「間テクスト性」 と競合する用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 08:04 UTC 版)
「間テクスト性」の記事における「「間テクスト性」 と競合する用語」の解説
ポストモダン批評では「間テクスト性」という用語はあちこちで使われるので、関連する用語や重要なニュアンスを排除していると不満を述べる批評家もいる。 アーウィンは引喩という用語が明確な定義を欠いているうちに、文学研究の対象として間テクスト性に食われてしまったことを嘆いている。リンダ・ハッチオンは間テクスト性に対する過度の興味関心が作者の役割を隠蔽していると論じている。 なぜなら間テクスト性は鑑賞者の中で見出されるものであり、伝達者の意図を伴う必要がないからである。対照的に、パロディはハッチオンが好む用語であるが、常に作者が主役になって能動的にテクストを産出するものであり、批判的な差異を持ったイミテーションを作るものである。 しかしながら、これらと違ったタイプの間テクスト性をより厳密に定義する試みもされている。デンマークの映画理論家[誰?]は「縦」と「横」の間テクスト性を区別している。横の間テクスト性とは「同レベル」にあるものを参照するもので、例えば本が他の本を参照している場合であるが、縦の間テクスト性とは、言わば本が映画や歌を参照する場合に見られるものである。 またジェラール・ジュネットは80年代初めに『パランプセスト』を著し、間テクスト的ないし超テクスト的関係を、「間テクスト性」「パラテクスト性」「メタテクスト性」「アルシテクスト性」「ハイパーテクスト性」の5つの異なった類型に区別した。 間テクスト性(相互テクスト性):あるテクストの中に別のテクストが実際に存在すること。引用(引いていることをはっきりとことわる)、剽窃(ことわらない)、暗示(完全な理解のためには先行テクストの知識が必要)の形をとる。 パラテクスト性:あるテクストをどんな枠に入れるかのレッテルをつけること。題名、副題、前書き、後書き、脚注、更にはジャンル割り当てや草案のようなプレテクストなど。 メタテクスト性:注釈。本質的に批評の性質があり、文芸批評の領域に該当する。 アルシテクスト性:パラテクスト性と親密な関係があるが、この場合、はっきりしたレッテルづけのないジャンル割り当てである。つまり、あるテクストを(あらかじめ明示されていないにもかかわらず、批評家として)あるジャンルに割り当てること。 ハイパーテクスト性(イペルテクスト性):重ね書きの方法とされ、注釈とは異なる。先行テクストがなければ後のテクストがありえないもの。例えばジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』の場合、ホメロスの『オデュッセイア』がなければ決して生まれなかったであろう。
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