ちゃぶ台返し
別表記:ちゃぶ台がえし、卓袱台返し
気に入らないことがあって権力者が激昂するなどして下の者の「お膳立て」を台無しにする、このまま円満に運ぶかと思われた事柄を権力者や上長の独断で御破算にする、といった意味合いで用いられることのある言い回し。
「ちゃぶ台」は大正・昭和の頃に普及した和室向けの食卓(食事用の座卓)である。ちゃぶ台を出す場面といえば食事を用意して家族で食事を取る場面であり、すなわち家族団らんのひとときである。そのような場面で、親父が何かにカチンときた場合、怒りに任せて
ちゃぶ台を食事ごとひっくり返す、という状況が「ちゃぶ台返し」と呼ばれる。
ちゃぶ台がひっくり返れば並べられていた料理もすべて散乱して台無しになる。料理に費やした手間が徒労に帰すだけでなく、散らかった食べ物を片付ける面倒があらたに生じる。場合によっては料理を作り直すことにもなりかねない。
この手の「ちゃぶ台返し」は、創作物語における演出として再現される場合がある。特にマンガ・アニメ作品「巨人の星」において主人公の父親(星一徹)がちゃぶ台返しを繰り出すシーンは、ちゃぶ台返しの典型的な場面として半ば定着している。
最近では家具としてのちゃぶ台は半ば廃れ、一般家庭で用いられることは稀となったが、ちゃぶ台返しになぞらえて「ほぼ完成しつつあった物事を上長の意向でなかったことにする、最初からやりなおすことにする」という意味合いで用いられる場合がある。
ちゃぶだい‐がえし〔‐がへし〕【▽卓×袱台返し】
ちゃぶ台返し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 13:53 UTC 版)
ちゃぶ台返し(ちゃぶだいがえし)は、ちゃぶ台をひっくり返す行為、またはその行為より転じた慣用表現である。
注釈
- ^ しかし、劇中で一徹がちゃぶ台をひっくり返したのは2回のみである。しかもエンディングについても、飛雄馬の言動に激怒した一徹がちゃぶ台を押しのけて殴りつけるシーンであり、結果的にちゃぶ台はひっくり返っているものの、その様相は「ちゃぶ台返し」ではない。2008年12月18日放送『思い込みは一生の恥!クイズ本当にそれでいいんですね?』にて第2話、第120話の2回あることが判明した。また、原作漫画では1回もひっくり返していない(該当する場面は存在するが、ちゃぶ台はひっくり返っていない)。
- ^ 連想的に「ちゃぶ台返し」と称されることが多いが、実際に劇中で使われていたのは折りたたむことのできない木製のテーブルである。
- ^ これは「平和な家族団欒の図」が混乱に陥る落差が引き起こす笑いであり、桂枝雀が提唱した「緊張の緩和」理論における「へん」に相当する。
出典
- ^ “Iwata Asks : Luigi's Mansion: Dark Moon : Upending the Tea Table” (英語). Nintendo of America. 2018年6月15日閲覧。
- ^ しかしその後一転して府庁職員の前で話す際には「皆さん(府庁職員)の盾、サンドバッグになります。一緒にスクラムを組んでください」と対応を180度変えた。(『スポーツ報知』 2008年1月11日)
- ^ “田中真紀子大臣のちゃぶ台返し 3大学不認可に「やっぱり」の声”. J-CAST. (2012年11月5日) 2013年1月26日閲覧。
- ^ “ちゃぶ台返し”. 47NEWS (秋田魁新報). (2012年11月4日). オリジナルの2013年5月7日時点におけるアーカイブ。 2013年1月26日閲覧。
- 1 ちゃぶ台返しとは
- 2 ちゃぶ台返しの概要
- 3 ひっくり返す行為
- 4 慣用表現
ちゃぶ台返し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:29 UTC 版)
1本のゲームソフト開発に注力する立場から任天堂関連ソフトを全体的に監修する立場となった現在、駄目出しの結果「面白くない」と強権を発動してほぼ白紙に戻す「ちゃぶ台返し」(本人命名、英:Upending the Tea Table)を行うことがある。これについて開発現場からは「宮本チェック(ミヤホンチェック)」として大いに恐れられているという。 駄目出しをする行動自体は宮本自身が以前にも語っており、宮本の「作品を面白くしようとする制作姿勢」は広く知られていたものの、実際どれがどのように変わったかという個別の案件は知られていなかった。しかし、2004年3月24日にアメリカで開催されたゲームクリエイターのための会議「Game Developers Conference 2004」において講演した任天堂の青沼英二が宮本茂の「ちゃぶ台返し」について面白おかしく語った事がきっかけで、世界的に知られるようになった。 ちなみに、宮本が手掛けた『Wii Sports Resort』や『パイロットウイングス リゾート』の舞台となる「ウーフーアイランド」には、ちゃぶ台がひっくり返った形とされる「ダイチャブ岩」が3か所ある。 以下、ちゃぶ台返しが行われたと判明しているゲームを記述する。 『星のカービィ』 当初は『ティンクル・ポポ』というタイトルで株式会社ハル研究所から1992年1月下旬に発売が予定され、既に2万6000本も受注していたが、宮本の「ちょっといじるだけで物凄く面白くなる」という発言を受けて急遽発売を中止する。そこから再調整が行われ、約3ヵ月後の4月27日に『星のカービィ』のタイトルで任天堂より発売。結果的に日本国内で約172万本、世界累計500万本以上を売り上げ、「カービィ」という新たなキャラクターが生まれることにもなった。 『カービィボウル』 ビリヤードとゴルフを掛け合わせたようなボールアクションゲーム。立体空間のステージの中、ボールになったカービィをビリヤードのように転がす、またはゴルフのように打つことによって、決められた穴にカップインさせることでステージクリアとなる内容であるが、開発当初の仕様では打つ方向と角度を自由自在に選択できたため、マーカーが表示される軌道の通りに正確に打つことができれば容易にカップインできてしまい、単調なゲームとなっていた。そこで宮本は、打ち上げる角度を固定化することを提案。開発現場は当初難色を示したが、カービィの動きに制限をかけることで、プレイヤーに打つ力加減を考えさせ、ゲームに幅を持たせることに成功した。 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』 当初は家庭用ゲーム機「NINTENDO64」が発売された1996年内に発売する予定だったが、より高い品質を目指すため年単位で延期を繰り返し、結局発売は1998年11月21日まで伸びた。現場では青沼英二や小泉歓晃等のディレクターたちがゲームの開発を行い、宮本は一歩引いた立場で監修していたが、宮本が現場に入らないと終わりが見えないということで、最終的に直接指揮をとって完成させることになった。この事について宮本は後に「自分のわがままで作業が遅れたので、途中から仕様書を1/4くらい書く羽目になった」と語っている。 『メトロイドプライム』 アメリカの開発会社「レトロスタジオ」では、任天堂の元で4つのプロジェクトが同時進行していたが、宮本らが来訪した際の企画会議で再検討が行われた結果それらのプロジェクトは全て中止となる。そこで1994年発売の『スーパーメトロイド』以来中断していた『メトロイド』シリーズの開発を宮本が打診し『メトロイドプライム』の開発が行われる事になった。開発初期の試作品はTPS(三人称視点)スタイルの探索ゲームだったが、その出来が良くなかったため、宮本のちゃぶ台返しによってFPS(一人称視点)スタイルに変更、結果、ほぼ一からの作り直しを余儀なくされたものの、2003年(アメリカでは2002年)に発売され、特に海外でヒットを記録し、数々の賞を獲得するなど高い評価を得た。なお、ちゃぶ台返し前のTPS要素は主人公のサムス・アランが丸まる「モーフボールモード」切り替え時にのみ活かされる事になった。当時のレトロスタジオの社員は、「宮本茂氏の来訪は、(『スター・ウォーズ』に例えると)銀河皇帝のデス・スター訪問並みの恐怖」と語っている。 『ゼルダの伝説 4つの剣+』 このゲームには、ナビゲーターの声を頼りにフィールドの中を駆け回って指示通りに「海賊のメダル」を集める『ナビトラッカーズ』というゲームモードがある。当初はスタンプを集めるという内容だったが、開発の最終盤に、宮本の「そこを変えると、ゲームのイメージがガラッと変わるから」との進言で、それまでのスタンプから、世界観に適した「海賊のメダル」を集めるという内容への全面的な変更が決まった。これが2004年1月初旬のことで、本作の発売日は2004年3月18日であった。発売までの約2か月の間にシナリオ、セリフ、ナビゲーターの音声録音、ゲームデザイン、グラフィックス、演出などが作り直されることになった。 『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』 当初は2005年末に発売を予定していたものの、従来シリーズよりも開発規模が拡大したことなどにより発売時期を間近に控えても完成に至らず、2006年末まで延期されることになった。宮本は開発中盤から現場に深く関わるようになったが、宮本が「おもしろいけどぜんぜんダメ」「気が遠くなる」と感じる出来具合だった。仕事の煩雑さが開発の遅れにつながっていると感じた宮本は、やるべき仕事内容を整理して個々の開発スタッフに伝え、スタッフたちがそれに応える形で開発が進み完成へと向かった。 なお、今作での「ちゃぶ台返し」はこれまでのように一度に全てを白紙に戻すものとは違っていたようで、宮本は「茶碗を並べ替えただけ」、スタッフは「茶碗をひとつひとつひっくり返していく」と表現している。
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