ブレイブ・ストーリー
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本記事では姫川明によるコミカライズは『ブレイブストーリー』と、映画および映画から派生したゲームは「中黒」(・)に代わり半角スペースで区切って『ブレイブ ストーリー』とそれぞれ表記しています。
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ブレイブ・ストーリー | |
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ジャンル | 冒険[1]、ファンタジー[1] |
小説 | |
著者 | 宮部みゆき |
イラスト | 角川文庫版:山田章博(カバーのみ) 角川文庫版(新装版):吉田明彦(カバーのみ) 角川スニーカー文庫版:千羽由利子・菊池正典 角川つばさ文庫版:鶴田謙二 |
出版社 | 角川書店 |
レーベル | 角川文庫 角川スニーカー文庫 角川つばさ文庫 |
発売日 | 2003年3月3日 |
巻数 | 全2巻 愛蔵版:1巻 角川文庫版:3巻 角川スニーカー文庫版:4巻 角川つばさ文庫版:4巻 |
漫画:ブレイブ・ストーリー〜新説〜 | |
原作・原案など | 宮部みゆき |
作画 | 小野洋一郎 |
出版社 | 新潮社 |
掲載誌 | 週刊コミックバンチ |
レーベル | バンチコミックス |
発表号 | 2003年36・37合併号 - 2008年15号 |
巻数 | 全20巻 |
漫画:ブレイブストーリー | |
原作・原案など | 宮部みゆき |
作画 | 姫川明 |
出版社 | 小学館 |
掲載誌 | 小学五年生 |
レーベル | てんとう虫コミックススペシャル |
発表号 | 2005年4月号 - 8月号 |
巻数 | 全1巻 |
漫画:ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜 | |
原作・原案など | 宮部みゆき |
作画 | 小野洋一郎 |
出版社 | 新潮社 |
掲載誌 | ゴーゴーバンチ |
レーベル | バンチコミックス |
発表号 | vol.01 - vol.14 |
巻数 | 全3巻 |
映画 | |
原作 | 宮部みゆき |
監督 | 千明孝一 |
脚本 | 大河内一楼 |
キャラクターデザイン | 千羽由利子、植田均、中山勝一、神戸洋行 |
音楽 | ジュノ・リアクター |
制作 | GONZO |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
封切日 | 2006年7月8日 |
上映時間 | |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・ |
ポータル | 文学・漫画 |
『ブレイブ・ストーリー』(BRAVE STORY)は、宮部みゆきによる日本の小説。角川書店より2003年3月に上下巻が同時発売された。その後も愛蔵版・文庫版が刊行されており、2021年6月には新装版刊行と初の電子書籍配信が予定されている[2]。「ダヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2003」総合ランキングでは4位を獲得している[3]。2021年5月時点で累計部数は280万部を突破している[2]。
『週刊コミックバンチ』(新潮社)にて小野洋一郎によるコミカライズ『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』が2003年36・37合併号から2008年15号まで連載された。『小学五年生』(小学館)にて姫川明によるコミカライズ『ブレイブストーリー』が2005年4月号から8月号まで連載された。『ゴーゴーバンチ』(新潮社)にて小野洋一郎によるコミカライズ『ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜』がvol.01[4]からvol.14[5]まで連載された。
2006年7月8日に原作小説を原案とした長編アニメ映画『ブレイブ ストーリー』が公開された。
あらすじ
三谷亘(ミタニ ワタル)は小学5年生。成績はそこそこで、テレビゲームが好きな普通の少年だった。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。ある日、亘は幽霊が出ると噂される"幽霊ビル"で、要御扉(かなめのみとびら)に出会う。そこを潜り抜けると、亘たちが住んでいる現世(うつしよ)とは違う不思議な世界・幻界(ヴィジョン)が広がっていた。
数日後、夜中に目が覚めた亘は、気分転換に散歩に出かけたが、たまたま幽霊ビルで隣のクラスの優秀な転校生・芦川美鶴(アシカワ ミツル)が上級生・石岡に痛めつけられている現場に居合わせてしまう。助けようとした亘もまた暴力を振るわれるが、亘によって解放された美鶴は魔術を使って漆黒のバルバローネを呼び出した。そして、上級生に反撃する。最後には、バルバローネは上級生たちを飲み込み、魂を奪ってしまった。夢としか思えないその光景が亘の心を掴む。そして美鶴は姿を消した。
そんな中、亘の父が突然「昔愛した女性と復縁する」、と離婚を宣言して家を出て行ってしまう。その愛していた女性、田中理香子のお腹にはもう子供がいた。ショックで亘もろとも親子でガス自殺をしようとする母。ガス漏れにも気付かず眠っていた亘を起こしてくれたのは、行方不明になっていた美鶴の声だった。
「運命を変えたかったら、幻界へ行け」というミツルの呼びかけに応じ、家族を取り戻す為、母と自分の運命を変える為に幽霊ビルの階段の上に現れた要御扉を通って、亘は再び幻界へ……。
登場人物
現世
- 三谷亘(みたに わたる) / ワタル
- 本作の主人公[1]。ロールプレイングゲームが好きな、ごく普通の城東第一小学校の5年生。理屈っぽいところは父親の明に似ている。幽霊ビルや香織、転校生の美鶴、時折聞こえる妖精にも似た不思議な少女の声のことを気にしながらも、ルウ伯父さんと過ごす夏休みを楽しみにしていた。だがそんなある日、父親である明は突然離婚を宣言し、かつての恋人と暮らすべく家を出ていってしまう。さまざまな事件を経て元恋人の愛人との直接対決といった厳しい現実と向かいあった母は衝撃のあまりガス栓を捻り、自殺未遂を起こす。このように離散してしまった家族の絆と幸せを取り戻すという願いを叶えるため、幻界へ行き“見習い勇者・ワタル”になり、願いを叶えてくれる“運命の女神”がいるという運命の塔をめざす旅を始めることになる。最初は自分の運命を変えることを目的に幻界を訪れたワタルだが、ハルネラのこと、女神と老神のこと、南北2大陸の長きにわたる闘争のことなどを見聞きするにつれ、次第に自身の運命と世界の行く末について深く考えるようになっていく。
- 最後は、ミツルが5つめの宝玉を手に入れるために解いてしまった封印から出てきた魔族から幻界を守るため、女神に"常闇の鏡を打ち砕く(幻界の未来)"と望み、現世へと帰っていく。
- 芦川美鶴(あしかわ みつる) / ミツル
- 亘の隣のクラスに転校してきた、謎めいた美少年。容姿端麗・成績優秀なため女子に人気がある。小学生にして、どこか世の中を諦観しているような印象がある。本人は黙して語らないが、実母の不倫が原因で、実父が実母と幼かった妹を殺し、実父自らも海に飛び込み無理心中したという、亘よりも残酷な過去を持つ(同時に二人の経験には、「家族の崩壊」という共通する部分もある)。それが彼の人生観を捻じ曲げてしまった模様で、大学を出たばかりの若くて可愛らしい叔母の元で暮らし始めて間もなく、投身自殺を図ろうとしたこともある。美鶴は自分の運命を変えるため、そして妹の運命を変えるために幻界に行って“魔導士・ミツル”となり、一度助けてもらった亘に対し、借りを返そうと亘が旅人となるきっかけを与えた。目的の為なら手段を選ばず、自分の運命を変えることだけが目的なので、周りや幻界の被害を考えていない。ワタルと違い強力な魔法を操る優秀な魔導士。7月7日生まれ(映画)。
- ワタルより先に運命の塔へたどり着いたのだったが、最後の試練として自分自身の憎しみから生み出された「分身(ダブル)」と戦って瀕死の重傷を負い、ワタルに見取られて妹の魂と思われる光と共に天へと昇っていった。その後はロンメル隊長と共に、“大いなる光の境界線”を張りなおす人柱にされる。彼がいなくなった現世での人々の記憶は、都合よく書き換えられていた。ただし、映画版では、幻界へと行く前の世界に妹と二人で転校してくる(幻界の記憶があるかどうかは不明)。
- 三谷明(みたに あきら)
- 亘の父親。普段は余り話さないタイプだが、理性的で主張を通すときには非常に理屈っぽく、相手を捻じ伏せるような話し方をする。一方的な離婚宣言をして家を出たが、それは邦子の前に交際していた元恋人の理香子と家庭を持つためだった。しかし、離婚を宣言しても、理香子に「二度と暮らさない」と決別を言い渡す事になる。
- 三谷邦子(みたに くにこ)
- 亘の母親。教育熱心で、「亘を守る」という意思の上ではある意味頑固な性格。亘がカッちゃんと付き合うことを快く思っていない。夫の離婚(およびその愛人からの中傷)によるショックで自殺未遂をしてしまうが、一命を取り留めている。過去に理香子と交際していた明を奪い取るべく妊娠をしたと嘘をついて別れさせ、彼を目論見通りに奪い取って結婚(いわゆる略奪婚)している。
- 三谷悟(ルウ伯父さん)
- 明の兄で亘の伯父。体格や性格は明とまったく異なっている。豪快な大男ではあるが、小心者の一面も。千葉の大浜で飲食店と海の家を経営している。亘の祖母と同居。亘は伯父さんと非常に仲がよく、伯父さんが開く海の家に遊びに行くのを楽しみにしていた。
- 小村克美(カッちゃん)
- 亘の親友。色黒でしゃがれ声。両親は居酒屋を経営している。亘とゲーム関係でも気が合うが、魔法が出てこないゲームには興味がない。陽気なお調子者で、下手をすると自分の名前が女性の名前っぽくなってしまうところなどは幻界のキ・キーマに通じるものがある。また、彼が生まれる前、女の子が生まれると先生に言われたため、「克美」と生まれる前から名前が決まっていた。4月9日生まれ。
- サナエ
- ワタルとカッちゃんのクラスメイト。お喋り好きの女の子で亘やカッちゃんと仲が良い。気が強いが優しい性格の持ち主というところは、幻界のミーナに通じるものがある。母は、小舟町きっての情報通。
- 大松香織(おおまつ かおり)
- 工事の途中で放置された“幽霊ビル”こと大松ビルのオーナー・大松三郎の娘。とある事件のせいで心を閉ざし、以来車椅子での生活を送る。中学生。初めて会った時から亘の心の中に強く残っている。
- 宮原祐太郎(みやばら ゆうたろう)
- 美鶴と同じクラスの生徒。美鶴が来るまで、成績トップをキープしていた秀才。賢明なために彼も周囲に人気がある。運動神経が良く、手先も器用で人付き合いも良い。美鶴にトップを奪われようと気にもしなければ拘りもせず、年齢の割には落ち着いた性格の少年である。亘は彼と塾のクラスが同じ。美鶴は彼と親しくしていたようだが、亘と会った時に宮原のことを「幼稚」と小馬鹿にしたような物言いをしていた。両親が再婚しており、異父弟妹を持つ。観察眼に優れる。
- 石岡健児(いしおか けんじ)
- 6年生で学校全体の持て余し者。常に傍らには子分の6年生二人が従っており、「ケンちゃん」と呼ばれている。家は金持ちらしい。心霊写真を手に入れて、テレビに出演することを企んでいる。美鶴が持つ心霊写真を狙っているようだったが、幽霊ビルで彼を呼び付けてリンチを加えた際に、美鶴が召喚したバルバローネに魂を奪われ、抜け殻のようになる。
- 田中理香子(たなか りかこ)
- 明の元恋人。彼とは両家公認の仲だったが、それを妬んだ邦子が仕掛けた虚偽妊娠に騙されて一度は別れるものの、街中で再会してから焼け木杭に火が点いてしまい、自身も今の夫と離婚して女児を連れ、明と再び暮らそうと決心する。しかし、明に決別を言い渡されてしまう。最後通告の為に三谷家を訪れた時は、邦子に言いがかりをつけて舌戦となり、その結果半狂乱になった邦子に痛い目を遭わされて引き上げた。
- 美鶴の叔母
- 美鶴の保護者。23の若さで思わぬ重責を背負わされる羽目になった。美鶴や自分のコントロールがうまくいかないが、美鶴のことはちゃんと案じており、謎の失踪を遂げた甥に心を痛めている。
幻界
- 女神
- 「運命の塔」に住み、「運命の女神」または「創世の女神」とも呼ばれる。旅人が旅を成し遂げたときに願いを叶えてくれる存在。水人族の古語では、女神を「ウパ・ダ・シャルバ」(光のように美しい人)と呼ぶ。 女神信者は、女神が混沌の中から幻界を創世し、冥王と契約して幻界を護っていると崇めている。一方、老神信者からは、老神が創った幻界をだまし取ったとして敵視されている。旅人の前にはそれぞれ異なる姿(旅人の中で強く印象に残る人物)で現れる。
- 老神
- 老神は女神よりも古い存在と言い伝えられており、水人族語で「イル・ダ・ヤムヤムロ」(混沌を統べるもの)と呼ばれる。老神信者にとっての「老神」は、幻界を女神に奪われたが、女神による幻界統治が破綻したときに再来する神を指している。老神教においては「最も偉大な魔導師」でもある。
- ラウ導師
- 旅人を導く老魔導士。原作では、感情を固定する5つの小屋に住む。旅人を“おためしのどうくつ”に導き、適性を判定する。幻界では小鳥の姿で移動することがある。また、要御扉や運命の塔にも出入りできる。彼の存在は幻界でも一般には知られていない。オンバさまとはお互いに知っている。
- キ・キーマ
- 熱心な女神信者が多い水人族の男で、身長2m58cmの巨体を持つ。体の特徴はトカゲそのものであるようだ。人懐っこい性格でお調子者でお人好し。幻界の運送業・ダルババ屋をやっている。幻界に来たばかりのワタルと出会い旅を共にする。旅人を『幸運の印』として世話し、ワタルの仲間であり頼れる存在となり、3人組の中では最年長であるためかまとめ役である。最初のキは、次のキーマのキより半音高く発音しないと女の名前になるらしい。また、映画版ではたまに北海道の方言を喋る。
- ミーナ
- ネ族の少女。サーカスのエアロガ・エレオノラ・スペクタクルマシン団にいた。空中ブランコの達人。ガサラの町でワタルに助けられて以来、ワタルの旅に同行する(仲間になるきっかけとなった事件は、原作と映画版で大きく異なる)。ワタルの物となる“真実の鏡”を所持していた。ワタルに好意を寄せる(ワタル自身もミーナにはそのような感情がある模様)。行動力は高いがやや自分勝手な面もあり、それで危険に巻き込まれたり、あるいは亘を救うことも。
- ジョゾ
- ファイアドラゴンの末裔の若者。好奇心旺盛。嘆きの沼に墜落して死にそうになっていたところをワタルに助けられ、以降恩返しにとワタルに協力するようになる。映画版ではスペクタクルマシン団のペットの小さな子供ドラゴンで、喋ることができないなど、大幅に設定が異なる。
- カッツ
- ガサラの町のハイランダーのブランチ長。アンカ族。“刺蘭のカッツ”の異名を持つ。任務のためなら命も惜しまない誇り高き女戦士。厳格な性格だが、時には優しさを見せることもある。ロンメルとは元恋人だったが、過去にロンメルとの間に確執があり、以来シュテンゲル騎士団を目の敵にしている。幻界に襲来した悪魔達との戦いでも勇敢に戦うが魔族の攻撃を受けてそれが致命傷となり、後に死亡する。映画版では終盤で原作同様負傷するものの、最後まで生き残っている。
- トローン
- ガサラの町のハイランダーのブランチ副長。カッツの部下。トラのような姿をした獣人族。映画ではロンメルが登場しないためか、原作に比べて若干出番が多い。
- ロンメル隊長(本名ボリス・ロンメル)
- シュテンゲル騎士団の第一遊撃隊の隊長。アンカ族。南の連合国家に対して忠誠を誓っている。正義などに関する判断基準が異なっているためにカッツと衝突した過去があるが、カッツの行う仕事に対し、敬意を抱いている。最後の最後で物語において、非常に重要な役割を持つ人物であったことが判明する(ハルネラの半身)。映画版には登場しない。
- バクサン博士
- 幻界でも非常に高名な星読み。遠い昔に絶滅したと思われたパン族の一人。幻界の人達が伝説的にしか知らない“旅人”についてもある程度の知識を持っている。人嫌い。語尾に「ぢゃ」を付ける。パン族独特の身長の低さゆえ、地団太を踏むと、ダンスのようなステップになる。
- ロミ
- バクサン博士の助手。代々星読みに就いている。少しドジで、宝玉を持っていた。
- シン・スンシ
- バクサン博士の生徒。温厚で柔和な人柄。嘆きの沼で倒れていたワタルを助けた。嘆きの沼の近くでハルネラ開始前から終了まで北の凶星の観測をしている。ハルネラについて、旅人であるワタルに説明を行った。名前は回文になっている。
- ダイモン司教
- リリスの街に位置するシスティーナ聖堂の主。熱心な老神教信者で高度な魔法も使える。しかし最後は、ワタルの攻撃で死亡する。
- パム所長
- リリスのブランチ長。妻を亡くしてからシスティーナ聖堂に通い、老神教信者になる。アンカ族以外の種族を嫌う。
- トニ・ファンロン
- リリスの工芸師。気が難しく、気に入った客なら品物をタダ同然の値段でも売るが、気に入らない客には、品物を見せようともしない。パム所長たちの非アンカ族差別の為に、ハイランダーを嫌っている。エルザの恋人。ジョゾのウロコから龍の笛を作った。
- エルザ
- パム所長の一人娘で、トニの恋人。心臓が弱い。
- ゾフィ
- 北の統一帝国の皇女。王族らしく高潔で品のある性格。ミツルの叔母に似た顔立ちをしている。映画ではミツルの妹・アヤに似ている。
- アジュ・ルパ
- クリスタル・パレスの執務官。皇帝の勅命でミツルの世話係をした。シグドラのリーダー格だろうと、ミツルは読んだ。
- オンバさま
- ワタルの前に大松香織の姿を模して現れた“負なる者”。甘い声だけをワタルに聞かせ、旅の途中何度も助けるが、本当の正体はイボガエルのような姿の魔物であり、幻界を欲していた。
用語
- 現世(うつしよ)
- 三谷亘や芦川美鶴がいた世界。現代日本語では、「うつしよ」は「現世」(げんせ)の古い呼び方であり、この世のこと。
- ワタルやミツルは、現世と幻界を行き来することになる。
- 幻界(ヴィジョン)
- ワタルとミツルが望みをかなえるために旅人として赴いた世界。現世の人々の心象風景、特に旅人自身の心象風景が強く反映される。陸地としては、南北2大陸とその間の島々がある。ラウ導師は、ミツルとワタルが旅する幻界が異なっていると言っているが、旅人ごとに複数の幻界が存在するかという質問は否定している。皇女ゾフィは、現世と幻界は「混沌の深き淵」に浮かぶ対になる世界であるが幻界は複数あると述べているため、ハッキリしていない。なお英語の"vision"には、視覚、視界、想像力、見方、幻影、未来像などの意味がある。
- 魔界
- 敵意と害意にあふれた闇の世界であり、幻界になり損なった世界(ゾフィ談)。
- 帝国に安置されている“常闇の鏡”により幻界と繋がっているが、闇の宝玉の力で扉は閉ざされている(封印が解けると魔族があふれ出し、幻界が滅ぶとされている)。物語後半にはミツルの暴挙でその封印が解かれ、幻界は魔族の襲撃を受けることとなる。
- 混沌
- 幻界と現世の外部を取り巻く空間。作中の「久遠の谷」は「混沌」と同じ空間を示している可能性がある。なお、「混沌」という言葉は、日本神話(記紀)に述べられている創世(天地開闢)前の状態や、ギリシア神話のカオス(英語chaos)と同じ。
- 要御扉(かなめのみとびら)
- 現世と幻界をつなぐ扉。扉を開くためには、命を掛けても運命を変えたいと思う現世の人と、その人の近くにふさわしい場所が必要。現世で扉が開く間隔は作品によって異なる(原作10年ごと、漫画『ブレイブ・ストーリー〜新説』50年ごと、ゲーム『ブレイブ ストーリー ワタルの冒険』1000年ごと)。開いている期間は90日間(原作)。
- 旅人
- 望みをかなえるために現世から幻界に入って旅をするヒト。女神信者からは大いなる敬意を受けるが、老神信者からは「ザザ・アク」(偽の神・神を騙る者)として命を狙われる。1回の要御扉が開いている期間に幻界に入れる旅人数は作品によって異なる。原作では、通常1人でハルネラの時にだけ2人。原作以外は2人以上が同時に旅人となる設定。
- おためしのどうくつ
- 旅人にとって幻界の最初の試練の場所。試練の結果により旅人を魔導士と勇者に振り分け、そのほかの属性も判定する。
- 四神将
- おためしのどうくつにいる巨像。運命の女神を奉じている。訪れた旅人の願いを叶えてくれるが、その代償として命をかけた勝負をしなければならない。その名の通り4体おり、それぞれ「暁の神将」(東方守護・目は赤)、「夕闇の神将」(西方守護・目は青)、「風雪の神将」(北方守護・目は白)、「陽光の神将」(南方守護・目は金色)と呼ばれている。
- 宝玉
-
玉(ぎょく)とも呼ぶ。旅人が旅の途中で集める必要があるアイテム。全ての宝玉を集めたとき、旅人は運命の塔で女神に会うことができると言われている。
- 原作でワタルが集めた宝玉に宿る精霊。
- 女神の力の一端を担うもの、癒しの精霊 白いローブを纏った女性。
- 勇気を司り、鋼の意思を尊ぶ精霊 右手に剣、左手に盾を持ち、背中に1対の羽がある金色の少年。
- 希望を護り育て、未来を司る精霊 真紅の衣と白銀の胸当てをつけた少女。
- 互恵と友愛を司る信義の精霊 袖が長い白金色のローブを纏い、同じ色のヴェールで髪を覆った長身の男性。
- 闇の宝玉。「魔界」から「幻界」に運び込まれたもの。
- 原作でワタルが集めた宝玉に宿る精霊。
- ヒト
- 幻界の社会を構成する人種(種属)の集合体、または個人。現世の人間と同じアンカ族、トカゲ型の水人族、猫型のネ族、鳥型のカルラ族、ウサギのような飛足族、アンカ族に似ているが異様に小柄なパン族、竜の一族、そのほかの動物に似た獣人族がいる。北の帝国政府および老神信者は、アンカ族至上主義を取り、他人種を差別し迫害している。
- 南大陸=連合国家または連邦
- ナハト国(農畜産業主体)、ボグ国(商業主体)、ササヤ国(学術が盛ん)、アリキタ国(鉱工業主体)、デラ・ルベシ特別自治州(老神信者が住むと思われている)がある大陸。これらは緩やかな連合を組み、南大陸全体が一つの連合国家である。様々な人種が共存し、特別自治州以外の大多数のヒトは女神信者である。
- 北大陸=北の統一帝国
- 北の大陸は300年昔に、老神の一族と称する初代皇帝ガマ・アグリアスI世のもとで統合され、1つの帝国となった。映画ではイルダ帝国。皇都ソレブレアに水晶大宮殿(クリスタル・パレス)がある。現皇帝はガマ・アグリアスVII世。皇女はゾフィ。自然環境は南大陸に比べて厳しい。アンカ族が他人種を迫害したので、多くの非アンカ族が南大陸に難民として逃げた。近年、皇帝直属のシグドラという組織が、難民を強制的に帝国に連れ戻そうとしている。
- デラ・ルベシ特別自治州
- 南大陸で唯一の老神信者が住まう氷に閉ざされた町。そこは運命を変える旅をやめた旅人たちが辿り着く場末の町でもあり、ワタルたちもそこで“教王”を名乗る元旅人の若者と出会う。教王いわくデラ・ルベシは「女神様が用意してくださった元旅人たちの仮初めの都」らしい。
- ハイランダー(高地人)
- 南大陸で発生した自警団組織またはそのメンバー。現在は連合政府に従う。メンバーは赤い革でできたファイアドラゴンの腕輪を身に着ける。組織としては、連邦議会から指令を受ける4国それぞれのハイランダーの首長がおり、その下にブランチ長(おさ)、ブランチに属するハイランダーがいる。幻界創世期に女神を守ったファイアドラゴンがゴザ高地に騎士となって降り立ち、その子孫がハイランダーの源流となる自警団を組織したと言い伝えられている。そのため、連邦議会の指令よりも女神のお告げを優先する。
- シュテンゲル騎士団
- 南大陸で比較的に近年組織された治安行動などを行う組織。連合政府の指揮下にあり、部隊は人種別に構成される。治安部隊である遊撃隊は、アンカ族で構成され、連邦内各国にそれぞれ2師団が配置されている。他には非アンカ族によって構成され、災害救助と復興、山林開拓を行う部隊もある。
- 星読み
- 幻界の天文学者。星読みという職業が必要になったのは、風船の航行に必要な風を星の動きから読みとるためとも、「北の凶星」を観測するためとも言われる。星読みの活動の中心はササヤの国営天文台。大きな町には、少なくとも1人の星読みがいて星読み台がある。
- 風船(かざぶね)
- 風を動力とする幻界の船。南北大陸間の移動や漁業に使われる。現世と違い機械的な動力を使っていないことが、原作中で意味を持っている。通常の日本語では風船=ふうせん(英語balloon)の意味。
- 光の境界・ヒト柱・半身・ハルネラ・北の凶星(きたのまがぼし)
- 女神が幻界を創る際に冥王と交わした盟約は、幻界が混沌に侵食されることを防ぐために現世でいう千年毎に「光の境界」を張り直し、力を強める事であった。境界を張りなおすエネルギー源および次の千年の幻界の監視役としてヒト(要は犠牲者)を選び出す。この選ばれるヒトを「ヒト柱」または「半身」と呼ぶが、多少意味に違いがある。作中ではラウ導師、ババ、ブブホ団長、ロンメル隊長、サーカワの長老、バクサン博士、オンバなどが半身についての知識を持っている。「ヒト柱」が選ばれる期間を「ハルネラ」(アンカ族古語)または「柱の時」(星読みの専門用語)という。「北の凶星」は、ハルネラ開始のときに白く輝き始め、期間中は血のように赤く輝く。なお、日本語の「人柱」は工事などの成功を祈って犠牲として奉げられる人のこと。
既刊一覧
小説
初出は学芸通信社の配信により、大分合同新聞(1999年11月11日 - 2001年2月13日)、名古屋タイムズ、京都新聞、中国新聞、信濃毎日新聞、徳島新聞、高知新聞、北日本新聞にて連載された。
単行本
- 宮部みゆき 『ブレイブ・ストーリー』 角川書店、全3巻(本編2巻+愛蔵版1巻)
- 「上巻」2003年3月3日発売[6]、ISBN 4-04-873443-1
- 「下巻」2003年3月3日発売[7]、 ISBN 4-04-873444-X
- 「愛蔵版」2003年4月7日発売[8]、 ISBN 4-04-873445-8
文庫版
- 宮部みゆき(著) / 山田章博(カバーイラスト)『ブレイブ・ストーリー』 角川書店〈角川文庫〉、全3巻
- 「上巻」2006年5月25日発売[9]、 ISBN 4-04-361111-0
- 「中巻」2006年5月25日発売[10]、 ISBN 4-04-361112-9
- 「下巻」2006年5月25日発売[11]、 ISBN 4-04-361113-7
- 宮部みゆき(著) / 千羽由利子・菊池正典(イラスト) 『ブレイブ・ストーリー』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、全4巻
- 「幽霊ビル」2006年5月31日発売[12]、 ISBN 4-04-361107-2
- 「幻界」2006年5月31日発売[13]、 ISBN 4-04-361108-0
- 「再会」2006年5月31日発売[14]、 ISBN 4-04-361109-9
- 「運命の塔」2006年5月31日発売[15]、 ISBN 4-04-361110-2
- 宮部みゆき(著) / 鶴田謙二(イラスト) 『ブレイブ・ストーリー』 角川書店〈角川つばさ文庫〉、全4巻
- 「幽霊ビル」2009年6月15日発売[16]、 ISBN 978-4-04-631029-3
- 「幻界」2009年9月18日発売[17]、 ISBN 978-4-04-631054-5
- 「再会」2010年4月13日発売[18]、 ISBN 978-4-04-631078-1
- 「運命の塔」2010年6月18日発売[19]、 ISBN 978-4-04-631079-8
文庫 新装版
地図が収録される等している。
- 宮部みゆき(著) / 吉田明彦 (カバーイラスト) 『ブレイブ・ストーリー』 角川書店〈角川文庫〉、全3巻
- 「上巻」2021年6月15日発売[20]、 ISBN 978-4-04-111170-3
- 「中巻」2021年6月15日発売[21]、 ISBN 978-4-04-111171-0
- 「下巻」2021年6月15日発売[22]、 ISBN 978-4-04-111172-7
映画
ブレイブ ストーリー | |
---|---|
BRAVE STORY | |
監督 | 千明孝一 |
脚本 | 大河内一楼 |
製作総指揮 | 亀山千広 |
出演者 | 松たか子 大泉洋 常盤貴子 ウエンツ瑛士 今井美樹 田中好子 高橋克実 柴田理恵 石田太郎 堤下敦 板倉俊之 虻川美穂子 伊藤さおり 斎藤千和 川澄綾子 北村総一朗 小野武彦 斉藤暁 伊東四朗 樹木希林 |
音楽 | ジュノ・リアクター |
主題歌 | 「決意の朝に」(Aqua Timez) |
撮影 | 吉岡宏夫 |
編集 | 瀬山武司 |
制作会社 | GONZO |
製作会社 | フジテレビジョン ワーナー・ブラザース映画 電通 スカパー・ウェルシンク |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
公開 | 2006年7月8日[23] |
上映時間 | 111分[23] |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 20億円[24] |
宮部みゆきの小説を原作にフジテレビ、GONZO、ワーナー・ブラザースが共同で製作した長編劇場用アニメ[25]。プロジェクトリーダーをフジテレビが務め、制作をGONZO、配給および宣伝をワーナー・ブラザースがそれぞれ担当した[26]。フジテレビとしては初のアニメ映画であり[27]、ワーナー・ブラザース ジャパンにとっては初のアニメ映画の配給であった。また、GONZOにとっても映画制作としては2本目の作品だった[27]。
製作費は10億円[28]、興行収入は20億円だった[29]。
監督は千明孝一、製作総指揮はフジテレビの映画事業局の局長(当時)の亀山千広が務めた。脚本を大河内一楼、アニメーションディレクターを千羽由利子、音楽をイギリスの音楽グループであるジュノ・リアクターが担当した。
日本での配給を担当したワーナーブラザーズは、海外配給の優先交渉権を保有していた[28]。ワーナー・ブラザースの力を得て、フジテレビは当初より日本国内だけでなくヨーロッパや北米市場での海外展開を視野に入れて製作を行っていた[25]。
キャストは主要キャラクターを専業声優ではなく、ジブリ作品のように松たか子、常盤貴子、ウエンツ瑛士などの実写の俳優やコメディアンなどで固めている[30]。
キャスト
- 三谷亘(ワタル):松たか子[1]
- キ・キーマ:大泉洋[1]
- カッツ:常盤貴子[1]
- 芦川美鶴(ミツル):ウエンツ瑛士[1]
- 運命の女神:今井美樹[1]
- 三谷邦子:田中好子[1]
- 三谷明:高橋克実[1]
- ユナ婆:柴田理恵[1]
- ダイモン司教:石田太郎[1]
- 小村克実:虻川美穂子(北陽)[1]
- 小川:伊藤さおり(北陽)[1]
- 若い司教:板倉俊之(インパルス)[1]
- 犬ハイランダー:堤下敦(インパルス)[1]
- ミーナ:斎藤千和[23]
- 謎の少女:川澄綾子[23]
- 暁の神将:大塚明夫
- 風雪の神将:楠見尚己
- 陽光の神将:田中敦子
- ジョゾ:こおろぎさとみ
- 皇女ゾフィ:矢島晶子
- 石岡:石田彰
- 芦川アヤ:永嶌花音
- ソレブリアの市民:西野亮廣(キングコング)
- ワニの店主:梶原雄太(キングコング)
- ライオンハイランダー:秋山竜次(ロバート)
- 魚売り:馬場裕之(ロバート)
- ゴリラハイランダー:塚地武雅(ドランクドラゴン)
- サーカスの団員:鈴木拓(ドランクドラゴン)
- アナウンサー:笠井信輔(フジテレビアナウンサー)
- 美鶴のクラスメート:中野美奈子(フジテレビアナウンサー)
- 猫おばさん:天野陽子(テレビ新広島)
- 看護師1:橋口文恵(テレビ静岡)
- 看護師2:津野瀬果絵(テレビ西日本)
- ソレブリア衛兵:福島智之(東海テレビ放送)
- 医師:宇野章午(北海道文化放送)
- 女子高生:原英里奈(仙台放送)
- 夕闇の神将:大沢在昌[23]
- トローン:京極夏彦
- パック:宮部みゆき
- ブブホ団長:北村総一朗[23]
- 獣人2:小野武彦[23]
- 獣人1:斉藤暁[23]
- ラウ導師:伊東四朗[1]
- オンバ:樹木希林[1]
スタッフ
- 製作総指揮:亀山千広[1]
- 製作:関一由[1]、村濱章司[1]、秋山創一[1]、渡辺純一[1]、小池英彦[1]
- プロデューサー:小岩井宏悦[1]、梶田浩司[1]、関口大輔[1]
- 原作:宮部みゆき[1]
- 監督:千明孝一[1]
- 脚本:大河内一楼[1]
- アニメーションディレクター:千羽由利子
- キャラクター原案:草彅琢仁[1]
- 美術設定:小林誠[1]、植田均[23]、村田峻治[1]、平澤晃弘[1]、塩澤良憲、小倉宏昌
- 3D監督:白井宏旨[1]
- 色彩設計:内林裕美[1]
- 撮影監督:吉岡宏夫[1]
- 編集:瀬山武司[1]
- 音楽:ジュノ・リアクター[1]
- 主題歌:Aqua Timez「決意の朝に」(エピックレコードジャパン)
- 音響監督:鶴岡陽太[1]
- アニメーション制作:GONZO[1]
- 配給:ワーナー・ブラザース映画[1]
- 製作:フジテレビジョン[23]、GONZO[23]、ワーナ・ブラザース映画[23]、電通[23]、スカパー・ウェルシンク[23]
制作
当初の企画はフジテレビのプロデューサーの意向で子供向け作品として進められていた[31]。宮部の原作小説は人間の持つ毒の部分も逃げずに描いているため、子供向けアニメーションにするには少しオブラートに包む必要があるという判断により、最初のシナリオ決定稿は少年漫画寄りの冒険ファンタジーの雰囲気を持つものとなっていた[31]。しかし、絵コンテ作業に入ってしばらくすると状況が一転。あまりにも原作からかけ離れてしまったことが問題となって原作に沿った内容に戻すことになり、それまでデザインしていた設定の大部分はすべてやり直しになった[31]。
公開
2006年7月8日より、全国の松竹・東急系劇場にて公開された[26]。
海外でも公開され、フランスではカンヌ映画祭において2006年5月22日にフジテレビによるプロモーションを兼ねた試写会が行われた後、2008年2月6日から国内で劇場公開された[28][32]。劇場配給はもともとは大手アニメDVD流通会社であるKAZEが行ったが、劇場配給の経験は多くないため、公開は小規模なものにとどまった[32]。ワーナーブラザーズはまた、ドイツでの映画上映・配給権も獲得した[28]。
テレビ放送
2007年5月5日にフジテレビの「土曜プレミアム」枠で地上波テレビ放送された。2010年7月には有料放送のディズニーXDでも放送された。
受賞・ノミネート
プロモーション
- 2006年6月15日 - 7月6日の1ヶ月、『クイズ$ミリオネア』とのコラボレーションCMが放送された。主人公のワタルがスタジオのセンターシートに座りみのもんたの出す問題に答え、テレフォンブレーンとしてキ・キーマ、ミーナ、カッツ、ミツルが登場する。
- 毎日コミュニケーションズ発行の『Mac Fan』誌2006年8月号の表紙に、MacBookを拡げたワタルとミーナが登場した[34]。
- 花王のシャンプー、リンスのメリットとのコラボレーションCMでワタルと母が登場。また、アニメ本編内にメリットの広告が登場している。
- 2006年の『お台場冒険王』では、2つのアトラクションが設置された。1つは、フジテレビ社屋球体で上映された5面マルチ画面での『はねるのトびら Featuring ブレイブストーリー』で、はねるの出演者がブレイブストーリーの世界を冒険するというライド。もうひとつは、大きなテントで行われた『ブレイブ・ランド』でディズニーランドの『シンデレラ城ミステリーツアー』のようにハイランダーと一緒に幻界を旅するアトラクション。
- 2006年7月第4週の『笑っていいとも!』の『曜日対抗いいとも選手権』に「真夏のブレイブストーリー」が登場。剣に引っ掛けた宝玉を飛ばし、的を倒すというもので、的は「地底湖の怪物(藻に覆われた姿)」、「地底湖の怪物(藻が取れた姿)」、「魔族」の三種類。
- 2006年6月9日から7月9日にかけて2006 FIFAワールドカップが行われており、女神に「あなたの願いは?」と聞かれたワタルが「日本が勝つことです」と答えている「日本ガンバレ」バージョンのテレビCMスポットがある。このスポットはDVD(特別版およびコレクターズBOX)、ブルーレイ版にも収録されている。
関連商品
書籍
- 『ブレイブ ストーリー公式ガイドブック 幻界への旅』(2006年7月3日発売、KADOKAWA、 ISBN 978-4-04-853994-4)[35][注 1]
映像ソフト
- DVD・Blu-ray
発売元はワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント。セルDVD先着予約特典として、オリジナル・ステッカーを同梱。
- ブレイブ ストーリー 期間限定出荷版(DVD1枚組、2006年11月23日発売)
- ブレイブ ストーリー 特別版(DVD2枚組、2006年11月23日発売)
- 【初回限定生産】ブレイブ ストーリー DVD コレクターズBOX(4枚組、2006年11月23日発売)
- ブレイブ ストーリー ブルーレイ(1枚組、2008年6月11日発売)
- ブレイブ ストーリー UMD(2007年10月12日発売)
漫画
ブレイブ・ストーリー〜新説〜
小野洋一郎の作画による『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』および続編『ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜』がバンチコミックスより出版されている[36]。
- 宮部みゆき(原案) / 小野洋一郎(作画) 『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』 新潮社〈バンチコミックス〉、全20巻
- 宮部みゆき(原案) / 小野洋一郎(作画) 『ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜』 新潮社〈バンチコミックス〉、全3巻
ブレイブストーリー
姫川明によるアニメ映画版を基にしたコミカライズ作品。小学館の「小学五年生」2005年4月号から8月号まで連載され、2006年7月に「てんとう虫コミックススペシャル」より単行本が発売された。
- 宮部みゆき(原作) / 姫川明(作画) 『ブレイブストーリー』 小学館〈てんとう虫コミックス〉、2006年8月発行[37]、 ISBN 4-09-140190-2
ゲーム
『ブレイブ ストーリー ボクのキオクとネガイ』
ニンテンドーDS用ソフト
バンダイナムコゲームスより、2006年7月6日発売。
『ブレイブ ストーリー ワタルの冒険』
PlayStation 2用ソフト
SCEIより、2006年7月6日発売。3本の中ではもっとも映画の内容に近い。
『ブレイブ ストーリー 新たなる旅人』
SCEIより、2006年7月6日発売。岡本吉起、里見直、あきまんらが手がけ、3作の中で最も売れた。ファミ通ゴールド殿堂。
- キャスト (ワタル〜ミツル PS2、PSP共通)
- ワタル 矢島晶子
- ミーナ 斎藤千和
- キ・キーマ 森川智之
- カッツ 小山茉美
- ミツル 朴璐美
- オンバ(PS2) 京田尚子
- 謎の少女(PS2) 川澄綾子
- ラウ導師(PS2) 八奈見乗児
- 謎の声(PS2) 真殿光昭
- ジョゾ(PS2) 金田朋子
- ソン村村長(PS2) 北村弘一
- ダイモン司教(PS2) 阪脩
- 三谷明(PS2) 大塚芳忠
- 三谷邦子(PS2) 島本須美
- 父ドラゴン(PS2) 稲田徹
- 運命の女神(PS2) 篠原恵美
- カンジキ職人(PS2) 藤原啓治
- バクサン博士(PS2) 緒方賢一
- トニ・ファンロン(PS2) 長島雄一
- 獣人ハイランダー(PS2) 梁田清之
- タツヤ(PSP: 主人公) 田中真弓
- ユーノ(PSP: ネ族、15歳女) 川上とも子
- ソグレス(PSP: 水人族、30歳男、戦士) 若本規夫
- ミレディ(PSP: アンカ族、25歳女、ハイランダーブランチ長) 折笠愛
- レイナート(PSP: 角人族、27歳男、シュテンゲル騎士団ロンメルの副官) 速水奨
- ロプル(PSP: パン族、17歳男、バクサン博士の弟子) 石田彰
脚注
注釈
- ^ 映画の公式ガイドブック。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap “ブレイブ ストーリー”. allcinema. 2023年10月23日閲覧。
- ^ a b 「累計280万部突破!宮部みゆき氏の小説『ブレイブ・ストーリー』新装版刊行&初の電子版配信! 」『PR TIMES』、ブルーミング中西株式会社、2021年5月27日 。2021年5月28日閲覧。
- ^ ダ・ヴィンチ 1月号 2004, p. 19.
- ^ “古屋兎丸や鈴木志保も来場、新雑誌ゴーゴーバンチ原画展”. コミックナタリー. ナターシャ (2013年10月10日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “隔月刊化のゴーゴーバンチで古屋兎丸新連載、コオリオニの梶本レイカも登場”. コミックナタリー. ナターシャ (2016年10月8日). 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 上巻(単行本)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 下巻(単行本)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 愛蔵版(単行本)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 上巻(角川文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 中巻(角川文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 下巻(角川文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 幽霊ビル(角川スニーカー文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 幻界(角川スニーカー文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 再会(角川スニーカー文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 運命の塔(角川スニーカー文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 幽霊ビル(角川つばさ文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 幻界(角川つばさ文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 再会(角川つばさ文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 運命の塔(角川つばさ文庫版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 上巻(角川文庫 / 新装版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 中巻(角川文庫 / 新装版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー 下巻(角川文庫 / 新装版)”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n “ブレイブ・ストーリー”. キネマ旬報WEB. 2024年1月15日閲覧。
- ^ 一般社団法人日本映画製作者連盟・過去興行収入上位作品(2006年・10億円以上)より。
- ^ a b “亀山P、世界配給を目指す。「ブレイブ・ストーリー」製作発表”. 映画.com. エイガ・ドット・コム (2006年3月7日). 2022年1月14日閲覧。
- ^ a b “PS2、PSP、DSでゲームも発売! 宮部みゆき原作「ブレイブストーリー」映画発表会”. 電撃オンライン. KADOKAWA (2006年3月2日). 2022年1月14日閲覧。
- ^ a b 加藤真大 (2017年5月27日). “GONZO創立25周年特別企画 千明孝一監督に聞く『青の6号』『LASTEXILE』『ブレイブ ストーリー』の制作秘話【後編】”. ウレぴあ総研. ぴあ. 2024年1月14日閲覧。
- ^ a b c d “ブレイブストーリー ドイツ公開か?”. アニメ!アニメ!. イード (2006年5月23日). 2024年1月14日閲覧。
- ^ “アニメビジネスの今 細田守作品からNARUTO、海外勢まで―今夏劇場アニメの行方を占う (2)”. ITmedia NEWS. アイティメディア (2012年7月10日). 2022年1月14日閲覧。
- ^ “Aqua Timez「決意の朝に」VCフル配信〜「ブレイブ ストーリー」主題歌”. エンタメRBB. イード (2006年7月5日). 2024年1月14日閲覧。
- ^ a b c 千明孝一 (2020年3月23日). “『天は、我を見放した〜?』”. note. note株式会社. 2024年1月14日閲覧。
- ^ a b “「ブレイブ・ストーリー」2008年2月フランス公開に”. アニメ!アニメ!. イード (2007年12月15日). 2024年1月14日閲覧。
- ^ “日本アカデミー賞優秀賞に「時かけ」「ゲド戦記」など(12/21)”. アニメ!アニメ!. (2006年12月21日) 2024年1月20日閲覧。
- ^ ブレイブ・ストーリー制作秘話、毎日コミュニケーションズ広報部ナルミのダイアリー、2006年7月10日。[リンク切れ]
- ^ “ブレイブ ストーリー公式ガイドブック 幻界への旅”. KAKOKAWA. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “新たなマンガ版「ブレイブ・ストーリー」1巻”. コミックナタリー. ナターシャ (2014年9月9日). 2022年1月14日閲覧。
- ^ “ブレイブストーリー(漫画)”. 小学館. 2021年5月28日閲覧。
参考資料
外部リンク
- 宮部みゆき 著作リスト - 『大極宮』公式ホームページ
- コミックバンチ『ブレイブ・ストーリー〜新説)』
- PS2・PSP版公式サイト - ウェイバックマシン(2006年7月6日アーカイブ分)
- GONZO 作品一覧 -ブレイブ ストーリー-
ブレイブ・ストーリー〜新説〜
(ブレイブ・ストーリー~新説 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/31 10:01 UTC 版)
ブレイブ・ストーリー〜新説〜 | |
---|---|
ジャンル | ファンタジー |
漫画 | |
原作・原案など | 宮部みゆき |
作画 | 小野洋一郎 |
出版社 | 新潮社 |
掲載誌 | 週刊コミックバンチ |
レーベル | バンチコミックス |
発表号 | 2003年36・37合併号 - 2008年15号 |
巻数 | 全20巻 |
漫画:ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜 | |
原作・原案など | 宮部みゆき |
作画 | 小野洋一郎 |
出版社 | 新潮社 |
掲載誌 | ゴーゴーバンチ |
レーベル | バンチコミックス |
発表号 | vol.01 - vol.14 |
巻数 | 全3巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』(ブレイブ・ストーリー〜しんせつ〜)は、宮部みゆき(原案)、漫画・小野洋一郎(作画)によるファンタジー冒険漫画。『週刊コミックバンチ』(新潮社)に2003年36・37合併号から2008年15号まで連載された。
『ゴーゴーバンチ』(新潮社)にて『ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜』がvol.01[1]からvol.14[2]まで連載された。原作をベースにした前作とは異なり殆どオリジナルのストーリーと登場人物が登場する為、原作小説との関連性は薄い。作中で前作と同名のキャラクターが登場する等、軽度の繋がりを示唆する表現が見られる程度なので便宜上では続編ではなく関連作として扱う。
あらすじ
三谷亘はゲームが得意なただの中学生だった。しかし、転校生・芦川美鶴と出会った頃から彼の周りで不思議な出来事が次々と起こる。
真相を確かめるために入った“幽霊ビル”の中で亘は要御扉(かなめのみとびら)に出合う。吸い込まれるように入った要御扉の奥でワタルが見たのは現実からかけ離れた世界・幻界(ヴィジョン)だった。
現世(うつしよ)に戻った亘だったが、こんどは父・明が離婚すると言って家を出ていってしまう。
ある夜、魔物をおびき寄せて要御扉をくぐったミツルを助けるため、ワタルは“旅人”となり後を追って幻界に入る。そこでワタルが見たのは旅人と殺し合うミツルの姿。旅人は自分の願いを叶えるため“運命の塔”を目指す。そして願いを叶えられる旅人はただ一人。衝撃を受ける亘に美鶴は「お前は旅人に向かない」と言い放ち旅人の資格を取り上げる。
その翌日、母・邦子は明がもう戻らぬことに絶望し自殺を図る。運命を変えるため、元の暮らしを取り戻すため再び旅人になる決心を固め、ワタルは幻界へと旅だった。
登場人物
主要人物
- 三谷 亘(ワタル)
- 職業(ジョブ):見習い勇者→勇者(ブレイブ・ライセンス)
- 14歳。城東第一中学校2年生。アクションRPGが得意なただの少年だったが、幽霊ビルで要御扉をみつけ、幻界の存在を知る。父親が家を出ていったことで崩れた幸せな生活を取り戻すため旅人となる。幽霊ビルで出会った同級生・大松香織に一目惚れしており、実際、幻界での彼の行動の多くは彼女を助けたいという理念に基付いている。強さを求め赴いたアンドア台地でアンドアの守護者により体の想波エネルギーを吸い尽くされ消滅、その意識が想波エネルギーとして世界を掛け巡ったことで、本当の強さの意味を知り、想波の闘法を会得して“勇者”として転生する。オンバに憑りつかれたカオリを救うが、今度は自分が憑依されカオリに助けられることになる。武器である杖を剣に変えて戦う。さらにその剣を“勇者の剣(ブレイブレード)”とすることで能力を上げることができる(発動条件は不明・発動後は全能力を失う)。想波の闘法を会得した後は自分の意志で発動できるようになり使用後のデメリットもなくなった。その他、魔法弾をとばす“弾(バウンド)”自分や仲間の姿を消す“消影(バニッシュ)”幻界人を治療できる“癒(トリート)”など簡単な魔法が使えるが、どれも使用限度がある。一日一度限りの必殺技・封印魔法は“斬龍・ハイランド・ブレイバー”転生後は“醒天・グランド・ブレイバー”となる。運命の塔でミツルと最後の激闘を繰り広げ、何とか打ち勝つが、シグドラとして復活したオンバの攻撃からミツルを庇い、相討ちとなる。ミツルに看取られながら光となって消滅しまうが呪われた職業である勇者の力、運命を見通しながらも運命を変えることができない現実と戦う呪いの力に打ち勝ち、オンバの心を救い幻界の呪われた因果の鎖を断ち切った後、散華した。後にハルネラによって現世にもどる。
- 最終回では母親が自殺未遂を図る所まで巻き戻され、母親を助け、父親とは拳で語り合った末にどうにか和解、変わらぬ運命の中で精一杯生きることを志す。後に、自分の異母妹として生まれ変わった美鳥に出会う。
- 芦川 美鶴(ミツル)
- 職業:魔導士(ウィザード・ライセンス)
- シグドラ 左蛇頭尾
- 14歳。亘のクラスに転校してきた、美男子で成績優秀、運動神経抜群おまけに亘以上のゲームの腕を持つ超優秀転校生。妻の浮気を知った父親が母と妹を殺し自殺した過去があり、愛する妹・美鳥を蘇らせるために旅人となる。ワタルとは対照的に、目的達成のためには手段を選ばず殺人も厭わない。玉と情報を求めグルースの後釜としてシグドラの一員となる。5つ目の玉の秘密を知るため皇女ゾフィに近づくが、妹に似たゾフィと触れ合ううちに、人の命を奪うことにためらいを感じるようになる。しかし、ゾフィが虚(ウロ)となったことから、本来の目的を果たす為に最後の玉を奪い運命の塔へ登る。千以上の魔法を習得しており、特に波動系の術を得意とする。専用武器は杖。さらに“三叉槍(トライスピアー)”にして攻撃力を向上させる。封印魔法は“エターナル・エンド”。
- ワタルとの戦いに敗れるが、オンバとの戦闘で死亡したワタルを看取り、旅人の戦いの勝者として運命の女神に会う。自分の願いがすでに意味がないことに気付き、美鳥を亘の妹として生まれ変わらせることを願う。最後はハルネラの人柱となり、現世から存在が消えた。後に、美鳥の転生を見届けている。
- 大松 香織(カオリ)
- 職業:魔砲使い(キャノン・ライセンス)
- シュテンゲル騎士団 第6遊撃隊隊長
- 14歳。亘の同級生の美少女。美鶴に恋心を抱いている。母親は他界し、父・兄と三人暮らし。父親の事業の失敗と自らの過失により崩れていく家族の人生を修正するため旅人となる。初めはワタルと共に行動したが、北に連れ去られ、オンバ召喚の憑代(よりしろ)とされる。ブックにより救い出され南に送られるが、オンバに意識を奪われ自分では知らぬうちにシュテンゲル騎士団に入り想波動砲の開発をしていた。カッツの活躍で一時的に意識を取り戻すが、ワタルの想波エネルギーをオンバが取り込み、ほぼ完全に意識を乗っ取られる。その後、オンバにも隠し続けた心の闇をワタルに明かし、オンバから開放される。ミツルの冷酷さに悩み、その暴挙を止めるため、ミツル、さらにはワタルと戦う事となる。背負ったバズーカから強力な魔法弾を打ち出すことができる。封印魔法は“ジャイアント・インパクト”。オンバに乗っ取られたワタルを救う為に力を使い果たして光となって散華した。後にハルネラによって現世にもどる。
- 最終回で、大松ビルが取り壊される日に亘と再会。ミツルの存在は消えていたものの、『大切な誰か』として心の中に留まっていた。
- キ・キーマ
- トカゲ型水人族の若者。ダルババ車での運送業を営いた。旅人は幸運の印だと教えられており信じて疑わない。ガサラでの事件のゴタゴタでいつの間にかハイランダーとなってしまい、以降ワタルと同行することとなる。ヨシギの町で得た盾斧(ガーダクス)を武器とする。宮城弁(作者の出身地の方言)のような方言を話し、感情が昂ぶるとよく地が出る。運送業は無期限休業中。最終回で、三谷悟として現世に転生する。
- ミーナ
- ネ族(猫型獣人族)の少女。伝説の戦士の末裔。しっぽにはワタルからもらったリボンをつけている。幼い頃両親と生き別れ、サーカス(スベクタルマシン団)などで生計を立てながら両親を捜しているときにブックに出会う。潜在能力を見込まれ両親を捜す約束をすることでブック配下となり暗殺術を仕込まれる。家族を殺された少女を装いワタルに近づき、暗殺しようとするが失敗、ブックに裏切られたと思い理性を失い“狂戦士(バーサーカー)の術”を受け巨大化・凶暴化する。ワタルの活躍で意識を取り戻し、以降ブックと別れ、ワタルと行動する。ブックには別れた後も恩を感じている。ワタルに好意を寄せており、愛情によって理性を保っている。ナイフと身軽な動きを武器とし、ミツルに切断された尾の先にナイフを取り付けての三刀流も見せる。原作よりもおてんばな性格。名古屋弁に近い訛りで話す。最終回で、サナエとして現世に転生する。
- ジョゾ
- 職業:駆け出し詐欺師
- 本名:ジョシュ・ゾ・ドラグーン、ジョゾは愛称。炎竜(ファイアドラゴン)の青年、普段は人間族(アンカ族)の姿をしている。歳は300歳(自称)、人間に換算すると15、6歳らしい。父親から成竜の儀(竜態を得るためアンドア台地を登りきる修行)を申しつけられるが、面倒になり竜態を得るため偽って旅人となる。はじめはワタルを騙し、玉を奪おうとしたが、共に行動するうちに友情が芽生え、最終的にワタルを助けるため竜の姿となる。原作よりもお調子者で臆病な性格になっているが、仲間のピンチにはわが身を省みず敵に立ち向かう。また、魔族との戦いとなると、炎竜の血が騒ぎ戦闘力が向上する。美女に弱い。頭にかぶった“偽りの帽子”から雷や雨を出し天候を操ることができる。封印魔法は“ライ・エイトハンドレッズ”。最終回で、小林克美として現世に転生する。
- カッツ
- ガサラの町の女ブランチ長。“棘蘭のカッツ”の異名を持つ。男勝りな性格で戦闘力も男に引けを取らない。鞭を自在に操り、どんなに小さなものでも捕らえることができる。ガサラの老神教徒を探すため度々ワタルをダシに使った。連合政府の要請でザクルハイムに出向する。想波動砲でオンバと戦い、想波動砲の操作盤を破壊し一時的にオンバを封じた。なぜか呪いの類の知識が豊富。シュテンゲル騎士団隊長のロンメルとシグドラ主頭のアジュ=ルパはかつての同僚と上司。オンバ解放の際、二人の争いを止めに入り左手を失い、ザクルハイム製の義手を装着している。ロンメルを救おうとしたところを巨人(ゴーレム)化したルパに握りつぶされ、その傷がもとでワタル達に見守られる中死亡。遺体はザクルハイムに埋葬された。
幻界(ヴイジョン)
- 女神
- 幻界のどこかに存在するといわれる運命の塔にいるとされる女神。現世からきた旅人に玉を集める使命を与え、5つの玉をそろえたもの一人の願いを叶えてくれる。幻界ではその姿どころか名前さえ知られていない。実は旅人ごとに姿が異なり、ミツルの前では彼をずっと想い続けた大松香織の姿をしていた。ミツルの願いを聞き届け、美鶴の妹・美鳥を亘の妹として転生させた。
- アンドアの守護者
- アンドア台地の頂上から幻界を監視している幻界の守護者(ガーディアン)。ジョゾの何十倍もある巨大な炎竜。『強さ』を求めにきたワタルに自分と戦うことを使命として与えた。想波エネルギーを自在に操り、ワタルを想波エネルギーの塵にして四散させる。転生したワタルに真の強さを見出し人間族の女の姿に変わりワタル達を見送る。‘成竜の儀'を終えた竜に竜族の使命と誇りを教える役目もあり、ジョゾにも幻界に迫る危機について語る。ジョゾの親族(母親?)と思われるが詳細は不明。魔界の出現に際して仲間とともにザクルハイムに飛来し、戦乱を起こし幻界を傷つけたヒトに対し、ハルネラと復興がその贖罪であることを告げ去っていった。ワタル達が北の大陸に渡る際も力を貸している。
- オンバ(シグドラ)
- 老神教において、かつて女神に仕えていたが老神に寝返ったため魔界に落とされたと伝えられる魔狂姫。ヒト、心を持つ者の持つ「負」の感情の化身、それ故にわが身に絶望し、自らを生み出した世界を憎悪し自らの宿命を変えるために暗躍する。精神がザクルハイムの地下深くに封印されていたが、アジュ=ルパにより解き放たれる。オンジの手によりカオリを憑代に召喚された。旅人カオリを装いシュテンゲル騎士団に潜入、想波動砲の開発を進める。ワタルの想波エネルギーを吸収しほぼ完全にカオリの肉体・精神を奪う。本来オンバの持つ様々な能力に加えて、憑依した旅人の能力も使うことができる。魔衛星を使い、想波エネルギーの吸収による幻界の崩壊と魔界の召喚を企み、ブックにより魔界が押し戻されると、今度は自ら魔衛星と融合し完全な魔界召喚を果たそうとする。魔衛星に侵入したワタルに敗れ、カオリの肉体・精神を解放するが、同時にワタルに憑りつく。カオリの助けを受けたワタルの精神力に負け再び肉体を失う。ついには、魔界に封印されていた自らが憎悪する呪われた肉体・シグドラの姿で運命の塔に現れ、図らずもワタルを殺してしまう。最後まで自分を信じてくれたワタルの優しさに打たれ、心が浄化され想波の光となって散華する。その後ハルネラの魔界の人柱となった。
- ラウ導師
- 運命を変えたいと強く願う者を現世から呼び、旅人の資格を与える事を務めとするデラ・ルベシの老人。ほかにも4人の導師がいる。ワタル・ミツル・カオリ達を導く。仕事柄、特定の旅人を贔屓するのは禁じられているはずだが、香織にはやたらサービスがいい。常に幻界の動きを見つめており、さも全てを知っているかの様な口調で話す。ワタルを「出来損ない」と呼ぶが、期待の目で見守り、最後は亘に幻界を託すまでになる。運命の塔を上るワタルを見ながら、かつてワタルの様な勇気があればと少し羨望していた。
- ギガとトウゴウトウ
- ワタル達に力を貸してくれるカルラ族(鳥)。外見は鳥そのものだが、言葉を話す。力を求めるワタル達をアンドア台地まで送る。ギガはラウを代弁してワタルに助言をしてくれる。トウゴウトウは講釈が長いのが玉にきず。二人とも飛翔力には自信がある。
旅人
- 道化師の旅人
- 職業:道化師(ピエロ・ライセンス)
- 運命の塔にたどり着く可能性を少しでも上げるため、旅人であるワタル・ミツルを襲った。魔獣を召喚し、自由に操る。封印魔法は“マジシャンズ・ロスト”ミツルの幻術に騙され、玉を奪われた挙げ句、魔法で飛ばされた。現世のシーンでも登場しており、亘や美鶴のことを知っていた。
- マイク
- 老神教徒に捕らえられていた黒人の旅人。医療ミスで死んだ息子を生き返らせるため旅人になる。グルースによって両断され死亡・消滅する。
南の大陸
- グランドン
- 南の大陸の連邦議会議長。シュテンゲル騎士団騎士団長も兼任。ブランチを含めた南の大陸における軍事・警察権を司る。北の侵攻に怯え、ロンメルに責任を押しつけ逃走を図る。シウバの追撃を受け脱出を試みるが、命を省みず戦いに挑むキ・キーマや部下達の勇気に打たれ、決死の覚悟をし戦場に戻る。ヒトを断罪する幻界の守護者に対しても1人で戦乱の罪を負おうとする。
- 技師長
- ザクルハイムで想波エネルギーシステムを管理する技師長。オンバに憑依されたカオリの進言に基づき想波動砲の開発を進めてしまう。北の大陸でレジスタンスをしている兄がいる。もとは二人ともザクルハイム時代のアジュ=ルパの助手。
- バクサン博士
- ルルドの国営天文台に勤めるパン族(小人)の星読み。帝国の南大陸侵攻に際し、帝国の侵攻の日を予言する。と同時にそれが、ただの戦争にとどまらないことも予言する。ハルネラのことも知っていた様子。
- ロミ
- バクサン博士の助手。体形ゆえに不自由の多いバクサン博士の生活の世話をしているらしい。
- トローン
- タガ族(虎型獣人族)の大男。カッツの片腕的存在で、常に冷静な心を持ちカッツをフォローする。戦闘時はその巨体を活かし敵の軍勢を突き飛ばす。ベイビーGの自爆により右耳を失う。カッツに伴いザクルハイムに出向、大陸南部で「闇」が迫る中、人々の救出に勤める。
- ベイビーG
- ガサラの町のブランチの一員だが、その正体は帝国のスパイ。旅人の仕業に見せかけガサラの町に火を放ち、ワタル達を捕らえる。ワタルを暗殺しようとするが、正体を見破られ口内に仕掛けた爆弾で自爆。
シュテンゲル騎士団
- ポリス・ロンメル
- シュテンゲル騎士団 第1遊撃隊隊長
- “「光」属性、武器「突剣(レイピア)」。突剣(レイピア)のポリス・ロンメル”又は“閃光のロンメル”の異名を持つ。美形であり若い女性からは“ロン様”と呼ばれ人気だが、左こめかみに大きな傷を持ち部下からは怖がられているらしい。カッツとは旧知の仲であり、上司であり師匠でもあったアジュ=ルパと考え方の違いから戦い、頭部の傷を負う。球体の柄から光の刃を出した突剣を武器にし、体を光に変えての光速移動が可能。その力はシグドラにも引けを取らないが、消耗が激しいという弱点がある。アジュ=ルパに敗れ、その能力により操り人形にされてしまうが、ルパの死に伴い解放された。魔物との戦いの中、運命の塔に呼ばれ、最も崇高な魂としてハルネラの幻界からの人柱となった。
- リュウ・ソー
- シュテンゲル騎士団 第2遊撃隊隊長
- 「?」属性は不明。ロッドのような武器から魔法弾を打ち出して攻撃する。南の大陸東部でチャンに応戦するが惨敗。死体はマコトの瓶に収められていた。
- ローズ・リリー
- シュテンゲル騎士団 第3遊撃隊隊長
- “「水」属性、武器「銛(ハープーン)」。 銛(ハープーン)のローズ・リリー”の異名を持つ。「生涯性差別撲滅キャンペーン中」をモットーとする女性。終始兜を着用しており素顔は不明。水の流れを自在に操り、大渦を起こし北の船団を海に沈めた。また自ら流れの上に乗ることも可能。船ごと空中に脱出したマコトにより敗北。アジュ=ルパの能力で操り人形とされるが、彼の死に伴って解放される。現在は南の大陸の復興にあたっている。
- プラチナ
- シュテンゲル騎士団 第4遊撃隊隊長
- “「金」属性、武器「サイズ」。 大鎌(サイズ)のプラチナ”の異名を持つ。騎士道を重んじ仲間の絆を大切にする。電気の流れを自在に操り、武器や鎧に電気を流したり雷を落とす攻撃ができ、砂鉄も操ることができる。応用で電気を信号に変えて離れた味方に情報を送ることもできる。シウバに敗北後アジュ=ルパに奇襲を掛けるが、返り討ちに合う。
- アカドラ
- シュテンゲル騎士団 第5遊撃隊隊長
- “「木」属性、武器「斧(アックス)」 斧(アックス)のアカドラの異名を持つ。森の地形・生態を熟知しており、敵を有利な地形までおびき出し一網打尽にする戦術を得意とする。カントリーマンの死体の軍勢に敗れ、死後も操られる。
- ?
- シュテンゲル騎士団 第6遊撃隊隊長
- 「?」属性、武器「?」。訳あって不在である為空位であったが、カオリ(オンバ憑依中)がその実力を買われ新隊長に就任する。
- P3(ピースリー)
- シュテンゲル騎士団 第7遊撃隊隊長
- “「地」属性、武器「大槌(ハンマー)」。 大槌(ハンマー)のP3”の異名を持つ。身長は低いが自分の身長を倍する大槌を振る力を持つ。大槌を用いて大地を自在に操り、地割れに敵を飲み込ませることも可能。リバーの攻撃から部下や町を救うため、自らリバーの攻撃を受け女神に感謝しながら息絶える。
- ロゴロゴ
- シュテンゲル騎士団 第8遊撃隊隊長
- “「風」属性、武器「弓矢(アーチャー)」 射手(アーチャー)のロゴロゴ”の異名を持つ。風を自在に操り、放たれた矢を操作する戦術をとる。シウバの能力の前になす術無く倒れるが、プラチナの電気ショックで一時的に蘇生、プラチナをアジュ=ルパのもとへと飛ばし、果てる。
北の大陸
- ガマ・アグリアスVII世
- 北の大陸の統一帝国の第7代皇帝。老神教の教義に従い、非人間族主義を押し進め、ついには南の大陸への侵攻を開始する。が、実はオンジの手により虚にされており、文字通りオンジの操り人形にすぎなかった。
- ゾフィ
- 皇帝・ガマ・アグリアスVII世の一人娘で正統皇位継承者。『ゾフィ』とは古い幻界の言葉で『青』という意味で、亡き母親に付けられた。ミツルの妹・美鳥に酷似。レジスタンスの活動を理由に水晶大宮殿(クリスタル・パレス)から離れた宮殿で軟禁同然の生活を送っている。護衛についたミツルと時を過ごすに連れ、彼に惹かれていくが、ミツルが平気で生き物の命を奪うことには戸惑いを隠せない。常闇の鏡についての秘密を知っているためオンジに狙われるがミツルによって救われる。後に虚となった父親に代わり皇位を受け継ぎ女皇・ゾフィ・アグリアスを名乗る。ライタを人質に取り最後の玉を要求するカントリーマンに常闇の鏡を見せ虚にしようとするが、見破られ逆に自分が覗き込んでしまい虚となってしまう。ハルネラが行われると同時に回復した。
- ライタ
- ゾフィに仕えるレサッパ族(レッサーパンダ型獣人族)の給仕。表向きは奴隷という立場だが、他の人間に知られないようにゾフィの生活の世話をしている。彼の正体を知っているのはオンジやコックなど帝国でも一部のものだけである。ゾフィを助けるため奔走する。
- オンジ
- 老神教の神官長。彼の発言には皇帝以上の権力がある。幻界の救済を名目にシグドラを指揮し、旅人狩りを進めていた。その正体はアジュ=ルパのザクルハイム時代の助手・ザウロであり、その真の目的は常闇の鏡から闇の宝玉を解放しルパに与えることであった。オンバを召喚し、魔界を出現させ魔界の側から封印を破ろうとするがブックにより失敗。ゾフィから闇の宝玉の封印の秘密を聞き出すが、直後にミツルが放った光の矢で体を貫かれ絶命する。
- フログ
- ブックの配下のオタマ族(蛙型水人族・通称ヒキ族)。高貴な出を自称している。ブックに対する忠誠心は高く、“狂戦士の術”すら自ら望む。共にブックに仕えたバファロ君の仇であるワタルを狙う。濃いキャラを出しているが他のキャラから忘れられるという役回りが多い。ミーナに攻撃された際にメメタァという効果音(『ジョジョの奇妙な冒険』のパロディー)を出した。
- バファロ
- ブックの配下の牛型獣人。“狂戦士の術”を受けて町を襲っていたが、ワタルに倒された。ブックの回想の中で一度だけ健在な姿を見る事が出来る。
シグドラ
- アジュ=ルパ
- 職業:傀儡師(マニピュレート・ライセンス)
- シグドラ 主頭
- 1世代(50年)前の旅人。高貴な出だが、発狂し母親を殺した父親を殺したため、迫害された過去を持ち、失われた「帰る場所」を取り戻すため旅人となる。要御扉が閉じたため幻界で暮らすことを考え、怪我から一線も退いていたが、オンバにそそのかされ、自ら幻界に持ち込んだ機械を兵器に応用し戦いの準備を進めた。かつてのシュテンゲル騎士団第1遊撃隊隊長であり、カッツ・ロンメルはその時の部下。カッツに想いを寄せており恋仲であった二人と対立することになる。オンバ解放の際、右目と首より下の体を失い、オンバの能力により蘇生、自ら開発した戦闘用の鎧で動いている。闇の宝玉を手に入れるため、北の帝国へ渡る。もう当初の目的はおぼろになっているが、「自分の居場所」を求め戦う。くせ者揃いのシグドラをまとめ上げ、声だけで他の構成員を畏怖させる。専用武具“見えざる操手(ファントム・ストリングス)”を使い、人の脳から運動神経に送られる信号を魔力で書き換え、命令をプログラムすることで、人を生きたまま操り人形のようにしてしまう。封印魔法は“ミリオン・スレッド”。自らをゴーレム化して戦うが、カントリーマン・マコト・シウバの封印魔法を受け戦闘不能、マコトに助けを求めるが、入った瓶の中でチャンにとどめを刺される。後にハルネラによって現世にもどる。
- チャン
- 職業:風水師(ジオマンサー・ライセンス)
- シグドラ 右頭
- 元傭兵であり指名手配犯。国に裏切られた結果全滅した自分の所属部隊の復讐を遂げるため、軍幹部陣を次々と殺害するという来歴を持つ。しかし何ら報われる所の無い殺人行為を繰り返す中でやがて精神病質的な傾向を来たし、さらなる戦いの場を求めた戦闘狂として幻界を訪れ旅人となった。戦いそのものに快楽を見出しているため願いの成就を目的とはしてはおらず、5つの玉の収集をさらなる修羅を追求する手段の一つとぐらいしか捉えていない。戦闘中の不意をマコトにつかれ、魔法の瓶に閉じこめられていたが、マコトとミツルの攻防の最中偶発的に解放された。
- あらゆる武道に精通しているほか、論語を諳んじ、風水や道教思想にも明るい。それらの知識・体術を複合する事で大地の気(幻界の想波、現世でいう龍脈)の流れを読み取り己の力に転化させる「想波の闘法」をあみ出しており、その実力は他のシグドラを遥かに凌駕するばかりか、幻界史上最強を誇るとされる。専用武器の“八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)”は敵のあらゆる魔法を相反する属性の魔法で相殺し、無効化する。想波に含まれる邪気をも浄化でき、魔界からあふれる想波すら取り込んで己の力に変えた。封印魔法は“天地開闢 有為転変”。ミツルと共闘したワタルに敗北するが、ミツルの玉を求める気に当てられ闘争本能から復活。理性を失っており、目潰しでひるまされ敗北。正気を取り戻し、ミツルの目を笑いながら横たわっているところを、杓杖で一突きにされる。後にハルネラによって現世にもどる。
- ハード
- 職業:狙撃手(スナイプ・ライセンス)
- シグドラ 左頭
- アジア某国出身。25歳。元は警察官であり、マフィアのスパイだったパートナーを殺した過去を持つ。彼を愛しており、蘇らせて真意を聞くために旅人になる。シグドラ内でもかなりの実力者で、「破経の呪法」もミツル同様逃れている。完璧主義者で全てにおいて計算された行動をとるが、重度の近眼でありメガネを取られるとほぼ視界を失い激しく取り乱す。聴覚は鋭い。自分の計算を狂わすワタルに興味を持ち、さらにワタルとの戦いを通して聞くべき答えを悟り、守ることの大切さを思い出し、礼として、彼の願いを叶えさせる為に戦う。背中から5本の銃を伸ばす“千銃(ガン・サウザンド)”が専用武器だが、普段はトンファーとしても使える2丁拳銃を扱う。絶対的な空間認識能力と命中精度を持ち、跳弾をも操り敵の全方位からの狙撃を行える。格闘戦も得意。封印魔法は“蛇蝎垓流星”。
- ネオ
- シグドラ 第一足
- シグドラの構成員の一人だったが、ミツルのシグドラ入りを認めず、殺そうとするが返り討ちに合う。どうやら日本人が嫌いだったらしい。冷気系の魔法を使う。コマごとに顔つきが異なって見え、素顔がつかみづらい。後にハルネラによって現世にもどる。
- シウバ
- 職業:追跡者(チェイス・ライセンス)
- シグドラ 第二足
- 19歳。ミュージシャンだったが、謀られてドラッグパーティーに参加し、逮捕された過去を持ち、栄光を取り戻すため旅人になった。シグドラの切り込み隊長的存在。性格はひねくれており、自信過剰な気がある。敵の力を侮って追いつめられることもしばしば見られる。手のひらから火(レッド)・水(ブルー)・雷(イエロー)・風(グリーン)・毒(パープル)の“弾(バウンド)”を放って敵をねらい打つ。専用武器の“記憶の盾(ハード・ディスク)”についた鏡で敵を“読込(スキャン)”することで“弾”が敵を自動追跡するようになる。“記憶の盾”に乗って飛行することも可能。封印魔法は“砕大ソニックラッシュ”。ルパの死後、マコトの力を危険視し真っ先に討とうとするが、油断から逆にチャンと同じ瓶に閉じこめられ、ハルネラの恐怖に顔を歪ませながら死亡。後にハルネラによって現世にもどる。
- スロープ
- シグドラ 第三足
- 登場前にミツルに敗北したシグドラの一員。ミツルの指示に従いオンジの部屋で5つ目の玉の秘密を探るが、“常闇の鏡(とこやみのかがみ)”をのぞいてしまい“虚”になる。その後、オンジの鳥と融合させられミツルと戦うが、今度はミツルにゴーレムにされてしまう。体に巻いた包帯のようなものを敵に巻き付けて攻撃するが、それがスロープの能力かは不明。シウバは彼を「口だけ野郎」と呼んでいた。ハルネラとともに解放された。
- マコト
- 職業:記者(ジャーナル・ライセンス)
- シグドラ 第四足
- 日本人。16歳。元は女子高生。スリーサイズは上から83・59・87。彼氏ができ自分から離れていった友人への嫉妬から、いたずら半分で行った犯罪代行サイトへの書き込みが原因で、その友人が暴行を受け自殺した過去を持ち、失った友人を取り戻すため旅人になった。シグドラのマスコット的存在。いわゆる不思議ちゃんで、何を考えているか分かりづらい。遠くの出来事や敵の能力を知ることができるが、結界などの中は知ることができない。その情報は他の隊員からも全幅の信頼を得ている。専用武器の“天使の羽根ペン(エンジェル・フェザー)”で物体の情報を書き変え、具現化することができる(生物の情報は書き換えられない)。その能力ゆえ、混乱すると怪奇現象を引き起こす。瓶の中に標的を閉じこめる魔法でチャンを捕らえ、同じ瓶に閉じこめる事で敵を殺す戦術をとっていた。記者は魔法の詠唱を筆記で行わなくてはいけない。封印魔法は“アサルト・インタビュー”。ミツルの術で自分が瓶に入れられ、自分と一緒にチャンを解放してしまう。チャンの逆襲を受け、体中の関節を外された上で爆殺される。後にハルネラによって現世にもどる。
- ブック
- 職業:魔獣使い(ピースト・ライセンス)
- シグドラ 第五足
-
20歳。戦乱で村を焼かれ、友に裏切られた過去を持ち、人間に絶望し、世界から人の持つ「心」を消し去るため旅人になる。幻界でもアンカ族を嫌い、亜人を部下にする。部下を駒のように扱うようにも見えたが、実は部下思いである。ワタルとの戦いの中で人の「心」に希望を見出しワタルと共に銀嶺を倒す。カオリを助けに行った北でミツルに敗れ投獄されるが、ミーナ・ピーターの活躍で脱獄する。その際、“破経の呪法”に抗うことで能力を上げる方法を編み出す。専用武具の“契約の玉”で“契約(ブリッジ)”した魔物(モンスター)を操り、魔物の能力を何倍にもあげ、また逆にその魔物を“着殻(クラッド)”することで魔物と合体し、その力を得ることができる。魔物が強力すぎると精神を冒され危険。契約魔物は魔龍・銀嶺のジュリー→魔犬・ケルベロスのピーター。封印魔法は“ライフ・テンペスト”。“破経の呪法”に精神を蝕まれながらも出現した魔界を押し戻し、自分の本当の願いが叶ったことを喜びながら死亡。後にハルネラによって現世にもどる。
- ジュリー
- ブックの最初の契約魔物。普段は小動物の格好だが、その正体は山を呑むともいわれる魔龍・銀嶺。“狂戦士の術”などの強力な能力を持つ。邪悪な心を持っており、ブックを「心」を持つ全てのものを滅ぼす衝動に駆らせる。意識を取り戻したブックとワタルの封印魔法を同時に受け、魔界の出現を予言しながら消滅する。
- ピーター
- ブックの2番目の契約魔物。3つの頭を持つ魔犬・ケルベロス。元は帝国の罪人処刑用の魔物だったが、ブックと“契約”し契約魔物となる。ブックによくなつき、ブックの臭いがするミーナにもなついたが何故かフログにはなつかなかった。ミツルに石化させられるが、ミツルとブックが和解したため復活する。忠義に厚く、ブックの死により契約が解けた後も、彼の遺志を継ぎワタル達に協力する。
- カントリーマン
- 職業:医者(ドクター・ライセンス)
- シグドラ 第六足
- おそらくアメリカ人。20代だと思われるがウェルナー症候群におかされており、実際の年齢に対し外見はかなり老化している。自らの治療のため医学の道を進むも壁に突き当たり、更なる医学の発展のため旅人となる。幅広い知識を持つ知恵袋的な存在。冷静で狡猾な性格だが涙もろい一面も持つ。専用武器の“奇跡の執刀(ハイブリッド・メス)”でどんな傷でも治してしまうが、あくまで外科的治療であり回復ではない(痛みが残る・動きが鈍くなる)。また、死体すらも治療し、知能のない“不死人(アンデッド)”として操ることができる。封印魔法は“黒医伝術(ブラックジャック)”。最後の玉を手に入れるためライタを人質にするも失敗、その結果ゾフィを虚にしてしまい激情したミツルに殴り殺される。後にハルネラによって現世にもどる。
- リバー
- 職業:力士(スモウ・ライセンス)
- シグドラ 右蛇頭尾
- モンゴル人。元は貧困な遊牧民で、流り病におかされた妹弟達を救うため旅人となった。口数が少なく、いつも筋トレばかりしている。考えるより先に動くタイプで、部下からも「脳みそ筋肉なんだから」と言われる。専用武器の“鼓動のギプス”は普段は強化ギプスとしているが、本気を出すときは鎧として纏うことでリバーの力を3倍にする。力士は自分の肉体のみを武器とする職業なので、リバーは封印魔法を含む魔法を一切持たない。得意技は地面に張り手を打つ“巨人の張り手(タイタニック・パーム)”。ロンメルに腕を切断され戦力外と見なされ, ルパによりハードの封印魔法をよけるための盾にされ、爆死。後にハルネラによって現世にもどる。
- グルース
- 職業:魔縫使い(クロス・ライセンス)
- シグドラ 左蛇頭尾
- アメリカ人。35歳。テロによって家族を失い、家族を取り戻すため旅人となる。単純に戦いを楽しむタイプ。腕は立つが言葉遣いは下品。南の大陸で旅人狩りを実行しており、ワタルも狙われることとなる。1度ワタルを見逃す際、ワタルに破経の呪法を掛ける。布を自由に硬化させ、剣や鞭のようにして戦う。封印魔法は“死繍デス・エンブロイダー”。破経の呪法に抗い能力が向上したワタルに敗れ、幻界の危機的状況をワタルに教え、死亡・散華する。後にハルネラによって現世にもどる。
現世(うつしよ)
- 三谷 邦子
- 亘の母親。井戸端会議を取り仕切る普通のおばちゃんでもある。原作同様、かつて田中理香子から明を騙し取った経験があるらしく、それが夫との離婚につながることになる。明から離婚を宣告され、精神的に追いつめられ、明が戻ってこないことに絶望し、大量の睡眠薬を飲んで自殺を図るが一命をとりとめる。現在入院中。
- 三谷 明
- 亘の父親。製鉄会社に勤めているサラリーマンであったが、かつての恋人・田中理香子に再会し不倫関係になる。理香子との失われた時間を取り戻すため邦子に離婚を宣告し、家を出ていく。しかし、離婚を宣告しても、すぐ理香子に決別を言い渡す事になる。最終話にて、一応亘と和解したような描写がある。
- 三谷 悟
- 明の兄で、亘の伯父。明とは対照的に明るい性格をした好漢。明の離婚・邦子の自殺未遂を聞きつけ病院に駆けつける。
- なお、原作よりも登場回数が極端に少ない。
- 田中 理香子
- 明のかつての恋人であり、不倫相手。前の夫とは既に離婚しており、真由子という娘がいる。明との子ども(後の美鳥)を身籠もっていた。
- 芦川 美鳥(ミドリ)
- 美鶴の妹。享年5。将来の夢は「パパのお嫁さん」と言うほどあどけなく、花を愛する心優しく純粋な少女だったが、その大好きだった父親の手によって刺殺される。後にミツルの願いによって転生し、最終話で三谷明と田中理香子の子供(ワタルの異母妹)として誕生した。
- 小林 克美(カッちゃん)
- 亘の親友。友達思いで亘の為にあれこれ手を焼いてくれる。両親は居酒屋を経営しており、店の客の話からいろいろと情報を得ることができる。
- 石岡 健二
- 中学3年生。ヤクザから声がかかっていると言われているほどの不良。仲間二人と共に転校してきた美鶴を締めるため、幽霊ビルに連れ込むがそこで魔物に襲われる。美鶴に精神を破壊され、翌日3人が発見されたときには、怪我は治っていたが、魂が抜かれた抜け殻のような状態にされていた。
用語
- 要御扉(かなめのみとびら)
- 現世に50年に一度だけ現れ、幻界と繋がる扉。50年に一度、幻界の力が弱まる「減相期」に開く、現世と幻界の「境界」に生じた穴のようなもの。“運命を変えたい”と強く願う者の近くに現れ、導師のもとへ導く。
- 導師(どうし)
- 運命を変えたいと強く願う者を幻界へと導き旅人の証を与える人物。原則的にどの旅人とも対等に接さなければならず、特定の旅人を贔屓するのは許されていない。原作と異なりラウ以外にもリエ・ルオ・レア・ロイの導師が登場し、5人で「忘却の最果て」という場所に集まって旅人と幻界の動きを話し合っていた。
- 現世(うつしよ)
- 亘や香織が家族らと暮らす現実の世界。
- 幻界(ヴィジョン)
- 要御扉の奥に広がる現世と異なる次元の世界。幻界は現世の人の想いにより作られ、ゆえに、まるでゲームの世界のように亜人や怪物がいて魔法も当たり前のように存在する世界となっている。
- 魔界(まかい)
- 女神が幻界を作った際、幻界から除かれたあらゆる「負」の性質が集積した世界。魔族や魔獣が住む。5つ目の玉と深く関わっていると思われ、オンジらにより幻界への召喚がもくろまれる。1000年前にも幻界に現れたことがあるという。
- ハルネラ
- 特別な理由で力が弱まった幻界と現世・魔界を隔てる「境界」を張り直す神儀。幻界にいる幻界・現世・魔界の生物の命を一つずつ「人柱」とする。人柱は女神により選ばれ、人柱となったものは「大いなる白き光の境界」として永遠に幻界を見守る定めを負う。
- 人間族(アンカぞく)
- 現世に住む人と全く同じ特徴を持つ種族。幻界でも人口の多くを占める。
- 亜人(あじん)
- 幻界に住む人間族以外の種族の総称。老神教徒からは「非アンカ族」として差別の対象となっている。人の形に動物の特徴を持つのが一般的。獣人族(ほ乳類)・水人族(は虫類・両生類・魚類)が多いが、他にも判別不能な種族が数多く登場する。
- 炎竜(ファイヤドラゴン)
- かつて女神に仕えたといわれる炎竜の末裔。通常の姿は人間族と変わらないが、「成竜の儀」(アンドア台地を登り切る試練)を遂げることで竜態(竜の姿)になることができる。幻界を守ることが一族の使命とされている。
- 魔物(モンスター・まもの)
- 魔界に住む生物。魔界の招来と共に幻界になだれ込み幻界を襲う。旅人の召喚や契約の対象になる。かつて魔界が幻界に現れた時に取り残されたものが幻界にも生息している。
- 巨人(ゴーレム)
- “巨神操造”の魔法によって作り出される疑似生命。岩石や瓦礫(や生物)で組み上げられた体に生きた人間を核として埋め込むことで完成する。ミツル・アジュ=ルパが使用。かつて魔導士や傀儡師の間で使われたが、生きた人間の精神が残るため、操るのは非常に難しく使用者は少ない。魂が抜けている虚なら操るのは容易。また、自らを核とすることでゴーレム化できるが、二度と元の体には戻れない。
- 女神教(めがみきょう・じょしんきょう)
- 幻界で広く信じられている女神を信仰する宗教。「地に満ちる命よ 労りあい助けあい栄え 光の元へ集え」を教義としている。
- 老神教(ろうしんきょう)
- 北の帝国において信仰されている女神より古い神・老神を主神とする宗教。「幻界は老神により作られ女神に預けられた」という教えは徐々に「幻界は女神により奪われた」と変わっていった。女神が作ったとされる亜人は差別の対象であり、旅人は女神の使徒とされ抹殺対象になっている。信者は胸に“鳳凰の紅き翼”と呼ばれる紋章を刻んでいる。
- 連邦政府(れんぽうせいふ)
- 南の大陸のアリキタ・ボグ・ナハト・ササヤの4国から成る共和制の連邦組織。アリキタのザクルハイムに議会の本部・FPT(フェデラル パーラメント タワー)がある。
- シュテンゲル騎士団(シュテンゲルきしだん)
- 南の大陸の平和と秩序を守る幻界における軍事・警察機構。トップである騎士団長は連邦議会議長が兼任する。連邦政府の権力とも深く関わっているため、彼らを好ましく思っていない者もいる。多くの種族で構成されているが、取締りを担当する人間族で構成される1〜8の遊撃隊を持ち、遊撃隊を束ねる8人の遊撃隊長は、南の大陸最強の戦力を誇る。シグドラの圧倒的な力の前に次々と散っていく。
- ブランチ
- 幻界の治安維持組織。各地に支部を持ち、様々な部族が入り交じっていて、旅人も所属している。構成員は“高地人(ハイランダー)”と呼ばれ、腕に証の炎竜の腕輪をはめている。
- 統一帝国(とういつていこく)
- 北の大陸を支配する、ガマ・アグリアスVII世を皇帝とする統一帝国。老神教を国教とし、それを名目に南の大陸への侵攻を開始する。首都は皇都ソレブリア。
- シグドラ
- 皇帝直属の特殊部隊。名前の由来は老神が連れてきたという三頭六足二蛇頭尾をもつ怪物で、11人の構成員がそれぞれの部位を司っている。隊員は皆旅人で玉と情報を得るかわりに破経の呪法で自由を縛られる。旅人の中でも能力の高い者が選ばれ、特に三頭を司る3人は他の隊員からも一目置かれている。それぞれが自分の部隊を持ち、戦争時には帝国の主戦力となる。結成の目的は表向きには「旅人を殺し幻界を「闇」から救う」ことだが、真の目的は他にありオンジ・ルパのみが知っている。
- 破経の呪法(はけいのじゅほう)
- 呪いの一種。オンジ・グルースが使用。術者の決めた制約を破ると幻覚が精神を蝕み、ついには死に至る。精神の強い者は、あえてこれに抗うことで能力が向上する。シグドラの構成員は入隊と共に、これにより「隊員同士の戦いの禁止・5つ目の玉の保有の禁止・命令への服従」を約束させられるが、ミツルやハードは回避していた。元はオンバから伝わったもの。
- 常闇の鏡(とこやみのかがみ)
- オンジの瞑想の間に置かれた巨大な鏡。魔界と通じており、覗いたものは虚になってしまう。闇の宝玉と皇都ソレブリアに据えられた魔石により封印されている。
- 虚(ウロ)
- 常闇の鏡を覗き、魂を抜かれてしまった人間。生きているが自我はなくただ命令のままに動く。オンバの気に当てられた者や、魔界を見た者にも同様の現象が見られた。
- 旅人(たびびと)
- 運命を変えるため幻界に来た現世の人々。5つの玉を集め、女神が住むという運命の塔を目指すことを使命として与えられる。世界各地から何百人と訪れるが、運命を変えられるのはそのうちの一人だけであるため、旅人同士は敵対関係になる。要御扉をくぐり導師から旅人の証を受け取ることで旅人として認められるが、ジョゾが偽って証を得ているところを見ると、それほど厳格な決まりはないようである。幻界で死亡した旅人は、想波となり幻界に取り込まれる。
- 旅人の証(たびびとのあかし)
- 導師からもらえる旅人であることを証明するダグ。呪文を詠唱する事によって、旅人を幻界での姿・職業へと変える。
- 玉(ぎょく)
- 幻界に散らばる宝玉。旅人が手に入れることで、旅人の能力(アビリティー)と許容量(キャパシティー)をアップさせる。5つの玉を集めることで、運命の塔への道が開かれるという。
- 闇の宝玉(やみのほうぎょく)
- 全旅人共通の5つ目の玉。常闇の鏡の上部に据えられた封印の冠にはめ込まれており、魔界に通じる常闇の鏡を封印している。闇の宝玉自体にも封印が施されており、闇の宝玉を取ることはできない。闇の宝玉を得るには、かけられた封印を『解き放つ』、「対になる鏡」で常闇の鏡を『無効化する』、魔界の側から封印を『こじ開ける』のいずれかの手段を執る必要がある。
- 職業(ジョブ)
- 旅人に与えられた幻界での職業。その職種は、勇者・魔導士から記者・医者まで多岐にわたる。何の職業に就くかはもらう証により異なるが、職業が決まるプロセスは旅人本人の精神が関わって来る。(つまり中途半端な精神だとなんの能力も持たない職業になる)中には経験を積むことで昇格するものもある(例:見習い勇者→勇者)。職業は一人につき必ず固有で重複したりする事はない。
- 職業専用武具(ジョブスペシャリティ)
- 旅人に与えられる専用武器。その種類は職業ごとに異なる。旅人の得た玉は職業専用武具に蓄えられ、そのたびにより強力な武器になる。普段は待機状態になっているものも多く、戦闘時のみ(又は本気を出す場合のみ)に力を開放することで、ある程度実力を隠すことができる。
- 勇者(ブレイブ・ライセンス)
- ワタルが就いている職業。全体的にはバランスが良いが、特化した能力あるわけでもなく特殊な技法無いと言う器用貧乏といった職業。
- 魔法(まほう)
- 幻界で使用できる能力全般を指す。想波エネルギーを精神で作用させて発動する。旅人には、あらかじめ職業と玉の数によって魔法が与えられているが、新たに術を覚えることも可能。呪文の詠唱が必要な物もあるが、大抵は術名のみに省略できる。
- 封印魔法(ふういんまほう)
- ほぼ全ての旅人が持つ最強の能力。一撃必殺の威力をほこるが、1日1回の制限の下に封じられている魔法。五芒星を敵に打ち込み爆散させる。使用にはある程度の熟練度が必要。
- 想波エネルギー(そうはエネルギー)
- 幻界のあらゆる生命・物質を構成するエネルギー。幻界に於いては旅人も例外ではない。幻界のあらゆるところに満ち、人の思念に反応し魔法の基となる一方、機械の動力としても用いられている。
- 想波の闘法(そうはのとうほう)
- 想波の流れを知ることで、幻界にあふれる想波エネルギーを自分の力として取り込む能力。これにより幻界ではほぼ無限の力を得ることができる。ただし、激しくなると周囲の想波が枯渇し、小規模な「闇」が発生してしまう。
- 想波エネルギーシステム(そうはエネルギーシステム)
- アジュ=ルパにより現世から持ち込まれた機械と幻界の想波エネルギーが組合わさって作られた機械動力システム。幻界に大きな発展をもたらすが、同時に多くの想波エネルギーが大地から奪われ、幻界の危機を招いている。
- 想波動砲(そうはどうほう)
- 想波力学の粋を集めて作り出された南の最終兵器。オンバに憑依されたカオリの助言で開発が進められ、カオリのバズーカが組み込まれている。極限まで吸い上げ凝縮した想波エネルギーを、超々極大五芒星に見立てたザクルハイムから放ち、目標を周辺一帯ごと吹き飛ばす。多量の想波エネルギーを吸い上げ、幻界にぶつける兵器であり、使用は幻界の崩壊を招く。
- 魔衛星(まえいせい)
- オンバの力で生まれ変わった想波動砲。想波エネルギーを吸収し、魔界を召喚する。オンバの消滅に伴い機能停止、アジュ=ルパがゴーレム化した際、崩壊。
- 「闇」(「やみ」)
- 想波エネルギーの消失に伴い幻界を覆っていく、その名の通り“闇”。幻界を端から徐々に浸食していき、触れたものは全て腐ってしまう。「闇」が幻界を覆い尽くした時、幻界の消滅になると思われる。
世界観・地名
幻界の世界観
幻界とは現実世界の人間の想いから作られた現実と異なる次元の世界である。魔法・魔物・亜人などファンタジー的なものも当たり前のように存在する。通貨単位はテム。距離単位はトルメ。幻界は主に海に囲まれた2つの大陸から成り立っており、一つは面積の約半分が1年中雪と氷に閉ざされる北の大陸、もう一つは山地が多く季節の動きに富んだ南の大陸である。その地理ゆえ南の大陸では産業が栄えたが、北の大陸は発展が遅れている。南の大陸の連邦政府と北の大陸の統一帝国は、思想などの違いから200年以上(235年間)対立状態にあり、長く膠着状態に陥っていた。
地名
南の大陸
- アリキタ国
-
大陸東部に広がる大国。鉄鉱資源が豊富で、工業と鉄鉱の国として発展を遂げていたが、さらに、現世から機械が持ち込まれたことにより現世にも劣らない一大文明を築いている。しかし、一方で工業都市以外の町は発展に取り残されていった。
- ザクルハイム
- アリキタ国の首都。想波エネルギーシステムの導入により、機械文明都市として発展を遂げる。鉱山を切り開いて作られ、そのすり鉢状の町の中央に連邦政府議会本部塔・FPT(フェデラル パーラメント タワー)が置かれている。今回の戦いの主戦場となる。
- ソノ
- 漁業を主な産業としていたため、発展から取り残されさびれていった港町。隠し財源として南からの密航船を受け入れており、連邦政府からも見つかっていない。その秘密のルートは山中の洞窟につながっており、干潮時のみ通ることができる。その洞窟内でワタルとハードの、近海ではマコトとローズ・リリーの戦闘が行われた。“闇”に浸食され始めている。
- ナハト国
-
- 大陸南部に位置する国。農業が盛ん。
- ガサラ
- 様々な人種・職業の人々が住み、行き来する交易の都市。ベイビーGによる火災で甚大な被害を受ける。
- トミーナ
- 大陸南部の港町。想波動砲の発動に伴い、“闇”の侵食を受ける。
- ボグ国
-
大陸北部に位置する商業国。
- ガルス
- ボグにある大港町。北の大陸の正面に位置しているため、シウバ・リバー・カントリーマンと相次いで襲撃を受ける。付近の森はアカドラのテリトリー。
- サーカワの里
- キ・キーマの故郷で多くの水人族が住む水人族の集落。想波動砲の暴発で壊滅したと思われる。
- ヨシギ
- ワタルとブックの戦闘が行われた町。かつて幻界を救った英雄達の武器が、持ち主の像に封印されており、非常時にはその封印が解かれるようになっている。ワタル達とブックらの戦闘で半壊状態になるが、復興は順調に進んでいる。町長は蝶々の亜人。
- ササヤ国
-
大陸西部に位置する国。学問が盛ん。
- ヌューベ
- ササヤの港町。想波動砲の発動に伴い“闇”の侵食を受ける。
- ルルド
- 学術都市。国営の天文台があり、多くの星読みを輩出している。
- デラ・ルベシ特別自治州
-
アンドア台地の頂にあるといわれている聖地。仙人がいて、「強さ」を求めるものに力を貸すと言われている。もっぱら老神教徒が住んでいると信じられているが、実は「安住」を求めた旅人達が隠遁生活を送る安息の地である。アンドアの番人により守られ、「安住」を求めた旅人のみ入ることが許される。
- アンドア台地
- 大陸のほぼ中央に存在する台地。とてつもなく標高が高い上、魔物が住み、頂上付近には「巨人の口(タイタニック・バレー)」と呼ばれる谷があり、およそ人間に登頂することは不可能。炎竜が竜態を得るための修行場にもなっている。頂上部は広大な平地になっており、「安住」を求めた旅人が訪れたときのみデラ・ルベシへの道が開かれるという。
北の大陸
- 皇都ソレブリア
-
帝国の首都。都市建設時に町の各所に据えられた魔石で常闇の鏡を封印している。
- 水晶大宮殿(クリスタルパレス)
- ソレブリアの中央にそびえる皇居。常闇の鏡が封印された時から水晶のように透き通って見えるようになった。側塔に皇帝の隠れ家がある。
- 紅い谷
- 迫害を受けている亜人のレジスタンスが集まり集落を作っていたが、シウバ・ミツルの襲撃を受け壊滅。
書誌情報
- 宮部みゆき(原案) / 小野洋一郎(作画) 『ブレイブ・ストーリー〜新説〜』 新潮社〈バンチコミックス〉、全20巻
- 2004年4月9日発売[3]、ISBN 4-10-771141-2
- 2004年4月9日発売[4]、 ISBN 4-10-771142-0
- 2004年6月9日発売[5]、 ISBN 4-10-771152-8
- 2004年9月9日発売[6]、 ISBN 4-10-771170-6
- 2004年12月9日発売[7]、 ISBN 4-10-771188-9
- 2005年3月9日発売[8]、 ISBN 4-10-771205-2
- 2005年5月9日発売[9]、 ISBN 4-10-771214-1
- 2005年8月9日発売[10]、 ISBN 4-10-771230-3
- 2005年10月9日発売[11]、 ISBN 4-10-771240-0
- 2005年12月9日発売[12]、 ISBN 4-10-771250-8
- 2006年3月9日発売[13]、 ISBN 4-10-771266-4
- 2006年6月9日発売[14]、 ISBN 4-10-771276-1
- 2006年8月9日発売[15]、 ISBN 4-10-771287-7
- 2006年11月9日発売[16]、 ISBN 4-10-771301-6
- 2007年3月9日発売[17]、 ISBN 978-4-10-771323-0
- 2007年6月8日発売[18]、 ISBN 978-4-10-771341-4
- 2007年8月9日発売[19]、 ISBN 978-4-10-771349-0
- 2007年11月9日発売[20]、 ISBN 978-4-10-771366-7
- 2008年3月8日発売[21]、 ISBN 978-4-10-771388-9
- 2008年5月9日発売[22]、 ISBN 978-4-10-771396-4
- 宮部みゆき(原案) / 小野洋一郎(作画) 『ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜』 新潮社〈バンチコミックス〉、全3巻
- 2014年9月9日発売[23]、 ISBN 978-4-10-771768-9
- 2015年5月9日発売[24]、 ISBN 978-4-10-771816-7
- 2016年12月9日発売[25]、 ISBN 978-4-10-771942-3
脚注
出典
- ^ “古屋兎丸や鈴木志保も来場、新雑誌ゴーゴーバンチ原画展”. コミックナタリー. (2013年10月10日) 2021年5月28日閲覧。
- ^ “隔月刊化のゴーゴーバンチで古屋兎丸新連載、コオリオニの梶本レイカも登場”. コミックナタリー. (2016年10月8日) 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 1”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 2”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 3”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 4”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 5”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 6”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 7”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 8”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 9”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 10”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 11”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 12”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 13”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 14”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 15”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 16”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 17”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 18”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 19”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー〜新説〜 20”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜 1”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜 2”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
- ^ “ブレイブ・ストーリー新説〜十戒の旅人〜 3”. 新潮社. 2021年5月28日閲覧。
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