野辺家の親族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 04:10 UTC 版)
「君の手がささやいている」の記事における「野辺家の親族」の解説
武田 晴子(たけだ はるこ) 美栄子の母。生まれながらにして聴覚障害者になってしまった美栄子の為に、自分の時間を全て美栄子に捧げて一人前の女性に厳しく育て上げた、美栄子にとっては一番の味方であり理解者。美栄子に対してはそれだけ手を掛けたことで少々過保護の気があり、博文の転勤で美栄子たちが仙台に引っ越した後、1日1回の定例のファックスが来ないことに腹を立ててわざわざ仙台まで来たりしていたが、美栄子が一人の人間として正しく成長していることを感じ取り、それからはあまり干渉しなくなった。 美栄子が子供の頃、耳が聞こえないことから物覚えの悪かった美栄子の将来を悲観して、2人で電車に飛び込み自殺しようとしたことがある。しかし美栄子が少しずつ成長していることに気付き思いとどまった。しかしその一部始終を美栄子の妹・真知子に見られていたことを後に知らされる。 美栄子の父の話によると、若い時はなかなかおしゃれだったらしい。しかし美栄子が産まれてからはそういったことに全く興味を失い美栄子の世話に没頭していた。美栄子は自分のせいで母の女性としての時間を奪ってしまったと思っていたが、父は「それは美栄子の耳が治ることに対して希望を捨てなかったからだ。そんな母さんを父さんは一番綺麗だと思う」と言い、美栄子は母が女として一番の幸せを手に入れていたことを知る。 その一方で妹の真知子に殆ど構ってやれなかったことを心の中で後悔している。真知子が自分の結婚式準備のために結婚式を挙げていない美栄子に積極的に相談に行くのを、子供の頃に構ってもらえなかったことに対する当て付けではないかと思い悩むが、姉妹が親の知らぬ間に相手のことを理解して本当に仲の良い姉妹になっていたことを知り、安堵する。 美栄子の父 厳格で頑固な性格。美栄子に合った学校に通わせるために会社を辞めて引っ越したり、美栄子を喜ばせるために事あるごとに海へ行き貝殻を拾い集めることを趣味としていた。それだけに美栄子が成人した後も門限の時間になると外に出て帰りを待っていたりするほどの過保護ぶりを発揮し、博文と美栄子の結婚を強く反対する。しかし博文の母親が美栄子に結婚を諦めるように頼みにきたことを知ると「何様のつもりだ!」と激怒。だが妻に「これであなたの思い通りになったじゃないの!!」と言われ複雑な心境になる。結婚前に挨拶に訪れた博文と会うことはせず、美栄子は博文に心配かけまいと母に「両親とも賛成している」と口裏を合わせるように頼み込んでいた。博文がどんな男か直接確かめるために博文の会社を訪ねるが、その帰りに偶然ブライダルショップに入ったところで博文と出会い、その言葉から結婚への強い意志を感じたことから駆け落ち同然で実家を出て結婚に踏み切ろうとする美栄子に「辛かったらいつでも家に帰って来い」と最後は結婚を許した。 子供の頃、美栄子が正しい発音で言葉を喋れるようになるまでは、心を鬼にしてわざと背を向けて美栄子の方を向かなかった。急な病に倒れて生死の境を彷徨った時、美栄子はその時の事を思い出し、博文に協力を頼んできちんと「お父さん」と声に出して喋れるように特訓をし、意識不明の父に必死に呼びかけた。その後は病気を克服して普段の生活に戻っているが、好きだった酒の量は減った。 妻が耳の聞こえない美栄子のことにかかりきりであることで、主に真知子の面倒を見ていた。それだけに真知子を嫁に出す時はずっと不機嫌であったが、マリッジブルーになり結婚式直前になって「父と離れたくないから結婚しない」と言い出した真知子に、「この家を出ていけ。お父さんの事は忘れろ」とあえて突き放す優しさを見せて、矢島の元に送り出した。 根はとてもシャイで、妻の事を心から想っているものの、照れもあって普段は全くその事を口に出さないため、愛情を疑った妻から熟年離婚をされそうになる。しかし娘達の尽力もあり、本当に大切にしている気持ちを言葉にして離婚の危機は免れた。 矢島 真知子(やじま まちこ) 美栄子の7つ違いの妹。旧姓:武田。姉とは違い健常者として生まれ、幼い頃から両親にあまり構ってもらえなかったこともあって、大人びてしっかりした性格に育った。両親もまたそんな真知子を何より頼りにしていることを自覚して、彼氏である矢島透と結婚したいという本心を言い出せないでいた。しかし美栄子の励ましにより、矢島のプロポーズを受け入れる。その後矢島を追って少しの間、海外生活を経験し、帰国後すぐに結婚。同時に妊娠が発覚し、姉を見てきた体験から「もし障害を持つ子供が生まれたら」とネガティブに考え思い悩む。やがて息子の保(たもつ)を出産。 夫の透とは取引先の会社で顔見知りになった。仕事の関係で飲みに行った際に気が合ったというだけで、いつ出逢ったかも覚えていない。 子供の頃は、両親が耳の治療の関係で美栄子ばかりに構うことが多かったことで拗ねてしまい、美栄子とはそりが合わなかった。しかしそれも時間と共に克服して手話会話もこなし、今ではお互いを良く知る仲の良い姉妹となっている。姉が自分の障害をものともせず、己の意志を貫き結婚して幸せな家庭を築いたことに感化され、自分の結婚式に姉の力を借りることで自分も幸せになりたい、と思っていた。ところが主に父が可愛がったために過剰なお父さんっ子に育ち、結婚式前に父恋しさからマリッジブルーに陥ってしまう。 自身が子供の頃に母からあまり構ってもらえなかった経験から、息子の保に寂しい思いをさせまいと片時も手放したがらない過剰な神経質さを見せる。しかし偶然子沢山の友人に会ったことをきっかけに、母が真知子の寂しさをきちんと理解していたことを知り、それからは保の世話を母にも任せるようになった。 博文の父 物静かな人物。美栄子は博文から「美栄子との結婚を切り出した時、博文の母よりも反対した」と聞かされていたことで苦手としていた。美栄子は何とか打ち解けたいと思い、事あるごとに手紙を送り、お互いのわだかまりを解いていった。『新・君の手がささやいている』で突然の急死。大きな支えを失った博文は失意に沈み、一人身になった母を案ずる。 野辺 正江(のべ まさえ) 騒がしくおっちょこちょいだが、博文のことを何より溺愛している。聴覚障害者の美栄子との結婚に猛反対し、一時は武田家に乗り込んでまで美栄子に結婚を諦めるように説得に訪れるが、博文の決心の固さと美栄子の優しい心に触れ、美栄子にウェディングドレスを手渡す。一度打ち解けてからは息子よりも美栄子に肩入れし出して、博文を苦笑させる。夫が亡くなった後、母の一人身を心配した博文から同居を勧められるが、「博文にはもう守るべき家庭があるのだから」と説得し、それ以降は一人暮らしをする。 孫の千鶴が生まれて間もない頃、美栄子と赤ん坊の千鶴を心配して博文達にしつこく同居を迫ったことで嫌われたと思い込み、それでも千鶴会いたさに思わず散歩中の千鶴を抱きかかえていなくなってしまうという、誘拐騒動を起こしてしまう。また夫の死後に時間潰しで始めた洋裁で千鶴のための洋服を作るが、趣味が千鶴と全く合っていなかったことから殆ど袖を通してもらえない、など思い込みが激しく、勝手に先走るところがある。 博文の祖母 博文の田舎である岡山の山奥に住んでいる。田舎の所在地は新幹線からローカル電車、さらにバスを乗り継いでいくところにあるらしく、博文とは別に千鶴と2人きりで初めて田舎を訊ねることになった美栄子は、道中の様々な苦難を周囲の人に助けられることによって助けられ、ようやく辿り着いた。 矢島 透(やじま とおる) 美栄子の妹・真知子の会社の同僚であり彼氏。海外赴任が決まり真知子を連れて行くつもりでいたが、両親が心配な真知子から別れを一方的に切り出され、その本心を聞きに武田家を訪れたところで美栄子と出会い、婚約指輪を預ける。出発直前の空港ロビーで美栄子に連れられてきた真知子に正式にプロポーズ。結局真知子を一緒に連れて行くことは叶わなかったものの、婚約を結んだことで単身海外へ旅立っていった。帰国後に真知子と無事結婚。 ※本編初登場時は苗字が「矢島」ではなく「加島」となっている。作者がキャラクター設定を確認し忘れたことによるミスと思われる。 野辺 太一(のべ たいち) 博文の本家筋の一人息子で、従兄弟に当たる。結婚した時期が博文達と同じで子供好き。幼少の頃は病気がちで、内向的な無愛想な性格だったが、恵と付き合うようになってから明るい性格になった。 野辺 恵(のべ めぐみ) 太一の妻。聴覚障害者である美栄子の存在を知り、積極的に手話を覚える。家事一切なんでもソツなくこなす出来た嫁だが、ただ1つ結婚して10年経つが不妊体質で子供に恵まれず、それ故肩身の狭い思いをしていた。そのプレッシャーに耐えられず集まった親戚の前で思わず「子供が出来た」と嘘をついてしまい、居辛くなったと感じた恵は翌日に真実を話して太一と別れようと決心する。 博文の伯父、伯母 野辺の本家を守る。一人息子の太一とその嫁の恵と4人暮らし。博文達、野辺家の者達は毎年正月になると本家に集まって新年会をするのが恒例となっている。親戚の前で「妊娠した」と言った嫁の嘘を見抜いており、姑は自分もなかなか子供が出来なかったという体験談を話して、恵が来てから無愛想だった太一が明るくなって感謝していると伝え安心させる。 幸彦(ゆきひこ) 博文の従兄弟。妻との間に出来た4人の子供は全て男の子。 まゆみ、さとし、正(ただし)、美加(みか)、晴彦 千鶴の従兄弟達。まゆみは後姿が千鶴にそっくりで親でも間違えるほど。晴彦は幸彦の子供で4男。
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