伊豆・小笠原諸島とは? わかりやすく解説

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東京都島嶼部

(伊豆・小笠原諸島 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 07:13 UTC 版)

日本 > 関東地方 > 東京都 > 東京都島嶼部
東京都島嶼部のデータ
日本
地方 関東地方南関東
都道府県 東京都
面積 407.8k㎡
総人口 22,966
推計人口、2024年6月1日)
人口密度 56.3人/k㎡
位置
東京都島嶼部(黒字は小笠原諸島)

東京都島嶼部(とうきょうととうしょぶ)は、東京都の区域のうち、伊豆諸島および小笠原諸島に属する地域を指す呼称。#呼称の項目で後述するように、いくつかの呼称がある。

なお「」は日本の常用漢字ではないため、「島しょ」と交ぜ書きされることもある(東京都島しょ農林水産総合センター、東京都島しょ振興公社など)。

概要

東京都の区域は、本州側にある東京都区部(いわゆる23区)および多摩地域と、太平洋上の離島である伊豆諸島・小笠原諸島の島々からなる。この両諸島が、本州側(23区・多摩地域)に対して「東京都島嶼部」などと呼ばれる。

「島嶼」は島々を意味する言葉である。厳密に言えば、東京都には23区内にも島が存在する(東京湾上の人工島など)が、それらは「東京都島嶼部」には含めない。なお、23区および多摩地域の総称としては、気象庁が予報等に用いる「東京地方」という呼称があるが、他の場面で一般的に用いられるものではない。

行政・政治

島嶼部には東京都の出先機関である支庁が4つ置かれ、27を管轄している(#東京都島嶼部の自治体にて後述)。

東京都議会の選挙区は島嶼部全域で島部選挙区(定数1)を構成し[1]衆議院の小選挙区では品川区と共に東京都第3区の一部を為す。ナンバープレート東京運輸支局の直轄地域で「品川」ナンバーが交付される(車庫飛ばしを防止するため、本土への持ち出しは住所変更などの手続きを要する)。

地理・歴史

島嶼部は南北1200kmにわたって続く。南方500kmには北マリアナ諸島があり、排他的経済水域が接している。南方諸島(狭義)とマリアナ諸島により、太平洋(狭義)とフィリピン海が分けられている。

東京都心からの距離は、最も近い伊豆大島でも100km以上ある。神奈川県千葉県静岡県には伊豆大島よりも都心との距離が近い島がいくつか存在しており、また東京都島嶼部の各島から見ても、静岡県(伊豆半島)や神奈川県のほうが都心よりも地理的には近い。

島嶼部の各島はいずれも江戸時代には天領であり、韮山代官所あるいは島奉行が管轄していた[2]1871年廃藩置県後には足柄県1876年には静岡県の所属となったが、軍事上の重要性や、伊豆諸島の経済交流が東京に結びついていた事実もあり、1878年には東京府の直轄地となった[2]

東京都島嶼部の自治体

以下の、2町7村(4支庁)の計9自治体がある。

なお八丈支庁に所属自治体が未定の地域があるため[3]、下記の町村の面積合計は島嶼部の面積合計と一致しない。

団体コード 自治体名 読み 支庁 場所 推計人口
[注 1]
面積 人口密度
133612 大島町 おおしままち 大島支庁 伊豆諸島 6,290人 90.76km² 069.3人/km²
133621 利島村 としまむら 大島支庁 伊豆諸島 320人 4.04km² 079.2人/km²
133639 新島村 にいじまむら 大島支庁 伊豆諸島 2,151人 27.54km² 078.1人/km²
133647 神津島村 こうづしまむら 大島支庁 伊豆諸島 1,686人 18.58km² 090.7人/km²
133817 三宅村 みやけむら 三宅支庁 伊豆諸島 2,027人 55.26km² 036.7人/km²
133825 御蔵島村 みくらじまむら 三宅支庁 伊豆諸島 302人 20.39km² 014.8人/km²
134015 八丈町 はちじょうまち 八丈支庁 伊豆諸島 6,493人 72.24km² 089.9人/km²
134023 青ヶ島村 あおがしまむら 八丈支庁 伊豆諸島 161人 5.95km² 027.1人/km²
134210 小笠原村 おがさわらむら 小笠原支庁 小笠原諸島 2,798人 113.04km² 024.8人/km²
合計 22,228人 407.8km² 54.5人/km²

東京都島嶼部の郡について

日本のは通常「」に属するが、伊豆諸島・小笠原諸島の2町7村は現在、全国唯一の例外として郡が存在しない。正式な住所の表示は「東京都大島町」のように「東京都」の後に直接町村が来る。

ただし、八丈町や三宅村では「東京都八丈島八丈町[4]」「東京都三宅島三宅村[5]」のように島名を挟む表記が用られる。

大島と新島も、島内が複数の村に分かれていた頃は「東京都大島元村[6]」「東京都新島若郷村[7]」のような表記をしていたようである。のちに村々が統合され、両島は「大島町」「新島村」と「島」の字を含む島名全体が自治体名になっている。

伊豆諸島は古代は伊豆国賀茂郡の一部であったが、江戸時代の時点では既に賀茂郡(本土部分=伊豆半島東部)とは切り離して認識されていたとみられる[8]。また小笠原諸島は1876年明治9年)に日本領が確定した地域で、旧令制国・旧郡に属したことがない。

1878年(明治11年)、政府は郡区町村編制法を制定し、旧郡を基に新たな行政機関としての「郡」を設置することとした。東京府が同法の施行下となったのは同年11月2日(伊豆諸島が東京府に移管された翌日)で、後の東京市にあたる15区と、旧武蔵国の郡に基づいた6郡を設置した[9]が、伊豆諸島は対象に含まれなかった。交通・通信が未発達だった当時、町村制度が施行されなかった離島は全国に複数あったが、いずれも旧令制国時代に郡に属していたり、新たな郡を設置したりしている。しかし伊豆諸島は郡の新設も他郡への編入もされなかった。

郡区町村編制法下の郡には郡役所が設置されていた。これに代わり、伊豆諸島には1881年(明治14年)に「島役所」が置かれた(のちに島庁→支庁に改組)。1880年(明治13年)に東京府に移管された小笠原諸島も同様で、東京府直轄の事務所が置かれていた。1886年(明治19年)には島司が設置された。1888年(明治22年)には新しい町村制1899年(明治32年)には新しい郡制が本土で施行されたが、これも伊豆・小笠原諸島を含む一部離島では施行されず、1908年(明治41年)から順次島嶼町村制に組み込まれた。

1923年(大正12年)、郡制そのものが廃止され、全国の「郡」は町村名の前に冠される地名としてのみ残った。行政機関としての「郡」が設置されなかった伊豆・小笠原諸島の町村はそのまま、郡を冠することなく現在に至っている。ただし、郡の役割がなくなって久しい平成の大合併期に至っても、町村合併に伴って既存の郡の統合や改称が行われた例は存在する(郡#日本の郡の一覧を参照)。

東京都島嶼部の島々

父島列島
母島列島

伊豆諸島

伊豆七島
七島近海の島々
豆南諸島

小笠原諸島

小笠原群島
父島列島
母島列島
聟島列島
西之島[B]
火山列島
孤立した島々

  1. ^ a b c d e f g h i j k 民間人がいる有人島
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 無人島
  3. ^ a b 民間人がいない有人島

呼称

伊豆諸島と小笠原諸島を総称する呼称はいくつもある。

島部

島部(とうぶ)は、東京都議会選挙区名に用いられている。

伊豆・小笠原諸島

伊豆諸島と小笠原諸島の併称。どちらも地理的な呼称で、行政区域としてのニュアンスを含まない場面でも用いられる。

東京諸島

東京諸島(とうきょうしょとう)という名は、東京都の外郭団体である「東京諸島観光連盟」と、2010年代以降東海汽船が自社Webサイト・販促物などで積極的に使っている。ただし観光連盟については組織の性質上、具体的な島について民間人の住む11島についてのみ述べており、火山列島などについては扱っていない。東京諸島観光連盟は、かつて「伊豆七島観光連盟」と称していたが改称され、伊豆七島以外の青ヶ島村や小笠原村も加盟している。

南方諸島

南方諸島(なんぽうしょとう)は「南方諸島及びその他の諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」(小笠原返還協定)、「南方連絡事務局設置法」、「小笠原諸島振興開発特別措置法」などの諸法規では小笠原群島・西之島火山列島と定義されている。これらは、小笠原諸島のうち離れた位置にある南鳥島沖ノ鳥島を除いた島々である。ただしこの2島も、「南方諸島及びその他の諸島」という表現で一括して扱われている。

これに対し、日本水路協会では伊豆諸島・小笠原諸島を全て包括して「南方諸島」と称している。この場合は「東京都島嶼部」や「東京諸島」と同義である。

脚注

注釈

  1. ^ 2025年10月1日現在。

出典

  1. ^ 東京都議会議員の定数及び選挙区一覧表”. 東京都選挙管理委員会. 2012年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月9日閲覧。
  2. ^ a b 今尾恵介『住所と地名の大研究』新潮社、2004年、23-24頁。ISBN 4-10-603535-9 
  3. ^ 伊豆諸島#行政区画を参照。
  4. ^ 八丈町公式サイト(2025年11月1日閲覧)では八丈町役場の住所が「東京都八丈島八丈町大賀郷2551番地2」と記載されている。
  5. ^ 三宅村役場ホームページ(2025年11月1日閲覧)では、三宅村役場(臨時庁舎)の住所は「東京都三宅島三宅村阿古497番地」と記載されている。
  6. ^ 昭和30年3月10日 東京都告示第149号「町村の廃置分合」([1] 東京都大島町、2025年11月1日閲覧)にて表記が用いられている。自治体名は「元村」で、「大島」は自治体名の一部ではない。
  7. ^ 新島村立若郷小学校の沿革([2] 東京都新島村、2025年11月1日閲覧)にて表記が用いられてい。自治体名は「若郷村」で、「新島」は自治体名の一部ではない。
  8. ^ 天保国絵図の伊豆国の絵図(伊豆国 - 国立公文書館デジタルアーカイブ、2025年11月1日閲覧)でも、加茂郡(賀茂郡)の村々と伊豆諸島の村々は別の色で塗られている。また「旧高旧領取調帳」においても賀茂郡の項に伊豆諸島の掲載がない。
  9. ^ 変貌 - 12.東京府に15区を設置:国立公文書館 - 2025年11月1日閲覧。

関連項目

外部リンク


伊豆・小笠原諸島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 22:31 UTC 版)

日本の地理」の記事における「伊豆・小笠原諸島」の解説

伊豆諸島小笠原諸島本州の南に位置する島弧であり、フィリピン海プレート太平洋プレート沈み込むことで生じている。沈み込んでいるところを伊豆・小笠原海溝という。伊豆諸島島々西之島南本海嶺頂上部である。小笠原諸島聟島諸島父島諸島母島諸島はその西側にある小笠原トラフによって南本海嶺隔てられている。行政区分では東京都地方区分では関東地方含まれる。 山:三原山御山摺鉢山 など 島伊豆諸島伊豆大島利島新島式根島神津島三宅島御蔵島八丈島青ヶ島ベヨネース列岩須美寿島鳥島孀婦岩 小笠原諸島聟島列島聟島嫁島 父島列島父島兄島弟島 母島列島母島姉島妹島 火山列島硫黄列島北硫黄島硫黄島南硫黄島 西之島南鳥島沖ノ鳥島 海溝伊豆・小笠原海溝

※この「伊豆・小笠原諸島」の解説は、「日本の地理」の解説の一部です。
「伊豆・小笠原諸島」を含む「日本の地理」の記事については、「日本の地理」の概要を参照ください。

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