エタノールは主として肝臓で酸化されてアセトアルデヒドになり、さらに酢酸へと代謝されます。アセトアルデヒドの分解が遅い体質のひとは、少量の飲酒でフラッシング反応(顔が赤くなる。吐き気がする。動悸がする。眠くなる。)を起こし、比較的少ない量の飲酒で二日酔いも起こします。アセトアルデヒドは実験動物に発癌性があり、ヒトの食道癌の原因にもなります。この物質はDNAやタンパク質と結合しやすい性質を持ち、発癌など種々のアルコール性臓器障害の発生に関与すると考えられています。アルコール飲料には生産の過程で高濃度のアセトアルデヒドが含まれており、たばこ煙からも高濃度のアセトアルデヒドが検出されます。口腔内や消化管内は、常在細菌によりエタノールから高濃度のアセトアルデヒドが作られるため、特に高濃度のアセトアルデヒドに暴露されます。アセトアルデヒドはヨーグルトのフルーツ風味を作るためなど極微量は食品に添加されることもありますが、食品添加の超低濃度では発癌に関係しません。
アセトアルデヒド【acetaldehyde】
アセトアルデヒド
アセトアルデヒド
アセトアルデヒド
アセトアルデヒド【あせとあるでひど】
アセトアルデヒド(あせとあるでひど)
アセトアルデヒド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/19 15:17 UTC 版)
アセトアルデヒド | |
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ethanal | |
別称 Acetic Aldehyde Ethyl Aldehyde[1] | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 75-07-0 ![]() |
PubChem | 177 |
ChemSpider | 172 ![]() |
UNII | GO1N1ZPR3B ![]() |
EC番号 | 200-836-8 |
KEGG | C00084 ![]() |
ChEBI | |
ChEMBL | CHEMBL170365 ![]() |
RTECS番号 | AB1925000 |
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特性 | |
化学式 | C2H4O |
モル質量 | 44.05 g mol−1 |
示性式 | CH3CHO |
外観 | 無色透明の液体 強烈な果実臭 |
密度 | 0.788 g cm−3 |
融点 |
−123.5 °C, 150 K, -190 °F |
沸点 |
20.2 °C, 293 K, 68 °F |
粘度 | ~0.215 at 20 °C |
構造 | |
分子の形 | 平面三角形構造(sp2) at C1 四面体構造(sp3) at C2 |
双極子モーメント | 2.7 D |
危険性 | |
安全データシート(外部リンク) | ICSC 0009 |
GHSピクトグラム | ![]() ![]() ![]() |
Hフレーズ | H224, H319, H335, H351[2] |
Pフレーズ | P210, P261, P281, P305+351+338[2] |
EU分類 | 非常に強い可燃性 (F+) 有害(Xn) Carc. Cat. 3 |
NFPA 704 | |
Rフレーズ | R12 R36/37 R40 |
Sフレーズ | (S2) S16 S33 S36/37 |
引火点 | 234,15 K (-39 °C) |
発火点 | 458,15 K (185 °C) |
関連する物質 | |
関連するアルデヒド | ホルムアルデヒド プロピオンアルデヒド |
関連物質 | エチレンオキシド |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
アセトアルデヒド (acetaldehyde) は、アルデヒドの一種。IUPAC命名法では エタナール (ethanal) ともいい、他に酢酸アルデヒド、エチルアルデヒドなどの別名がある。自然界では植物の正常な代謝過程で産生され、特に果実などに多く含まれている。また、人体においてはアルコールの代謝によって生成されて、一般に二日酔いの原因と見なされているほか、たばこの依存性を高めるともいわれ、発がん性がある。
日本国内の消防法においては、危険物第4類の引火性液体に分類され、その中でも特に引火する危険性が高い特殊引火物とされている。
産業用として大規模に製造され、その多くが酢酸エチルの製造原料として使われている。独特の臭気と刺激性を持ち、自動車の排気やたばこの煙、合板の接着剤などに由来する大気汚染物質でもあることから、シックハウス症候群などの原因となる。
化学的性質
低温では無色透明の液体で、水、ベンゼン、ジエチルエーテル、エタノールなどと任意に混じり合う。沸点は 21 ℃と低い。容易に揮発し、特徴的な青臭い刺激臭があるが、充分希薄にすると果実臭と感じられる。燃焼範囲がきわめて広く、引火点は - 39 ℃ と非常に引火しやすい。
アセトアルデヒドにはケト-エノール互変異性があり、ビニルアルコールと平衡状態にあるが、常温における平衡定数は 6 × 10−5であり、ほとんどがケト(アルデヒド)型となっている[3]。
製造
アセトアルデヒドはエチレンからワッカー酸化によって製造される。
- 安全データシート・アセトアルデヒド - 厚生労働省
- 化学物質ファクトシート2011年版 アセトアルデヒド - 環境省
- 化学物質の環境リスク評価 第1巻 アセトアルデヒド (PDF) - 環境省環境保健部環境リスク評価室
- 化学物質の初期リスク評価書 No.61 アセトアルデヒド (PDF) - 新エネルギー・産業技術総合開発機構
- IARC Monograph Volume 71 (1999): "Acetaldehyde" (PDF)
- 国際化学物質安全性カード アセトアルデヒド (ICSC:0009) 日本語版(国立医薬品食品衛生研究所による), 英語版
- 『アセトアルデヒド』 - コトバンク
C1: ホルムアルデヒド |
飽和アルデヒド | C3: プロピオンアルデヒド |