北陸地方整備局の中止事業
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「国土交通省直轄ダム」の記事における「北陸地方整備局の中止事業」の解説
北陸地方整備局管内で中止したダム事業は旧建設省時代を含めると4ダム事業があり、信濃川水系と阿賀野川水系で中止事業が存在する。 信濃川水系では1964年に構想が発表され1985年(昭和60年)に予備調査が開始された信濃川本流の千曲川上流ダム計画と、1974年(昭和49年)3月の信濃川水系工事実施基本計画で三国川、大町ダムと共に計画され1984年(昭和59年)に事業が着手された清津川ダム計画(清津川)がある。両ダムとも大規模な特定多目的ダムであり、仮に完成すれば千曲川上流ダムは長野県最大、清津川ダムは新潟県最大の多目的ダムとなる。しかし千曲川上流ダムでは南佐久郡南牧村主要部と川上村で250戸が水没し、さらにJR小海線や国道141号が水没するなど地域に大打撃を与えるとして両村が反対、参議院に請願書を提出するなど抵抗した。また清津川ダムも南魚沼郡湯沢町などで110戸が水没、さらに上信越高原国立公園・名勝・国の天然記念物に指定されている清津峡が水没することで強い反対が起こり、当時の中魚沼郡中里村(現在の十日町市)議会も反対に回るなど流域間で対立を招いた。最終的に千曲川上流ダム・清津川ダムは両方共2002年(平成14年)に事業中止が決定する。しかしダム建設に反対していた地元住民は中止後の生活再建に対し国のみならず、ダム事業に反対していた政党や市民団体、旧中里村が何ら手を差し伸べないことを批判している。治水目的のダムは千曲川上流・清津川に限らず信濃川水系では田中康夫長野県知事(当時)による「脱ダム宣言」以降多くのダムが中止された。しかし平成16年7月新潟・福島豪雨(2004年)や平成23年7月新潟・福島豪雨(2011年)、東日本台風(2019年)など信濃川水系は水害による被害を受け続けており、治水事業は途上である。また平成18年7月豪雨では大町ダムと犀川流域の発電用5ダム(奈川渡、水殿、稲核、高瀬、七倉)の連携洪水調節で、犀川の氾濫が抑制されている。 阿賀野川水系では只見川支流の伊南川に計画していた大桃ダムが中止されている。只見川流域唯一の治水目的を持つダムで、只見特定地域総合開発計画で計画された内川ダム計画中止後の伊南川流域における水力発電目的を有していたが、計画自体が立ち消えとなった。これにより奥只見ダム(只見川)を筆頭に多数のダムが建設されている只見川は、治水を目的とするダムが現在一つも存在しない。一方日橋川上流総合開発事業は、天然湖沼である猪苗代湖周辺地域の治水安全度向上を図るため、日橋川流出口にある十六橋水門を改築することで猪苗代湖に新規の治水容量を確保、同時に複数の事業者に分散している猪苗代湖の水利権を河川管理者である国が一括管理することを主目的とした事業であるが、公共事業見直しにより中止されている。なお、猪苗代湖自体は日橋川上流総合開発中止後2005年(平成17年)より福島県が河川管理者として湖を管理し、現状の十六橋水門を利用した多目的ダムとして運用している。 所在地水系河川ダム型式高さ総貯水容量分類水特法備考出典福島 阿賀野川 猪苗代湖 日橋川上流総合開発 堰 5.7 3,800,000 福島 阿賀野川 伊南川 大桃ダム 重力 74.0 13,881 新潟 信濃川 清津川 清津川ダム 重力 150.0 170,000 特定 長野 信濃川 信濃川 千曲川上流ダム 重力 80.0 80,000 特定
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