省級行政区画
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「南京国民政府の行政区分」の記事における「省級行政区画」の解説
南京国民政府の成立とともに中華民国の首都は北京から南京に遷都し、これに伴い京兆地方は廃止され直隷省に編入されると同時に河北省と改称された。また熱河、綏遠、察哈爾、川辺の各特別区を改編し、9月17日に熱河省、綏遠省、察哈爾省、青海省を設置、10月22日には甘粛省寧夏道地区に寧夏省が新設されている。1928年(民国17年)12月の東北易幟以降は東北三省が南京国民政府の管轄下に入り、1929年(民国18年)1月28日に奉天省は遼寧省と改称され、満洲事変勃発前には27省、6直轄市、3行政区、2地方を管轄した(表1を参照)。 類別数1931年以前の行政区域(表1)省 27 安徽 | 雲南 | 河南 | 河北 | 甘粛 | 広西 | 広東 | 貴州 | 吉林 | 江西 | 江蘇 | 黒竜江 | 湖南 | 湖北 | 山西 | 山東 | 四川 | 新疆 | 綏遠 | 青海 | 浙江 | 陝西 | 察哈爾 | 寧夏 | 熱河 | 福建 | 遼寧 院轄市 6 南京 | 上海 | 青島 | 漢口 | 天津 | 北平 行政区 3 威海衛行政区 | 東省特別行政区 | 川辺特別行政区 地方 2 西蔵地方 | 蒙古地方 1937年(民国26年)、日中戦争が勃発すると首都・南京を日本軍に占領され、国民政府は武漢、ついで重慶に疎開している。戦争期間中、重慶は政治、軍事、経済の中心地となり、1938年に院轄市に昇格している。東省特別行政区は満洲国時代に消滅し各省級行政区画に編入されている。1939年に1月1日川辺特別行政区は西康省と改称された。 中華民国では建国当初から省長官が絶大な権力を有し独立王国の様相を呈する傾向があったことから省の細分化が検討されていた。その初見は1913年(民国2年)2月に熊希齢による省制廃止に伴う道県二級化の提案であったが袁世凱の反対により否決されている。また1930年(民国19年)11月に第3回四中全会にて、伍朝枢による『縮小省区案』や胡漢民らによる『改定省行政区原則案』が提出されたがいずれも実施には至っていない。それでも省級行政区画の取り扱いは重要議題として扱われ、1939年(民国28年)8月には国防最高委員会の指示を受け行政院に「省制問題設計委員会」が設置され省制の在り方が討議されていた。具体的に省制改革に着手をしたのは日本の敗戦に伴い行政権を回復した旧満洲国地区である。満洲国建国以前は遼寧、吉林、黒竜江の3省が設置されていたが、満洲国ではこれらを細分化した省級行政区画を設置しており、南京国民政府は満洲国の行政区画を基礎に省再編を行い同年8月31日に『収復東北各省処理弁法要綱』を発表、満洲地区を9省2院轄市に再編することを決定した。しかしこれらの地区は国共内戦の結果、共産党勢力の実効支配下に置かれており、実際に行政機構が設置されたのは一部地域に限られ、または設置されても短命であった。 1924年(民国13年)モンゴル人民共和国が成立したが、1946年(民国35年)まで独立を認めなかった。モンゴルの独立を認めたものの、1947年(民国36年)内政部は『中華民國行政區域簡表』でその国境については未定とした。その後中華民国政府は台湾移転後の1953年(民国42年)に中ソ友好同盟条約を正式に破棄したのに伴いモンゴル独立の承認を撤回したと解釈されてきた。モンゴルの扱いについては 中華民国の政治#対蒙関係、蒙古地方を参照 。 1945年(民国34年)、日本の敗戦に伴い満洲国の領域及び台湾省が南京国民政府に移管された。台湾省は8月29日に陳儀を台湾省行政長官に任命、8月31日には『台湾省行政長官公署組織大綱』を策定、10月2日に台北に台湾省行政長官公署が設置され、下部に9市8県を管轄する行政機構が設置された。 1949年(民国38年)6月5日、それまで広東省の管轄下に置かれていた海南島地区に海南特別行政区が設置され、全国35省、12院轄市、1特別行政区、1地方とされた(表2を参照)。中華民国政府が中国大陸の実効支配を失い、台北に移転して以降も形式上これらの行政区画は2016年現在も維持されている[要出典]。 類別数1949年時点の行政区域(表2)省 35 安徽(合肥県) | 安東(通化市) | 雲南(昆明市) | 河南(開封県) | 河北(北平市) | 甘粛(蘭州市) | 広西(桂林市) | 広東(広州市) | 貴州(貴陽市) | 吉林(吉林市) | 興安(海拉爾市) | 合江(佳木斯市) | 江西(南昌市) | 江蘇(鎮江県) | 黒竜江(北安市) | 湖南(長沙市) | 湖北(武昌市) | 山西(太原市) | 山東(済南市) | 四川(成都市) | 松江省(牡丹江市) | 新疆(迪化市) | 西康(康定県) | 綏遠(帰綏市) | 青海(西寧市) | 浙江(杭州市) | 陝西(西安市) | 台湾 (台北市)| 察哈爾(張家口市) | 寧夏(銀川市) | 熱河(承徳市) | 嫩江(斉斉哈爾市) | 福建(福州市) | 遼寧(瀋陽市) | 遼北(遼源県) 院轄市 12 南京 | 漢口 | 広州 | 上海 | 重慶 | 瀋陽 | 西安 | 青島 | 天津 | 哈爾濱 | 北平 特別行政区 1 海南(海口市) 地方 1 西蔵地方(拉薩市)
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「満洲国の地方行政区画」の記事における「省級行政区画」の解説
1932年(大同元年)3月9日、満洲国は『省公署官制』を公布し中華民国時代の省政府を省公署に改編、満洲国政府と県旗公署の中間行政機関と定められ、国務総理及び各部総長の監督の下、各種法令の執行、省内行政事務の処理、省内管理の人事考課を行うものと規定され、奉天省長には民政部総長の臧式毅、吉林省長には財政部総長の熙洽、黒竜江省長には軍令部総長の馬占山がそれぞれ任命された。この時期の省長は平時は各省に駐留、毎週木曜日に新京特別市で開催される国務院会議に参加している。1933年(大同2年)3月に日本軍が熱河地方を占領すると5月3日に熱河省が新設されている(表1)。 表1 : 1933年(大同2年)の満洲国省級行政区画行政区名称省都面積人口備考吉林省 永吉県 興安省 興安街 黒竜江省 竜江県 熱河省 承徳県 奉天省 奉天市 新京特別市 - 関東州 - 日本租借地 1934年(康徳元年)10月11日、匪賊取締り及び国防強化を目的に新たな『省公署官制』を公布、地方行政制度の改革を実施した。改革では省公署の地位は国務総理の監督から外され、民政部大臣の監督の下に各種法令の執行、省内行政事務の処理を行うものとその地位が下げられている。また省長の権限弱体化による中央集権体制の強化を目的に各部総長が省長を兼任する方式を改め、12月1日に新たな省長を任命すると同時に、熱河省を含む東北4省を分割、奉天、吉林、竜江、熱河、錦州、安東、間島、三江、黒河の10省に改編し、清代より続く伝統的な地方行政区分の見直しが行われた。 その後も経済的、軍事的理由により頻繁な行政区画の変更が行われ、1937年(康徳4年)7月7日には朝鮮国境沿いの治安強化を目的に安東省東部に通化省を、浜江省東部に牡丹江省、またソ連からの防衛を目的に1939年(康徳6年)6月1日に北部国境地帯に北安省、東安省が、1941年(康徳8年)7月1日に食糧増産のための農地開発を目的に四平省が設置されている。1941年(康徳8年)8月段階で満洲国には最大19の省が設置された(表2)。 表2 : 1941年(康徳8年)8月の満洲国省級行政区画行政区名称省都面積人口備考安東省 安東市 2.7万 間島省 延吉県 2.9万 吉林省 吉林市 9万 錦州省 錦州市 3.9万 興安西省 林西県 7.5万 興安東省 扎蘭屯 10.7万 興安南省 開魯県 7.9万 興安北省 海拉爾市 16万 黒河省 璦琿県 11万 三江省 佳木斯市 四平省 四平市 通化省 通化市 10.8万 東安省 東安市 熱河省 承徳県 9.1万 浜江省 哈爾浜市 奉天省 奉天市 7.5万 北安省 北安県 牡丹江省 牡丹江市 5.7万 竜江省 斉斉哈爾市 12.6万 新京特別市 - 435 関東州 - 日本租借地 このほか経済的、軍事的な理由により特殊省制も実施されている。1934年(康徳元年)12月1日に設置された黒河省は、満洲国北端に位置しまた人口希薄な経済的に遅れた地域であったため、1937年(康徳4年)12月1日、満洲国政府は『黒河省官制』を公布、黒河省を特別省に指定し県制を施行しないことを定めた。その後ソ連との軍事的緊張の高まりより1943年(康徳10年)1月1日に『黒河省官制』は廃止となり他省同等の行政区画に改編されている。 また1943年(康徳10年)10月1日には戦時経済体制の強化を目的に牡丹江、間島、東安の3省を総括する東満総省を設置、廃止となった牡丹江省を除く間島、東安両省の上位行政組織が成立した。東満総省は1945年(康徳12年)6月1日に廃止となり、間島省と旧東安省と牡丹江省を統合した東満省が成立している。
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