開発と地域の反対とは? わかりやすく解説

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開発と地域の反対

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:59 UTC 版)

阿賀野川」の記事における「開発と地域の反対」の解説

阿賀野川水力発電中心に多く開発が行われ、流域はおろか流域外にも多大な恩恵与えている。だが、開発に伴う住民との軋轢や、環境への影響というものが表面化した只見川では1954年昭和29年)に田子倉ダム補償事件起こっている。これは田子倉ダム建設強硬に反対する田子倉集落只見町)の住民福島県知事補償斡旋嘆願行い、それを受けた知事当時補償金相場大幅に超える補償額を事業者である電源開発呈示電源開発もこの斡旋案を受け入れたことに始まる。これが新聞発表され世間大きなセンセーション巻き起こしたが、河川行政担当する建設省電力行政担当する通商産業省(現・経済産業省)が猛反発して相場どおりの補償額に抑えた。特に建設省はこの事件が他のダム事業多大な影響を及ぼすことを懸念して反発であったが、その懸念的中し鎧畑ダム玉川)を始め多くダム水没予定住民が、田子倉ダム並の補償求めて交渉長期化する事態となった。この件は後に事業者・被補償双方からの法整備要求となり、紆余曲折経て1973年昭和48年)の水源地域対策特別措置法水特法制定繋がっていく。因みに阿賀野川水系では1977年昭和52年)に大川ダムが、1980年昭和55年)に新宮川ダムが、1982年昭和57年)には只見ダム指定受けている。 また尾瀬ヶ原を巡る問題起きていた。「只見川水力開発計画概要」でも当初計画されていた尾瀬原ダム計画であるが、元来1919年大正8年)に関東水電発案しその後日本発送電経て東京電力がこれを承継事業推進していた。すなわち、只見川水源である尾瀬ヶ原を高さ 85.0メートルロックフィルダム堰き止め総貯水容量 3億3,000トン の大貯水池形成して貯水したトンネル通じ利根川水系片品川導水、約 50キロワット発電を行うというものであった。この阿賀野川から利根川流路変更行い水力発電実施する尾瀬分水計画」は新潟県福島県猛反発受けた。その原因慣行水利権であり、全く流域外の利根川只見川河水取られることは、下流農業発電への影響が大であるとして猛烈に抵抗した。さらにこの問題高度経済成長に伴う需要の緊急性絡み最終的に関東地方一都六県東北地方六県および新潟県対立発展政府による調停成功せず収拾付かない態となった。これに加え環境保護観点から厚生省(現・厚生労働省)や文部省(現・文部科学省)を始め平野長蔵尾瀬自然保護求め立場からの「尾瀬の自然を守れ」というダム建設反対運動発生尾瀬分水案は完全に暗礁に乗り上げた最終的に1996年平成8年)、東京電力尾瀬沼水利権更新断念権利放棄したことで「尾瀬分水計画」は77年目にして潰え尾瀬保護運動日本自然保護運動端緒になるという結果残った自然保護観点では、尾瀬沼のほかダム湖である奥只見湖漁業保全特筆される。これは小説家大の釣り好きでもあった開高健1975年昭和50年)に「奥只見育てる会」を立ち上げたのが契機である。『夏の闇執筆のために銀山平訪れた開高は、奥只見湖自然とイワナ惚れ込んだが、密漁大きな問題になっていることを知ると、漁業関係者心ある釣り人と共にイワナ保護活動始めた。この結果、現在奥只見湖一部区域永久的禁漁区となっている。こうして奥只見湖の自然は守られたが、ブラックバス密放流が現在問題となっている。これに対して育てる会」と魚沼漁業協同組合運動もあり、新潟県1999年平成11年12月県内における外来リリース禁止定めたその後バス擁護派日本釣具振興会がバス駆除名目奥只見湖バス釣り大会2001年平成13年)に提案したが、漁協はこれを一蹴している。 さらに奥只見湖から導水トンネル経て信濃川水系発電用を送る「只見川分流案に基づき電源開発計画していた「湯之揚水発電計画」が自然を破壊するとして、自然保護団体から反対受けた。だがこの「湯之揚水発電計画」も電力需要低迷によって採算が取れないという理由から、2001年平成13年)に建設中止となり、「尾瀬分水計画」に続き只見川分流案」もここに潰えた。 そして1990年代以降全国的に巻き起こった公共事業の見直しについても、阿賀野川水系影響受けた猪苗代湖の高度な水利用日橋川治水目的1986年昭和61年)よって建設省北陸地方整備局によって計画されていた「日橋川総合開発事業」が中止されている(国土交通省直轄ダム#北陸地方整備局の中止事業参照)。また、常浪川ダム常浪川)についてはダム建設の是非を巡る論争があり、1973年昭和48年)の計画発表以来現在に至るまで本体工事着手していない。新宮川ダムについても建設中一部市民団体から、「緊急に中止すべき公共事業100」に選ばれている。現在新規ダム計画常浪川ダム以外はないが、全国河川と同様、阿賀野川についても今後地域と一体となった整備求められている。

※この「開発と地域の反対」の解説は、「阿賀野川」の解説の一部です。
「開発と地域の反対」を含む「阿賀野川」の記事については、「阿賀野川」の概要を参照ください。

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