記番号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 13:44 UTC 版)
硬貨とは異なり、ユーロ紙幣はその紙幣を発券した国が独自にデザインを定めているものではない。そのかわり、紙幣の記番号の先頭の文字で発券された国がわかるようになっている。 記番号の先頭の文字はその紙幣を発券した国を示すものである。その後に続く13桁の数字は上述のチェックサムとなっており、各桁の数を足していき、その和が2桁以上であれば再度各桁の数の和を求め、1桁になったその数によっても発券した国がわかるようになっている。チェックサムの規則のため記番号は連続したものとなっておらず、9ずつ増加したものとなっている。 記番号の先頭に使われる文字でも、W, K, J は、現在ユーロを導入していない欧州連合加盟国が将来使用するために残されている。また R はユーロを導入していても発券を行なっていない国に割り当てられている。 記番号の先頭の文字は Z から順に、それぞれの国の公用語で表記した国名のアルファベット順で決められている。 国別コード金種国名チェックサム(1)日本語各国の公用語Z ベルギー België(オランダ語)Belgique(フランス語)Belgien(ドイツ語) 9 Y ギリシャ Ελλάδα(ギリシア語) 1 X ドイツ Deutschland(ドイツ語) 2 (W) (デンマーク) Danmark(デンマーク語) (3) V スペイン Espana(スペイン語) 4 U フランス France(フランス語) 5 T アイルランド Éire(アイルランド語)Ireland(英語) 6 S イタリア Italia(イタリア語) 7 (R) (ルクセンブルク) Luxembourg(フランス語)Luxemburg(ドイツ語)Lëtzebuerg(ルクセンブルク語) (8) (Q) 不使用 P オランダ Nederland(オランダ語) 1 (O) 不使用 N オーストリア Österreich(ドイツ語) 3 M ポルトガル Portugal(ポルトガル語) 4 L フィンランド Suomi(フランス語)Finland(スウェーデン語) 5 K (スウェーデン) Sverige(スウェーデン語) (6) J (イギリス) United Kingdom(英語) (7) (I) 不使用 H スロベニア Slovenija(スロベニア語) 9 G キプロス Κύπρος(ギリシア語)Kıbrıs(トルコ語) 1 F マルタ Malta(マルタ語)Malta(英語) 2 E スロバキア Slovensko(スロバキア語) 3 D エストニア Eesti(エストニア語) 4 C ラトビア Latvija(ラトビア語) 5 B リトアニア Lietuva(リトアニア語) 6 (1)アルファベット以外の11桁の記番号のチェックサム 上記一覧でデンマークとギリシャの記番号の先頭の文字が入れ替わっているのは、ギリシア文字には「Υ」があるが、「W」に相当する文字がないためである。 アイルランドの第1公用語はアイルランド語であるが、上記一覧ではアイルランド語表記の Éire ではなく、英語表記の Ireland にしたがっている。なおアイルランド語は2007年1月1日に欧州連合の公用語となっている。 フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語の2つがあり、いずれも欧州連合の公用語となっているが、同国内では前者が多く使われていることもあって上記一覧では、スウェーデン語の Finland ではなくフィンランド語の Suomi に従ったものとなっている。 ベルギーには3つの公用語があり、いずれも欧州連合の公用語となっている。またルクセンブルクにも公用語が3つあるが、そのうち2つが欧州連合の公用語となっている。ただいずれの言語の表記でも、国名の最初の文字はおなじであるため一覧の順番に影響を与えることがない。 ルクセンブルクはユーロ紙幣の印刷を行なったことがなく、記番号の先頭の文字が「R」となっているユーロ紙幣は流通していない。 ユーロ圏が拡大した2007年1月からはスロベニアにも記番号の先頭の文字が割り当てられたが、導入された当初、スロベニアはほかの国で印刷されたユーロ紙幣が流通された。そのためスロベニアではなくフランスで2008年4月以前に印刷された、記番号の先頭の文字が「H」のユーロ紙幣が流通している。 キプロスとマルタは2009年にはじめてユーロ紙幣(20ユーロ)を印刷した。 記番号の先頭の文字はユーロ紙幣の流通開始の時点におけるすべての欧州連合加盟国に割り振られており、上記のような順番で「J」までが決められたが、それ以降に欧州連合に加盟した国に割り振られる文字は、ユーロを導入した順番に指定されていくことになる。同時に2か国以上がユーロを導入したときには、上述の順番で文字が指定される。つまり、その国の名称を公用語で表記したさいに、その先頭のアルファベットの順番で記番号の先頭の文字を決めることになる。2007年にユーロを導入したスロベニアには「J」のひとつ前のアルファベットである「H」が割り当てられた。2008年にユーロを導入したキプロスとマルタについては、国名の公用語表記の先頭が K であるキプロスが「G」を、「M」であるマルタが「F」を割り当てられた。さらに、2009年にユーロを導入したスロバキアには「E」が指定されている。 2002年に発券されたユーロ紙幣にはウィム・ドイセンベルクの署名が入っており、この紙幣は全7金種がフィンランド銀行、ポルトガル銀行、オーストリア国立銀行、オランダ銀行、イタリア銀行、アイルランド中央銀行、フランス銀行、スペイン銀行、ドイツ連邦銀行、ギリシャ銀行、ベルギー国立銀行の各中央銀行によって発券された。ただしポルトガル銀行は200ユーロ紙幣と500ユーロ紙幣を、アイルランド中央銀行は200ユーロ紙幣をそれぞれ発券しなかった。このためドイセンベルクの署名が印刷されたユーロ紙幣の発券国と金種の組み合わせは74通り存在することになる。 2002年のユーロ紙幣の流通が開始されたあと、ユーロ圏各国の中央銀行は一部の金種のみを発券していくようになった。たとえば50ユーロ紙幣の発券はユーロ圏のすべての中央銀行のうち、4行のみが担っている。このような分散して発券する体制によって、各中央銀行は発券に先立って別の国で発券された金種と交換しなければならず、またときには複数の印刷所から自らが発券した紙幣を調達することもある。これはつまり、一部の発券国・署名の組み合わせのユーロ紙幣がほかの組み合わせと比べて希少になっているとのである。とくにドイセンベルクの署名が印刷されたフィンランド発券の200ユーロ紙幣、ポルトガル発券の100ユーロ紙幣、アイルランド発券の100ユーロ紙幣と500ユーロ紙幣、ギリシャ発券の200ユーロ紙幣と500ユーロ紙幣は数が少ない。また2003年以降に発券されたジャン=クロード・トリシェの署名が印刷されたユーロ紙幣は必ずしもすべての金種がすべてのユーロ圏の国で見かけることができるものではない。2007年末の時点で、トリシェの署名が印刷されたユーロ紙幣の発券国と金種の組み合わせは77通りがありえるはずだが、実際には30通りしか確認されていなかった。また2008年にはスロベニア銀行が発券した、記番号の先頭の文字が "H" となっている紙幣が流通されるようになり、発券国・金種の組み合わせは増えていくことになる。
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