只見川分流案とは? わかりやすく解説

只見川分流案

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 08:58 UTC 版)

黒又川第一ダム」の記事における「只見川分流案」の解説

詳細は「只見特定地域総合開発計画」を参照 黒又川を含む魚野川流域は、新潟県でも屈指の豪雪地帯である。冬季は数メートルに及ぶ積雪があり、六十里越国道252号)や八十里越国道289号)は容易に寸断されていた。だがこの春になる大量雪融けとなり、穀倉地帯である越後平野潤していた。魚野川流域山岳地帯多く上流部険しく至る所落差大き渓谷形作っていた。こうした気候的・地形的背景水力発電に最も好都合であり、三国山脈水源とする魚野川流域只見川流域明治時代から水力発電計画練られた。1926年大正15年)に黒又川黒又ダム建設され魚野川流域でもダム用いた水力発電計画された。1939年昭和14年)の電力管理法によって発足した日本発送電引き続き魚野川流域開発行い1941年昭和16年)には破間川藪神ダム重力式。23.0メートル)が完成している。 戦後只見川流域水力発電開発1947年昭和22年)に日本発送電東北支店が「只見川水力開発計画概要」を発表することで本格化した。また日本発送電関東支店尾瀬原ダム計画根幹とし、利根川への分水目的とした尾瀬分水案発表経済安定本部商工省中心となって組織した只見川尾瀬原・利根川総合開発審議会」において検討対象となった。翌1948年昭和23年)には東北支店福島県只見川本流案を「只見川水力開発計画概要」をベースにして策定只見川流域一貫開発基本とした水力発電計画提示するが、同時新潟県も独自の水力発電計画案発表した。 これは只見川分流案と呼ばれるもので、只見川本流計画され奥只見ダム田子倉ダムからトンネル通じて信濃川水系分水するという計画であった。奥只見魚野川支流佐梨川に、田子倉は同じ魚野川支流破間川分水して水力発電行い発電使用した信濃川放流することで新規開墾必要な灌漑かんがい用水供給して当時日本政府最重要課題としていた食糧増産電力開発同時に達成させるというものである水量豊富な只見川河水利用巡り河川管理者である新潟県は「分流案」、福島県は「本流案」・群馬県は「尾瀬分水案」を推し三つ巴対立繰り広げたが、1951年昭和26年12月只見特定地域総合開発計画策定され政府依頼受けたアメリカ合衆国海外技術調査団(OCI)の実地調査が行われた結果費用対効果など総合的な観点で「本流案」の採用1953年昭和28年)に決定した。ところが「分流案」を強力に推進していた岡田正平新潟県知事下新潟県当局はこの決定猛反発裁定下した第3次吉田内閣対し揺さぶり掛けるなど中央政界巻き込んだ問題発展した

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只見川分流案(流域変更案)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 08:50 UTC 版)

只見特定地域総合開発計画」の記事における「只見川分流案(流域変更案)」の解説

只見川分流案(流域変更案)とは新潟県発表した計画案である。最大特徴只見川越後駒ヶ岳隔てた信濃川水系分水し、水力発電を行うと同時に有数穀倉地帯である越後平野田畑灌漑用水供給するという多目的河川開発計画である。 この計画案でも奥只見ダム田子倉ダム計画中心に据えているが、本流案との違いは奥只見田子倉の両ダムからトンネル通じて信濃川支流魚野川流域導水することである。当初の案では奥只見ダムから魚野川支流である佐梨川田子倉ダムから同じく魚野川支流である破間川(あぶるまがわ)にそれぞれ分水し、佐梨川筋には湯之第一第二発電所合計出力60キロワット)を、破間川筋には破間川黒又川合流点五味沢ダム建設して入広瀬発電所出力12キロワット)・栃尾発電所出力26キロワット)を建設。さらにここからトンネル刈谷田川導水して長岡発電所発電行った後に信濃川放流するという計画であった。しかし「只見川尾瀬原・利根川総合開発調査審議会」において湯之第一第二発電所建設予定地点が発電所建設するだけのスペースがないほか、ダム建設地点地質問題長岡発電所導水トンネル建設地点が油田水田地帯であることなど問題点経済安定本部商工省から続々指摘された。 このため新潟県計画修正して奥只見ダムから分水した建設地点を変更した湯之第一湯之第二発電所合計出力233500キロワット経由で、田子倉ダムから分水した建設地点を変更した破間川五味沢ダム小出発電所出力7キロワット)へ送水。ここで両ダム合流し小出発電所からはさらに現在の長岡市妙見堰付近に建設する妙見発電所出力5万9000キロワット)に送水され、発電した信濃川放流するとした。導水使用するトンネル総延長は約40キロメートルにも及び、青函トンネル匹敵する長大トンネルであったこの他当初の案では考慮されていなかった只見川本流開発行われ滝・本名・上田・舘岩(伊南川)の各発電所建設する。滝と本名に関して何れか地点選択して高さ約90メートル有効貯水容量3億立方メートルダムを、舘岩地点には1億2000立方メートルダム建設する。さらに檜枝岐発電所などの新設只見川下流にある既存発電所出力増加も行うとした。 この案で見込まれる総出力は134キロワットであり、只見川豊富な発電後に信濃川融通することで農地面積拡大させ、当時喫緊の課題であった食糧増産を図ることを目的とした。以下に計画案を示すが、発電所計画の詳細については不明な部分が多いので、信濃川流域への分水利用する発電所ダム計画のある発電所掲載する河川発電所認可出力(kW)ダム高さ(m)貯水容量(千m²)備考只見川佐梨川 湯之第一 172,000 155.0 560,000 奥只見ダム分水 只見川佐梨川 湯之第二 61,500 只見川破間川 小出 70,000 104.0 260,000 田子倉ダム分水 破間川信濃川 妙見 59,000 不明 108,000 只見川 滝本不明 90.0 300,000 何れか選択 伊南川 舘岩 不明 不明 120,000 新潟県はこの計画案によって只見川信濃川の間にある高落差を有効に利用できることから、大規模な水力発電が行えるほか信濃川流域穀倉地帯かんがい用水供給することで、当時政府最重要課題挙げていた食糧増産電力開発同時に実施できて一挙両得であると主張した。なお、新潟県の案と似通ったものに電源開発調査会案がある。この案では有効貯水容量6億トン規模拡大した尾瀬ダムによる揚水発電加わっている。その他は新潟県の案とほぼ同様である。ただし既存発電所出力増強と、上野尻・揚川・内川辰巳各発電所新設行わない

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