村立海空小学校
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 08:14 UTC 版)
「株式会社大山田出版仮編集部員山下たろーくん」の記事における「村立海空小学校」の解説
山の上にある木造の小学校。かつては違う名前の小学校だったが現在は廃校に等しく、取り壊しを防ぐため東村が一人で暮らしていた。生徒は全員3年生の5人だが、後にとめや才蔵も加わり7人となる。一時は辰己によるリゾート開発の拠点として取り壊しの危機もあったがとめの転校により免れる。旧校名は明らかになっていないため、本項では旧校時代も「海空小学校」で統一する。 フータロー クラスのリーダー的存在で学級委員を務める少年。野球の試合では9番一塁手を守る。面倒見がよく仲間から信頼を得ていた。如月小を追われたたろーに「もっといろんなこと、この瞬間楽しいことが無尽蔵にあること、海と空がたくさんあることをもっと教えてほしい」と叫んで呼び止めたのも彼である。その後本土からやってきた母親に東京へ連れて帰ると言われるが、たろー達の必死の説得で島に残ることとなった。そのほかにも、龍之介には(たろーから)「この瞬間の大切さをこの瞬間にも教えてもらっている」と教えている。 野球に関しては当初はたろーの指導に対して仲間と共に異を唱え投げ出す場面もあったが、たろーが辰己と練習している姿を見て考えを変え、改めてたろーに野球を教えてもらうことを志願した。水無月小の試合ではそれまでパーフェクトに抑えられていた6回に内野安打で塁に出て村田の完全試合を崩した。 ドデスカ伝( -でん) クラスの中では一番体格はいい少年。しかし父親に似て臆病者で大袈裟。弟がいる。一番の苦手は母親。野球の試合では打順は不明だが投手を務める。当初はたろーの授業には否定的だったが、「バカもここまで来れば清々しい」と考えるようになり、フータローら仲間たちとともにたろーを呼び止めることとなった。 野球に関しては当初たろーのことを野球未経験者だと思っていた。一度は仲間と共に練習を辞めるがその後再度志願し、学校での練習以外にわび助と一緒に神社でも練習をしていた。 わび助(わびすけ) 将来は父の跡を継いで大工になりたいと考えている少年。野球の試合では打順は不明だが捕手を務める。如月小学校に通うさくらに好意を寄せていて、頼子に対してのさくら心の傷を癒す手助けをする。算数が苦手で、如月小時代にフータローの答案用紙を覗かせてもらっていたが、間違えてフータローの名前で書いてしまったため先生に怒られる過去を持つ。 水無月小編ではコントロールの定まらないドデスカの投球練習に付き合い、ボールが顔面に当り鼻血を出しながらもドデスカの投げるボールを受け止めている。 びちびち 心優しいが気が小さく腹が弱く、いつもお腹を壊している少年。スキンヘッドで頭の上に一本毛が生えていて、冬でもタンクトップに短パンという姿でいる。水無月小との練習試合では7番中堅手を守る(公式戦1回戦では三塁手を守っていた)。 如月小時代は精神的ストレスにより常にお腹を壊している状態だったが、たろーの授業を受けた時はお腹を壊さなかったこともあり、仲間と一緒に島を離れようとするたろーを追いかけた。 水無月小編では、練習中ただ一人簡単なフライを取れなかったが、東村とフータローの練習の甲斐あって水無月小との試合では村田が打ったホームラン性の当たりをフェンスをよじ登って掴み取り(海に落ちかけたところは詠み人と龍之介が掴んでグラウンドに戻す)、さらに満塁だったため満塁ホームランと思っていた選手は全員ホームへ進んでいたため三重殺(トリプルプレイ)となった。 詠み人(よみびと) 前作にも登場した須永を彷彿とさせるクールな少年。如月小に通っていた時にいつも一人でいるところをフータローが声をかけ仲間にした。常に帽子を被っていて脱いだ姿は描かれていなく、家族構成も不明。何かあることに一句を詠んでいて、野球の試合では2番二塁手を守る。将来の夢を持たず運命に逆らわず流れのままに生きることを信条とし、現実よりも文章の中で自由に会話ができていた。須永の書いた小説を愛読書にしている。 如月小学校時代では小説を書いており、最初に読ませてもらったフータローは続きを楽しみにしていたが、その小説を当時の担任が心無い酷評をした上に没収されたことが深い心の傷となってしまったため小説を書くことをやめていた。その後海空小学校を訪れた須永がその小説を読み、「たろーの魂の反応を信じること」「続きを待ちわびる人がいる限り完成させるべき」とアドバイスを送られ、再び小説を書くことを始めた。なお、このエピソードは単行本(書籍版)では収録されていない。 5時間目で頭の上に芽が追加され、ドデスカはどう育つのかを楽しみにしていることを語っている。後半から終盤にかけては名前の表記が片仮名の「ヨミビト」に変更されている。 水無月小との試合では「正攻法では徒労」の考えから相手ピッチャーの意表を突くバントで出塁しフータローととめに続き塁に出た。 白倉 とめ(しらくら -) 海空小学校の6人目の生徒で唯一の女の子。ドデスカの次に背が高い。ツインテールの髪型でワンピースのやフリルの入った服を着ることが多く、同じ服の多い男子と違い着る服のバリエーションは多い。野球の試合では1番遊撃手を守る。 島の7割の土地を所有する資産家の娘で、東京から帰ってきて如月小学校に転校し太郎一のクラスに編入する予定だったが、東京にいた時の極度の人間不信から「学校はただ傷つきに行く場所」と転校することを拒否し、家からこっそり抜け出して海空小学校に足を運んでいた。当初こそは自ら壁を作り孤立していたが、たろー達の暖かい心を目の当たりにして自分の心の中にあった深い闇から救い出してくれたこと、それと過去に自分の誕生日を祝い「アリス」と名付けてくれた少女(おねえさん)との約束のために海空小学校に転校する。海空小学校に転校してからは皆と仲良く接している。ただし目的のため(神社の霊の正体〈=由紀恵〉を探るときやわび助の恋の行方の観察等)なら手段を選ばない黒い部分もあり、クラスの仲間を仕切ることもある。 自分のことを「とめ」と呼ばれることを頑なに拒絶し、皆には「有栖」と呼ぶように言い聞かせている。一方、たろーやクラスの仲間が「とめの有栖」と呼んでいることについては拒絶する反応は見せていない。おねえさんから誕生日プレゼントとして貰ったクマのぬいぐるみ(いがぐりまろんぶらうん)を「親友」としていつも肌身離さず持っている。このぬいぐるみを使った腹話術で自分の気持ちを語ることもある。 たろーのことは「ぽち」と呼ぶが、表には出さないものの強い信頼を寄せている。絵が上手で、図工の授業で描いた絵はクラスの仲間を描いた優しい雰囲気の絵を皆に見せた。ただし、東京にいた時に絵画教室で描いていた絵は暗くて闇の深い物ばかりで母親と思われる人物も頭を悩ませていた。 水無月小との試合では相手打者の打った球を咄嗟の判断で素手でつかんだためバットも握れなくなるほどの怪我を負うが、右手を包帯で固定しフータローに続き内野安打を放つ。 35時間目の途中から目のタッチが変更された。 才蔵(さいぞう) 海空小学校の7人目の生徒で、嶋之島から三里離れている儀右衛門島(ギエモンとう)に祖父と住む少年。「漁師に学校は必要ない」と考える祖父をたろーの体を張った必死の説得によって海空小学校に編入する。室町時代から続く「儀右衛門」の十四代目にするべく祖父から漁師として育てられていて学校には通っていなかった。漁師として一番大切な「生命を感じる力、命のある場所」を嗅ぎ分ける能力を持っている。 漁の最中に海空小と水無月小の試合を見たことがきっかけで学校と野球に興味を持ち、深夜の海空小や如月小に侵入してこっそり教科書を借りて独学で勉強していた。頭は良くない上に字も下手だが運動神経は抜群で、ボールを投げた際も非常に威力があり皆を驚かせた。 単行本(書籍版)ではこれらのエピソードは収録されておらず「うみぞら新聞 号外」として1ページにまとめられている。 東村 勘太郎(ひがしむら かんたろう) 村立海空小学校の卒業生でもあり校長。前作の村西を彷彿とさせる外見の男性。たろーらが来る前は取り壊しを防ぐために廃校同然の小学校の宿直室に寝泊まりをして昼間から酒を飲む生活をしていた。小学生時代は庄田と共に常に運動会のかけっこで1位を争っており、運動会の二人三脚でも「長々組」としてコンビを組む。頼子の生前時、さくらからは「かたぎの人じゃない」と怖がられた。 たろーの高校野球時代のことをわずかに知っている模様で、水無月小編では夜の自主練に励んでいだフータローとびちびちの練習に付き合う。 東村 頼子(ひがしむら よりこ) 東村の妻。東村と村長の庄田と共に海空小学校に通っていた。もともと体が弱く5年前に亡くなっている。庄田もかつては好意を寄せていて、空気のように必要な人だったと東村に話している。人見知りが極めて激しかったさくらも懐いていた。晩年は桜の木のある場所で体を休めていて「死ぬなら学校で、最後の一瞬まで"先生"でいたい」と貫き通したが、さくらからは「悲しみを与えたまま死なせてしまった」と深い心の傷になっている。
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