旧白金御料地とは? わかりやすく解説

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旧白金御料地

名称: 旧白金御料地
ふりがな きゅうしろがねごりょうち
種別 天然記念物
種別2: 史跡
都道府県 東京都
市区町村 港区白金台五丁目
品川区上大崎二丁目
管理団体
指定年月日 1949.04.12(昭和24.04.12)
指定基準 植1,4,10,12
動3,史2
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: この地は松平讃岐守の下屋敷の跡で古く白金長者居地であつたと伝えられる明治以後海軍火薬庫充てられ、ついで皇室御料地に帰属したが、最近国有地になった
久しく公開されなかつたために幸ひ開発の厄を兔れ、よく旧状を保持していて、中央西寄りにある池とそれを囲む斜面には旧武蔵野植物群落一部を示す約200余種の植物生育しとりわけ伊勢紀伊以西だけに存しているハマクサギ老木中華民国中部及び九州分布する。トラノヲスズカケと本邦特産ミヤマカタバミ群落は最も貴重であつて、殊にミヤマカタバミ大群落は他にその比を見ないほどの大群落をなしている。更に地域北辺沿う長い土塁上に繁茂するシヒノキの並木巨樹として価値あるもの10数本含み最大500年以上と推定され昭和10年指定され海軍大学校正門前のシヒノキをしのぐ。これらシヒノキの延々として連る景況偉観であり類例稀である。又ここにはタヌキ野生を見るが、その界は種類富み明治神宮内苑並んで都内屈指である。池にはオシドリ生息するばかりでなく、毎年多数コガモ渡来越冬してなごやかな景観呈する殊に自然を特色づけるものは昆虫類で食飼としての植物豊富なために種類きわめて多く中にはヒナカマキリアカスジキンカメムシ、ジウジナガカメムシ、イトカメムシ、カツコウムシ、シナノクロフカミキリシラホシカミキリヤハズカミキリキマダラカミキリイタヤカミキリ、ヒメナガカミキリ、クシヒゲユメツキ、ヒメトラハナムグリクロハナムグリガガンボモドキヒメカマキリモドキマダラウスバカゲロウ、オオヘビトンボ等の山地性並に南方系の種類産し動物地理学興味深いものがある。なお、類は凡そ30種を数え山地性のキンモンスズメモドキも見られ直翅類のうち鳴く虫スズムシマツムシクツワムシ16種に及び、又フサヤスズムシの如き珍種産している。思うに昔の自然をしのぶに足り武蔵台一角として学術上重要なものである
白金長者御府内備考によれば、その祖を下上総助といい応永年間京都から下つてここに居を構えた伝えられる域内には谷状に入込む低濕地臨んだ台地上に館の遺構存し主なもの挙げれば中央南寄りには、高さ2間半ほどの土塁矩形状に残り一部には外掘も認められる。又地域北辺を限る長い土塁台地から延びて低湿地出口横切り規模きわめて雄大土塁上のシヒノキの令から見て中世属するものであることは明かであり、館の外囲施設かとも推定される白金長者伝説史実との関係については、なお明かでなく、且土塁破損されているところもあるが、すべて開発され都心附近このような館跡があることは、この地方の沿革を知る上に注意すべきである
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国立科学博物館附属自然教育園

(旧白金御料地 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/03 09:52 UTC 版)

国立科学博物館附属 自然教育園
The Institute for Nature Study,
National Museum of Nature and Science
全景と周辺環境(2012年8月)
国立科学博物館附属自然教育園 (東京都区部)
施設情報
前身 旧白金御料地
専門分野 植物研究・教育
事業主体 独立行政法人国立科学博物館
開園 1949年(昭和24年)
所在地 108-0071
東京都港区白金台五丁目21番5号
(一部は品川区上大崎二丁目)[1]
位置 北緯35度38分17秒 東経139度43分10秒 / 北緯35.63806度 東経139.71944度 / 35.63806; 139.71944座標: 北緯35度38分17秒 東経139度43分10秒 / 北緯35.63806度 東経139.71944度 / 35.63806; 139.71944
公式サイト 国立科学博物館附属自然教育園
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国立科学博物館附属自然教育園(こくりつかがくはくぶつかんふぞくしぜんきょういくえん)は、日本国立科学博物館が所有する緑地で、東京都港区白金台五丁目に所在する[1]。約20万m2(約20ha)の敷地には草地湿地と散策路があり、1400種以上の植物、2100種以上の昆虫、約130種の鳥類が確認されている[2][3]。「旧白金御料地」として1949年(昭和24年)4月12日、国の天然記念物および史跡に指定された[1]

概要

渋谷区から港区に向けて東流する古川(渋谷川[注釈 1]南岸に面した、標高32メートルの武蔵野台地上に位置する。

もともと江戸時代以前より屋敷などに使われた土地ではあるが、あまり人の手を入れていない状態が長く保たれたことで、東京都区部が人口密集地となる前の自然をうかがい知る貴重な場所となっている。その意味で、同じ屋敷地をルーツとする南隣の東京都庭園美術館の手入れの行き届いた庭園としての姿とは好対照をなしている。だからといって手入れをしていないわけでもなく、ここでは日本の古来種である野草など武蔵野の自然に自生する野草や地形、土塁など貴重なものが温存されている[3][5]

歴史

園内は「旧白金御料地遺跡」として埋蔵文化財包蔵地化されており[6]、有史以来この地に人が住んでいたことが園内より縄文土器弥生土器近世遺物が発見されたことで確認できる[7]

室町時代の頃、この地には白金長者(柳下上総介)と呼ばれる豪族が居館(白金長者屋敷)を構えたと伝えられ、その遺構とされる土塁が園内にみられる[8][9]。その後、江戸時代には高松藩松平頼重の下屋敷として用いられた。明治時代に入ると陸海軍の火薬庫として使用され、一般人の立ち入りが禁止された。1917年大正6年)に陸軍から宮内省帝室林野局に委譲され、白金御料地となった[9]太平洋戦争中は田畑にされる、防空壕が掘られるなど荒廃が進んだ。戦後、以前から隣接する国立教育研修所が演習林として利用していた経緯などから文部省に移管される[9]1949年(昭和24年)に全域が「旧白金御料地」として天然記念物および史跡に指定され[1]、同時に「国立自然教育園」として一般公開された。1962年(昭和37年)に国立科学博物館附属自然教育園となった[5]

大正時代の文献によれば、かつてはモミスギマツといった針葉樹が林を形成していた。しかし、明治神宮造営のための大規模な移植や、近接道路からの大気汚染などから針葉樹は激減してしまい、現在は落葉広葉樹が主体の森となっている[9]

園内

  • 敷地面積:約6万(約20万m2[3]
  • 利用者用施設:教育管理棟(自然教育園の自然を紹介した各種展示、休憩スペース、ミュージアムショップ)[3]
  • 植生概況:シイ林、マツ林、コナラ林、落葉樹林、草原、湿地[3]

生物

園内では、1473種の植物、約2130種の昆虫、約130種の鳥類が記録されている[10]

2016年から2018年にかけて、国立科学博物館の研究員により2016年から2018年にかけて園内の生物相の調査が、2021年には道路で切り離された「飛び地」の調査が実施され、結果が報告書にまとめられた公開されている[10]

出版物

  • 自然教育園報告(外部リンク参照)
  • 自然保護教育のためのカリキュラム作成に関する研究 : 自然教育園をフィールドとして - 国立科学博物館付属自然教育園自然保護教育研究班 編、1981年3月[11]
  • 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として - 「研究報告」「資料篇」と分冊刊行。1980年3月[12][13]

アクセス

白金台駅東京メトロ南北線都営地下鉄三田線)から徒歩7分、目黒駅(前述の地下鉄2路線のほかJR山手線東急目蒲線)から徒歩9分程度[14]

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ 渋谷区内は「渋谷川」、港区内は「古川」と呼ばれる[4]

出典

  1. ^ a b c d 東京都教育庁地域支援部:文化財情報データベース「旧白金御料地」(2024年10月26日閲覧)
  2. ^ [ぷらっと東京]自然教育園と都庭園美術館/高級住宅街の和みスポット『産経新聞』朝刊2024年10月7日(東京面)
  3. ^ a b c d e 利用案内パンフレット『国立科学博物館附属自然教育園 天然記念物及び史跡(港区白金台)
  4. ^ 渋谷川・古川の流域 東京都建設局ホームページ(2024年10月26日閲覧)
  5. ^ a b 沿革 国立科学博物館附属自然教育園公式サイト(2024年10月26日閲覧)
  6. ^ 「東京都遺跡地図情報インターネット提供サービス」東京都教育委員会公式HP
  7. ^ 国立科学博物館附属自然教育園飛び地調査委員会 2021 pp.90-98
  8. ^ 平井ほか 1979 pp.244-245
  9. ^ a b c d 渡辺一夫『公園・神社の樹木 樹木の個性と日本の歴史』(築地書館 2011年 ISBN 9784806714323)pp.60-74
  10. ^ a b 調査研究 国立科学博物館附属自然教育園公式サイト(2024年10月26日閲覧)
  11. ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1981). 自然保護教育のためのカリキュラム作成に関する研究 : 自然教育園をフィールドとして. [東京]: 国立科学博物館付属自然教育園. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12162489 
  12. ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1980). 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として. 東京: 自然教育園. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12162286 
  13. ^ 国立科学博物館附属自然教育園 (1980). 自然保護教育の現状と問題点 : 野外観察会と自然研究路を中心として. 東京: 自然教育園. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000039-I12162384 
  14. ^ アクセス 国立科学博物館附属自然教育園公式サイト(2024年10月26日閲覧)

参考文献

関連項目

外部リンク



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