月久側
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:18 UTC 版)
逢海 月久(おうみ つきひさ) 声 - 中多和宏 裏会のナンバー2で、十二人会の第一客・夢路久臣と同一人物。覇久魔の城の関係者からは「玉様」と呼ばれている。 最高幹部の一人に過ぎないものの、無気力な日永に代わって実質的には裏会を支配しており、記録係と水月を通じて裏会の全記録を一手に掌握し、十二人会一番の古株として会議の進行・取りまとめを行っている。十二人会では一番の発言力を持ち、会議で独裁的な意見を通す事も憚らないが、月久相手には誰も反論しない。ただし、本質的に裏会を自在に動かせる権限を持っているのはあくまで総帥である日永であり、月久は無気力な総帥の代理という名目で総帥を利用して権力を行使しているに過ぎない。その為、月久への復讐のために日永が総帥としての権限を行使し始めるとほとんど成す術がなかった。 強い精神支配能力者であり、力のイメージとしてクモヒトデを用いる。精神支配の力は最強と言われる日永にも引けを取らず、月久自らも「技術では上」と自負している。少なくとも日永と出会った時点では、その力は日永よりもずっと上だったとされている。自分の意識を精神支配系能力に乗せて他人に移し変える事で、他者の肉体を乗っ取りながら数百年を生きている。400年前から、異能者を集めて怪しげな宴を催すなど暗躍を繰り返しており、その場面に遭遇した旅の夫婦の記憶を書き換え、自分と同じ精神支配系能力者である夫を自分の兄・「逢海日永」に、妖混じりの妻・水月を自分の妻へと仕立て上げ、その後日永とともに裏会を創設した。本編初登場時点では、植物を操る自然支配系能力者を器としていた。 優しさを持つ日永とは異なり、自分のために他人を利用する事を何とも思わない冷酷非情な性格で、自分以外を信用せず直属の部下からも信頼されていない。故に傀儡として利用していた日永に対しても、人間不信に苦しむ彼を献身的に支える振りをしていたものの、影では侮蔑していた事をカケルに察知されており、その態度が故にカケルの嫌悪を買っている。裏会創設に助力した時守に対しても「何を考えているか分からない」と嫌悪している。 日永が水月と接触して全ての真実を彼女から引き出してしまった事で、日永は自身から決別し逃亡、後に日永の神佑地狩りや裏会破壊活動を察知し、彼に対抗するためカケル・ミチルらに神佑地狩りを行わせつつ、十二人会では最高幹部3人の殺害等による裏会の混乱の収束を口実に、反論を説き伏せ全権を一時的という形で掌握。それにより日永を始末して裏会を建て直し自らの手で掌握することを目論んだ。そのために烏森の力をつけ狙い、直属部隊によって鳥森を襲撃させ、自らは正守を裏会の立て直しのための話し合いという名目で足止めしたが、自身の殺害を狙う零の乱入により追い詰められ、説得に現れた正守を逆に洗脳しようとするも彼の覚悟の前に失敗。結局烏森狩りは極限無想を体得した良守の手で阻止され、自らも零の攻撃によって器を破壊されてしまった。 しかし本人は殺される直前に精神のみを脱出させ、零に意識を乗り換えて日永の下へ潜入。日永討伐を謳う勢力の存在を知り、日永を謀殺して遺体を手土産に彼ら投降、裏会が立ち直るのを待ちその中枢に近い人間に乗り換える事で、再び裏会の支配者に納まろうと目論んだ。やがて日永に支配された部隊と裏会残存勢力との全面決戦に伴って、本性を現し日永を狙ったが、精神支配系能力が完全回復していなかった事で失敗、最期は日永が遥の魂蔵で増幅させた能力の全てを結集させた事により、空中から突き落とされ零もろとも遂に息絶える。最期は残った意識を日永に抜き取られ、日永もろとも正守の絶界で消滅した。 彼自身もまた肉体を転移させるうちに本来の自身にまつわる記憶が変質しており、本来血縁のなかったはずの日永を実兄と思い込んでいた。正守からは「心はわからないままだった」と言われたが、無道からは「人でないことに自覚的だっただけ」と評された。 カケル 魂蔵持ちのまじない師。常に喪服のような黒装束に身を包み、髪はショートヘアー。口は悪いが中性的な美人。装束の下にはクロスバックのハイレグを着ている。幼少期に逢海兄弟の肉体乗り換えのための「選定」として裏会に連れてこられたものの、女であった事から不適合者と判断したミチルによって処刑を決められ、それにより何度殺されても死亡しなかったことから魂蔵持ちである事が発覚。ミチルにまじないを教えられ総帥直属に加わる。育ての親であるミチルを姉のように慕っており、「カケル」の名もミチルに与えられた。 魂蔵持ちであるために絶大なパワーと不死身の肉体を持ち、まじないの素質も天才的で、街一帯を囲んでしまうような超巨大なまじないを、呪具すら必要とせず単独で構成できるほどの実力者。その強い生命力により、日永の精神支配にも耐性を持つ。 ミチルらとともに日永に切り捨てられ夢路の命で動くが、本人は日永を影で馬鹿にする夢路を嫌っていた。夢路の計画した烏森狩りのためにミチルらとともに烏森を訪れ、街一帯を破壊する超巨大なまじないを構築することで街を人質にとって良守らを無力化させたが、良守や夜行のまじない班によってまじないを壊され失敗。その後ミチルもろとも七郎に殺されたが魂蔵持ちのため再生、難を逃れた壱号に連れられて逃走。 日永への復讐を誓い、全てをかけてミチルが遺した「世界を終わらせるまじない」の陣を完成させるも、魂蔵の力を全てまじないに注ぎ込んでしまった事で生命力が弱り、その後訪れた日永の術を受け昏睡状態に陥るも、日永が本性を現した月久を迎え撃つため能力を自分の元に戻したことで意識が戻る。その後、ミチルの死による悲しみから自害しようとまじないを発動するが、“眺める者”によって陣が破壊されると共に、注ぎ込んだ魂蔵の力も吸収されてしまい失敗する。 自身の最高のまじないも不発に終わり、ミチルもいない中、自分を必要としてくれる者がいないと感じ、崩壊していく覇久魔の神佑地と共に死のうとする。しかし、自分を必要としてくれた壱号に何か感じることがあった様で、思い直して彼と共に神佑地を脱出した。 ミチル まじない師。カケルと同じ黒装束に身を包み、髪は一房に結んでいる。本来は夢路の部下だが、裏会で初めて出会ったまともな人の心を持つ日永を愛し、強い忠誠心を抱いている。 自分が選ばれた人間であると自負し、新しいまじないの体系を完成させる為にあらゆる非道に手を染めてきた。カケルの事も元々は単なる道具としてしか見ていなかった。しかし、日永の果てしなく打ちひしがれる姿を見た事で、彼を救う事に全力を注ぐようになる。 自身が魂蔵持ちであるカケルの「共鳴者」となった事から、神佑地狩りや裏会破壊といった日永の野望の段取りの大半を発案し、日永に復讐を誓わせるきっかけとなった。日永が裏会本部から逃走する際は同行を許されていたが、カケルの人生を狂わせ、日永を復讐へと駆り立ててしまった罪を悔いていたため、贖罪のため夢路の下に戻ることを選ぶ。 夢路の下では、神佑地狩りのために何人もの少年少女の結界師を拉致し、使えそうな子供を差し出していた。夢路の烏森狩りにも協力することとなり、白丸・黒丸を操る男と共に烏森に来て、妖を囮に使い、烏森の中心部に「マーキング」と呼ばれるまじないをかけた(しかし後に夜行のまじない班に外された)が、マーキングが夜行のまじない班にはずされたこともあり、烏森狩りのために結界師役の少年、カケル、壱号、弐号らと共に訪れる。結界師の子供を使って烏森への道を開こうと試みたが、良守や夜行のまじない班によって失敗、最期は七郎によって殺害・消滅させられてしまったことで、カケルによる共鳴も及ばずこの世を去った。 壱号(いちごう) 14、5年ほど前に選抜を受けて「人形」となった長髪の男。536号とは同期で彼からは「544号」と呼ばれている。カケルとも幼少期から城で共に過ごした昔馴染み。蒼士同様冷静沈着で人間味は薄いが、意思ははっきりしており自身の立場に葛藤する場面も多くみられる。また、人間らしいカケルに対して特別な感情を抱いている(零号(月久)からは「惚れている」と解釈された)。武器は刀。自身の体から出現してきた一つ目の巨人を数体召喚・使役する能力を持つ。巨人と自分の体の一部は繋がっており、肉体の一部のように扱うことができるが、逆に身体から巨人が断ち切られると自然消滅する。 カケル、ミチル、弐号とともに日永に切り捨てられており、夢路の命で烏森狩りに出向き蒼士らと交戦するが、極限無想に達した良守に巨人の特性を見破られて無力化され失敗。その後烏森に舞い降りた七郎に攻撃されるが、右腕を失いながらも生存、カケルを連れて逃亡した。 まほら、眺めるもの、良守、宙心丸などの出現により崩壊する覇久魔の地で死のうとするカケルを諭し、共に脱出した。その後は裏会に保護された様子。 弐号(にごう) 妖混じり。腕に翼を生やし、飛行することが出来る。また、その翼の羽は飛ばすことができ、羽が当たった箇所を着火させることが可能。完全変化すると鳥のような姿になる。妖混じり故に感情に支配されやすく、壱号から失敗作と評されている。 ミチル、カケル、壱号と共に烏森に現れたが、極限無想に達した良守によって無力化される。最期は七郎によって真っ二つにされ殺害された。 536号 フードをかぶった、顔に傷のある男。異界の大木の手入れ係。壱号とは違い感情を表すことが出来る。「人形」の選別のいきさつを知っている。外の世界に強い興味を持つ。首にかけた笛から鳥型の使い魔を出して操る能力がある。
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