旧一円券とは? わかりやすく解説

旧一円券

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 06:58 UTC 版)

一円紙幣」の記事における「旧一円券」の解説

1885年明治18年8月29日大蔵省告示119号兌換銀行券見本」により紙幣の様式公表されている。主な仕様下記の通り日本銀行兌換銀券 額面 壹圓1円表面 大黒像、一円銀貨兌換文言英語表記兌換文言発行根拠文言 裏面 彩紋偽造変造罰則文言 印章表面日本銀行総裁之章、文書局長割印) 〈裏面金庫局長 銘板 大日本帝國政府大藏省印刷局製造 記番号仕様記番号色 黒記番号構成記号〉「第」+組番号漢数字1 - 2+「號」 〈番号通し番号漢数字6 寸法 縦78mm、横135mm 製造実績印刷局から日本銀行への納入期間 1885年明治18年7月 - 1888年明治21年下期 記号(組番号範囲 「第壹號」 - 「第五貳號」(1記号当たり900,000製造製造枚数 45,117,000 発行開始1885年明治18年9月8日 支払停止1958年昭和33年10月1日1899年明治32年3月20日以降回収対象であり、支払停止以前から事実上発行されていなかったと推測される発行終了 有効券 明治維新以降政府発行した明治通宝改造紙幣などの政府紙幣や、民営国立銀行発行した国立銀行紙幣などが並行して発行されていたが、西南戦争戦費調達発端として政府国立銀行無尽蔵に紙幣濫発した結果インフレーション発生し経済的な混乱一因となっていた。これを収拾通貨制度信頼回復を図るために松方正義により紙幣整理が行われることとなり、政府から独立した唯一の発券銀行としての中央銀行すなわち日本銀行創設され従来紙幣に代わって事実上の銀本位制に基づく「日本銀行兌換銀券」として発行された。 表面大黒天描かれていることから「大黒札」と呼ばれている。なお大黒天肖像は、当時印刷局職員であった書家平林モデルとしてデザインしたものとされる小槌と袋を手にした大黒天米俵の上腰かけている様子描かれており、米俵の側には3匹の鼠があしらわれている。また兌換対象一円銀貨図柄レリーフ模様ならびに日輪とそこから放射状延び光線状の模様表面の地模様としてあしらわれており、光線状の部分には微細な連続文字配されている。日本語と英語兌換文言表記されている(此券引きかへ𛂋銀貨壹圓相渡可申候也 NIPPON GINKO Promises to Pay the Bearer on Demand 1 Yen in Silver)。表面全体的に発行当時写真複製技術では再現困難な薄い青色印刷されている。図案製作者お雇い外国人として日本の紙幣製造技術指導にあたっていたイタリア人エドアルド・キヨッソーネである。なお裏面は、中央偽造罰則文言記載されている他は彩紋模様のみであるが、印刷部分は以降発行され券種比較する小さめのものとなっており、周囲印刷のない空白広がっている。 印章表面が「日本銀行総裁之章」(篆書日銀マーク周囲に文字)と「文書局長」(隷書文字周囲に竜の模様割印)、裏面が「金庫局長」(隷書文字周囲に竜の模様となっており、現在法律上有効な日本銀行券のうち、現行の総裁之印」の印章印刷されていない唯一の紙幣でもある。なお文局長割印は、製造時に原符と呼ばれる発行控え紙幣右側についており、発行時にこれを切り離して発行の上紙幣回収時に文書局長割印照合する運用となっていたが、発行枚数増大する従いこの運用は無理が出てきたことから、1891年明治25年以降廃されている。 記番号漢数字となっており、記号(組番号)の範囲は「第壹號」~「第五貳號」で、最大通し番号は「九〇〇〇〇〇」である(ただし「第四壹號以降通し番号欠番がある)。 紙幣用紙三椏原料したもので、強度高めるためにコンニャク粉混ぜられていた。「日本銀行券」の文字横書き右から左に読む)と丁字型の透かしがある。 使用色数は、表面4色内訳凹版印刷による主模様・地模様1色、文字1色、印章1色、記番号1色(文字黒色記番号黒色別版のため別色扱い))、裏面2色(内訳は主模様1色、印章1色)となっている。紙幣の様式としては緻密な凹版印刷による大型人物肖像精巧な透かし三椏を主原料とした用紙など、日本銀行券発行開始以前発行されていた政府紙幣である改造紙幣流れを汲むものとなっている。 日本において現在法律上有効な現金通貨紙幣・硬貨)の中で最古のものである。「兌換銀券」と表記されているが、1897年明治30年10月貨幣法施行および兌換銀行券条例改正による銀本位制から金本位制への移行に伴い以降法的には金兌換券として扱われることになったしかしながら兌換されるべき1円金貨製造されなかったため事実上不換紙幣となり、1942年昭和17年5月日本銀行法施行による金本位制廃止伴って法的に不換紙幣として扱われることになった。当然現在も不換紙幣としての扱いになるため、銀貨交換することはできない先述通り兌換銀行券整理法や新円切替対象外であったため、発行から130年以上経た現在も法的には有効であり、法貨として額面である1円価値保証されている。 古銭価値法貨としての額面価値上回っており、数千円か数万円以上で取引されているため、現在通貨としては事実上流通していない。

※この「旧一円券」の解説は、「一円紙幣」の解説の一部です。
「旧一円券」を含む「一円紙幣」の記事については、「一円紙幣」の概要を参照ください。

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