第二列島線
別名:第2列島線、第二岛链
中国人民解放軍が主に米国を仮想敵国と見なし、軍事上設定したラインのこと。第二列島線は、伊豆諸島、小笠原諸島、マリアナ諸島などを結んでニューギニア島に至るラインで、沖縄や台湾を結ぶ「第一列島線」よりもさらに中国から見て外側に位置する。
中国人民解放軍は、「領域拒否」戦略の一環として、2020年までに第二列島線内側の制海権を確保することを目標としているとされる。それが実現すれば、中国の米国に対するアクセス拒否能力が高まり、米国のアジア地域に対する影響力が大幅に減少すると予想されている。
近年、中国は海軍力を増強する傾向にあり、それに伴って第一列島線の外側に進出する機会も増加している。また、中国は第二列島線の内側にある沖ノ鳥島を、国際法上の「島」ではないと主張しており、2013年には沖ノ鳥島沖の日本の排他的経済水域に海洋調査船を複数回侵入させる違法行為を行った。中国の軍拡を脅威と見なす人の中には、第二列島線の設定を米国への対抗に留まらない、中国の領土獲得への野心の表れだと捉える人もいる。
だいに‐れっとうせん〔‐レツタウセン〕【第二列島線】
第一列島線
(第二列島線 から転送)
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第一列島線(だいいちれっとうせん)および第二列島線(だいにれっとうせん)は、中華人民共和国の安全保障分野においての概念のことであり、武力介入の指標でもあり、対米防衛線でもある[1]。
- ^ a b c 中国安全保障レポート2011 - 防衛省防衛研究所
- ^ http://www.defenselink.mil/pubs/pdfs/070523-China-Military-Power-final.pdf "Military Power of the People’s Republic of China 2007" P16 ほかに宝島社『自衛隊vs中国軍』(ISBN 4-7966-4802-X)55ページでは千島列島を起点としスラベシ島・ジャワ島までいたるとしている
- ^ 1953年度北京政府発行国定教科書「現代中国簡史」
第二列島線
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第二列島線は、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインである。近年に至るまで、中華人民共和国の海洋調査は、第一列島線付近までに留まっていたが、このところは第二列島線付近でも調査を行っている。海洋調査は他国の排他的経済水域内では行えないため、第二列島線付近にある沖ノ鳥島問題が持ち上がっている。 この第二列島線は、台湾有事の際に、中国海軍がアメリカ海軍の増援を阻止・妨害する海域と推定されている。中国海軍は従来、沿岸海軍であったが、日本や台湾を含む諸外国・諸政権の実効支配下にある第一列島線を突破して第二列島線まで進出することは、すなわち外洋海軍への変革を目指していると考えられ、その動向が国内外で注目されている。 中国海軍は、第二列島線を2020年までに完成させ、2040-2050年までに西太平洋、インド洋で米海軍に対抗できる海軍を建設するとしている。 現在、中国海軍は、インド洋においてはミャンマーと軍事協力関係にあり、ミャンマー西端のバングラデシュ国境近くのシュトウェとアンダマン諸島に接する大ココ島の港湾を借りて、自国の海軍基地にしている。シュトウェには通信施設を設置し、国境紛争や核開発で対抗関係にあるインドに対する情報収集を行っていると言われる。現在、パキスタン西部のオマーン湾の入口に当たるグワーダルでは、パキスタン国内およびカラコルム山脈を越えて中国新疆ウイグル自治区へと通じる物流ルートの起点とすべく、中国の援助で港湾整備を行っている。そして港が完成した暁には、商用・民間用途にとどまらず、グワーダル港を間借りして中国の海軍基地をも置く見込みであるといわれる。しかし、米中対立や新型コロナウイルスなどにより2020年までに第二列島線を完成させることはできなかった。
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