トラクションとは? わかりやすく解説

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traction

別表記:トラクション

「traction」とは、引っ張られること・牽引静止摩擦のことを意味する英語表現である。

「traction」の基本的な意味

「traction」とは、物体が他の物体接触している面で引っ張られる力のことである。つまり、摩擦接着力によって物体引っ張られる力を指す。「引っ張られること」「牽引」「静止摩擦」などのように訳すことができる。「traction」は医療分野でもよく使われる例えば、脊椎牽引せきついけんいん)という治療法がある。これは、脊椎引っ張って骨格正常な位置に戻すことで、神経圧迫症状痛み緩和するために用いられるまた、車椅子などの補助具が、人間体重引っ張って運動補助する場面のことを表すこともできるまた、自動車鉄道車両などの乗り物加速する際にも「traction」が重要な役割果たしている。タイヤ車輪路面接触している面での摩擦力によって、乗り物加速力発揮し速度維持することができるからである。

「traction」は、ビジネス経済世界で用いられる重要な概念である。企業投資家が、市場産業成長予測する際には、市場占有率成長率などの指標から「traction」を測定し事業将来性評価することがあるまた、スタートアップ企業製品やサービス開発する際には、市場での受容性顧客獲得しやすさなどから「traction」を判断し事業計画策定することが必要である。この場合、「traction」という言葉は「事業成長可能性を示す初期実績」という意味も含んでいる。

「traction」の語源

「traction」という単語語源は、ラテン語の「tractio」という単語にある。「tractio」は、ラテン語で「引っ張ること」という意味を持つ。この単語は、ラテン語の「trahere(引っ張る)」という動詞と、その現在分詞である「tractus」から派生している。英語の「traction」になってからは、機械工学分野使われることが多かった現代では、機械工学もとより医療分野やビジネスなどさまざまな分野使用されている。

「traction」の発音・読み方

「traction」は、アメリカ英語では「trækʃən(トラクション)」と発音される最初音節アクセントがあるため、「tra」を強く発音することがポイントである。次の音節cti」は、軽く発音する必要がある。音が濁らないように、発音する際には舌の位置正確に調整することが大切である。最後音節「on」はアクセントがないため、比較短く発音することがポイントとなる。なお、イギリス英語では、最初音節に少しアクセントがあるものの、アメリカ英語のように強く発音されることはないので注意が必要である。

「traction」を含む英熟語・英語表現

「traction」を含む英熟語英語表現には様々なものがあり、専門用語として用いられることが多い。代表的なものとして、以下のようなものがある。

「gain traction」とは


gain traction」とは新しアイデア製品サービスなどが市場受け入れられるようになり、徐々に成長し始めることを指す。これは、製品やサービス消費者認知され需要増えることで、企業成功向かって進むために必要なステップである。

「surface traction」とは


surface traction」とは「表面上の摩擦力」を指す。たとえば、自動車自転車タイヤ路面接触する際に生じ摩擦力などが該当する。これは、移動する物体安定して進むために必要な力であり、様々な分野重要な役割果たしている。

「in traction」とは


「in traction」とは、病気やけがなどの治療で「身体の一部引っ張られたりする状態」を指す。これは、骨折脱臼などの治療のために一時的に行われることがある。また、物理療法整形外科治療などでも使用される

「good traction」とは


good traction」とは、「物事がうまく進むこと」を指す。たとえば、ビジネスプロジェクトが予定通り進行し目標達成され場合などが該当するまた、仕事学業での成功人間関係円滑化などでも使用される。この表現は、一般的に好ましい結果良い状況を示すために使用される

「traction」の使い方・例文

「traction」は以下の例文のように使用することができる。

「The train had trouble gaining traction on the steep incline.」(列車急勾配摩擦力を得るのに苦労した。)この文では、列車軌道上を動くために必要な摩擦力」を指している。
「The physical therapist used a machine to provide traction to the patient's spine.」(理学療法士患者脊椎牽引するために機械使用した。)牽引装置使って患者脊椎引っ張ることで、物理療法行っていることが示されている。
「The new product gained traction quickly in the market.」(新し製品市場急速に浸透した。)この場合、「traction」は、「新し製品市場広く受け入れられている」という意味で使われている。

トラクション【traction】

読み方:とらくしょん

車輪とレール、またはタイヤ道路面の間で、回転する物体接触部による摩擦通じて車体移動させる力。牽引力駆動力


トラクション


トラクション

英語 traction

駆動輪路面間で生じ駆動力をいう。この力は駆動輪軸重トルクタイヤと、路面摩擦力により決まる。駆動力摩擦力より大きい場合(急発進雨天積雪路など)、または駆動輪軸重減少したとき(前輪駆動車の坂発進コーナリング時内輪)にタイヤ空転する。このようなとき、トラクションが出ない、あるいは抜ける、などという。これを防ぐためにタイヤグリップ改善4輪駆動方式、リミットスリップデフ(LSD)などがある。また低μ路で駆動力勝って空転する場合備え、エンジントルクを制御するトラクションコントロールシステム装備することもある。

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

トラクション

タイヤ地面蹴って前に進もうとする力。たとえば何らかの要因後輪が完全に持ち上がったとする。これはトラクションがまったくかかってない状態だ。当然のことながら前に進むことはできない逆に「トラクションをかける」といえば、その力を引き出すようなスロットルワーク(操作)、体重移動をすることを指す。トラクションは路面の状態とタイヤ空気圧サスペンションセッティングによっても変わってきてしまう。
トラクション


関連用語オフロード サスペンション

トラクション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/27 13:15 UTC 版)

トラクション英語: traction)または牽引力英語: tractive force)は、車体と接平面との間で、乾燥摩擦を通して(路面の剪断力英語版も一般的に使われる)、運動を生み出すために使われるである[1][2][3][4]

トラクションは、車体と路面との間の「最大」牽引力のことも指す。この場合、トラクションは垂直抗力に対する最大牽引力の比としてもしばしば表わされ、「トラクション係数」と命名される(摩擦係数と似ている)。トラクションは、摩擦、垂直荷重(負のZ軸方向にタイヤに作用する荷重)、空気抵抗転がり抵抗などのような全ての抵抗する力を乗り越えることによって物体を路面上で移動させる力である。

定義

トラクションは以下のように定義することができる。

2つの物体間の界面において、乾燥摩擦または介在する流体膜を介して接線力が伝達され、運動、停止または動力の伝達が生じる物理的過程。
Mechanical Wear Fundamentals and Testing、Raymond George Bayer[5]

車両の動力学において、自動車では牽引力英語版(tractive force)、鉄道では引張力(tractive effort、drawback pull)という用語が使われるが、これらの用語は異なる定義を持つ。

トラクション係数

アスファルトに対する速度と気象条件の関数としての縦粘着係数 (fx) の図。
A) 乾燥したアスファルト
B) ウェット条件でのアスファルトの水はけ
C) ウェット条件でのアスファルト
D) 雪
E) 氷
季節変化(数字の1から12で表わされている)と異なる路面での平均横方向粘着(Fy)の変化。
A) 熱ロールドアスファルト
B) 砂利(グラベル)
C) 珪岩
D) 礫岩セメント
E) マスチックアスファルト
F) 砂利堆積(非結合)

トラクション係数(「摩擦係数」とも)は、トラクションのために使用可能な力を駆動装置(車輪、無限軌道など)の重量で割ったものと定義される[6][7]

使用可能なトラクション = トラクション係数 × 垂直抗力

である。

トラクション係数に影響する因子

2つの表面間のトラクションはいくつかの因子に依存する。

  • 表面粗さ - それぞれの表面の材料組成
  • 巨視的および微視的形状(マクロテクスチャおよびミクロテクスチャ)
  • 接触面を互いに押す垂直抗力
  • トラクション
  • 潤滑剤接着剤など、素材界面にある汚染物質
  • トラクション面の相対運動。滑っている物体(動的摩擦を受けている)は滑っていない物体(静的摩擦を受けている)よりもトラクションが低い。
  • ある座標系に相対的なトラクションの方向。例えば、タイヤの利用可能なトラクションは、旋回中、加速中、制動中でしばしば異なる[8]
  • オフロード凍結路面といった低摩擦路面に対しては、専用のトレッドパターンを持つオフロードタイヤスノータイヤスタッドレスタイヤが存在する。さらに、スタッドチェーンなどの滑り止め装備は、路面との摩擦力のみに頼るのではなく、路面の表面を部分的に貫通する際の剪断強度を利用することでトラクションを増大している。

工学設計におけるトラクション係数

車輪付き車両や無限軌道車の設計では、車輪と地面の間のトラクションが低いよりも高い方が、車輪が滑らずに高い加速度(旋回や制動を含む)を得られるので望ましい。ただし、モータースポーツのドリフト走行では、高速旋回時に後輪のトラクションを意図的に失くしている。

また、無限軌道車や半装軌車など、車輪が発揮できる以上のトラクションを得るために表面積を劇的に増やす設計もある。戦車や同様の無限軌道車両は、接触部分の圧力を減らすために軌道を使用する。70トンのM1A2が丸いタイヤを使用した場合、中心が高くなるところまで沈んでしまう。軌道は、タイヤよりもはるかに広い接地面積に70トンを広げ、戦車がはるかに柔らかい土地を走行することを可能にする。

用途によっては、素材の選択で複雑な代償が発生することもある。例えば、柔らかいゴムはトラクションに優れているが、摩耗が早く、曲げたときの損失が大きいため、効率が悪くなることがよくある。材料の選択は劇的な効果をもたらすことがある。例えば、レーシングカーに使われるタイヤの寿命は200 kmであるが、大型トラックに使われるタイヤの寿命は10万kmに近いこともある。トラック用のタイヤはトラクションが弱く、ゴムも厚い。

また、トラクションは汚染物質によっても変化する。コンタクトパッチに水の層があると、トラクションが大きく損なわれる。これが自動車用タイヤに溝やサイピング英語版(排水用の溝)がある理由の1つである。

トラック、農業用トラクター、軍用車などの柔らかい地面や滑りやすい地面を走行する際のトラクションは、タイヤ圧制御システム(TPCS)を使用することで大幅に向上することが分かっている。TPCSは、車両の連続走行中にタイヤの空気圧を下げ、その後元に戻すことを可能にする。また、TPCSの使用によりトラクションが向上することで、タイヤの摩耗や乗り心地の振動が低減される[9]

出典

  1. ^ Laughery, Sean; Gerhart, Grant; Muench., Paul (2000), Evaluating Vehicle Mobility Using Bekker's Equations, U.S. Army TARDEC, https://apps.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/a457941.pdf 
  2. ^ Burch, Deryl (1997). “Usable Power”. Estimating Excavation. Craftsman Book Co. p. 215. ISBN 0-934041-96-2. https://books.google.com/books?id=BxSjyYKWn0wC 
  3. ^ Friction”. hyperphysics.phy-astr.gsu.edu. 20 April 2018閲覧。
  4. ^ Abhishek. “Metro Train Simulation”. metrotrainsimulation.com. 20 April 2018閲覧。
  5. ^ Bayer, Raymond George (22 April 2004). “Terminology and Classifications”. Mechanical Wear Fundamentals and Testing. CRC Press. p. 3. ISBN 0-8247-4620-1. https://books.google.com/books?id=Q64Kq2HlyucC 
  6. ^ Schexnayder, Clifford J.; Mayo, Richard (2003). Construction Management Fundamentals. McGraw-Hill Professional. p. 346. ISBN 0-07-292200-1. https://books.google.com/books?id=vxrvnfEwWMkC 
  7. ^ Wong, Jo Yung (20 March 2001). “4.1.3 Coefficient of Traction”. Theory of ground vehicles. p. 317. ISBN 0-471-35461-9. https://books.google.com/books?id=LH8wd8im13AC 
  8. ^ J670 Vehicle Dynamics Terminology, SAE, https://www.sae.org/standards/content/j670_200801/ .
  9. ^ Tyre Pressure Control on Timber Haulage Vehicles: Some observations on a trial in Highland, Scotland”. ROADEX III Northern Periphery (February 2008). 20 April 2018閲覧。

関連項目


「トラクション」の例文・使い方・用例・文例

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