A PRIORIとは? わかりやすく解説

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a priori

別表記:アプリオリ

「a priori」の意味・「a priori」とは

「a priori」はラテン語語句で、直訳すると「前から」あるいは「最初から」となる。哲学論理学文脈では、「経験先立つ」あるいは「経験依存しない知識理由を指す。例えば、数学公理定理経験先立つ「a priori」な知識とされる。これは、これらの知識経験的な観察実験によらず純粋な論理的推理だけで確認できるからである。

「a priori」の発音・読み方

「a priori」の発音IPA表記では /ˌɑː praɪˈɔːri/ となる。日本人発音する際のカタカナ表記は「ア プライオーリ」となる。なお、「a priori」は発音によって意味や品詞が変わる単語ではない。

「a priori」の定義を英語で解説

"A priori" is a Latin phrase that translates as "from the earlier" or "from the beginning". In the context of philosophy and logic, it refers to knowledge or reasoning that precedes experience or is independent of experience. For instance, axioms and theorems in mathematics are considered "a priori" knowledge because they can be confirmed solely through pure logical reasoning, without reliance on empirical observation or experimentation.

「a priori」の類語

「a priori」の類語としては、「presupposed」や「assumed」がある。これらの語も、何かが事前に与えられている、あるいは既に存在しているという意味合いを持つ。「presupposed」は「前提とされる」、「assumed」は「仮定される」という意味で、「a priori」と同様に経験観察先立つ知識理由を指す。

「a priori」に関連する用語・表現

「a priori」に関連する用語としては、「a posteriori」がある。これは「a priori」の対義語で、経験に基づく知識理由を指す。例えば、科学的な実験結果は「a posteriori」な知識とされる。これは、これらの知識経験的な観察実験によって得られるからである。

「a priori」の例文

以下に、「a priori」を用いた例文10個示す。 1. "The concept of a triangle is an a priori concept."(三角形概念はa prioriな概念である。)
2. "Mathematical truths are often considered to be a priori truths."(数学的な真理はしばしばa prioriな真理みなされる。)
3. "A priori knowledge is independent of experience."(a prioriな知識経験から独立している。)
4. "The assumption was made a priori."(その仮定はa prioriにされた。)
5. "The principles of logic are a priori principles."(論理原理はa prioriな原理である。)
6. "A priori reasoning is reasoning from what is prior."(a prioriな推論先行するものからの推論である。)
7. "The axioms of geometry are a priori."(幾何学公理はa prioriである。)
8. "The rules of arithmetic are a priori rules."(算数規則はa prioriな規則である。)
9. "A priori judgments are independent of experience."(a prioriな判断経験から独立している。)
10. "The concept of number is an a priori concept."(数の概念はa prioriな概念である。)

アプリオリ

英語:a priori

「アプリオリ」の基本的な意味

「アプリオリ」とは、経験先立って存在する、または経験から独立して認識されるという意味である。哲学用語として広く用いられ、特に形而上学認識論文脈重要な概念とされる。アプリオリな知識命題は、経験によらず理性論理のみに基づいて確定されるのである

「アプリオリ」の語源

「アプリオリ」は、ラテン語の「a priori」に由来し直訳すると「前から」または「先に」を意味する哲学者イマヌエル・カント18世紀にこの概念体系化し、彼の認識論においてアプリオリとアポステリオリ経験に基づく)の区別重要な役割を果たす

「アプリオリ」の類語

「アプリオリ」に類似した意味を持つ言葉として、「先天的」「演繹的」「理性的」などが挙げられる。これらの言葉は、経験先立つ知識命題を指す点で共通しているが、それぞれに独自のニュアンスがある。

「アプリオリ」に関連する用語・知識

アポステリオリ

アポステリオリ」とは、経験基づいて得られる知識命題を指す言葉であり、アプリオリの対義語である。アポステリオリ知識は、観察実験通じて得られるもので、経験的な根拠に基づく。

形而上学

形而上学は、実在存在本質因果関係など、物事根本的な性質原理探求する哲学一分野である。アプリオリな知識命題は、形而上学的な問題対す答えとして提案されることが多い。

認識論

認識論は、知識信念正当性根拠範囲などを研究する哲学一分野である。アプリオリとアポステリオリ区別は、認識論において重要な概念であり、知識性質獲得方法に関する議論基礎となる。

カント哲学

イマヌエル・カントは、アプリオリとアポステリオリ区別明確にした哲学者であり、彼の認識論形而上学は、アプリオリな知識命題役割強調している。カント哲学は、アプリオリとアポステリオリ概念理解する上で重要な参照点である。

「アプリオリ」を用いた例文

1. 数学的な命題は、アプリオリな知識基づいて確定される。 2. 彼は、道徳的な原理がアプリオリに認識される主張した。 3. カントは、時間空間はアプリオリな直観であると考えた

ア‐プリオリ【(ラテン)a priori】

読み方:あぷりおり

[名・形動《より先なるものから、の意》中世スコラ哲学では、因果系列原因あるいは原理から始め認識方法をいい、カント以後近代認識論では、経験依存せず、それに先立っていることをさす。⇔アポステリオリ


アプリオリ

(A PRIORI から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/05 00:33 UTC 版)

アプリオリ: a priori)とは、議論や知識の前提があらゆる経験に依存しないことを表す言葉。知識が経験的証拠英語版に依存する場合、アポステリオリと表現される。

ラテン語で「より先のものから」を意味する。中世スコラ学においては「原因・原理から始める演繹的な(推論・議論・認識方法)」という意味で用いられていたが、カント以降は「経験に先立つ先天的・生得的・先験的な(人間の認識条件・認識構造)」という意味で用いられるようになった[1]

概要

カントにおける「アプリオリ」の概念

「わたしは何を知ることができるか」「わたしは何をなすべきか」を問い、自然人間を認識する「理性」(理論理性)の限界を明らかにするために批判哲学を打ち立てた18世紀ドイツの哲学者イマヌエル・カントは、哲学もまた数学自然科学にならって、必然的で普遍的な思考方法を獲得しなければならないと主張した。そして、そのためには、人間のあらゆる経験から独立して、理性自身が認識のわく組みを決めることができなければならない、とした。これが「アプリオリな認識」である(アプリオリな認識のうち、経験的なものをまったく混入していない認識を「純粋認識」と呼ぶ[2])。

カントによれば、時間および空間はアプリオリな概念である。なぜならこの2つは、あらゆる経験的認識に先立って認識されている概念だからである[注釈 1]

なお、この2つは自然に想像される時間あるいは空間ではなく、形式的なそれである。感覚的には太陽地球を回っているように「感じられる」としても、実際にはそうではないという比喩をカント自身も援用していることから、ある新しい「構成」のために、それらは純粋直観にあたえられるのである[注釈 2]。この空間は、物理空間に先立つ(=アプリオリな)空間である。純粋直観が不可能であればヒューム的懐疑に陥るという懸念にも留意されたい。

諸哲学における用法

哲学における今日的な一般的用法としては、アプリオリとは、「演繹的証明の必要のない自明的な事柄」という意味で使われることが多い。

フレーゲによれば、命題の真偽が論理法則のみに依拠すれば「アプリオリ」であり、経験的事実に依拠すれば「アポステリオリ」となる。なお、ここでいう「命題」とは厳密には「ある判断の真理性の証明」を指している[3]

フッサール現象学では、直観によるアプリオリの作用(抽象)を「本質直観」と呼んでいる[注釈 3]

認識論において用いられる難解な言葉であり、アプリオリはアポステリオリ対語である。「先験的」「先天的」などと訳される場合があるが、どちらの訳もこの語の意味にあっていないと言われ、多くの場合「アプリオリ」と片仮名で音訳される。

アプリオリの具体的な意は、「私はこのことをアプリオリに知っている」は「私はこのことを知っているが、経験を通じて知ったのではない」と言うような具合である。アプリオリの意は非常に複雑であり、わかりにくいと言われる。

「物事には原因がある」という観念は、実際の経験事実よりも「先立って」存在している。つまり因果律は経験に先立っている(prior)から、「アプリオリ」な観念だといわれる。

法学におけるアプリオリ

法学上の文脈で用いる場合には、いわゆる「自明」ないしは「所与のもの」などの語義と同視して用いられることがあり、特に論証立証なくして明らかな事項(明らかであるとして扱ってよい事項)、などの意として使われる。

確率におけるアプリオリ

事象が現れる前の確率をアプリオリ確率という。事象が現れた後の条件付き確率をアポステリオリ確率という[4]

脚注

注釈

  1. ^ この2つが先立っていることが絶対的に自明なのではなく、カントが強調しているのは、この2つが与えられなければ、「物自体」が認識できない以上、純粋直観としては何も認識できないということである。
  2. ^ この場合、経験・感覚等を捨象することにより、地球が太陽を周回しているという総合的判断が得られる。
  3. ^ 本質直観は「イデー化(理念化)」とも呼ばれており、フッサール自身、様々な角度から説明を試みている。『デカルト的省察』・『論理学研究』など

出典

  1. ^ アプリオリとは - コトバンク
  2. ^ 山崎編『カント』(1977)p.68
  3. ^ 野本『フレーゲ哲学の全貌』(2012)p.155
  4. ^ 伏見康治「確率論及統計論」第2章 数学的補助手段 9節 公理系 p.64 ISBN 9784874720127 http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/204

参考文献

関連項目


「a priori」の例文・使い方・用例・文例

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