「関与」政策から「抑止」政策へとは? わかりやすく解説

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「関与」政策から「抑止」政策へ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 05:57 UTC 版)

米中関係」の記事における「「関与」政策から「抑止」政策へ」の解説

2011年1月14日にはアメリカ紙のワシントン・ポストにおいてアメリカ政界の重鎮であるヘンリー・キッシンジャー国務長官が「米中冷戦避けなければならない」と述べ米中冷戦状態に入りつつあると警鐘を鳴らす記事掲載された。キッシンジャー国務長官米中冷戦状態に入った場合、「核拡散環境エネルギー気候変動など、地球規模解決必要な問題について、国際的に米中の)どちらに付くかの選択を迫ることになり、各地摩擦発生する」と述べた2011年11月アメリカオバマ大統領は、訪問先オーストラリア議会での演説アメリカ世界戦略を「対中国抑止」へと転換することを宣言した膨張する中国対しアメリカ従来の「関与政策から「抑止」に転換したことを内外鮮明にしたものであり、これにより、リチャード・ニクソン大統領訪中以来、約40年ぶりに米中関係は再び対立時代入ったことを意味する歴史的演説となった2011年11月9日アメリカ国防総省は「エアシー・バトル」(空・海戦闘)と呼ばれる特別部局の創設中国軍拡対す新たな対中戦略構築乗り出していることが明らかとなった。この構想には中国以外の国は対象入っていないとアメリカ側事実上認めており、米政府高官は「この新戦略アメリカ対中軍事態勢東西冷戦スタイルへと変える重大な転換点となる」と述べた2011年11月12日から13日にかけてハワイ開催されアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で、アメリカ日本TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加要請日本協議に入ると表明したTPPについては、これを「中国包囲網」とも解釈する論者多く中国警戒した中国国際関係学院の楊伯江教授は、日本交渉参加は「アメリカ重視対外戦略シンボル」と発言している。なお中国外務省は、貿易自由化による発展促す経済一体化対し中国オープンであるとのコメント表向き出したAPEC首脳会議3日後の2011年11月16日オバマ大統領オーストラリア北部へのアメリカ海兵隊駐留計画発表し2012年からアメリカ軍ダーウィンなどに半年交代駐留オーストラリア軍共同訓練演習行い最終的に2500人の駐留目指すとし、海上交通路シーレーン確保にらんだアメリカ軍配備進め中国への牽制行ったオーストラリアアメリカ東アジア有事として想定していた台湾海峡朝鮮半島などから距離があり、これまで拠点としての重要度低かったが、中国から直接攻撃を受けにくいこと、また南シナ海インド洋へアクセスにおいて戦略的な位置付け高まったとされる。これに対して中国中国共産党機関紙人民日報系の英字紙グローバル・タイムズを通じてオーストラリア中国バカにしてはならない中国安全保障弱体化させているのに、それと切り離して経済協力進めることはできない越えてならない一線がある」と批判したまた、インドネシアのマルティ・ナタレガワ外相は、アメリカ軍オーストラリア駐屯について、中国の反発生むとして危険性指摘したまた、アメリカ議会諮問機関米中経済安全保障見直し委員会年次報告書は同11月16日中国東アジアにおける有事の際、奇襲攻撃先制攻撃アメリカ軍戦力低下させ、日本周辺を含む東シナ海までの海洋権益支配する戦略中国軍持っている指摘した。また中国軍は、指揮系統コンピューター依存するアメリカ軍弱点を突く形でサイバー攻撃仕掛け作戦や、南シナ海東シナ海での紛争では対艦弾道ミサイル巡航ミサイルによって、防衛戦線の規準として、九州沖縄台湾フィリピンを結ぶ第一列島線設定し、かつアメリカ軍等を含む他国介入阻止する作戦があるとも指摘した第一列島線はもともと1982年鄧小平意向受けて中国人民解放軍海軍司令官劉華清1989年から1997年まで中国共産党中央軍事委員会副主席)が打ち出した構想で、2010年まで第一列島線内部近海)の制海権確保をし、2020年までに第二列島線内部制海権確保をし、2040年までに航空母艦建造によって、アメリカ海軍による太平洋インド洋独占的支配阻止しアメリカ海軍対等な海軍を持つというものであった2011年12月25日日中首脳会談では、中国側中国包囲網切り崩すために懐柔するとみられ、実際日中高級事務レベル海洋協議の開設海上捜索・救助協定SAR協定)の締結合意した。なお、12月17日(発表19日)には北朝鮮金正日書記死去をうけて、周辺諸国緊張していた。 2012年1月5日アメリカオバマ大統領アジア太平洋地域での軍事的なプレゼンス強化する内容新国防戦略「アメリカ世界的リーダーシップ維持21世紀国防優先事項」を発表した新戦略文書では中国イラン名指しサイバー攻撃ミサイル開発などの非対称手段アメリカ対抗していると指摘中国について軍事力増強意図透明化求めたうえで、オバマ大統領演説で「第二次大戦ベトナム戦争の後のように、軍を将来への準備もない状態にする失敗許されないアメリカ軍機動的かつ柔軟にあらゆる有事対応できるようにする」と述べアメリカ安全保障主導する決意示した。これは、第二次世界大戦以来の「二正面作戦」を放棄してアジア太平洋地域での戦略的関与最優先するものであり、「中国膨張抑止する」というアメリカの強い国家意志現れであった。これに対し中国政府メディア警戒感示したが、これは米中アジア太平洋地域互いに覇権求めない1972年米中共同声明上海コミュニケ)の実質的廃棄意味し米中冷戦時代幕開け意味した一方で環太平洋合同演習リムパック)では中国参加認め気候変動問題ではオバマ大統領パリ協定中国杭州同時批准 するなど米中協調続いた

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