちゃんねる」(5ch.net)へと名称およびドメイン名が変更される(同時に運営権がRace Queen Inc.からLoki Technology Inc.に移譲された)。名称変更についてワトキンス親子と敵対関係にある8chan開設者のフレドリック・ブレンナンは「ジムは2ちゃんねるを盗み、正当な所有権を持っていない。ひろゆきはUFMJRA(統一外国金銭判決承認法)を用いた2ちゃんねるの差し押さえを画策しており、それを回避するためのものだった」と述べている。 2018年6月22日、ひろゆき(東京プラス株式会社)が旧2ちゃんねる/8chan運営会社(N.T.Technology)を相手取った民事訴訟で、N.T.Technologyの債務不履行を認め、同社に損害賠償および前払いのサーバー使用料の返還を命じる東京地裁判決が出た。 2019年4月25日、8chan(8ch.net)のTwitterアカウント(@infinitechan)が、東京高裁にて一審判決を破棄し、東京プラス社の請求が全て棄却されたと発表した(=逆転敗訴)。12月4日には、5ちゃんねる(5ch.net)のTwitterアカウント(@5chan_nel)が、最高裁判所での上告棄却および不受理決定により、東京高裁の請求棄却判決が確定したと発表した(=敗訴確定)。 ひろゆきの敗訴についてルポライターの清義明は、確定判決に決定的な影響を及ぼしたのは「ひろゆき」と「ジム」の間に契約書が存在しなかったという事実であり、これによってひろゆきからジムへの送金は「サーバー使用料の支払い」ではなく「仲間内での収益の分配の延長」と判断することもできる、という判決が出たと分析している。またジムは「ひろゆきは2ちゃんねるのスポークスマンにすぎず、最初からプログラミングの技術力もさほど高くなかったし、ウェブサイトの運用にはついていけないレベルだった」とした上で「ひろゆきは2ちゃんねるの管理運営にノータッチだった」と証言した。その証拠としてジムは、ひろゆき自身が「ちょっと前から2ちゃんねるの運営に関して僕のやることはほとんどなかった」と言及した著書『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(扶桑社新書・2009年)を提出し証拠採用された。一方、ひろゆきは口述筆記本であることを理由に「その本は私が書いたものではない」と主張したが、清義明は「苦しい弁明」と一蹴した。 英語圏最大の匿名掲示板「4chan」管理人への就任 2015年9月21日、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になることを発表。4chan開設者のmootこと前管理人のクリストファー・プールは引退の理由として反フェミニズム運動として悪名高いゲーマーゲート論争の投稿を禁止したことによる殺害予告や誹謗中傷などのトラブルを挙げている。また新管理人のひろゆきについてmootは「ひろゆき氏は匿名コミュニティーのパイオニアであり、4chanの曽祖父とみなすことができる。同氏が1999年に立ち上げた2ちゃんねるは、4chanを触発したふたば☆ちゃんねるの開設につながったのだから。もし彼がいなかったら、4chan、そして『全ての』匿名画像掲示板は、もしかしたらこんにち誰も使ってなかったかもしれないんだ」とし、「ひろゆき氏ほど4chanのリーダーに適任の人はいない」と語った。これに対してひろゆきは「I am not so old to be called "great-grandpa", ain't I?」(おいらは“ひいおじいちゃん”と呼ばれるほど年寄りじゃないよ)とコメントした(注: 2015年当時、ひろゆきは38歳であった)。 また、ひろゆきは4chanの買収について著書で次のように語っている。 多くのサイトは、Facebookのように、アカウントを取得するタイプが主流だ。アカウント制であれば、一人ひとり、確実にユーザーを増やしていくことができる。そういうサービスを作りたい会社は世界中にたくさんある。一方で、みんなが匿名でダラダラ書き込むようなサービスは、トラブルが起こりやすいし、やってもしょうがないと思われている。だから、その場所なら競争が少なくて、「自分でも勝てる」と僕は踏んだ。 日本の人口が減るということは、日本語を使う人も減るということだが、英語圏は違う。長期的に見ても、英語を使う人がいなくなることは考えにくいので、英語圏の匿名掲示板は、ダラダラと続けていける。ある程度、規模が大きくなってしまえば、何もしなくても回っていくので、努力は不要だ。そういう仕事の選び方をしてきた。 — ひろゆき『1%の努力』エピソード5「最後にトクをする人──『努力』の話」より抜粋 一方で、8chan管理人のロンは、ひろゆきの4chan買収について「2ちゃんねるを奪った親父への腹いせでやった部分もあるのだろうね」とHBOのドキュメンタリー番組『Qアノンの正体/Q: Into the Storm』で語っている。また元2ch.net副管理人の山本一郎は「2ちゃんねるをジムに半ば乗っ取られる形で失ったひろゆきが、匿名掲示板サービスの本尊に返り咲くため、関係する日本企業(ドワンゴ、未来検索ブラジル、グッドスマイルカンパニー)を巻き込んでビジネスを成立させようとした」「ひろゆきを前に立てて、うまく儲けたり、やりたいことをやる人がいた」と推察している。その後、ジムは4chanから派生した世界で最も悪名高い匿名掲示板「8kun」の新管理人となり、4chan~8chan発の過激な陰謀論「Qアノン」を支援する目的で政治資金団体「ディープステートの武装解除」を立ち上げた。またロンが「Q」として8chanで広めたとされるQアノン陰謀論の信奉者は、2021年1月6日に米連邦議会議事堂襲撃事件を起こしている。その後、ひろゆきは4chanとQアノンに関連する取材について、自らはかかわる意思がないことを明言した。 2016年10月2日、ひろゆきは4chanの再建に失敗したことを謝罪した。ひろゆきによると、4chanを現状のまま維持しようとしたものの、そのアンダーグラウンド性から広告収入が少ないため、CDNの導入や新規サーバに充てる費用を充分に捻出することができず、インフラや回線利用料の支払いも厳しくなっており、現状のまま維持していくことは不可能であると明かした。 人格否定禁止のSNS「ペンギン村」開設 2019年12月6日、ペンギン村の開設をTwitterで告知。Google WorkspaceのGoogleDrive利用無制限とGoogle Chatを利用した人格否定禁止のコミュニティサービスとして運営中。
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