帝国(フリューバル)の社会構成
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「星界の紋章」の記事における「帝国(フリューバル)の社会構成」の解説
アーヴ 法律上は皇族・貴族・士族の総称。つまり地上人でも、功績によって士族や貴族に取りたてられればアーヴとして扱われるが、子孫にその爵位(スネー)を継がせたければ、遺伝子操作により生物学的なアーヴとしなければならない。皇族(ファサンゼール) 建国帝ドゥネーと、その兄弟姉妹や子女の子孫であり、「アブリアル」の氏姓(フィーズ)と「ネイ」の姓称号(サペーヌ)を持つ八王家(ガ・ラルティエ)に属する帝位継承権を持つ者。生まれながらにして飛翔科翔士として軍役に就く義務を負い、同世代の皇族の中で最初に帝国元帥(ルエ・スペーヌ)まで昇進できたものが皇太子(キルーギア)になり、同時に他の皇族は予備役編入となる。なお、各王家の長はそれぞれ帝都ラクファカールにある八つの門の一つと、それに(平面宇宙側で)近接する多数の門からなる王国に封じられている。王家の長以外の皇族は、通常どこかの恒星系を領地(リビューヌ)として与えられ、貴族爵位を持つ。たとえばラフィールはパリューニュ星系を自領とする子爵である。なお、皇帝は「アブリアル伯爵」の爵位を持つが、これは帝都ラクファカールの領主、という立場であり、実質上皇帝としての称号である。皇族は、全員が生物学的なアーヴであり、家徴(ワリート)としての「アブリアルの耳」を持つ。 貴族(スィーフ) 原則として、恒星系を領地として持ち、世襲でそれを統治する者で、領主(ファピュート)とほぼ同義である。実際には領地持ち貴族の方が少ない。皇族から分かれた家は「ボース」、帝国成立時からある貴族の家は「アロン」、帝国成立後に貴族となった家は「スューヌ」の姓称号を持つ。爵位は上位より大公爵(ニーフ)・公爵(レークル)・侯爵(レープ)・伯爵(ドリュー)・子爵(ベール)・男爵(リューフ)がある。アーヴの爵位は、根源氏族直系の長を表す大公爵以外は領地の状態に由来しており(詳細は後述)、それゆえ地球上に存在した爵位のように貴族の階級別栄誉称号ではない。地球上の爵位は元は職名に由来しており、その職が有名無実化することによって栄誉称号化したものが多いが、アーヴの貴族社会はそのような変遷をまだ経験していないためである(後述する通り軍隊は兵器体系の変遷があり、職名が階級化している)。ただし、領地と爵位が密接に関わっている点に関しては、ヨーロッパの爵位と類似はしている。 世襲の貴族の場合、各爵位の叙爵基準は以下の通り。大公爵 皇族であるアブリアルを除いた根源二八氏族直系の一族の長のみに与えられる。領地の規模は様々であるが、必ず領民が住む地上世界(邦国(アイス)と呼ぶ)を含んでいる。 公爵 侯爵の中で、特に大きな功績があった者が昇格する。生まれの血筋に関係なく、帝国内で誰もが到達可能な最高位である。ただし、実際に到達するのは侯爵家の生まれで優秀な者でもない限り、極めて困難である。 侯爵 領地内に、領民が住む地上世界を持つ。通常、領地内の領民数が1億人を超え、なおかつある程度以上の領地経営の手腕が認められていることが必要。 伯爵 領地内に地上世界を持つが、領地内の領民数は1億人以下か、領地経営の手腕が不十分である場合。 子爵 地上世界を持たず、領地はすべて無人の所領(スコール)。ただし、環境改造すれば居住可能になる惑星を領地に持ち、そうした惑星を開拓して帝国の拡大に貢献することが期待される。 男爵 領地に地上世界を持たず、また環境改造しても居住可能とできる惑星を持たない。恒星エネルギーを利用した反物質燃料(ベーシュ)の生産や、無人惑星(小惑星やガス惑星など)から鉱物資源ならびに推進剤(ヨーズ。水が使われる)を採掘し、それらを売ることで生計を立てる。 地上世界を領有する貴族(大公爵、公爵、侯爵および伯爵)を「諸侯(ヴォーダ)」と呼ぶ。領主の収入は、無人惑星の鉱物資源採掘権、恒星周辺における反物質燃料の生産権を利用した生産物の売却益で、さらに諸侯の場合、他星系との星間交易権の独占による商取引での利益がある。これらの「領地経営による収入」については、帝国から課税される(帝国への納税は貴族の高貴なる義務であり、中世・近世の実際のヨーロッパ貴族が免税特権を持っていたのとは逆である)。 帝国に編入されたばかりの星系や、何らかの理由で領主が空位となった星系は、一時的に帝国直轄領=皇帝領となり、新たな領主が決まるまでは代官(トセール)が任ぜられる。そのため、皇帝は上記の「アブリアル伯爵」以外にも、その領地の数だけ男爵から公爵までの爵位を同時に持つ立場になることがある。 貴族自身が長く行方不明の場合(たとえばヴォーラーシュ伯爵など)や、特に諸侯で何らかの事情により地上世界の統治が困難または不可能である場合(たとえば取り決めにより領地内に長期滞在できないハイド伯爵など)にも、領地の近く(通常、軌道城館内)に代官が置かれる。これらの場合の代官は一時的なものではなく、比較的長期にわたり、その任に就くこととなる。 貴族の子弟が爵位を継ぐには、翔士として最低10年(翔士修技生である期間を含めると13年)、星界軍への奉職が義務づけられている。また、領地を持っている場合、星界軍に所属している間は無給である。 領地を持たない貴族も存在し、むしろこちらの貴族の方が多い。本来は領地を持つ 世襲の貴族であったが、敵国の侵略などにより領地を奪われた貴族(ジントも一時的にこの立場になった)と、皇族から離籍した公子(皇帝にならなかった皇族や王族の子女)、領地を持つ貴族の子女(例として伯爵位を継ぐ前のジント・伯爵公子)、領地を持つ貴族の傍流で「公子」という爵位のみ継承する貴族、一代限りの貴族(星界軍や帝国政府で特に高い地位に達した国民、官僚、軍人などで、称号には「帝国(ルエ)〜」の後に公爵以下の爵位がつく)がある。 また、上記の一代限りの貴族が領地を賜って、世襲の貴族になる場合もある。例を挙げると、星界軍の翔士は、飛翔科以外の各兵科(一部を除く)の最高位である元帥になると叙爵される。また、星界軍の翔士以外にも、官僚が功績を上げて貴族となる場合もある。 領地を持たない一代限りの貴族は、かなりの人数がおり、爵位も職位相応のもの(帝国宰相は帝国公爵など)が与えられる。だが、それが世襲の貴族になろうとする場合、受け取る領地の基準は、かなり厳しい。技術科元帥として艦政本部長官を務めても、あるいは、帝国の官僚機構の頂点である帝国宰相を務めても、受け取る領地は男爵領、特筆すべき功績を挙げても子爵領が精一杯とされる(つまり世襲の貴族となる場合、最初に与えられる領地はたいてい男爵領である)。国民ですらなかった地上人が一足飛びに貴族、しかも伯爵となったロック・リンは史上初の例である。のちにハニア連邦の一部勢力が帝国に帰順しようとした際にも、同様の処置が検討された。 上記の叙爵基準から、男爵から子爵への昇格はかなり困難であると考えられる。男爵は、自領にどのような投資をしても有人惑星を持つことが不可能であるため、子爵以上に昇格するには何らかの大きな功績を挙げ、少なくとも有人惑星が持てる別星系の領主となることが必要である。子爵以上であれば、自領への投資(惑星改造、移民募集、邦国への経済的援助など)により、公爵までの上位昇格を狙うことができる。 なお、貴族籍を捨てることもできる。すべての貴族特権を失い、領地は帝国へ返上となる。 諸侯は約1600家で、家族を足しても2万人足らず。貴族全体では20万人ほどである。 士族(リューク) 皇族、貴族以外のアーヴ。一等から五等の5階級から成る「勲爵士」と呼ばれる身分を持つ。星界軍での位階との対比の目安は、以下の通り。一等勲爵士(ラローシュ) 艦長称号(サレラジュ)を受けている者。 二等勲爵士(キゼー) 十翔長と、副百翔長以上で艦長称号を受けていない者。 三等勲爵士(ルフール) 後衛翔士と前衛翔士。 四等勲爵士(エナーヴ) 列翼翔士。従士からたたき上げた軍士が最先任従士長から列翼翔士に昇進したら、この位置となる。 五等勲爵士(リヘール) 士族として生まれ、成人したがまだ翔士になっていない者(翔士修技生を含む)。 提督など、より高い軍位階に達した場合は、一代限りの貴族爵位を持つ場合がある(上記)。 また、星界軍に入らずとも、官僚としての功績によって国民から士族になる場合もある(貴族にまで昇進するケースもあるのは上記の通り)。ラフィールを保護した『紋章』の反帝国クラスビュール戦線のメンバーのように、領民からいきなり士族になったケースもあるが、これは「アブリアルが約束を守らないのは許されない」・「領民ですら無かった地上人からいきなり貴族になった前例もある(初代ハイド伯爵に叙されたロック・リン)」として認められた特例であり、その後同様のケースが生じたかは、現時点では不明である。 帝国成立時からある士族の家の祖先は根源二九氏族に連なり、「ウェフ」の姓称号を持つ。帝国成立後に士族となった家は「ボルジュ」の姓称号を持つ。なお、領地を持たないため、帝国から課税されることはない。約2500万人ほど。 地上人 国民(レーフ) 星界軍従士や貴族の家臣などとして働く者。ただし上記の通り、功績次第では士族や世襲貴族への栄達も可能である。官僚になるアーヴが少ないこともあり、歴代の帝国宰相は地上出身者が多い。領地を持たないので、帝国から課税されることはない。約10億人。 領民(ソス) 地上世界(ナヘーヌ:有人惑星)で生活する者。領民政府(セメイ・ソス)の統治下にあり、大気圏から出ない限りは完全な自治権を持つ。課税に関しては領民政府が課すものであり、帝国は関与していない。星系内のみを航行する非武装の宇宙船であれば、領主の許可があれば保有できる。約9000億人。平面宇宙航法の確立前に亜光速宇宙船を使った移民の時代がかなり長期間にわたったため、その文化や社会は実に多様である。また、アーヴに対する見解や立場も様々である。アーヴから遺伝子調整の情報を提供された領民政府も存在するが、アーヴの特色である空識覚器官(フローシュ)だけは禁止されており、空識覚器官を持つ領民は国民にすらなることはできない。なお、国民と領民は所属(帝国か領民政府)が違うというだけで、上下関係はない。 個々の地上世界の詳細は星界の紋章・戦旗惑星一覧を参照。
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