対北朝鮮軍事演習
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2010年11月28日から翌12月1日までの計4日間、中国の排他的経済水域外の黄海(韓国では西海、北朝鮮では朝鮮西海と呼称している)上で米韓合同軍事演習が実施され、米軍原子力空母ジョージ・ワシントン、イージス艦フィッツジェラルドなど6隻、韓国側からもイージス艦世宗大王ほか駆逐艦、哨戒艦など6隻が参加したまた、米軍は北朝鮮による弾道ミサイル発射に備えて28日午前に沖縄・嘉手納基地から偵察機RC-135Sを発進させて警戒に当たった。さらに、3日目にあたる同月30日には事実上の海上封鎖など大量破壊兵器拡散防止構想に基づく訓練も実施した。この訓練につき北朝鮮のみならず中国も批判的意見を述べていたが、具体的な軍事行動はとらなかった。 2010年12月3日から同月10日までののべ8日間、日本各地の基地と周辺空海域で日米共同統合演習(コードネーム「キーン・ソード:Keen Sword」=「鋭利な剣」の意)が実施された。日米共同統合指揮所演習(コードネーム「キーンエッジ:Keen Edge」=「鋭い刃」の意)については、実施されたかは不明(キーンエッジは数年おきに実施され、2010年1月の演習(キーン・エッジ2010)ではニコニコ動画で演習の模様が生放送されており、今回も積極的に演習の模様を公開すると考えられていたが発表がなかった)。この演習は1年も前から計画され、今回の砲撃とは無関係に実施が決まっていたものだが、先の米韓合同軍事演習に参加した空母ジョージ・ワシントンが加わり、自衛隊(陸海空)から約3万4千人、艦艇約40隻、航空機約250機、一方アメリカ軍からは約1万人、艦艇約20隻、航空機約150機の過去最大規模となり、さらに韓国軍が初めてオブザーバーとして参加した。演習の中心となるのは弾道ミサイル防衛だとしていた。訓練期間中の2日深夜から3日未明にかけては、ミサイル本体を除くPAC3が沖縄・宜野湾市の普天間基地とうるま市のキャンプ・コートニーに移動、7日未明にはさらに名護市のキャンプ・シュワブに展開、うるま市のホワイト・ビーチ地区でもPAC3の一部が確認された。自衛隊のパトリオット(PAC2)も南城市の航空自衛隊・空自念分屯地から陸上自衛隊・勝連分屯地に移動した。この演習は日米韓の結束をアピールし北朝鮮を牽制する狙いがあったものとみられている。アメリカは核爆弾や空中発射巡航ミサイルを搭載することのできるB-52戦略爆撃機を投入する予定と発表されていた。今回の統合軍事演習のうち沖縄周辺海域などで実施する海上・航空作戦の演習では、近年沖縄(=第一列島線)近海を越え第二列島線へ勢力拡大を狙う中国に対して制空権・制海権を確保するためのメッセージとして、北朝鮮のみならず中国に対しての牽制の目的もあるとされた。6日午前能登半島沖で、この演習中にロシアの対潜哨戒機2機が飛来したため、一時的にこの空域での訓練を見合わせた。訓練の偵察が目的だったと推測されている。 12月6日より12日までの計6日間、韓国は上記の合同軍事訓練ののち、黄海の北方限界線近くにある大青島(デチョンド)南西部など全国29箇所で定例の海上射撃訓練を実施した今回の訓練では軍関係者の話として「延坪島と白翎島付近の海域は射撃訓練の地点に入っていない」としていた。この間、北朝鮮からの軍事的な行動は、主張している自領土内での従来から行われている散発的な通常訓練に留まった。中国への配慮と考えられている。 12月15日に韓国で、全国民が参加する避難訓練が行われた。朝鮮人民軍による攻撃を想定し、空襲警報が鳴らされ、交通も制限された。 12月20日、韓国軍は事件のあった延坪島沖での射撃訓練を再開した。 12月23日、韓国軍が南北境界付近で大規模な軍事演習を行ったことを受け、北朝鮮の人民武力相が「聖戦」を行う準備があると警告した。
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