改造一円券とは? わかりやすく解説

改造一円券

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 06:58 UTC 版)

一円紙幣」の記事における「改造一円券」の解説

1889年明治22年3月15日大蔵省告示27号「兌換銀行券ノ内壹圓改造見本ノ件」により紙幣の様式公表されている。主な仕様下記の通り日本銀行兌換銀券 額面 壹圓1円表面 武内宿禰紙幣面の人名表記は「武内大臣」)、一円銀貨兌換文言発行根拠文言偽造変造罰則文言 裏面 一円銀貨英語表記兌換文言 印章表面総裁之印 〈裏面文書局長金庫局長 銘板 大日本帝國政府大藏省印刷局製造 記番号仕様記番号赤色 記番号構成製造時期により2種類あり)〈記号〉「第」+組番号漢数字1 - 3+「號」 〈番号通し番号漢数字6記号〉組番号:「{」+数字3+「}」 〈番号通し番号数字6 寸法 縦85mm、横145mm 製造実績印刷局から日本銀行への納入期間 1889年明治22年1月 - 1942年昭和17年7月30日 記号(組番号範囲 「第壹號」 - 「第壹五〇號」/151 - 446いずれも1記号当たり900,000製造製造枚数 135,000,000記番号漢数字264,000,000記番号アラビア数字発行開始1889年明治22年5月1日 支払停止1958年昭和33年10月1日 発行終了 有効券 大黒旧券には紙幣強度高めるためにコンニャク粉混ぜられ、そのためネズミ食害されることが多々あり、また偽造防止対策として採用された薄い青色鉛白含有するインキ温泉地黒変しかえって偽造し易くなるなどの技術的欠陥明らかになったことから、これを改良するためにこの一円紙幣含めた改造券」が発行された。 偽造防止対策として精巧な人物肖像印刷することとなり、肖像には1887年明治20年)に選定され日本武尊武内宿禰藤原鎌足聖徳太子和気清麻呂坂上田村麻呂菅原道真の7人の候補の中から、改造一円券には武内宿禰選ばれている。なお武内宿禰肖像は、文献資料絵画・彫刻参考にしつつ国学者黒川真頼などの考証を基に、エドアルド・キヨッソーネ神田明神神官であった本居豊穎モデルとしてデザインしたものとされる武内宿禰肖像表面右側描かれており、兌換対象一円銀貨図柄表面の地模様裏面両方あしらわれている。表面には日本語で、裏面には英語で兌換文言表記されている(此券引かへ𛂋銀貨壱圓相渡可申候也 NIPPON GINKO Promises to Pay the Bearer on Demand One Yen in Silver)。偽造変造罰則文言表面下部の2ヶ所に印刷されているのも特徴的である。図案製作者は旧券と同じくイタリア人エドアルド・キヨッソーネである。 現在法律上有効な日本銀行券のうち、篆書体による「文書局長」「金庫局長」の印章印刷されている唯一の紙幣でもある。また現在法律上有効な日本銀行券のうち、日本銀行兌換銀券である旧一円券と改造一円券の2種には、現行紙幣にある「発券局長」の印章印刷されていない当初記番号漢数字だったが1916年大正5年8月15日発行分からはアラビア数字変更された。古銭収集界での通称としては、記番号表記から漢数字表記のもの(前期タイプ)を「漢数字1円」、アラビア数字表記のもの(後期タイプ)を「アラビア数字1円」と呼ぶ。いずれも1組につき90万枚最大通し番号は「九〇〇〇〇〇」「900000」である。漢数字1円記番号ハンド刷番機で印刷されており、アラビア数字1円記番号機械印刷による。なお当初発行分の武内宿禰肖像西洋人風の風貌となっていたため、1916年大正5年8月15日記番号表記変更あわせて肖像修正が行われている。 改造一円券の変遷詳細および組番号範囲下表に示す。 通称発行開始日日本銀行への納入間組番号範囲番号表記通し番号表記その他の変更箇所漢数字1円 1889年明治22年5月1日 1889年明治22年1月 - 1915年大正4年下期 「第壹號」 - 「第壹五〇號」 漢数字 漢数字 アラビア数字1円 1916年大正5年8月15日 1916年大正5年5月29日 - 1942年昭和17年7月30日 151 - 446 アラビア数字 アラビア数字 肖像一部修正透かし採用されており、毛筆による「銀貨壹圓」の文字図柄確認できる。なお「銀貨壹圓」の文字当時大蔵大臣である松方正義揮毫よるものである。 使用色数は、表面3色(内訳凹版印刷による主模様1色、地模様1色、印章記番号1色)、裏面2色(内訳は主模様1色、印章1色)となっている。 「兌換銀券」と表記されているが、1897年明治30年10月貨幣法施行および兌換銀行券条例改正による銀本位制から金本位制への移行に伴い以降法的には金兌換券として扱われることになったしかしながら兌換されるべき1円金貨極端に小型となってしまうことから製造されなかったため、金本位制にはそぐわなかったものの、1943年昭和18年12月い号券登場まで50年以上にわたって製造続けられた。このような対応が取られ理由は、貨幣法により発行され本位貨幣本位金貨)の最小金額5円となったため、これに合わせて兌換券最小金額5円とすべきとの考えから、当初額面金額1円兌換銀券回収し50銭以下の補助貨幣賄う方針であったが、経済発展に伴い小額補助貨幣不足する一方で一円紙幣需要増大したため暫定的にそのまま発行継続されことによるのである。 また関東大震災により滅失した兌換券整理目的とした1927年昭和2年2月兌換銀行券整理法制定の際にも、5円上の券種同様に新紙幣への切り替え対象とすることが検討されたが、前述通り対応する本位貨幣発行されていないという矛盾があることや、将来的には硬貨切り替える構想であったという背景などから対象外とされている。 その結果、この改造一円券が事実上不換紙幣としてそのまま使用され続け日本銀行券で最も長期間にわたり発行され続けた紙幣となった1942年昭和17年5月日本銀行法施行による金本位制廃止伴って法的に不換紙幣として扱われることになったため、現在も不換紙幣扱い銀貨交換することはできない先述通り兌換銀行券整理法や新円切替対象外であったため、法的には有効であり法貨として額面である1円価値保証されている。 古銭価値は、高いものから順に漢数字1円アラビア数字1円の組番号100番台>組番号200番台>組番号300番台以降となっており、漢数字1円数千円か1万円上の値がつくことがあるのに対しアラビア数字1円の組番号300番台以降のものは、しばしば未使用100枚帯封古銭市場ネットオークション等に現れるほどであり、古銭商1枚数百円~1000円程度値段販売されることはあっても、1枚での買取はほとんど期待できない

※この「改造一円券」の解説は、「一円紙幣」の解説の一部です。
「改造一円券」を含む「一円紙幣」の記事については、「一円紙幣」の概要を参照ください。

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